年 酒    174句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
このゆびとつきあひ長し年酒酌む 小堀寛 京鹿子 199901
年酒酌む今年は客の多かりき 稲畑廣太郎 ホトトギス 199906
年酒の座つくづく膝のうすきかな 能村登四郎 芒種 199911
そもそものもとはといへば年の酒 小林呼溪 200001
年酒酌みつつ竣工の日を思ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200001
椿子と半世紀経し年酒かな 千原叡子 円虹 200001
計画はふくらむばかり年酒酌む 稲畑汀子 ホトトギス 200001
年酒に顔を赭らめ雪を掻く 村瀬初実 春耕 200003
船揺れるたびにこぼれて年の酒 岬雪夫 200004
酌まれたる年酒煙の中にかな 三井孝子 六花 200005
年酒酌む先師の鶴の軸かかげ 安陪青人 雨月 200005
今日のため取って置きたる年酒かな 福田みさを いろり 200102
杯台といふもの置きて年酒かな 能村研三 200102
年酒のなめられる日のありしかな 久森知子 船団 200105
族らの中に年酒を過しけり 能村登四郎 羽化 200110
天草の高浜焼で年酒酌む 松崎鉄之介 200201
肥の国の赤酒とかの年酒かな 大橋敦子 雨月 200203
波音や年酒の酔のまだ醒めず 沢崎ゆきえ 春耕 200204
孕み牛の口に含ます年の酒 田中俊尾 馬醉木 200205
年酒酌む杯を透かせしロゼワイン 能村研三 200302
産土神に先づ詣で来て年酒酌む 安陪青人 雨月 200302
泣き顔で笑ふをみなや年の酒 堀内一郎 あを 200302
年酒酌む孫は宇宙へ夢託し 村上光子 馬醉木 200303
年酒酌みB鉛筆のやうな父 松田都青 京鹿子 200401
木の香たつ枡になみなみ年酒受く 野田光江 雨月 200402
文楽の人形よりの年酒かな 野田光江 雨月 200402
夫に子に戻る平穏年酒酌む 田所洋子 雨月 200403
冬瓜の出来を賞めては年酒酌む 山内須磨子 草の花 200403
年酒酌みあひ束の間の大家族 藤原照子 200403
代替りせし家ばかり年酒酌む 瀬戸石葉 200404
年酒酌む吾が人生のロスタイム 垣尾美智子 200404
まだ家長たり得ず父の年酒享く 淵脇護 河鹿 200404
仏よりお下がりもらひ年酒酌む 溝内健乃 雨月 200404
長生きの遺伝子自認年の酒 辰巳比呂史 200404
なみなみと注がるる年酒傘寿なり 加地芳女 雨月 200405
豆乳を醸して年酒八丈島 藤田京子 ぐろっけ 200405
年の酒なみだ出るとき上向いて 堀内一郎 あを 200501
小酌の年酒振舞あづかりぬ 鈴木榮子 春燈 200503
年酒汲み笑ひ上戸を偲びをり 辻井桂子 雲の峰 200503
アンティークオルゴール聴き年の酒 いしだゆか 遠嶺 200504
婿殿の事業順風年酒酌む 北尾章郎 200504
聞き役のゆつくり年酒酌みながら 神宮きよい 馬醉木 200504
身ほとりに家族のありて年酒汲む 諸戸せつ子 春燈 200511
伴侶得し子らとの年酒果もなく 大橋晄 雨月 200603
相伝の盃は加賀ぶり年酒酌む 安藤しおん 200603
ひたぶるの人生八十年酒酌む 長沢よしや 200604
年酒酌む家業を継ぐと決めし子に 横内かよこ ぐろっけ 200604
注がれて香新たの年酒かな 山田夏子 雨月 200604
大人ぶる孫も一と口年の酒 長沢よしや 200604
里山といふ届心地に年酒酌む 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
里山といふ居心地に年酒酌む 稲畑廣太郎 ホトトギス 200701
過ぎし事は過ぎし事とし年酒酌む 本藤みつ 200703
年酒酌む長子の系のつながらず 藤原照子 200703
金粉に目を細めつつ年の酒 荻原正三 200703
亥年なれば猪口にて年酒いただけり 松崎鉄之介 200703
蓮根の穴のととのひ年酒かな 池崎るり子 六花 200704
ぷよぷよの嬰の耳朶年酒酌む 岩淵彰 遠嶺 200704
二の膳に移りて年酒まはりけり 山田六甲 六花 200801
含みたる年酒に溶かす言葉かな ことり 六花 200801
咳き込みつ笑ふ一人の年酒かな ことり 六花 200801
んと声を掛けて注げる年酒かな ことり 六花 200801
年の酒カットグラスに注ぎけり 黒澤登美枝 200803
年酒とて「どんべり」といふ濁酒 赤座典子 あを 200803
飯盒の蓋にて恩賜の年酒受く 有田蟻太 200804
年酒受く五黄の寅の長子より 出口賀律子 雨月 200804
青竹の香りひろがる年酒汲む 奥田茶々 風土 200804
年酒酌む地縁血縁海の風 中田禎子 200804
年酒くみ和むや孫も盃を 松村富子 200804
盃派ワイングラス派年酒酌む 稲畑廣太郎 ホトトギス 200807
同じ世を生きて寿齢の年酒酌む 宮平静子 雨月 200901
大晦日しぼりと言へる年酒かな 大坪景章 万象 200901
炉にかざす指先染める年酒かな ことり 六花 200901
年の酒提げ大海神の命 雨村敏子 200903
年酒酌む卒寿に近くなりにけり 古田考鵬 雨月 200903
大皿にするめ昆布巻き年酒酌む 米山喜久子 200903
年の酒時折り静かなる座敷 田部井幸枝 200904
子と酌めば夫酔ひやすき年酒かな 佐藤信子 佐藤信子集 200905
焼酎をジョニシロと呼び年酒酌む 武田紀久 やぶれ傘 200905
徳利に袴はかせて年酒かな 彦根伊波穂 200912
頬杖をついて年酒を注ぎ足しぬ ことり 六花 201001
神棚のおさがりでよしわが年酒 田中貞雄 ろんど 201001
年酒の名上善如水とか 大坪景章 万象 201001
総領の意気軒昂や年の酒 大橋敦子 雨月 201002
年酒汲む一病二病ありがたく 村上絢子(大分) 馬醉木 201003
年酒酌み遠きある日の物語 町田政子 酸漿 201003
西美濃の寅と銘ある年酒酌む 加藤北天 雨月 201003
薩摩御子女とてなみなみと年の酒 斉藤裕子 あを 201003
年酒酌む金粉入りのありがたく 泉田秋硯 201004
年酒酌む濱田庄司の酒器をもて 河本利一 201004
限定てふ言葉に弱く年酒購ふ 岡谷栄子 201004
盃洗の銀の内張り年酒くむ 能村研三 201102
些かの年酒に深き酒の酔ひ 中本吉信 201103
子らと酌む年酒や妻を偲びもし 大橋晄 雨月 201103
年酒汲み父の三十三回忌 竹内悦子 201104
年酒酌む友光陰の一過客 田中臥石 末黒野 201104
山毛欅林の伏流水の年酒酌む 山本無蓋 201104
新年の酒や二人に戻りたる 山本無蓋 201104
真似事と傘寿の妻の年の酒 小川玉泉 末黒野 201104
義弟と酌む年酒半世紀に及ぶ 久保晴子 雨月 201104
子の世代年酒代りの白ワイン 辻知代子 201203
京に居て近江の年酒賜ばりたり 大橋晄 雨月 201203
年酒酌む子の消息に安堵して 堀田恵美子 雨月 201204
父と子の年酒和洋に笑まひけり 岩本紀子 201204
年酒酌む卓の要の車海老 川井秀夫 ろんど 201204
辰年の嫁を真中の年酒かな 平野千恵子 雨月 201204
回し飲む蟹の甲羅の年の酒 安部康子 万象選集 201205
藁蛇にいのち吹き込む年の酒 櫻井住江 万象選集 201205
長命の薬と信じ年酒酌む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
昼過ぎの渇きに年酒引き寄せぬ 山田六甲 六花 201301
年酒酌み李白の心近うせる 大橋晄 雨月 201303
夫よりの労ひ受けて年酒酌む 田下宮子 201303
まあまあの人生なりし年酒酌む 森下康子 201303
バッカスに囚はれぬやう年酒置く 橋本靖子 201303
年酒酌むよもつひらさか戻りきて 中島芳郎 201304
乾杯は伏見の年酒京の句座 久保田雪枝 雨月 201304
年酒やはやも親族の出羽訛 西川みほ 末黒野 201305
老人のおちよぼ口して年酒酌む 山田六甲 六花 201401
鶴の絵の浮き来る杯や年の酒 山田六甲 六花 201401
妻喜寿の吾は傘寿の年酒酌む 山本喜朗 雨月 201403
子等と酌む金粉をどる年の酒 菅野日出子 末黒野 201404
歌神の宮拝領の年の酒 久保田雪枝 雨月 201404
年酒酌む猪口に泛べた小宇宙 川井秀夫 末黒野 201404
年酒を祝儀としたり箱廻し 福島せいぎ 万象 201404
午年の姑と夫ゐて年酒かな 鈴木藤子 末黒野 201404
お年酒のまはりて嫁は泣き上戸 島谷征良 風土 201405
無口なる婿が可愛や年の酒 山田六甲 六花 201501
炉の隅の五徳に年酒あたたむる 山田六甲 六花 201501
年酒酌む帰郷の孫にうながされ 佐藤健伍 201503
年の酒酌むはらからの髪白く 伊東和子 201503
一族で金粉入りの年酒酌む 久世孝雄 やぶれ傘 201504
句座廻る七本槍の名の年酒 竹内喜代子 雨月 201604
誰に何言はれやうとも年酒酌む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
年酒の名上善如水とか 大坪景章 椿垣 201612
年酒酌み見立てし馬酔木六酒仙 水原秋櫻子 馬醉木 201701
炉をはさみ年酒をかはすことが夢 山田六甲 六花 201701
年酒酌む口中に梅ひらくごと 神蔵器 風土 201701
産土の年酒酌み交ふ三世代 西村渾 201703
未来より過去の話で年の酒 高橋将夫 201703
未知数の余生尊し年酒酌み 大石喜美子 雨月 201704
露の世は楽しく生きん年の酒 今村千年 末黒野 201704
年酒酌むいきなり灘の生一本 田中臥石 末黒野 201704
はらからの皆眉太し年酒酌む 原田しずえ 万象 201704
魚の骨の揚げ立てに湧く年の酒 田部井幸枝 201704
年酒くみ尽きぬ家系の物語 元橋孝之 京鹿子 201705
御多分の九分は言ひ訳年酒酌む 鈴鹿呂仁 京鹿子 201802
白鷹の年酒に卒寿親しめり 松本鷹根 京鹿子 201803
はらからの十人集ひ年酒酌む 玉置かよ子 雨月 201803
窯変の盃に満たさる年の酒 秋山信行 やぶれ傘 201803
子ら集ふ年酒そのまま酒盛りに 今村千年 末黒野 201804
戦の話しづかに聞いて年酒かな 栗坪和子 201804
年酒酌む喜怒哀楽の昭和かな 鈴木鳳来 春燈 201804
談笑の中の遺言年酒酌む 岡田正義 雨月 201804
一言居士一席ぶつて年の酒 向井芳子 春燈 201804
シェイクして注ぐ金箔年酒かな 谷口一献 六花 201804
年酒酌む元より灘の生一本 山田天 雨月 201901
戦なき御代や年酒に酔ひもして 安立公彦 春燈 201903
還暦の嫁と交せる年酒かな 菅野日出了 末黒野 201904
福錦とくとくとくと年酒かな 山田六甲 六花 202001
前浜のたらこは焼かず年の酒 山田六甲 六花 202001
一酌は師に献げたり年の酒 岡野里子 末黒野 202004
海猫飛ぶや「伊根満開」を年酒とす 浜福恵 風土 202004
財産は無きが気楽よ年酒酌む 中島昌子 202004
婿どのは土佐の生れよ年酒酌む 和田華凛 ホトトギス 202005
年酒酌む晴着の君に見つめられ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
幸せの色とは赤や年酒酌む 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
グラビアの海老蔵と酌む年の酒 井尻妙子 京鹿子 202105
お互ひの若さ肴に年の酒 鍋島武彦 末黒野 202105
金箔の揺れる年酒が喉通る 渡部恭子 202105
年酒手に焚火囲みて畑談義 酒井たかお 202105
年酒のフランスルロワワインかな 山田六甲 六花 202201
年酒かな八海山をなみなみと 山田六甲 六花 202201
ふるさとの銘酒届くを年酒とす 浜福恵 風土 202203
年酒くむ子のそれぞれに妻子かな 石黒興平 末黒野 202204
毒と言はれ薬と言うて年酒かな 小田嶋野笛 末黒野 202204

 

2023年1月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。