葱坊主 3    200句

葱坊主どこをふり向きても故郷   寺山修司

作品
作者
掲載誌
掲載年月
葱坊主越しに話のはづみをり 根橋宏次 やぶれ傘 200808
葱坊主人の話をよく聴けり 荒井慈 春燈 200903
葱坊主よく泣かさるる隣の子 あさなが捷 200905
信徒おほかた大山姓よ葱坊主 築城百々平 馬醉木 200906
百坪の休耕田や葱坊主 中川すみ子 200907
日暮れてもまだ立たされて葱坊主 松嶋一洋 200907
磯畑の網の破れ目葱坊主 小林輝子 風土 200907
葱坊主本を開けば眠けさす 生井慶子 万象 200907
葱坊主モナリザだとて老ゆるなり 大島翠木 200908
ある日みな切つて捨てられ葱坊主 伊藤トキノ 200908
つはものの集へるやうに葱坊主 川崎光一郎 京鹿子 200908
広報車ゆき不揃ひな葱坊主 柳生千枝子 火星 200909
葱坊主口に含みし釘を打つ 葉山彰 ろんど 200909
故郷に戻り就職葱坊主 川崎利子 201005
たよりなく細る磯道葱坊主 中村恭子 201005
夕暮れて寡黙となりぬ葱坊主 小山紫乃布 末黒野 201005
畦をゆく園児に高き葱坊主 中村翠湖 馬醉木 201006
葱坊主ひとつふたつは拗ねてをり 久保東海司 201006
いち日を地に足つけて葱坊主 望月木綿子 201006
葱坊主たたき交響曲生る 西川五郎 馬醉木 201007
出来不出来仲良く並ぶ葱坊主 松本三千夫 末黒野 201007
人生の半ばを過ぎぬ葱坊主 小山紫乃布 末黒野 201007
猿除けの囲ひの畑の葱坊主 川中佐知子 風土 201007
残されし長き一畝葱坊主 渡邉孝彦 やぶれ傘 201007
同じこと考へてゐる葱坊主 楠原幹子 201007
そろばんを習ひし頃や葱坊主 大西よしき ろんど 201007
たんたんと過ぎゆく余生葱坊主 卜部黎子 春燈 201007
葱坊主ずり落ちさうなズボン穿く 中山純子 万象 201007
ふくらむといふ可愛さや葱坊主 嶋田摩耶子 ホトトギス 201008
球体はいのちの形葱坊主 雨村敏子 201008
葱坊主村に大将居なくなる 酒本八重 201008
葱坊主雨の畑となりにけり 柴田歌子 201008
太陽へ詩を発信葱坊主 竹下陶子 ホトトギス 201009
葱坊主うすき雲きる昼の月 白石正躬 やぶれ傘 201010
水流れ畑一列に葱坊主 武智恭子 ぐろっけ 201010
約稿の手つかぬままや葱坊主 水原春郎 馬醉木 201104
里の子のぐづりて叩く葱坊主 青木由芙 末黒野 201104
日々太る出荷自粛の葱坊主 渡辺安酔 201106
地震あとの列を乱さぬ葱坊主 宮内とし子 201106
葱坊主揺れてゐるかに地震酔ひ 吉田政江 201106
嘘泣きはうその始まり葱坊主 福島茂 201106
葱坊主銀のマイクを太陽に 田原陽子 201107
分度器と定規ひよつこり葱坊主 箕輪カオル 201107
在の子も訛り少なし葱坊主 斉藤マキ子 末黒野 201107
葱坊主沖に定刻定期船 寺岡ひろし 雨月 201107
裂けるかも知れぬ大地や葱坊主 山路紀子 風土 201108
独りごつ頷き合うて葱坊主 宮崎きみ枝 201108
ぽんと一つ頭叩かれ葱坊主 福島松子 ぐろっけ 201108
誉められも腐されもせず葱坊主 藤井久仁子 ぐろっけ 201108
葱坊主見上ぐ没日の二上山 藤田かもめ ぐろっけ 201108
葱坊主風にぶつかることもなく 椋本一子 雨月 201108
よちよちの嬰子がさはる葱坊主 織田みさゑ 万象 201109
聞くたびに笑ふ話や葱坊主 高倉和子 夜のプール 201203
泣けば済むさうはいかない葱坊主 苑実耶 大河 201203
高僧になる氣さらさら葱坊主 竹貰示虹 京鹿子 201204
夕星や畝一列に葱坊主 池内とほる かさね 201206
葱坊主初心いつしか忘れをり 海村禮子 春燈 201206
峰々のけふ高からず葱坊主 山尾玉藻 火星 201206
いつまでも電話鳴りをり葱坊主 山尾玉藻 火星 201206
葱坊主千切れば戻る幼な日々 鈴木阿久 201206
葱坊主うしろ歩きのジャンケンポン 森下岩男 風土 201207
葱坊主みんな円くてみな睡し 鈴木直充 春燈 201207
葱坊主育てしやうに子は育ち 苑実耶 201208
一列に真つ正直に葱坊主 遠藤真砂明 201208
白バイの定期巡回葱坊主 上月智子 末黒野 201208
雲ゆきにけり二列の葱坊主 根橋宏次 やぶれ傘 201207
葱坊主に語りかけてるひとり言 福田かよ子 ぐろっけ 201208
葱坊主自作自演の読み聞かせ 水野範子 ぐろっけ 201209
葱坊主フェンスの先は滑走路 瀬島洒望 やぶれ傘 201210
葱坊主猫は畑のすみをゆく 天野美登里 やぶれ傘 201211
鎖骨より伸びる首すじ葱坊主 北上正枝 201304
葱坊主風の噂の序列なし 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
やれば出来ることも忘れる葱坊主 中江月鈴子 201305
声にして数へてみたり葱坊主 大川ゆかり 201305
葱坊主残して畑地耕せり 青木英林 かさね 201306
葱坊主に自立の姿ありにけり 近藤紀子 201306
葱坊主新規開店茶房閑 中出のぶ子 ろんど 201306
産土に妣のぬくもり葱坊主 大松一枝 201307
ある朝のすでに完璧葱坊主 土屋草子 ろんど 201309
力抜くことの難しや葱坊主 藤野力 馬醉木 201405
大志もて輝きゐたる葱坊主 松木ひろ ろんど 201406
気が合って歩いておれば葱坊主 火箱ひろ 201406
二歳児にはや兄心葱坊主 浅木ノヱ 春燈 201406
号令の世は遠くなり葱坊主 宮内とし子 201406
括らるる団塊世代葱坊主 清水佑実子 201407
農小屋の前二列縦隊葱坊主 岡淑子 雨月 201407
葱坊主平らに戻る畑かな 柿沼盟子 風土 201407
童心を保ち続けて葱坊主 大橋晄 雨月 201407
船頭の唄わたりくる葱坊主 坂口夫佐子 火星 201408
葱坊主捨てられしまま天に伸ぶ 後藤マツエ 201408
雲白く希望を抱く葱坊主 池田光子 201408
悪童も還暦を過ぎ葱坊主 横田敬子 201410
抽んでて指揮者のやうな葱坊主 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
道違ふことも楽しや葱坊主 野上杳 201505
雲が行き鳥の影ゆき葱坊主 高野春子 京鹿子 201506
わたくしの右脳あたりは葱坊主 田邉好美 201506
一と呼吸一つの花の葱坊主 神蔵器 風土 201506
葱坊主何時のま此の期に及びしと 石田康明 春燈 201507
くわうくわうと孔子と釈迦と葱坊主 神蔵器 風土 201507
葱坊主力士志願の痩せつぽち 鈴鹿仁 京鹿子 201507
野放図に育ちし果ての葱坊主 野村靹枝 京鹿子 201507
首もたげ風を重しと葱坊主 安斎久英 末黒野 201507
風騒ぎラインダンスの葱坊主 大島寛治 雨月 201507
不機嫌の訳二つあり葱坊主 斉藤裕子 あを 201507
種残すための一列葱坊主 久世孝雄 やぶれ傘 201508
掠り傷の一つや二つ葱坊主 西村しげ子 雨月 201508
勢揃ひして鬨あげる葱坊主 久保東海司 201508
寄植に押分け覗く葱坊主 長崎桂子 あを 201508
葱坊主一人さはれば皆触る 織田みさゑ 万象 201510
哲学の七賢人や葱坊主 神蔵器 風土 201510
突き当るまでの坂道葱坊主 甲州千草 201604
強がりてひとり残され葱坊主 あさなが捷 201604
病み臥して一心不乱に葱坊主 神蔵器 風土 201604
抽んでて大僧正の葱坊主 岩下芳子 201606
犬とゐて一人の家居葱坊主 中谷富子 201606
真つすぐに太つてをりぬ葱坊主 箕輪カオル 201606
鬱の日も躁の日もあり葱坊主 新谷フクヱ 末黒野 201606
忘るるも知恵の一つや葱坊主 佐藤淑子 雨月 201606
葱坊主夕日を見むと背伸びする 卜部黎子 春燈 201607
太郎より次郎が強気葱坊主 小林共代 風土 201607
ランドセル近づく音や葱坊主 上村葉子 風土 201607
葱坊主弾けむばかりの空があり 雨村敏子 201607
天日にたけくらべして葱坊主 寺田すず江 201607
葱坊主鼻たれ小僧消えし村 森直子 あを 201607
これ以上膨れやうなき葱坊主 田村園子 201608
上つ毛の風が好きなり葱坊主 栗原完爾 春燈 201608
葱坊主さういふわけで山を売り 定梶じょう あを 201608
居眠りも日課の一つ葱坊主 松浦哲夫 末黒野 201608
掛算の九々の練習葱坊主 丸尾和子 雨月 201608
一畝は頭大きな葱坊主 手島伸子 雨月 201608
葱坊主怒りの拳いつまでも 水谷文謝子 雨月 201608
葱坊主の一つ高きは先生か 小川流子 201608
泣く母を見た記憶なし葱坊主 高橋将夫 蜷の道 201703
葱坊主涙をふきし餓鬼大将 江見巌 六花 201705
モンローの愛する男葱坊主 江見巌 六花 201706
一列は捧げ銃かも葱坊主 山中志津子 京鹿子 201707
望むのはぶれぬ生き方葱坊主 加舎廣子 京鹿子 201707
消しゴムで消せる過ち葱坊主 辻由紀 雨月 201707
大将と呼ばむ恰幅葱坊主 高橋道子 201707
整列を強ひられてをる葱坊主 笠井敦子 201707
捨畑にぶつきらぼうな葱坊主 山田正子 201706
一列に同じ背丈の葱坊主 佐藤まさ子 春燈 201707
叱られてそつぽ向く子や葱坊主 山口地翠 春燈 201707
日当りて駆け出しさうや葱坊主 早川八重子 末黒野 201708
頓挫してとどのつまりが葱坊主 瀬川公馨 201708
百済野の小さな寺の葱坊主 山口素基 万象 201708
海見えて短き畝や葱坊主 土井三乙 風土 201709
ついと出る地方なまりや葱坊主 片桐紀美子 風土 201801
鳴りさうでならぬ指笛葱坊主 佐藤保子 馬醉木 201807
烏骨鶏鳴き畑には葱坊主 瀬島洒望 やぶれ傘 201807
きっと立ち風やり過ごす葱坊主 小川玉泉 末黒野 201808
区役所に借りし菜園葱坊主 今井千鶴子 ホトトギス 201809
信念は空へ空へと葱坊主 渡部恭子 201902
又同じ朝の始まる葱坊主 稲畑汀子 ホトトギス 201904
葱坊主背伸びして見る花の土手 七郎衛門吉保 あを 201905
夕方は子らを見送る葱坊主 吉清和代 201905
葱坊主埒なき夢に疲れしよ 石田蓉子 201905
認知症たしかむ人や葱坊主 中谷富子 201906
残されしか余生か畝の葱坊主 千田百里 201906
葱坊主離任の先生送りをり 田所節子 201906
若者を見かけぬ村の葱坊主 宮内とし子 201906
どの子にも親はあるなり葱坊主 中貞子 201906
なるやうになりゆく余生葱坊主 鈴木庸子 風土 201907
父祖よりの畑は減らさず葱坊主 木村あさ子 201907
葱坊主揺れ合ひ子らは笑ひ合ひ 岩藤礼子 やぶれ傘 201908
葱坊主列を乱す子背伸びの子 小泉三枝 春燈 201908
振り上げし拳どうする葱坊主 村上葉子 201908
玄関に鉢植の葱坊主かな 村田武 やぶれ傘 201908
手足などどうでもよくて葱坊主 亀田虎童子 201908
退屈な一年坊主葱坊主 波戸辺のばら 202006
世の騒ぎ知らぬがびちょう葱坊主 鈴木愛子 202006
クラス会は運者ばかりや葱坊主 大霜朔朗 末黒野 202008
葱坊主卒業写真セピヤ色 石川東児 202009
葱坊主サドルを少し高くして 山田正子 202010
己が影と同行二人葱坊主 諸岡孝子 春燈 202103
広々と渡る風あり葱坊主 稲畑汀子 ホトトギス 202104
家裏に残る畑あり葱坊主 稲畑汀子 ホトトギス 202104
留守の戸に忘れ置かれし葱坊主 稲畑汀子 ホトトギス 202104
葱坊主には素通りす風のあり 稲畑汀子 ホトトギス 202104
畝脱くる不良願望葱坊主 森村江風 202106
葱坊主一年生の生欠伸 高村令子 風土 202106
ありのまま生きてゆけよと葱坊主 村上國枝 春燈 202106
花言葉どうでもよくて葱坊主 北川孝子 京鹿子 202106
菜園の隅に育ちて葱坊主 佐藤信子 春燈 202107
葱坊主朝日が好きで笑ひ出す 吉澤恵美子 春燈 202107
葱坊主風と遊んでゐるばかり 三宅文子 春燈 202107
右倣へ拒みてゐたる葱坊主 木多芙美子 春燈 202107
一徹に生きて悔いなし葱坊主 森川享 末黒野 202107
畑ぬけて龍太の墓や葱坊主 奥田茶々 風土 202107
和宮降嫁の道の葱坊主 奥田茶々 風土 202107
ふた畝のふくふくとして葱坊主 吉田幸恵 やぶれ傘 202108
空き地にはかつての記憶葱坊主 奥田温子 やぶれ傘 202108
傘寿とはこんなものかも葱坊主 岡田史女 末黒野 202108
畑ぬけて龍太の墓や葱坊主 奥田茶々 風土 202201
葱坊主の背丈のどれも似たりよつたり 松本峰春 春燈 202206
ほつぺたに光るどろんこ葱坊主 近藤真啓 春燈 202206
好きは好き嫌ひは嫌ひ葱坊主 蔵岡信彦 京鹿子 202206
ひと畝のほつたらかしや葱坊主 森清堯 やぶれ傘 202207
菜園の昼のしづもり葱坊主 岡田史女 やぶれ傘 202207
葱坊主脳の萎縮はひとごとに 卜部黎子 春燈 202207
葱坊主 →4

 

2023年5月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。