涅槃西風 2       200句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
涅槃西風まとふや父と母のこと 近藤喜子 200906
肋骨をやさしく打てり涅槃西風 冨松寛子 200906
流木の肌研ぎ澄ます涅槃西風 桑田忠男 遠嶺 200906
落剥のこて絵の竜や涅槃西風 劔持信夫 春燈 200906
廃船の木目浮き立つ涅槃西風 荒井千佐代 200906
窓開けて招じ入れけり涅槃西風 松村光典 やぶれ傘 200907
自転車でウロウロしたる涅槃西風 宇田喜美栄 200907
湾口は切子光りや涅槃西風 能村研三 201004
仲見世の店の奥まで涅槃西風 小俣剛哉 春燈 201005
船宿の旗ひるがへし涅槃西風 川口美津子 201005
歳月のへだてし母や涅槃西風 永見嘉敏 酸漿 201005
人葬るどの道も坂涅槃西風 岡田真澄 風土 201005
岩塩のうすももいろや涅槃西風 関根洋子 風土 201005
涅槃西風困りし時はいまも妣 竹内悦子 201005
涅槃西風さらさらと菜を洗ひをり 雨村敏子 201005
擂粉木で遺す薬剤涅槃西風 代田青鳥 風土 201005
涅槃西風喪の帯きつく締めにけり 鶴岡紀代 春燈 201005
流木の声なき声の涅槃西風 伊藤紀子 ろんど 201005
翻る軍手や涅槃西風強き 和田森早苗 201005
吟行に降り立つ街の涅槃西風 松木清川 ぐろっけ 201006
恩讐の洞門を吹く涅槃西風 高橋敏 201006
ふるさとの海へ向く墓涅槃西風 山口キミコ 201006
大寺の毛綱の束や涅槃西風 秋山信行 やぶれ傘 201007
たましひが白くなるまで涅槃西風 松田都青 京鹿子 201008
涅槃西風荒磯にたまる波の音 亀卦川菊枝 末黒野 201104
鶏無残魂の鎭めの涅槃西風 北尾章郎 201104
地の底の水音呼べり涅槃西風 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
あしたへの扉を開く涅槃西風 寺田すず江 201105
鶏無残せめて吹き来よ涅槃西風 北尾章郎 201105
想定の外の悪夢や涅槃西風 能村研三 201105
幾万の人柱立つ涅槃西風 篠田純子 あをかき 201105
助かりし被災者の声涅槃西風 笠井清佑 201105
涅槃西風尖塔にある心柱 辻美奈子 201105
我もまた没後の弟子や涅槃西風 溝口健也 201105
読み終へし一書の余韻涅槃西風 篠原幸子 春燈 201105
また寒くなりけり涅槃西風吹いて 藤井美晴 やぶれ傘 201105
川魚の列なしてをり涅槃西風 近藤きくえ 201106
切株に猫の爪研ぐ涅槃西風 井上淳子 火星 201106
涅槃西風ひとかたまりの兎の子 清水節子 馬醉木 201106
密に立つ女竹のさやぎ涅槃西風 生田恵美子 風土 201106
涅槃西風あまたの御魂連れ行けり 後藤眞由美 春燈 201106
涅槃西風誓子遺愛の太き筆 高木篤子 ぐろっけ 201106
法要に開く耳門や涅槃西風 田中清子 雨月 201106
日の本に生かさるるもの涅槃西風 三井公子 酸漿 201106
刻々のあらたな砂紋涅槃西風 武政礼子 雨月 201106
行く処佇む処涅槃西風 小形さとる 201106
涅槃西風絵馬殿の鍵新しき 怱那みさ子 やぶれ傘 201107
叔父逝きて涅槃西風吹く座敷縁 宮脇百百子 201107
喜多院の鶏の一声涅槃西風 竹内涼子 末黒野句集 201203
街道往き歴史ひもとく涅槃西風 川崎利子 201204
梵鐘を撫でてゆくなり涅槃西風 笠井清佑 201205
涅槃西風句碑をさへぎるものあらず 中村恭子 201205
涅槃西風波止に乾きし囮籠 田中佐知子 風土 201206
涅槃西風通り過ぎたる體かな 大島翠木 201206
我を張らずいい加減よし涅槃西風 大西よしき ろんど 201206
涅槃西風未完の詩を持ち歩く 田村すゝむ 風土 201206
みちのくの憂ひ鎮めよ涅槃西風 市川玲子 春燈 201206
遊行寺の石畳舞ふ涅槃西風 山咲和雄 末黒野 201207
老いて子に従がつて居り涅槃西風 加藤八重子 末黒野 201207
義仲寺の框越えきし涅槃西風 飯塚ゑ子 火星 201208
抱卵の鶏のまばたき涅槃西風 久保東海司 201208
涅槃西風海へ向かひて母を呼ぶ 竹貫示虹 京鹿子 201303
涅槃西風弥生人骨海を向き 細野恵久 ぐろっけ 201304
涅槃西風アルプスに雲巻きあがる 野畑さゆり 201304
近代史即自分史や涅槃西風 柴崎富子 春燈 201305
涅槃西風打楽器のごと絵馬鳴れる 大橋晄 雨月 201305
街道のゆく手は比叡涅槃西風 高木健吉 雨月 201305
涅槃西風かへらぬ遺骨待ちにけり 石橋邦子 春燈 201305
わが町に阿彌陀山あり涅槃西風 駒井でる太 馬醉木 201305
気を付けてゐても危ふき涅槃西風 鴨下昭 201306
帰り来て白湯の甘さや涅槃西風 中島讃良 ろんど 201306
差し潮の波が波呼ぶ涅槃西風 安斎久英 末黒野 201306
涅槃西風熱き蒟蒻食しにけり 竹内悦子 201306
涅槃西風足利の墓所守る寺に 村上悦子 雨月 201306
涅槃西風極楽橋のひとり言 土居通子 ろんど 201306
寝不足の雨戸を叩く涅槃西風 鈴木石花 風土 201306
一周忌修せし安堵涅槃西風 片岡良子 雨月 201306
とろとろと母の夢見る涅槃西風 三浦澄江 ぐろっけ 201307
人なりの狡さがちらり涅槃西風 松本恒子 ぐろっけ 201307
結界を曖昧にして涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
温度差に戸惑ひもして涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
印南野の赤土濡るる涅槃西風 高尾豊子 火星 201405
天王寺七坂渡る涅槃西風 岩下芳子 201405
母と子の輪袈裟からまる涅槃西風 妹尾貞雪 春燈 201405
涅槃西風卒寿卒寿と宣ひゐしに 佐藤淑子 雨月 201405
休み田に鴉の遊ぶ涅槃西風 生田作 風土 201406
紀州路の河川真直ぐに涅槃西風 上村富美子 雨月 201406
涅槃西風道に迷っていませんか たかはしすなお 201406

 悼小倉正穂さん

花愛でず逝かれし君や涅槃西風

黒滝志麻子 末黒野 201406
堰越ゆる水を豊かに涅槃西風 多田文子 201406
馴染みゆく土との暮し涅槃西風 浅木ノヱ 春燈 201406
限られし命果てたる涅槃西風 佐藤玲子 春燈 201406
軍歴の無き身を誇る涅槃西風 鴨下昭 201407
新しき切株あまた涅槃西風 西岡啓子 春燈 201407
眼帯をとるや瞼に涅槃西風 近藤紀子 201407
涅槃西風開け放たれし書院かな 竹内喜代子 雨月 201407
箱根越え花粉を運ぶ涅槃西風 大久保白村 ホトトギス 201407
帰り来よ皆帰り来よ涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
金色の雲伴ひて涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
賀に侍る客人連れて涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
家系図も遺言の一つや涅槃西風 田村すゝむ 風土 201505
トロ箱の積まるる朝や涅槃西風 柿沼盟子 風土 201505
黄泉に行く参道はなし涅槃西風 竪山道助 風土 201505
繋留の鎖あらはに涅槃西風 内藤静 風土 201505
涅槃西風きつぱり止んで暮れなづむ 青野安佐子 201505
涅槃西風ほうとロケット一周り 甲州千草 201505
水上バスの日の丸撚れる涅槃西風 篠田純子 あを 201505
涅槃西風してはならない種明し 江島照美 201505
玉の井の濁る予感や涅槃西風 鈴木初音 201505
涅槃西風油の匂ふ印刷屋 竹内悦子 201506
涅槃西風ふな底てんやわんやかな 瀬川公馨 201506
キューピーはいつも裸や涅槃西風 寺田すず江 201506
永代の夫眠る地や涅槃西風 片岡良子 雨月 201506
気負ひなき介護の日々や涅槃西風 宮本俊子 雨月 201506
パンを焼くにほひが町に涅槃西風 佐津のぼる 六花 201506
涅槃西風吹け吹け骨ノ収マラズ 辻響子 201506
涅槃西風絆創膏の指立てて 生田恵美子 風土 201506
玉眼の西行座像涅槃西風 松本三千夫 末黒野 201506
大島の灯の淡淡と涅槃西風 野村重子 末黒野 201506
涅槃西風あご紐かたくヘルメット 足立良雄 201506
老犬の党悟の看取り涅槃西風 小林和世 末黒野 201507
米朝の逝き上方の涅槃西風 大久保白村 ホトトギス 201508
屋形船水尾歪ませて涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
葉巻もつ宰相像や涅槃西風 榊山智惠 末黒野 201604
湖びとの土竜おどしや涅槃西風 服部鹿頭矢 馬醉木 201605
涅槃西風手造り箸の馴染むなり 林いづみ 風土 201605
灰色の枢機卿来る涅槃西風 柳川晋 201606
涅槃西風母の文箱の父の文 木戸渥子 京鹿子 201606
涅槃西風墓地分譲の幟立つ 久世孝雄 やぶれ傘 201606
秀吉を匿ひし庫裡涅槃西風 稲岡みち子 雨月 201606
入籍の一本締めや涅槃西風 中島陽華 201607
万古焼の急須艶ます涅槃西風 江草礼 春燈 201608
百円の文庫選りをり涅槃西風 秋月祐一 船団 201701
島唄は三線とあり涅槃西風 田村すゝむ 風土 201705
涅槃西風大きな背中信じけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
持たさるる小銭が重し涅槃西風 中川句寿夫 ここのもん 201705
流木は潮で煮しめし涅槃西風 能村研三 201705
涅槃西風灯明ゆらぐ敦盛忌 稲岡みち子 雨月 201706
蛸壺の乾ききつたる涅槃西風 藤生不二男 六花 201706
鮫の跳ねにごる生簀や涅槃西風 布施政子 馬醉木 201707
照り映ゆる沖のさざ波涅槃西風 森清信子 末黒野 201708
被災地に不明者いまも涅槃西風 藤浦昭代 ホトトギス 201708
桟橋は島より高き涅槃西風 和田照海 京鹿子 201804
第三の眼は海馬涅槃西風 中田禎子 201805
涅槃西風種一粒を吹き流す 平野多聞 201805
砂山の砂のくづるる涅槃西風 ほんだゆき 馬醉木 201805
涅槃西風この身に楯も鎧もなし 片山煕子 京鹿子 201805
鈍色の空にあかがね涅槃西風 辻美奈子 201805
東征の神話のありて涅槃西風 礒貝尚孝 201805
涅槃西風跣の一遍駆け出すか 大沢美智子 201805
追伸に自愛の一語涅槃西風 中西恒弘 201805
遊動円木乗つてみたしや涅槃西風 岡本秀子 201805
逆算の日々大切や涅槃西風 呂秀文 春燈 201807
人事とは裏のあるもの涅槃西風 三村純也 ホトトギス 201807
閼伽桶に雲流れゆく涅槃西風 山本則男 201807
詳細の知れぬ訃音や涅槃西風 千原叡子 ホトトギス 201808
眼に見えぬものに花粉と涅槃西風 大久保白村 ホトトギス 201811
七年セの歳月重く涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
涅槃西風孔雀の羽の吹かれをる 雨村敏子 201905
父の忌に集ふ生家や涅槃西風 森脇貞子 雨月 201905
流木の角のまろやか涅槃西風 宮内とし子 201906
邂逅は福耳の人涅槃西風 安田優歌 京鹿子 201906
北斎の雅号三十涅槃西風 林いづみ 風土 201906
涅槃西風寺の孔雀の眼状紋 平田きみこ 風土 201906
涅槃西風帰去来の辞の巨大空白 甲斐いちびん 船団 201906
富士まとふ雲影の袈裟涅槃西風 森清堯 末黒野 201906
涅槃西風頬打つ砂の由比ヶ浜 和田慈子 末黒野 201906
涅槃西風ビルマいまごろ夕日落つ 渡辺節子 201907
涅槃西風日本列島黄に染めて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
涅槃西風日本列島黄に染めて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
涅槃西風スカイツリーを研ぎ澄ます 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
漣は湖の語り部涅槃西風 小林和世 202004
楼門を海に抜けたり涅槃西風 笹村政子 六花 202005
空色のハンカチ広げ涅槃西風 辻響子 202006
草の上の魚籠濡れてをり涅槃西風 橋本順子 202007
コーヒーの香る夫の背涅槃西風 舟田房江 春燈 202007
鳶の輪の上の鳶の輪涅槃西風 加藤静江 末黒野 202008
涅槃西風離卿の疹き振り返る 石川東児 202009
屋根瓦の色のさまざま涅槃西風 岡村尚子 202010
涅槃西風つれなく沁むる独居かな 落久保万里 春燈 202105
船底に運ぶ大岩涅槃西風 内藤静 風土 202106
感染は生きる術なり涅槃西風 六車佳奈 風土 202106
警官の訪問調査涅槃西風 平沢恵子 春燈 202106
ふつくらと御飯が炊けて涅槃西風 原友子 202108
涅槃西風櫓舟は波に暮れゆきぬ 北村操 202110
涅槃西風魚の半身食べきれず 畑田久美子 202110
保全夫の眠り束の間涅槃西風 森祐司 202110
涅槃西風土の匂ひの濃かりけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
涅槃西風黄泉の便りもその中に 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
鎌倉の古刹閉ざされ涅槃西風 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
涅槃西風瀬戸の島々舐め尽し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
漂着の瓶に手紙や涅槃西風 岩木茂 風土 202205
たらちねのこゑ乗せ来り涅槃西風 小林文良 春燈 202206
りゆうりゆうと青竹の艶涅槃西風 間島あきら 風土 202206
鈴の音に歩をせかさるる涅槃西風 小原芙美子 風土 202206
幾度も越せぬハードル涅槃西風 長尾タイ 末黒野 202206
空也像題目を吐く涅槃西風 小張志げ 春燈 202207
涅槃西風遠嶺はひかり纏ひけり 畑田久美子 202210
軒下に蛸壼二百涅槃西風 井上和子空 202211
涅槃西風帰天誘ふものとして 稲畑廣太郎 ホトトギス 202303
涅槃西風 →1

 

2023年3月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。