菜 飯    111句

安曇野に野良着いま無し嫁菜飯   清水保

作品
作者
掲載誌
掲載年月
菜飯屋の三日の昼を賑へり 松崎鉄之介 199903
幕あひの菜飯田楽いただかな 大橋敦子 雨月 199905
菜飯食べ近づく父の享年に 大橋敦子 雨月 199905
海側の席に移りて菜飯食ぶ 野口光江 遠嶺 199906
妣の世の鍋釜重き菜飯かな 井田実代子 雨月 199906
花菜飯近頃嫁菜見当らず 山田夏子 雨月 199907
さて今日は菜飯あんかけ豆腐なり 平井奇散人 船団 199912
村営ホテル灯の明るくて菜飯食む 田中藤穂 水瓶座 200002
菜飯一膳善女ばかりと口ごもる 中原道夫 銀化 200004
傾城のそののち菜飯炊いてをり 華明日香 銀化 200006
本題に触れず菜飯を褒めてをり 川口襄 遠嶺 200007
手漕舟の婆のもたらす菜飯かな 水谷芳子 雨月 200105
物知りがゐてはかどらぬ菜飯かな 田中矢水 遠嶺 200106
会うてまた京に別るる花菜飯 神蔵器 風土 200106
日本酒は置かざる店や菜飯食ふ 舘泰生 風土 200107
たまさかの音なき雨や花菜飯 水井千鶴子 風土 200107
波高き岬の宿の菜飯かな 神山喜美代 遠嶺 200107
一膳の菜飯が美味し父の家 竹内旦 百鳥 200108
いやはや男の涙か菜飯食ふ 須賀敏子 あを 200204
納骨のはなむけに炊く嫁菜飯 山田弘子 円虹 200206
三河路の小さき旅籠や菜飯炊く 山本喜朗 雨月 200206
菜飯食ぶ齢になづむ語らひに 出口貴美子 雨月 200206
死角より耳順に近く菜飯食ぶ 鶴田独狐 銀化 200206
納骨といふ旅立ちの嫁菜飯 山田弘子 ホトトギス 200208
大勢の会に菜飯を炊き上げし 稲畑汀子 ホトトギス 200303
段取りは米とぎながら花菜飯 篠田純子 あを 200304
不惑とや呪文唱へて菜飯食ふ 高田令子 200305
お霊具に婆の炊きたる菜飯かな 古田考鵬 雨月 200307
輝ける一日生きて菜飯かな 丸山敏幸 200307
高菜めし小暗し肥後の昼御飯 井上信子 200309
玄海の潮香ありける菜飯かな 坂本ミヨノ 200312
鶏鳴や菜飯に添へる夫へメモ 加藤峰子 200401
結局は菜飯に誘ふこととなる 稲畑汀子 ホトトギス 200403
一と箸の馨も嫁菜飯なれや 大橋敦子 雨月 200406
ふるさとの野の香り来る嫁菜飯 志水千代子 雲の峰 200406
国東の仏と食べる菜飯かな 近藤幸三郎 風土 200407
阿蘇外輪山あそがいりん峠立野の高菜飯 陣野今日子 風土 200407
箸先にある野のみどり嫁菜飯 安達風越 雨月 200408
菜飯炊き呉るゝ長女ゐ老知らず 浅井青陽子 ホトトギス 200410
菜飯てふ色に食卓整へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200503
大根の葉の蘊蓄や菜飯炊く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200503
鈴鹿峠雨にけぶれる菜飯かな 成瀬櫻桃子 春燈 200504
さしこめる光まばゆし青菜飯 長谷川通子 雲の峰 200504
暮れてより風をさまりし菜飯かな 中野あぐり 春燈 200505
嫁菜飯むかし厨は土間なりし 河合大拙 百鳥 200506
おかはりを友につられて菜飯かな 菊池育子 遠嶺 200605
吹き荒るる日曜の夜の菜飯かな 糸井芳子 200605
さみどりは色の始まり嫁菜飯 高橋瑛子 河鹿 200606
青菜飯古女房のさしすせそ 陳錫恭 春燈 200606
嫁菜飯下げて北越線回り 三谷道子 万象 200606
菜飯炊く母の三十三回忌 田島勝彦 遠嶺 200607
好物の菜飯ができて夫を呼ぶ 荒幡美津恵 遠嶺 200607
地下街の小さな店の菜飯かな 岬雪夫 200702
山国のあをあをしたる菜飯かな 滝沢伊代次 万象 200702
ことことと仏壇仕立て菜飯かな 野中亮介 馬醉木 200704
大富士の真向ひにゐて菜飯喰ふ 加山ひさ子 万象 200706
菜飯出て歯に衣着せぬことを言ふ 保田英太郎 風土 200706
白寿逝く菜飯ふるまう顔のまま 中崎敞子 ぐろっけ 200707
花菜飯転がって来る笑ひ声 和田照子 200708
瀧見茶屋の山菜飯の菜飯めく 松崎鉄之介 200708
庭の枸杞つみて一人の菜飯かな 稲次登美子 雨月 200708
菜飯炊き呉れ句座賜ふ情はも 池田倶子 雨月 200708
嫁菜飯香る帰宅でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200803
きしめんに菜飯の付きし昼の膳 赤座典子 あを 200804
母しのぶよすがに炊きて嫁菜飯 溝内健乃 雨月 200806
好みたる蕪村の菜飯大晦日 石寒太 炎環 200903
わが機影太平洋に菜飯食 藤野寿子 あを 200904
やうやくに日差し見えけり花菜飯 木村傘休 春燈 200905
仏壇の菜飯まつすぐ湯気あげて 代田青鳥 風土 201006
みどり冴え湯気ほこほこと菜飯かな 堀田こう 雨月 201006
ことさらに故郷は遠し菜飯食ぶ 和田孝村 春燈 201007
さみどりの菜飯を供へ雛納 木村茂登子 あを 201105
衝立で仕切る入れ込み菜飯食ふ 根橋宏次 やぶれ傘 201107
隣席は菜めし弁当久留里線 久染康子 201204
炊きたての菜飯さみどり益子焼 青野安佐子 201205
そそらるる菜飯の色や御本手碗 近藤紀子 201206
ふるさとも遠くなりけり花菜飯 廣畑忠明 火星 201206
菜飯田楽帰国の夫に調ふる 藤原若菜 春燈 201207
思ひ出のみどりや母の嫁菜飯 小渕二美江 春燈 201207
心底を探られてをり嫁菜飯 前田美恵子 201207
家族なき吾におどろく菜飯かな 山尾玉藻 火星 201304
「をなご講」てふ姥の会花菜飯 松岡和子 201305
住職の法話も済みて食ぶ菜飯 米田文彦 かさね 201307
長雨の予報菜飯を炊かむかな 井上信子 201404
飯台の大きすぎたる菜飯かな 井上信子 201404
菜飯食ぶ木目美し木曽の椀 落合絹代 風土 201406
菜飯食ふお替りの箸すすみをり 村田岳洋 ろんど 201407
菜飯食ふのに二階までとほされて 根橋宏次 やぶれ傘 201507
菜飯炊き常より早き夕餉かな 外山節子 末黒野 201507
おかはりの菜飯やみどりの濃くありし 竹中一花 201605
宿場町の菜の花そふる菜飯かな 河本由紀子 春燈 201704
インシュリン腹に二単位花菜飯 篠田純子 あを 201704
三界に家ありてこの菜飯かな 永井惠子 春燈 201705
五十三次夫と歩きし菜飯かな 河本由紀子 春燈 201803
九十の母にこそあれ嫁菜飯 伊藤紫水 風土 201904
菜飯食ぶ小屋組高き土間の店 佐々木群 201906
梅雨時の菜飯炊きたる息子かな 出口誠 六花 201909
ままごとに妹できて花菜飯 清水れい子 船団 201910
菜飯炊く野の香厨に広げつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
渡し場の縁起を確と菜飯かな 高埜良子 春燈 202105
炊き上げて色香たちをり嫁菜飯 五十畑悦雄 202106
七時よりリモート句会菜飯食ぶ 藤井啓子 ホトトギス 202107
菜飯炊く美人女将といふ衿持 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
蘊蓄は塩にもありて菜飯炊く 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
ぐいと干すワイン仕上げは菜飯かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
窯焚きの菜飯一碗掻つ込めり 大文字孝一 春燈 202205
物相の型を崩さず菜飯かな 森田節子 風土 202205
藤穂さんへ献盃そして花菜飯 篠田純子 あを 202205
娶る子よ嫁ぎゆく子よ花菜飯 浜福恵 風土 202206
味噌焦ぐる匂ひ道まで菜飯茶屋 小田嶋野笛 末黒野 202208
久方に家族揃ひぬ嫁菜飯 志方章子 六花 202307

 

2024年2月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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