棗の実     103句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
青棗飾肘木の飛騨の家 松崎鉄之介 199809
石窟へ道ひえびえと棗の実 皆川盤水 春耕 199811
棗の実裏木戸きいと鳴るばかり 八木愁一郎 ぐろっけ 199902
王と並ぶ管仲の墓棗の芽 松崎鉄之介 199906
棗落つ母の屋いまも棗落つ 平橋昌子 200001
どこまでも空の深さよ棗の実 阿部悦子 酸漿 200002
椋鳥に半端な色の棗の実 櫻井多恵 200002
旧邸の庭に一樹の青棗 有山光子 遠嶺 200101
地蔵盆青き棗に湖ながれ 岡井省二 200104
口誦をうながす碑なれ青棗 能村研三 200110
一本の千代女の色に棗の実 神蔵器 風土 200110
噛んでゐて棗は甘くなりにけり 岡井省二 200111
棗の実一粒を染め敗戦日 倭文ヒサ子 酸漿 200112
棗の実飛騨の小雨は傘いらず 榎本愛子 海程 200112
棗の実あまた熟れゐて誰もゐず 木村真魚奈 京鹿子 200202
落葉して棗は人を拒むごと 小澤スミエ 200203
夕晴れて二百十日の棗の実 山尾玉藻 火星 200210
郷愁の如き渋味の棗噛む 中川芳子 200210
棗の実美術館いま門を閉づ 梅谷昌弘 雲の峰 200210
船津屋の灯にてらされて棗の実 内藤順子 酸漿 200212
アンデスの歌声流る棗売 吉村玲子 円虹 200212
さくと噛む棗の香りうすみどり 吉村玲子 円虹 200212
棗の実夫少年の日を語る 大山妙子 酸漿 200212
棗の実昼の教会点りをり 影山わこ 百鳥 200301
棗の実ぽろぽろ落ちてゐて廃家 城戸愛子 酸漿 200301
棗の実見頃ですよと文にかな 百田早苗 六花 200301
なつかしきあの娘はだあれ棗の実 中谷喜美子 六花 200310
伸び放題で風にあふらる青棗 府川みよ子 200311
舟津屋の門にしだるる棗の実 辰巳陽子 雲の峰 200312
乃木旧居ひとつ灯れり棗の実 笠井育子 200401
シスターの笑顔すぎゆく棗の実 近藤きくえ 200401
かの家の消えねば棗咲き居らむ 井上信子 200410
乃木邸に駿馬ありし日棗の実 秋田谷明美 帆船 200411
棗生る青さ門辺の隣りあふ 永田二三子 酸漿 200412
棗の実少女の拒否はガラス張り 東亜美 あを 200412
棗くれし伯母もそを煮し母も亡し 大橋敦子 雨月 200412
それはさう棗とちがふ生なつめ 戸田和子 200501
白川の砂にまぎれし棗の実 近藤きくえ 200501
忌日くる枝の先まで青棗 野澤あき 火星 200511
嫁の来てはじめて棗の実を乾せり 村上一葉子 200512
般若心経唱う棗の実の青し 竹内悦子 200601
雨こぼす雲を真上に棗の実 糸井芳子 200601
青空に先生を待つ棗の実 斎藤くめお 対岸 200602
誰袖棚赤絵水指夜桜棗 東亜未 あを 200606
春愁や断食月(ラマダン)の地の棗椰子 内山花葉 200607
朽ち果てし隊商宿や青棗 大西裕 酸漿 200610
たべごろの棗となりし飛鳥川 岩下芳子 200612
棗の実いくども返す砂時計 津田礼乃 遠嶺 200612
初釜やこだわりの朱の平棗 藤田宣子 ぐろっけ 200702
校庭に翁の像と棗の実 三崎由紀子 遠嶺 200702
細やかな若葉の中に棗咲く 大山妙子 酸漿 200709
乃木邸の厩傷めり咲く棗 網野茂子 酸漿 200710
棗の実ひとり住まひの庭にあり 岡和絵 火星 200712
棗の実賛美歌にふと耳を貸し 菊池由惠 酸漿 200712
豊な日たわわに熟るる棗かな 上藤八重子 酸漿 200712
権現の絵馬のうすれし棗の実 竹内弘子 あを 200801
零れ敷き羊の糞めく棗の実 藤平タネ子 200802
ふるさとの廊下のきしみ青棗 大鋸颯人 炎環 200810
棗の実こぼれて室の八嶋かな 中島陽華 200811
少年の日の夫にあり棗の実 長田曄子 火星 200812
棗降りなつめ忘れし空のあり 長田曄子 火星 200812
砂棗噛めば旱のにほひかな 原田達夫 200901
砂灼けて胡楊紅楊砂棗 原田達夫 200901
大山祇祀る棗の熟るる丘 大坪景章 万象 200902
棗の実こぼれて甘しセピア色 斉藤敬子 火星 200904
片頬の紅づく棗朝のキス 品川鈴子 ぐろっけ 200909
掌は水汲むかたち棗受く 北島和奘 風土 200912
古都風情残す曲阜の棗売り 伊地知冶江子 201001
希典の殉死悼むや棗の実 奈辺慶子 雨月 201001
棗熟れ通船堀の差配邸 田中きよ子 酸漿 201001
里古りてみる人なしに棗の実 川村欽子 雨月 201002
ひさびさのひとり旅なり青棗 伊勢きみこ 火星 201011
乃木大将も旅順も昔棗食ぶ 上田明子 雨月 201012
棗の実葬内々に済ませしと 田中藤穂 あを柳 201012
きのふ逝きし友より手紙棗の実 浅田光代 風土 201101
ふるさとの片雲にあり青棗 小泉和代 酸漿 201101
ポケットに棗をひとつ散歩道 年森恭子 ぐろっけ 201101
棗の香にふくらんでゐる紙袋 加藤みき 201102
吹き降りのあとつやつやと棗の実 竹内弘子 あを 201103
棗の実熟せども取る人の無き 小林美登里 かさね 201301
棗の実音無く落ちて土の色 須賀敏子 あを 201301
目利から貰ひし棗初点前 山田六甲 六花 201301
実棗に十歩寄り道して帰る 陽山道子 おーい雲 201304
南国の終着駅の棗の実 陽山道子 おーい雲 201304
欣一忌綾子の棗供へけり 原田しずえ 万象 201401
柚子棗南天の実を師に捧ぐ 大坪景章 万象 201401
黒々と雨粒ふくむ棗の実 廣畑育子 六花 201403
棗煮る母の秘伝をそのままに 会田三和子 201411
乃木神社の棗大樹や薄もみぢ 山田愛子 201412
棗食む栗鼠の母子の心地して 川崎利子 201412
中腹の蕎麦屋の庭に棗熟る 赤座典子 あを 201501
いつのまにか怒りをさまり棗の実 加藤みき 201512
青棗光返してをりにけり 近藤紀子 201512
棗噛み瞑れば見ゆるもの多し 白神知恵子 春燈 201601
棗の実雑器ばかりの陶器市 青谷小枝 やぶれ傘 201602
不図たまるポイントカード棗の実 奥田筆子 京鹿子 201612
熟れ棗落つるにまかせ風木舎 大坪景章 椿垣 201612
朝な朝な棗若葉を愛でにけり 手島南天 万象 201708
青棗ひからせ路地の日の動く 片桐紀美子 風土 201711
大和へと抜くる古道の青棗 夏生一暁 馬醉木 201712
棗の実句会の行く時帰る時 大日向幸江 あを 201812
棗の実万葉仮名の碑を打てる 升田ヤス子 六花 201812
人形のべべは赤色棗の実 杉原ツタ子 201912

 

2021年10月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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