夏の夕     86句

くび垂れて飲む水廣し夏ゆふべ   三橋敏雄   眞神

作品
作者
掲載誌
掲載年月
馬柵古りて夏の夕の馬は寄る 藤田宏 199909
腕組めば胸のほめきて夏ゆふべ 鷹羽狩行 200007
夏の夕地に輪を描いて子ら消えし 竹内弘子 あを 200101
幻に君哭きたまふ夏夕べ 伊藤格 200109
夏の夕雲に浪音聞きゐたり 間島あきら 風土 200110
仏壇に滝落ちる音夏夕べ 植村金次郎 海程 200110
獣臭の風サバンナの夏夕べ 江木紀子 雨月 200205
シネマ見て心はれやか夏の夕 矢嶋みつ江 遠嶺 200211
清水坂きよみずを下れば祇園夏夕べ 元田千重 火星 200307
縁側の夏の夕景古色のみ 和田悟朗 円虹 200309
菓子箱に天使の絵柄夏ゆふべ 細田いずほ 遠嶺 200310
迷ひ人の知らせながるる夏の夕 早崎泰江 あを 200310
係累の綱緩みをり夏の夕 岡田滋夫 雲の峰 200408
夏の夕家族の声に目覚めけり 沖増修治 百鳥 200409
背を丸め心を丸め夏夕べ 増田智子 帆船 200409
映るものみな水色に夏夕べ 岩垣子鹿 ホトトギス 200412
十字路にあつまる鴉夏夕べ 木下野生 200507
空虚とはとめどなきもの夏夕べ 大橋晄 ホトトギス 200611
櫂に水とろりとかへる夏ゆふべ 樋口みのぶ 200611
長旅を終へし家路や夏夕べ 稲畑汀子 ホトトギス 200707
謀反めくをみなの小声夏夕べ 清水幸治 200709
白々と暮れてゆくなり夏の夕 ことり 六花 200808
スーパーへ刻売りに行く夏の夕 清水幸治 200809
つつしみて博多献上夏の夕 中島陽華 200809
暮れてなほ燃ゆるもの欲し夏の夕 小澤正信 200811
もの焚けば煙とびつく夏ゆふべ 鷹羽狩行 200906
よるべなく海馬寝そべる夏の夕 須賀敏子 あを 201008
夏夕べ潮の香運河を上り来る 鈴木セツ 201009
怠け癖気をとりなほし夏の夕 三川美代子 201010
夏の夕彩雲生るるひとところ 坂上香菜 201010
欄干に後ろ手をつき夏夕べ 矢島久栄 201011
夏夕べ豆腐の喇叭磨きをり 山本鬼之介 201105
湖よりの風ふところに夏夕べ 乙坂きみ子 末黒野 201108
夏夕べ信貴山絵巻繙きて 小林成子 201109
夏夕べ深き眠りの古墳群 坂根宏子 201110
夏の夕ケバブほほばり談論す 松村光典 やぶれ傘 201110
波音のある時烈し夏夕べ 柳生千枝子 火星 201111
夏の夕ふねの豆腐を買ひにけり 天野美登里 やぶれ傘 201111
門前に鹿のあふれて夏夕べ 雨宮桂子 風土 201111
夏の夕沖より海の暮れ初むる 久永つう 瀬戸の海 201203
ほろ酔ひの酒蔵寄席や夏夕べ 鈴木照子 201209
乾杯のジョッキ軽々夏の夕 森下康子 201209
夏の夕湯煙透きて見上ぐるダム 吉田啓悟 かさね 201209
故郷の恩深き君逝く夏夕べ 大橋敦子 雨月 201210
一雨にひと息つけり夏の夕 中野久雄 末黒野 201211
余白といふゆとり残して夏の夕 丸田信宏 京鹿子 201211
夏夕ベ甘きもの食べ眠らむか 中山純子 万象 201310
夏夕べ川風やさし中之島 出口貴美子 雨月 201310
夏の夕森に鴉の声ばかり 小山陽子 やぶれ傘 201310
進みゐし時計正して夏夕べ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
夏の夕手漕ぎ小舟の幾艘も 山荘慶子 あを 201408
老の夏ちつらとろりと夕長し 水原春郎 馬醉木 201409
迷ひ犬彼是言ひて夏夕べ 山荘慶子 あを 201409
夏の夕夫を待たせて美術館 渡部法子 201409
弟はすぐぶら下がる夏の夕 坪内稔典 船団 201502
夏の夕庫裏の閾を跨ぐ猫 天野美登里 やぶれ傘 201508
機織りの音も遠のく夏の夕 大湊栄子 春燈 201509
亡き夫の靴音と歩す夏の夕 長山あや ホトトギス 201512
土手下でもの焚く匂ひ初夏の夕 白石正躬 やぶれ傘 201608
初夏の夕影ははや中州にも 白石正躬 やぶれ傘 201608
夏夕べ簡単レシピを立ち読みす 中島昌子 201608
夏夕べ声しはがれし鴉かな 久保村淑子 万象 201609
あやしても赤子不機嫌夏夕べ 田代貞香 201609
夏の夕座る煉瓦にある微熱 小山陽子 やぶれ傘 201610
患者食運ばれて来る夏至夕べ 阪上多恵子 雨月 201610
赤松の幹に陽のある夏の夕 白石正躬 やぶれ傘 201708
今ここにいるこの時間夏の夕 中居由美 船団 201805
夏の夕塾に行く子と行かぬ子と 高橋均 六花 201810
半刻の美しき落暉や夏至の夕 小倉純 末黒野 201810
犬と話す人と行き交ふ夏夕べ 遠山のり子 201812
枝先の赤々とひろがる夏の夕 江口九星 201902
少年も波も金色夏の夕 斉藤マキ子 末黒野 201909
松籟の空ゆがみたる夏至の夕 住田千代子 六花 201910
夏夕地下街に人吸ひ込まれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
夏の夕お茶は思ひの外熱く 小山よる やぶれ傘 202007
何処よりカレーの匂ひ夏の夕 小沼ゑみ子 末黒野 202011
夏夕べ夫の背に塗る痒み止め 曽根富久恵 202112
子二人の自主練習や夏の夕 高橋まき子 風土 202209
夏の夕雀次々飛んでくる 小山よる やぶれ傘 202209
夏夕べ手垢まみれの父の辞書 秋山信行 やぶれ傘 202209
哀愁を奏づるギター夏の夕 杉山くみ子 末黒野 202209
蕎麦すすりまた湯につかる夏の夕 坂本和穂 やぶれ傘 202210
初めての馬券買ひけり夏の夕 滝口洋子 末黒野 202210
二年ぶりの姉とおしやべり夏の夕 山中ミツ 末黒野 202210
母老いて鞠のごと坐す夏夕べ 柴田佐知子 202211
鶏の小屋に戻らぬ夏夕べ 石橋幾代 202302

 

2023年7月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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