夏 霞   176句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夏霞そのまま夜となりし帰路 稲畑汀子 ホトトギス 199805
見えしより日本海の夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 199806
この日あること怖れるし夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 199905
大橋は新しき景夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 199905
人悼む心包みて夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 199905
蛇行せる流れ静かや夏霞 大槻久美 円虹 199909
常念岳あるといふなる夏霞 武井美代子 風土 199910
麦を炒る匂ひの夏の霞かな 高橋将夫 199910
夏霞透けて遠州灘白し 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
富士塚は碑のみ遠富士夏霞 河野美奇 円虹 200005
朝見えし富士はまぼろし夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200005

 悼 清崎敏郎様

稽古会皆若かりし夏霞

稲畑汀子 ホトトギス 200005
うすうすと富士の所在や夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200005
夏霞より抜け出してをらざりし 稲畑汀子 ホトトギス 200005
浮ぶ富士沈める裾野夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200005
近づけば模糊と富士あり夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200005
夏霞橋の長さを見せざりし 稲畑汀子 ホトトギス 200005
夏霞晴れて鳴門は渦巻いて 稲畑廣太郎 ホトトギス 200005
夏霞阿波より臨む故郷かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200005
夏霞む沖を見てゐる忌日かな 山田弘子 円虹 200007
朝よりの空快晴で夏霞 今橘眞理子 円虹 200007
夏霞へと溶けてゆく海の青 今橘眞理子 円虹 200007
夏霞より抜け出して来し白帆 稲畑汀子 ホトトギス 200105
隠岐見える筈の灯台夏霞 達山丁字 200108
遥かなる知床の嶺夏霞 渡辺智佳 遠嶺 200109
夏霞見えざる富士を指ささる 二村蘭秋 雨月 200109
ボレアリス海の生みたる夏霞 宮津昭彦 200110
遠波も夏霞して能登羽咋 能村登四郎 羽化 200110
夏霞空へ伸びゆく下町よ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200205
行つてみて又その先の夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200205
快晴といふ空間の夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200205
大橋の横一文字や夏霞 鷹羽狩行 200207
萬頃や夏の霞を交渉中 中原道夫 銀化 200207
立山の岳一つだに夏霞 柴田由乃 風土 200209
夏霞ただよふなかの火口茶屋 加藤たかね 風土 200209
ももいろの雲の一塊夏霞 岡本眸 200210
行先は水の都の夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200305
夏霞敦子日和と云ひつべく 岡本眸 200307
飛騨は山美濃水ばかり夏霞 有田蟻太 200309
関門の出船入船夏霞 小阪喜美子 遠嶺 200309
灯台は鳥より小さし夏霞 西岡美代子 百鳥 200309
濃く淡く山並重ね夏霞 八木玲子 百鳥 200309
観覧車廻り地平は夏霞 若山実 雲の峰 200310
役人と遊女の悲恋夏霞 田中敬 200402
立山の見えて来る距離夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200405
遠景の峰ひとつ消ゆ夏霞 宇都宮滴水 京鹿子 200406
牛車ゆき帶地のやうな夏霞 服部郁史 京鹿子 200408
離陸機の茫と消えゆく夏霞 宮崎正 ホトトギス 200410
土器を抛れる志賀の夏霞 辻恵美子 栴檀 200410
夏霞治水の哀史隠せざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200507
夏霞灯台白く切り絵めく 七種年男 200507
六甲の稜線溶けて夏霞 十亀弘史 200507
夏霞鳴門海峡渦巻ける 筒井八重子 六花 200508
夏かすみ卵黄箸でつまみをる 栗栖恵通子 200509
気にかかる稿債一つ夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200605
結局は富士を見ぬ旅夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200605
淡路夏霞み嘉兵衛の遠眼鏡 品川鈴子 ぐろっけ 200607
九重より由布岳までの夏霞 須賀敏子 あを 200607
広重の山遠ざかる夏霞 柴田久子 風土 200608
夏霞臀はたいて起ちにけり 山尾玉藻 火星 200608
下関は想ひ出の町夏霞 柳生千枝子 火星 200608
夏霞故郷の山河寂として 柳生千枝子 火星 200609
氷見よりの黒部峡谷夏霞 波田美智子 火星 200609
水晶を蔵する山の夏霞 戸栗末廣 火星 200610
筆山の穂先隠して夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 200705
夏霞より抜け出せぬ空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200705
ふつと息かけたき俯瞰夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 200705
鳥海山宙に浮べり夏霞 渡辺玄子 酸漿 200707
蠱惑なる島の岬の夏霞 能村研三 200708
積年のえにしも夏の霞かな 高橋将夫 200709
山の色沈めきれざる夏霞 長山あや ホトトギス 200710
夏霞湖模糊と暮れ残る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
夏霞より五万トン空母出づ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200805
夏霞富士の稜線あるところ 稲畑汀子 ホトトギス 200805
夏霞消え全景の嵐山 稲畑汀子 ホトトギス 200805
湖山の神御座します夏霞 前川ユキ子 200807
夏霞島持ち上げてゐたりけり 大山里 200810
イソップの生れし島とや夏霞 三好かほる 万象 200812
六甲の端山を模糊と夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 200905
夏霞山を削つてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200905
琵琶の湖縁どり模糊と夏霞 井口淳子 200907
夏霞つくば嶺包み湖包み 岡野ひろ子 200907
夏霞む海峡一里波静か 塩路隆子 200908
夏霞点を置きたる竹生島 伊藤敬子 200908
伊吹山頂一嶺ごとに夏霞 伊藤敬子 200908

 『日本海軍』幻の戦艦

駿河/烟れり/況や近江/夏霞

高橋龍 200908
この事をつげたき人や夏かすみ 芝宮須磨子 あを 200908
行先は浄土平や夏霞 桑原逸子 200909
阿波水軍沖も岬も夏霞 濱田カノエ 酸漿 200909
喘ぎきて京一望の夏霞 近藤茂子 200910
高原の蒜山三座夏霞 坂根宏子 200911
夏霞一直線に電車消ゆ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201005
どつしりと橋脚仄と夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201005
讃岐富士には夏霞及ばざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201005
夏霞豪華客船吸ひ込めり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201005
濃淡は島の遠近夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201005
山巓へ縹ひときは夏霞 谷中弘子 201005
青竹の節のあはひや夏霞 雨村敏子 201009
海上都市空中都市に夏霞 古賀しぐれ ホトトギス 201012
江戸と伊予一直線の夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
一瞬の富士を見し旅夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201105
夏霞裾曳く富士の山俯瞰 稲畑汀子 ホトトギス 201106
夏霞霽れゆく先の湖の藍 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
母恋へば高野連峰夏霞む 田中佐知子 風土 201108
夏霞遠くに見えて寝釈迦かな 古田考鵬 雨月 201108
夏霞旅恋ふ視線潜らしぬ 湯川雅 ホトトギス 201109
夏霞明石大橋天に浮く 古賀しぐれ ホトトギス 201109
富士見えぬこともこの頃夏霞 博多永楽 雨月 201109
夕暮るる箱根全山夏霞 正谷民夫 末黒野 201110
記紀神話の海平らかに夏霞 村上すみ子 201110
降り立ちて津軽海峡夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
東京スカイツリーとは夏霞食ふ処 大畑善昭 201208
喬松のみじろぎもせず夏霞 小川玉泉 末黒野 201208
夏霞むインドネシアの島の影 山口キミコ 九十九島 201209
わだの原船まぼろしの夏霞 細川コマヱ 雨月 201209
夏霞 ほ、というように名を呼ばれ 中原幸子 船団 201301
人類の英知の塔や夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
夏霞動きて瀬戸の海近く 河野美奇 ホトトギス 201310
夏霞早起きをして紀の伊勢路 増田一代 201310
夏霞一枚となる空と海 小泉貴弘 春燈 201311
夏霞二つのタワー消ゆる都市 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
夏霞纏うても富士所在なほ 稲畑汀子 ホトトギス 201405
富士山の払ひきれざる夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201405
大利根を越えしかとんび夏霞 茂木なつ 春燈 201407
夏霞白巌洗ふ浄土ヶ浜 笠井清佑 201407
夏霞大海原となる琵琶湖 竹内悦子 201408
曳く船も曳かるる舟も夏霞 鈴木良戈 201409
幾重にも山脈あらむ夏霞 赤座典子 あを 201508
突堤も釣人も夏霞かな 志方章子 六花 201509
夏霞穂高と思ふ方を見て 白水良子 201510
よく晴れて播磨が灘の夏霞 山田六甲 六花 201605
泊船に水脈引く小舟夏霞 黒滝志麻子 末黒野 201608
夏霞毒にも薬にもならず 高橋将夫 201608
展望台目路の限りの夏霞 今越みち子 万象 201609
夏霞揺れて都心のビル揺るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
夏霞抜けて地球の丸さ見ゆ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
不運とは続くものなり夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
海近き山近き街夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201705
近江富士残し湖畔の夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201705
サミットの余韻包みて夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
高層の頂消ゆる夏霞 奈辺慶子 雨月 201707
富士山頂のこし山麓夏霞 宮本俊子 雨月 201708
土起す農夫も山も夏霞 宮本俊子 雨月 201708
そちこちと指差されても夏霞 安原葉 ホトトギス 201710
浚渫船べつたり座る夏霞 横田敬子 201712
包まれてゐると思へぬ夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201805
見慣れたる山遠ざけて夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201805
高速路先へ先へと夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201805
夏霞欠席多き小句会 稲畑汀子 ホトトギス 201805
夏霞より一景の富士となる 稲畑汀子 ホトトギス 201805
夏霞小樽優しく描きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
江戸の靄抜ければ蝦夷の夏霞 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
夏霞脱いで威を張る讃岐富士 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
夏霞青く嘶く馬を聞き 中林明美 船団 201805
島嶼とも半島ともや夏霞 浅井青二 雨月 201808
真実と嘘の境目夏霞 中西厚子 201809
夏霞より富士の景展けたる 稲畑汀子 ホトトギス 201905
五十キロ制限の道夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201905
うすうすと六甲所在夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201905
今日見えぬ旅の富士山夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 201905
コンビナート影の揺るがず夏霞 中根美保 風土 201907
太陽を四角に見する夏霞 赤座典子 あを 201908
夏霞旅の土産の富士隠す 松山潤子 京鹿子 201909
マリンタワーも大桟橋も夏霞 松本三千夫 末黒野 201909
夏霞軋む音たて船溜り 岡野里子 末黒野 201909
夏霞湾に行き交ふ船あまた 横路尚子 末黒野 201909
夏霞遠眼差しの少女像 岡野里子 末黒野 201909
かつて川なる道広く夏霞 立村霜衣 ホトトギス 201910
富士包みきれざることも夏霞 稲畑汀子 ホトトギス 202005
向う岸の街薄らと夏霞 村田武 やぶれ傘 202007
河岸段丘最上段の夏霞 森なほ子 あを 202107
汐入の運河錆色夏霞 岡野里子 末黒野 202109
明け初むる連山四方の夏霞 小山ほ子 末黒野 202109
夏霞富嶽を覆ひゆく仔細 稲畑廣太郎 ホトトギス 202205
かみしむる奥歯のなれり夏霞 北川孝子 京鹿子 202207
沖遠く汽笛去るなり夏霞 太田良一 末黒野 202209

 

2023年5月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。