鴛 鴦   145句

鴛鴦ねむる氷のうえの日向かな   長谷川素逝   ホトトギス

作品
作者
掲載誌
掲載年月
風の日はみな山影へ鴛鴦寄れる 片田千鶴 馬醉木 199901
鴛鴦着けどまだ遥かなる寒狭山 松崎鉄之介 199903
鴛鴦に背中合せの温くもりが 岡本師走 京鹿子 199905
朝靄の帳より鴛鴦すべり出づ 岡本まち子 馬醉木 200002
山の水鴛鴦に満々たる禽舎 渡邊牢晴 雨月 200002
風の音遠のき鴛鴦の水鏡 出原博明 円虹 200002
鴛鴦の来て華やぐ池となりにけり 石山恵子 遠嶺 200002
家康の花押の如き鴛鴦の羽根 脇本千鶴子 200002
隠沼の洩れ日静かに番鴛鴦 安陪青人 雨月 200003
のど飴はくわりんなりけり鴛鴦の池 中島陽華 200004
鴛鴦や咽喉ひりつくキムチ麺 中島陽華 200004
鴛鴦の巴に水を乱しをる 小山森生 200004
浮寝より覚め鴛鴦の深潜り 浅井千代子 200005
寄る禽を許して鴛鴦の水たひら 浅井千代子 200005
鴛鴦のねむりの中に入らむか 柳沢杏 酸漿 200101
群はなれ鴛鴦羽繕ふ夕日影 赤池貴のえ 春耕 200103
岩棚に左右並べり鴛鴦の沓 松崎鉄之介 200104
池の鴛鴦奇数なること怪しめり 品川鈴子 船出 200104
鴛鴦百羽着きしと崇仁陵の衛士 内山芳子 雨月 200105
淀みには鴛鴦流れにはその他 稲畑廣太郎 ホトトギス 200112
鴛鴦の水輪ひろげて御慶かな 鷹羽狩行 200202
をしどりの繍のほつれて啄める 矢島久栄 200203
五十年前と同じや鴛鴦の池 嶋田摩耶子 ホトトギス 200204
水のきららに何れ鴛鴦かや鴨なるかや 大橋敦子 雨月 200205
鴛鴦の五感するどく人避くる 大橋敦子 雨月 200205
鴛鴦のゆると寄り添ふ禁猟区 菅谷弘子 雨月 200206
古希越えし兄弟五人鴛鴦涼し 小宮山勇 遠嶺 200211
鴛鴦の二本の水尾の広がりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200212
鴛鴦が来て水の彩山の彩 矢崎すみ子 200302
鴛鴦をぐいと引き寄せズームイン 泉田泉一 200303
鴛鴦のつがひ放てり逆さ富士 太田昌子 馬醉木 200304
鴛鴦の錦のゆれし水鏡 斉藤静枝 あを 200401
月光を纏ひて鴛鴦の深ねむり 鈴掛穂 200402
鴛鴦の睦みをうかと驚かし 遠藤とく 200402
藍深く潜む主の目鴛鴦の沓 禰寝瓶史 京鹿子 200402
落ち口に鴛鴦の子の集きをり 岡田万壽美 雲の峰 200402
鴛鴦の散らす川面の夕明り 岡田万壽美 雲の峰 200402
鴛鴦守る人の笑顔に手を振りぬ 岡田万壽美 雲の峰 200402
暮れかかる餌場や鴛鴦のひしめきて 木村てる代 雲の峰 200402
鴛鴦の群れを立たせて列車過ぐ 木村てる代 雲の峰 200402
鴛鴦の嘴メッキ剥がれてきたやうな 吉田明子 200404
平城趾鴛鴦留鳥となり護らん 奥村鷹尾 京鹿子 200405
ぽつねんと鴛鴦見る鷺の片脚立ち 品川鈴子 六香 200501
花嫁の笑ふ角には鴛鴦来たる 平間裕子 対岸 200502
鴛鴦は雲に流るる木靴となり 中村恭子 200503
四万十川の旅の鴛鴦恋ひ人を恋ふ 園多佳女 雨月 200504
金閣の影をみださず鴛鴦すすむ 川勝春 馬醉木 200504
をしどりの色競ひをる沼明かり 石堂絹子 河鹿 200504
眠る鴛鴦嘴埋めまるくまるくなり 宮津昭彦 200505
陰干しのやうに目つむる鴛鴦の沓 吉田明子 200602
岸の樹に憩ふ鴛鴦優雅なる 沢聰 馬醉木 200602
おしどりの寄り合うている雌同士 津田霧笛 ぐろっけ 200602
羽繕ひ添ふ鴛鴦の思ひ羽 増田八重 酸漿 200603
鴛鴦に話弾めり二人膳 高木千鶴子 酸漿 200603
鴛鴦にゆるやかな刻とどまれり 中島静子 酸漿 200603
鴛鴦の目のすばやく動きゐたりけり 加藤みき 200603
無造作に神の創れり鴛鴦の雄 木戸渥子 京鹿子 200603
鴛鴦の番や水脈を重ねゆく 細井才司 200605
一対にしてちぐはぐな鴛鴦の沓 池谷市江 200605
水鳥の二羽相寄るは鴛鴦ならむ 鈴木榮子 春燈 200702
際やかな岳影の中鴛鴦眠る 手島靖一 馬醉木 200703
後先を譲る鴛鴦池暮るる 石川龍士 春燈 200703
三脚を構へ気長に鴛鴦を待つ 山本漾子 雨月 200703
鴨の池鴛鴦いろどりを一人占む 菊地惠子 酸漿 200703
鴛鴦のめをとの枕屏風かな 滝沢伊代次 万象句集 200703
鴛鴦描くに双眼鏡を離さざり 小堀眞由美 200704
隠沼の碧と遊びて鴛鴦数羽 大泉美千代 雨月 200704
青淵に思羽交し鴛鴦遊ぶ 手島伸子 雨月 200705
並び曳く水尾美しや鴛鴦の沓 川畑はるか 遠嶺 200705
藍甕はもう寝た頃か鴛鴦の水脈 梶浦玲良子 六花 200705
をしどりや娑婆気抜けたる顔を出し 井潟ミヨ 京鹿子 200706
鴛鴦の各々羽を繕へる 山田六甲 六花 200711
鴛鴦の頸をすくめて相寄れる 山田六甲 六花 200711
鴛鴦の二羽の水輪の中を出ず 鷹羽狩行 200712
鴛鴦や例へば胸乳まで濡らし 大島翠木 200802
放念や身じろぐ鴛鴦の影流れ 渡辺昭 200802
鴛鴦のまどろむ時も栗羽立て 矢島久栄 200803
鴛鴦の沓二組置きて神の池 西宮舞 200804
鴛鴦の水輪を首に掛け進む 桑島啓司 200804
撥揃ふ津軽三味線番鴛鴦 島元文 遠嶺 200804
傷口の繃帯取れり水の鴛鴦 中島陽華 200901
鴛鴦の妻三従の水掻きにけり 成瀬櫻桃子 春燈 200901
鴛鴦に水を譲らず鳰 山田六甲 六花 200901
鴛鴦の尾を振り止まず薄氷 山田六甲 六花 200902
一水に鴛鴦の詩を散らしたる 竹下陶子 ホトトギス 200903
つややかに山湖彩る鴛鴦の影 松林順子 雨月 200903
鴛鴦は顔見合せてまた潜る 松木清川 ぐろっけ 200904
一対は何にもまさる鴛鴦二つ 工藤節朗 200904
鴛鴦の胸すすみくる山の晴 中野あぐり 春燈 200905
流されて鴛鴦の行き着く泊まり岩 渡邊孝彦 やぶれ傘 200905
鴛鴦の水面に色を流しゆく 和田郁江 201002
鴛鴦の帝と拝す時雨中 本城布沙女 雨月 201003
鴛鴦の番の仕種飽かずみて 山本漾子 雨月 201003
やがてして賢く見ゆる鴛鴦の妻 江木紀子 雨月 201003
谷戸奥の池深閑と番ひ鴛鴦 小川玉泉 末黒野 201003
鴛鴦の顔の混み合ひゐたりけり 田中春生 201006
鴛鴦や滑り出てまた後戻り 田中春生 201006
琴の糸紡ぐ里なり鴛鴦涼し 中島昌子 201009
鴛鴦涼し反り橋の影さざ波す 鈴木直枝 ろんど 201009
引き寄せて双眼鏡の離れ鴛鴦 小林呼溪 201011
鴛鴦飛来弥山映せる山上湖 宮原悦子 雨月 201102
鴛鴦の水脈曳き風のなき山湖 宮原悦子 雨月 201102
百済仏見そなはしませ鴛鴦遊ぶ 宮原悦子 雨月 201102
山川の岩の上鴛鴦の沓並ぶ 宮原悦子 雨月 201102
鉄橋のたもとに鴛鴦の観察所 宮原悦子 雨月 201102
番鴛鴦望遠鏡に諍へる 金子清孝 ぐろっけ 201102
睦じき鴛鴦に隠しやあばれ川 川村欽子 雨月 201103
人怖ぢぬ鴛鴦に舟端ざわめける 川村欽子 雨月 201103
風花や鴛鴦の影なき今日の濠 石垣幸子 雨月 201104
鴛鴦の汀に集ふ朝日影 中川悦子 酸漿 201105
もう一度振り向いてみる離れ鴛鴦 高野春子 京鹿子 201205
水くぐる鴛鴦底冷えの音生まれ 中山純子 万象 201205
日向へと動きし鴛鴦の比翼なる 金田けいし ろんど 201206
鴛鴦の一羽に暮れてゆく水面 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
朱色濃き鴛鴦浮かぶあで姿 小林久子 201302
浜町は昔みづうみ鴛鴦来 竹内悦子 201302
心中は美しき世話物浮寝鴛鴦 石川笙児 201302
鴛鴦降りて深山の池の華となり 横山昭子 雨月 201302
鴛鴦の潜きては寄る番かな 辻井ミナミ 末黒野 201303
鴛鴦や実は相手をよく変へて 横内かよこ ぐろっけ 201303
鴛鴦の池時が静かに流れをり 中野京子 201305
鴛鴦ねむるなべて希ひはとげしごと 丸山佳子 京鹿子 201402
冬ざれの風吹きとほし鴛鴦ねむる 丸山佳子 京鹿子 201402
肩上げの子に鴛鴦の寄りきたる 蘭定かず子 火星 201403
お濠端つがひの鴛鴦の眠りをり 齋藤眉山 末黒野 201502
三脚の定点鴛鴦を待つ湖畔 藤原照子 201603
鴛鴦の二組のこる日暮かな 森俊人 201608
鴛鴦の最後に残るのはどちら 高橋将夫 201702
鴛鴦の代はる代はるに見せる尻 江島照美 201703
鴛鴦のぼけとつつこみめく番 石田きよし 201703
鴛鴦の寂しき時を思ひけり 谷口一献 六花 201803
歳晩の影をつくらず鴛鴦の池 鈴鹿呂仁 京鹿子 201902
美しき色吹き零す鴛鴦の池 水谷保子 雨月 201903
神の池恋の鴛鴦十羽ほど 村上美智子 雨月 201905
鴛鴦の水尾が二筋日の暮るる 増成栗人 202002
鴛鴦やまさに醜女の深なさけ 加藤みき 202002
川辺りを鴛鴦の番の離れざる 荒井一代 202007
鴛鴦の七色弾けたる水面 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
鴛鴦や愛で包みし砂糖菓子 平野多聞 202103
築山の松さつぱりと鴛鴦の池 森清信子 末黒野 202104
なにくれとなく世話をやく夏の鴛鴦 高橋将夫 202108
鴛鴦の夏二つの水尾の憚らず 鈴鹿呂仁 京鹿子 202206

2022年11月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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