遅 桜      147句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
どの家も常口長し遅桜 小倉恵都子 風土 199807
残花とも遅桜とも吉野山 稲畑汀子 ホトトギス 199904
黒牛に日のたつぷりと遅桜 大和田鏡子 俳句通信 199906
石垣は時を閉ち込め遅ざくら 林翔 199907
次の温泉へ簷下伝ひや遅ざくら 白澤よし子 馬醉木 199907
遅ざくら清水を神と敬へる 杉山瑞恵 雨月 199909
山国のゆくてゆくてに遅ざくら 井上比呂夫 199909
遅桜一つ飛び地の札所寺 能村登四郎 芒種 199911
遅ざくら生地谷中の名を今も 能村登四郎 芒種 199911
おとろへし人に合はす歩遅桜 田中藤穂 水瓶座 200002
ここに遇ふ大江の里の遅桜 伊田和風 円虹 200008
川蛇行山道蛇行遅桜 大久保白村 ホトトギス 200101
木の間よりぬっと妙高山(みょうこう)遅桜 田中藤穂 あを 200105
裏山に風鳴るばかり遅桜 成重佐伊子 俳句通信 200106
遅桜渡り坑夫の墓の辺に 杉阪大和 春耕 200107
奥琵琶の深き入江の遅桜 池田草曷 雨月 200107
妙義嶺の懐にゐて遅桜 横田晶子 風土 200107
産土のテニスコートと遅桜 安原楢子 200107
遅桜棚田の畦の石積に 安藤孝助 200107
遅ざくら追ひまとひくる鹿の鼻 能村登四郎 羽化 200110
太棹の一声に散る遅ざくら 山陰石楠 200110
この宮の納経見たし遅ざくら 能村登四郎 羽化 200110
持ちし杖使はず提げて遅ざくら 能村登四郎 羽化 200110
むこう向き咲く駅前の遅桜 五十嵐研三 海程 200110
遅桜足裏つめたき寺畳 登坂章一 春耕 200204
山深く登る吉野の遅桜 齋藤幸子 酸漿 200204
中天の日輪白し遅桜 大石喜美子 雨月 200207
村を沈めしダム湖へ傾ぎ遅桜 阪上多恵子 雨月 200208
鶏追ふにいまも手を打つ遅桜 岡本眸 200304
遅桜色よき返事待ちにけり 吉田政江 200306
遅桜風のまにまに散り初めし 渡海美代子 築港 200306
遅桜褪せたり補聴器の合はず 井手由紀江 築港 200307
奪衣婆を見し目にまぶし遅桜 高橋邦夫 風土 200307
納経の般若心経遅桜 斉藤小夜 風土 200307
軍服の遺影の眩し遅ざくら 有田蟻太 200308
山国の山高ければ遅桜 慈幸杉雨 200308
遅ざくら孟母三遷終りけり 藤田かもめ ぐろっけ 200407
終演の見せ場を見する遅桜 鎌田つた枝 築港 200407
古き世のほとけに寧楽の遅桜 西村しげ子 雨月 200407
九十九折女人高野の遅桜 国包澄子 築港 200407
遅ざくら咲き東都より友来る 岡淑子 雨月 200408
日溜りを日の均らしをる遅桜 岡本眸 200412
落花また急ぐことなく遅桜 鷹羽狩行 200505
遅ざくら車窓しばらく墓地の景 岡本眸 200506
唐三彩の楊貴妃像に遅桜 梅原美子 200507
みかん山の向ひの山の遅桜 西畑敦子 火星 200507
吊皮の日々こそ旅路遅桜 長井順子 200508
人気なき門跡尼寺の遅ざくら 持田e子 風土 200508
遅桜四五戸の里の生活かな 守屋井蛙 酸漿 200511
誘はれて遅桜見る旅日和 守屋井蛙 酸漿 200511
伊賀越の山路彩る遅桜 稲畑汀子 ホトトギス 200604
遅桜名残の雨をいざなへる 稲畑汀子 ホトトギス 200605
遅ざくら傾ぐ羅漢の眠り癖 宇都宮滴水 京鹿子 200605
遅桜ロマンの香る夢二館 森山のりこ あを 200606
切岸に動く氈鹿遅桜 森理和 あを 200606
杉並木抜け来て仰ぐ遅桜 森山のりこ あを 200606
何もかも峠越え来ぬ遅桜 佐藤よしい 風土 200606
はんざきの向き変はりゐし遅ざくら 城孝子 火星 200607
白壁の城趾静もる遅桜 片野美代子 酸漿 200607
遅桜音なく僧とすれ違ひ 木内憲子 200608
二荒登山口閉ざしあり遅桜 金居欽一 万象 200608
遅ざくら小鳥のゐない小鳥小屋 大坪景章 万象 200610
嵐電に乗つて御室の遅桜 岩下芳子 200706
船頭の唄と橋ぬけ遅桜 布川直幸 200707
心配事少し抱えて遅桜 櫻木道代 ぐろっけ 200708
奥坊へいつぷく石や遅桜 和田照海 京鹿子 200708
遅ざくら暗示解かれてヒトと成る 宇都宮滴水 京鹿子 200803
男にもつめたき手あり遅桜 白数康弘 火星 200804
ゐないやうでゐるニホンリス遅桜 堀内一郎 あを 200804
遅桜咲かせ平家の隠れ里 木暮剛平 万象 200807
玲瓏と田水たゆたふ遅ざくら 石田厚子 馬醉木 200807
遅桜塩田王の武左衛門 和田照海 京鹿子 200808
八ヶ岳ポツンポツンと遅桜 東亜未 あを 200808
北に置く父系の山河遅桜 高村令子 風土 200811
高層に回収車の声遅桜 赤座典子 あを 200906
遅桜古びし父の蔵書印 藤兼静子 200907
乗りつぎし車窓を過ぐる遅桜 秋葉貞子 やぶれ傘 200907
武家の裔屋敷を守り遅桜 東野鈴子 雨月 200907
高遠は車のラッシュ遅桜 増田一代 200907
遅桜ケイタイ電話よりサンバ 吉村はづき 炎環 200907
ちはやふる神の社の遅桜 林いづみ 風土 200908
葉ざくらに来て一本の遅桜 岩木眞澄 ぐろっけ 200908
養老の山峡和む遅桜 近藤豊子 雨月 200909
歩くこと拒むわが足遅桜 上崎暮潮 ホトトギス 200910
高台の島の学校遅ざくら 小林共代 風土 200911
遅桜水分(みわ)かれをけふ越えにけり 山田六甲 六花 201005
抜け道の思ひもかけぬ遅桜 木村茂登子 あを 201006
遅桜古稀間近なる男来て 飯田ひでを 201007
との曇る大原の里遅桜 小林久子 201007
綿飴屋灯を点しけり遅桜 瀬島洒望 やぶれ傘 201007
子規館を訪うて札所へ遅桜 坂根宏子 201007
散る気配絶えて見せざり遅桜 東芳子 酸漿 201007
遅桜後期高齢者と仕切られて 飯田ひでを 201007
ひと山の青空隠す遅桜 丸井冬星 201007
安達太良の山懐や遅桜 田中章子 酸漿 201007
本殿の屋根に散るあり遅桜 青木民子 酸漿 201107
武蔵野に日の回り来て遅桜 竹久みなみ 風土 201107
塔までの坂ゆるやかに遅桜 松岡水学 ぐろっけ 201107
キャリーバッグ立てて湖岸の遅桜 中川すみ子 201107
宇治川の流れゆたかや遅桜 花岡豊香 酸漿 201107
遅桜少年兵の墓抱く 柳澤宗正 万象 201108
城門をくぐる校舎の遅桜 古井公代 ぐろっけ 201108
一本は退屈さうな遅桜 小林正史 201205
遅桜水面を覆ふ散り模様 菊地崇之 かさね 201207
遅桜義経塚に暮れ残る 齋藤晴夫 春燈 201207
顔見せて足るる旅なり遅桜 高橋明 末黒野 201207
母の手のつめたかりけり遅桜 大山文子 火星 201207
島へ来てまづ朱鷺の町遅桜 坂上香菜 201207
みづうみの辛き弁当遅ざくら 大山文子 火星 201207
遅桜生かされてきょう句碑洗う 鎌田悟朗 ろんど 201208
比叡山堂棟伽藍遅桜 蓮尾みどり ぐろっけ 201208
波の穂の立ちあがる崖遅桜 清海信子 末黒野 201208
丈六を拝む里山遅桜 酒井秀郎 返り花 201211
遅桜白き僧衣と野良着干す 瀧春一 花石榴 201312
山奥の茶どころの遅桜かな 飛高隆夫 万象 201407
遅桜うしろの道は海に向き 諸戸せつ子 春燈 201407
引揚げの平桟橋遅ざくら 坂根宏子 201407
頂の雲のさわぎや遅桜 齋藤晴夫 春燈 201408
遅桜太平山に猪の道 須賀敏子 あを 201506
行合のさざなみ明り遅桜 後藤眞由美 春燈 201507
大いなる円を芝生に遅桜 大坪景章 万象 201507
遅桜昼の鶏鳴短かり 山本右近 万象 201607
遅桜しだるる庭に芝刈機 大島英昭 やぶれ傘 201607
光りつつ船遠ざかる遅桜 深川淑枝 201607
道庁の遅桜散る池に散る 大森三保子 馬醉木 201608
遅ざくら牛歩の如く雲流す 鈴鹿仁 京鹿子 201705
遅桜見つけてよりの回り道 村上悦子 雨月 201707
潮入りの堀満ちて来ぬ遅桜 渡辺絹代 末黒野 201708
十段の棚田に散るや遅桜 渡たみ 馬醉木 201906
遅桜子供はみんな学校へ 千田百里 201906
峠路の法師の宿や遅桜 鈴木静恵 春燈 201907
窓明り洩るる校舎や遅桜 和田啓 末黒野 201908
黄ばむ和紙書を始めんと遅桜 大山夏子 201909
鎮守社へ賽銭少し遅桜 上月智子 末黒野 202008
漆黒に手を振るメイド遅桜 篠田大佳 あを 202104
ほどほどの風をまとへり遅桜 西川保子 春燈 202107
今年また寺に見にゆく遅桜 小池一司 やぶれ傘 202108

 

2022年4月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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