野 蒜    111句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
野蒜食う昔のままや夫婦だけ 松沢久子 いろり 199906
そよぎゐる野蒜を摘めば手にそよぐ 丸山海道 海道全句集 199910
野蒜摘み野性の匂ひ濃かりけり 渡邊松美 雨月 200001
野蒜摘む土筆があれば土筆摘み 大橋敦子 雨月 200005
穴ありてまた穴ありて野蒜引く 各務耐子 200005
母に似し齢となりぬ野蒜摘む 山本潤子 いろり 200006
湖をひと巡りして野蒜摘む 伯井茂 春耕 200006
野蒜摘み酒好きの人視野にして 芝宮須磨子 あを 200106
地深くシャベル突き刺し野蒜掘る 杉山晴美 200107
絹雲の水色ぼかし野蒜摘む 谷口みちる 200205
野蒜引き鷲掴みの手匂ひけり 木村コウ 酸漿 200206
木喰仏拝す野蒜を縁におき 堀田恵美子 雨月 200206
ひもじさを思ひ出しけり野蒜摘 小浦遊月 酸漿 200207
一瞥もされず揺れゐる花野蒜 堀田恵美子 雨月 200208
高きより野蒜の花が田をのぞく 阿部ひろし 酸漿 200208
野蒜掘り山のたつきを呼び戻す 大浦ヤ 帆船 200209
すぐ抜けて音符のごとき野蒜かな 藤井淑子 百鳥 200302
耳たぶの大きな人と野蒜つむ 吉田康子 青山椒 200303
利根川の鉄橋越ゆる野蒜かな 竹内弘子 あを 200303
ランドセル野蒜の匂ひついてゐし 小田道知 円虹 200306
摘みためし野蒜に岨の春さだか 有働亨 馬醉木 200306
手力に応へし野蒜根の真白 仙石君子 雨月 200306
あれば掘りし野蒜に山の夜をすごす 市場基巳 200307
野蒜摘引きそこねては足場変へ 芝宮須磨子 あを 200307
馬跳びの父子遠見に野蒜摘む 秋田庫 200310
カ女の太き右腕野蒜ひく 佐藤喜孝 あを 200403
野蒜萌え童は犬と戯れり 松本硯友 帆船 200405
忌籠りのふるさとの野や野蒜抜く 淵脇護 河鹿 200405
野蒜掘る酒の肴のつもりとて 勝亦年男 200407
残りたる嶺の夕日や野蒜引く 津田礼乃 遠嶺 200408
腹のへる都会ぐらしや野蒜つむ 岡ハツ子 帆船 200408
野蒜摘むつめたき遊びしたりけり 山尾玉藻 火星 200503
川の面の光の渦や野蒜摘む 清原彰子 河鹿 200506
芹野蒜食べて強気となりにけり 門脇なづな 対岸 200506
頬に風友と競ひて野蒜掘る 篠藤江 帆船 200506
鈴の緒を掴む野蒜を摘みし手に 岸本久栄 雨月 200507
花野蒜線香花火を見る思ひ 鈴木竹 200509
野蒜摘み鈴振るやうに土落とす 田所節子 涼しき嵩」 200511
酒断つて夕ぐれ匂ふ野蒜和へ 淵脇護 河鹿 200605
畑終へて抜きし野蒜のひと握り 田畑時男 河鹿 200606
近場への夫との散歩野蒜摘む 三村武子 酸漿 200606
町家出ておおびる野蒜里ぐらし 高畠陽子 河鹿 200606
野蒜掘る昭和の御代を過ごし来て 徳田正樹 河鹿 200607
野蒜抜くその一瞬の地のちから 淵脇護 河鹿 200607
野蒜摘みをれば夫も横に来て 飛鳥由紀 200607
野蒜採る素足を草のくすぐれり 長田秋男 酸漿 200607
沼波の朝より密に野蒜摘 糸井芳子 200608
遺跡掘る漢野蒜を掘りくれし 萩谷幸子 雨月 200701
利き腕の鈍くなりたる野蒜摘む 竹内弘子 あを 200705
ちよつぴりといふさみしさや野蒜噛む 平子公一 馬醉木 200705
道問ひて野蒜を掘るに加はれり 杉山たかを 200707
辛味好き嫌いな夫婦野蒜摘む 真木早苗 八千草 200710
下野の友より届く野蒜かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 200806
あたたかき土こぼしつつ野蒜ぬく 森山のりこ あをかき 200806
野蒜引く茎の太きを選びては 岡田章子 ぐろっけ 200808
猿山といはれ野蒜の採り放題 きくちきみえ やぶれ傘 200906
ぐい呑みは無地の益子や野蒜和へ 廣瀬雅男 やぶれ傘 200907
石段を下りて野蒜を洗ひをり 山田六甲 六花 201005
その中に野蒜の見ゆる蓬籠 根橋宏次 やぶれ傘 201007
ひと休みのつもりが野蒜摘みはじむ 大山良子 201007
野蒜掘る径の小暗し山武杉 田中臥石 末黒野 201008
少年を夢中にしたる野蒜掘 冨松寛子 201009
傷深き野蒜を惜しみつつ洗ふ 山田六甲 六花 201104
背負ひたるリユックを揺すり野蒜掘る だいじみどり 201105
野蒜摘む匂ひ染めたる指の先 菊池善江 末黒野句集 201203
そつけなく野蒜摘みたる指かな 山尾玉藻 火星 201203
縄文のスパイス利かそ野蒜和 安藤しおん 201205
餓ゑし日の遥かなりしよ野蒜摘む 高野春子 京鹿子 201206
野蒜洗へば白き玉ひかりけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201207
股下を風の吹きゆく野蒜摘み 大崎紀夫 やぶれ傘 201210
夕風や野蒜の花の咲くところ 白石正躬 やぶれ傘 201211
喰道楽けふは野蒜を掘りに出る 佐藤山人 201306
息災の範疇にをり野蒜摘む 田村園子 201306
哀れさや乞食(ほいと)葱とも言ふ野蒜 瀧春一 花石榴 201312
昔話ばかりしてゐて野蒜つむ 瀧春一 花石榴 201312
野蒜摘む青きところを鷲づかみ きくちきみえ やぶれ傘 201405
山水の流れにすすぐ野蒜かな 浜福惠 風土 201406
病む人へ思ひ出の野の野蒜摘む 山口弘子 201406
谷戸の道右に左に野蒜摘む 堺昌子 末黒野 201408
古き世のままの畦割り野蒜萌ゆ 吉武千束 太古のこゑ 201411
気負ひなき里の暮らしや野蒜つむ 吉永すみれ 風土 201505
抜きん出て野蒜の花は風を恋ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
東京の西の外れや野蒜摘む 豊谷ゆき江 春燈 201507
野蒜摘むや青磁小鉢に白映ゆる 長谷仁子 春燈 201508
野蒜摘みおもへば小さき罪なりし 岡野ひろ子 201604
両膝の抜けしジーンズ野蒜掘る 内海良太 万象 201606
畝作る鍬にてしばし野蒜掘る 南うみを 風土 201607
城垣にお尻預て野蒜掘る 山田六甲 六花 201803
ボンネットバス野蒜の香運び行く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
足音に抜かるるつもり野蒜の芽 大島英昭 やぶれ傘 201805
あれこれの食べ方談議野蒜掘る 永田万年青 六花 201806
野蒜摘みいつしか一人きりになり 平居澪子 六花 201806
石段の隙の野蒜の細きかな 廣畑育子 六花 201806
野蒜摘む背に聞こえたる鶏の声 廣畑育子 六花 201806
洗ひつつもつれをほぐす野蒜かな 永田万年青 六花 201806
野蒜掘る力の加減ほどほどに 升田ヤス子 六花 201806
首塚を遠見に野蒜掘りにけり 升田ヤス子 六花 201806
洗ひ場に野蒜屑あり飛鳥川 升田ヤス子 六花 201806
一鍬にひと塊りの野蒜かな 藤生不二男 六花 201806
野蒜掘る土に千切れし匂ひあり 笹村政子 六花 201806
しなだけてやがては縮む野蒜かな 赤松赤彦 六花 201807
沢風や誰も無口に野蒜摘む 持田信子 春燈 201807
一握の野蒜を引きぬ啄木忌 岡野里子 末黒野 201808
競技場の若人の声野蒜摘む 堺昌子 末黒野 201908
野蒜摘む少女のまろきふくらはぎ 岩永みはる 追伸 202003
野蒜摘む地縁の薄くなるばかり 森岡正作 202006
夕映えの野蒜抱くや千切れ雲 根來隆元 202006
つつましく生きながらへて野蒜摘む 亀田虎童子 202105
かきわけて散らす野の香や野蒜掘り 六車佳奈 風土 202206
帰らざる父母なき故郷野蒜摘む 頓所友枝 202207
野蒜抜く真珠の光現れて 田尻りさ 六花 202207

 

2023年3月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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