樗の花/楝の花/栴檀の花/あふちの花 1    200句

どんみりと樗や雨の花曇り      芭蕉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
樗咲く艇庫はすでにがらんどう
能村登四郎
199907
澱むではならぬ系譜や花樗
能村研三
199907
覚めし児のにはかに母を花樗
稲辺美津
遠嶺
199908
栴檀や姉さんゆずり力瘤
日吉わたる
船団
199908
花楝きらりと朝の雨雫
中川晴美
俳句通信
199908
夕よりは雨かも知れず花樗
岩垣子鹿
ホトトギス
199910
瞳孔の大方ひらき花楝
村松彩石
海程
199911
恙なく娘の暮らす街花楝
上原瑞子
200002
院内の感染またも楝散る
品川鈴子
ぐろっけ
200006
傘かしげ樗咲くよと仰ぎけり
阿部ひろし
酸漿
200007
兵馬俑坑ときめかす花樗
小島とよ子
新樹光
200007
とどまるも帰るも重し花楝
中村幸子
俳句通信
200007
ふはふはの魚のてんぷら花樗
小山森生
200008
花楝大阪すこし夕燒くる
蔦三郎
円虹
200008
朝靄に湿る蔀戸花楝
小田悦子
俳句通信
200008
降りさうで晴れさうな空花楝
梶本佳世子
円虹
200009
樗咲き子の忌母の忌矢つぎばや
田中美智代
200009
樗咲き城は堅固の名を残す
有動亨
馬醉木
200010
石神井の樗の花にゐて飽きず
石橋翠
いろり
200107
鎮魂の腓なりけり花楝
天野きく江
200108
洗ひたる墓へ散りつぐ楝かな
大西晶子
百鳥
200109
樗散るときをり茣蓙のみどり子に
荒井千佐代
系図
200203
花樗ベンチで開く奈良の絵図
仲尾弥栄子
雲の峯
200207
大学に兵器庫の跡楝咲く
中谷葉留
風土
200208
花樗わが手待つかに零れけり
岩田育左右
遠嶺
200208
御霊屋の空高曇り樗咲く
宮原悦子
雨月
200208
眼帯の神父佇む花樗
大島翠木
200208
花楝まばゆし能の足はこび
加藤富美子
200208
花樗放免屋といふ差入れ屋
西田もとつぐ
雲の峰
200208
花樗むらさきけぶる御所めぐり
三村禮子
酸漿
200208
人力車たかき樗の花の下
桑田眞佐子
火星
200209
花樗君と呼ばるる天満橋
小田道知
円虹
200209
花樗日暮は亡夫恋しけれ
島すが子
200209
楝散る音なき音を聞く日かな
高橋たか子
馬醉木
200211
花楝仰ぐ数歩をただよはす
岡本眸
200211
散華めく蓮如の磴の花楝
大久保白村
ホトトギス
200212
水牛の分厚きねむり花樗
尾上直子
200306
雨なくば流れぬ川や花楝
朝妻力
雲の峯
200306
車椅子栴檀の花くぐり行く
早崎泰江
あを
200307
栴檀の花匂ふまで雲垂るる
小森泰子
馬醉木
200308
花樗夕べの駅のなつかしく
平田はつみ
馬醉木
200308
樗咲くむかひ鎌倉女学院
禅京子
風土
200308
曲り道ばかり城下の花楝
山口たけし
雲の峯
200308
校門に古りし絵地図や花楝
大柳篤子
雲の峯
200308
花樗夕べの空に紛れゆく
佐藤なか
遠嶺
200309
水神の古りし祠や花樗
近藤清女
円虹
200309
川風に揉まれ幽かに花楝
白石峰子
円虹
200309
僧服に会へざりしこと花楝
井上信子
200309
咲きけぶる樗の立てり校舎裏
檀原さち子
酸漿
200309
夕潮の樗の花に触れて差す
荒井千佐代
200310
花樗僧も混じりし舟遊び
十河波津
200310
昼餉解く栴檀の花見上げつつ
宇利和代
雲の峰
200407
花楝こぼるる駅の別れかな
植竹美代子
雨月
200408
枝の揺れ幹にひびきて花樗
辻恵美子
栴檀
200408
栴檀の匂ひの満てり十八楼
長村雄作
栴檀
200408
花樗まさしき空を覆ひけり
市堀玉宗
栴檀
200408
栴檀の花咲き初むと見舞客
日比野和子
栴檀
200408
止んで降り降りては止んで花楝
小澤登代
草の花
200408
花楝散るやゆふべの鐘の音
有島扇水
河鹿
200408
鳥追の謡樗の花に和す
古木正行
河鹿
200408
栴檀の花朝市の屋台組む
西屋敷峰水
河鹿
200408
嫁ぎても捨てぬは蔵書花樗
十河秀子
百鳥
200409
寺裏に楝の匂ひ材木町
長村雄作
栴檀
200409
暮れ際の空の明るし花樗
野村かおり
栴檀
200409
目印の栴檀咲ける坂がかり
井口初江
酸漿
200409
花楝全校生徒ふところに
有島多美
河鹿
200410
風道を捉へてをりぬ花樗
西口鶴子
遠嶺
200410
花樗映してゆるぶ水鏡
苑実耶
200410
天心に花房跳ねる樗かな
辻恵美子
栴檀
200507
栴檀の花に足れりと相模人
辻恵美子
栴檀
200507
講演を樗の花の句で結ぶ
辻恵美子
栴檀
200507
ウイスキー入れて水切り花樗
辻恵美子
栴檀
200507
今日ありて明日の行方や花樗
谷寿枝
酸漿
200507
花楝母校は創立百周年
徳田正樹
河鹿
200508
おのづから樹のけぶりをり花樗
黒坂紫陽子
馬醉木
200508
弓を射る音なき闘志楝咲く
能村研三
200508
葉が揺れて花揺れはじむ樗かな
坂部尚子
栴檀
200508
栴檀咲く左千夫学びし学舎の跡
雑賀淑江
200508
花樗に淡淡出会ふ瀬音かな
谷岡尚美
200509
昼月に觸れ栴檀の花震ふ
三関浩舟
栴檀
200509
花よりも葉のよく揺るる樗の木
藤田佑美子
栴檀
200509
栴檀の花のやさしき木陰あり
先崎きくよ
酸漿
200509
樗の句しるして七月八日かな
白神知恵子
春燈
200510
仰ぎたる頬へあふちの花こぼる
鈴木和香
栴檀
200510
鬼やんま夜は栴檀を宿りとす
今谷脩
ぐろっけ
200512
古巣箱懸けて空家や楝の実
菊池由惠
酸漿
200601
薩英の硝煙いまに花あふち
淵脇護
河鹿
200607
背番号無き子もおらぶ花樗
石堂絹子
河鹿
200608
花樗散策圏に人見えず
福地淳祐
春燈
200608
どこまでも眩しき嶺や花楝
吉野のぶ子
遠嶺
200608
花楝の下で禊をしてをりぬ
篠田純子
あを
200608
住吉の昼栴檀の花ふぶき
山下青坡
200609
六華苑紫ぼかしの花樗
植村よし子
雨月
200609
花楝看板メニューはオムライス
桑原泰子
八千草
200611
回顧あり土佐の楝の花の頃
稲畑汀子
ホトトギス
200705
楝咲き旅路はるけくありしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200706
産土に隣る学校楝咲く
中谷葉留
風土
200708
開港の地に栴檀の咲き満つる
大石喜美子
雨月
200708
あふち散る午後や赤子に添ひ寝して
荒井千佐代
200709
標石に時の流れや花楝
長沼恒子
馬醉木
200709
楝咲き話し相手の欲しくなる
小澤菜美
200807
栴檀の花一切を忘るなり
石脇みはる
200808
濯ぐ手の水よく切れる花樗
戸栗末廣
火星
200808
半天をうすむらさきのあふちかな
吉弘恭子
あを
200808
咲きけぶる樗一樹や深大寺
竹内志げ子
酸漿
200809
夕星やあえか楝の褪せし色
吉弘恭子
あを
200810
灯籠の火影にたわわあふちの実
山田六甲
六花
200812
あふちの実輝かしくある日なりけり
ことり
六花
200812
花楝荷風と同じ路地住まひ
能村研三
200906
楝の花切られきられて棒立ちに
山田清香
酸漿
200907
暮れ六つの空のほてりよ花楝
浜福惠
風土
200908
青空を泡立てあふち咲きにけり
小泉三枝
春燈
200908
沖を見る妻のおくれ毛花あふち
片山博介
春燈
200908
栴檀の花散りやすく暮れなづむ
吉沢陽子
200908
栴檀の花降り来たる畑境
大山妙子
酸漿
200908
めぐり来る忌日心得楝咲く
白神知恵子
春燈
200909
花楝空家の小庭覆はむと
乗光雅子
雨月
200909
楝咲き父の忌淡くなりにけり
西村操
雨月
201001
むらさきの漣空に花樗
小澤菜美
201007
花あふち出雲は神の鈴生りに
徳田千鶴子
馬醉木
201007
雨よけて樗の花の真下かな
竹内悦子
201009
熊楠の熊野はやさし花樗
冨松寛子
201009
栴檀の月下の花や人悼む
小山紫乃布
末黒野
201009
花こぼれ栴檀林と申しけり
中村恭子
201009
名島門くぐればけぶる花樗
矢野百合子
201009
栴檀は曖昧な花日本語も
鳳蛮華
201009
手の届く高さにありぬ花樗
浅野恵美子
酸奬
201009
停車場があればたばこ屋花楝
柴田志津子
201010
栴檀の花散る空を仰ぎけり
森岡恵子
万象
201010
花楝社務所被ひて四方に香を
杉山はつ江
京鹿子
201010
栴檀の花散る先の風見鶏
山田美恵子
火星
201010
示現流遣ひ手とあり花樗
瀬島洒望
やぶれ傘
201011
花樗こぼるる樹下の子規の句碑
尾崎みつ子
雨月
201101
降り足らぬ空の気配や花楝
大橋伊佐子
末黒野
201104
切支丹に隠れ離れや花樗 能村研三 201107
水かけて浮き出す碑文花あふち 岩永充三 201107
水郷の風に樗の咲く頃よ 横井博行 万象 201108
栴檀の花や江口の渡し跡 中島陽華 201108
淡々とお堀に枝垂れ花楝 近藤豊子 雨月 201108
一すぢの雲薄れゆく花樗 矢野百合子 201109
逢ふための母校の坂よ花樗 山崎靖子 201109
花樗散るやハモニカもう聴けず 山崎靖子 201109
万葉歌碑湖に突出し花樗 原口頌子 ろんど 201009
との曇る空に溶けゆく花樗 城戸緑 末黒野 201109
風捉ふ樗の花のうす明り 宮平静子 雨月 201109
峡深き雨の烟らす花楝 井上浩一郎 ホトトギス 201110
花樗ひそやかに咲き散りゆけり 加藤みき 201110
栴檀の花に栴檀のみの風 大坪景章 万象 201110
久しき人待つ栴檀の花のもと 大坪景章 万象 201110
むらさきの山の風湧く花樗 井上浩一郎 ホトトギス 201111
花樗潮岬の分かれ道 長谷川鮎 ぐろっけ 201205
湖静か対岸仄と花あふち 山本孝夫 201208
夫と来て金剛峯寺の花樗 谷村幸子 201208
花樗裏参道の谷の音 庄司久美子 201208
晩年を樗の花のとりこたり 窪田佳津子 雨月 201208
栴檀の花や曖昧模糊として 鳳蛮華 201209
月光をこぼさぬやうに花楝 中村洋子 風土 201209
双眼鏡楝の花を受け止むる 片岡良子 雨月 201209
湖は波たたみて夕の花樗 コ田千鶴子 馬醉木 201306
花あふちあはあはと眼を病めりけり 安住敦 春燈 201306
花楝安徳宮の屋根覆ふ 松村晋 ぐろっけ 201310
花樗咲いてやさしき幹となる 今橋眞理子 ホトトギス 201311
いつしかに樗の花の終りたる 中杉隆世 ホトトギス 201311
渓空の濡れいろに咲く花楝 今井妙子 雨月 201408
栴檀の花の大木湖の風 中川すみ子 201408
花樗曇りとあらばさもあらむ 池端英子 ろんど 201408
花樗四囲の植田に風配る 生田恵美子 風土 201408
寄り道を重ぬる古道花樗 岡井マスミ 末黒野 201409
偲ぶ人多き丹波や花樗 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
花楝時々ぽつと雨の来て 青谷小枝 やぶれ傘 201507
友の句集手離すも定め花樗 諸戸せつ子 春燈 201508
敦忌や師系大事と樗咲く 鈴木鳳来 春燈 201509
敦忌や香の天降りくる花楝 柴崎甲武信 春燈 201510
この道はあの日あのとき花楝 陽山道子 船団 201512
匂やかに咲きて楝の花となる 稲畑汀子 ホトトギス 201605
まぼろしのやうに雲過ぎ花樗 石本百合子 馬醉木 201607
花樗並木烟らう自づから 赤堀洋子 万象 201608
栴檀の花昏れ残し坂の家 山口ひろよ 201609
夕暮は雲に紛るる花樗 長谷川祥子 馬醉木 201609
来し方のけむれるごとし花樗 高瀬史 馬醉木 201609
花樗小泉八雲略年譜 間島あきら 風土 201609
紙芝居の声洩れくるや花あふち 松原三枝子 万象 201609
大納屋の屋根をしのぎて花樗 森清堯 末黒野 201609
うすら日の空に重なり花あふち 笹村政子 六花 201609
奥山の湖の色とも花あふち 石黒興平 末黒野 201610
潮入の橋のかかりに花樗 廣畑育子 六花 201707
唐国に知る栴檀の花淡し 岡真紗子 201708
花楝の散り敷く雨の寺領かな 加藤静江 末黒野 201708
花樗空の青さをそこなはず 浅田光代 風土 201708
花あふち喪服の影の過ぎにけり 宮崎洋 春燈 201708
樗咲くつつしみの色溢れさせ 熊川暁子 201709
御輿庫ひつそりと散る花あふち 山下良江 万象 201709
舟屋敷の口にはためく花樗 間島あきら 風土 201709
朝刊に亡き師の句あり花樗 田原陽一 201709
頬撫づるほどの風あり花樗 宮原悦子 雨月 201709
閼伽桶の五段に積まれ花楝 渡邉孝彦 やぶれ傘 201807
樗咲く神話の海を引き寄せて 岩木 茂 風土 201808
楝の花 →2      

 

2021年7月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。