撫 子       128句

酔うて寝ん撫子咲ける石の上   芭蕉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
撫子のやうな彼女と思ひしが 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
撫子の彩に野の風従へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
植込みの撫子にビル高々と 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
撫子の風に疲れを見せ初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
借景として撫子の小山かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
なでしこの揃ひに父母もゐたまひき 小池文子 馬醉木 199910
野の草にまぎれ撫子ゆれをりぬ 朝妻力 俳句通信 199910
撫子や胸の豊かな聖母像 三代川次郎 俳句通信 199910
撫子や竹人形の胴細き 野口みどり 酸漿 199911
初恋の撫子ほどの記憶かな 富阪宏己 ホトトギス 200001
撫子の高さを視野に児の世界 富阪宏己 ホトトギス 200001
日も風も撫子に来て澄みにけり 富阪宏己 ホトトギス 200001
撫子の花のちりちりちりと咲く 蔦三郎 ホトトギス 200001
撫子を以て点在の彩となす 蔦三郎 ホトトギス 200001
撫子の多く語らぬ主張かな 荒川裕紀 ホトトギス 200001
撫子に溺れたる児の手が上がり 大塚信太 ホトトギス 200001
撫子といふ一草に野がしまり 大塚信太 ホトトギス 200001
撫子のピンクに少女期を語る 石川星水女 ホトトギス 200001
引寄せて引寄せて撫子の仔細 内藤悦子 ホトトギス 200001
撫子の一弁ごとの細工かな 内藤悦子 ホトトギス 200001
撫子の己がやさしさ故揺るる 内藤悦子 ホトトギス 200001
撫子に屈めば見ゆる世界あり 眞木礼子 ホトトギス 200001
撫子の雨意より早く濡れ色に 眞木礼子 ホトトギス 200001
耶蘇島の撫子風に埋れつつ 眞木礼子 ホトトギス 200001
すぐ萎えし男の摘みし撫子は 林直入 ホトトギス 200001
撫子や女性の強くなりたる世 林直入 ホトトギス 200001
美杉みち沿ひに撫子咲く川原 西村早史 ホトトギス 200001
沢道の尽き撫子が咲くところ 西村早史 ホトトギス 200001
頼りなき茎に撫子風情あり 西村早史 ホトトギス 200001
撫子のやさしき丘となりにけり 塙告冬 ホトトギス 200001
高原の駅撫子に降りたちぬ 塙告冬 ホトトギス 200001
撫子に絵心の揺れはじめたる 塙告冬 ホトトギス 200001
撫子や川原をわたる風白し 武井良平 ホトトギス 200001
撫子やホスピス前に小さき花舗 武井良平 ホトトギス 200001
探しゆくボールの先に撫子が 新道廣 ホトトギス 200001
木道の尽き撫子に引き返す 小森葵城 ホトトギス 200001
萎え残る撫子一花二花三花 小森葵城 ホトトギス 200001
撫子の瀬音に傾ぐ築地塀 小森葵城 ホトトギス 200001
撫子に秩父の雨の粒残る 田中藤穂 水瓶座 200002
撫子へ頑張らないのが一番よ 尾上有紀子 わがまま 200002
昨日まで名をなでしこと呼ばれけり 柿原金米 船団 200006
撫子や愛宕まゐりの登り口 中島陽華 200008
撫子に思はず首を傾げたり 宮本道子 酸漿 200010
撫子や花屋が昏き水流し 柳生千枝子 火星 200101
花撫子何時しか校歌和しゐたり 関薫子 百鳥 200112
撫子に夕日あまねししじみ蝶 倭文ヒサ子 酸漿 200112
撫子の重さは不意にくる親展 森あみ子 船団 200112
河原撫子急ぐは水の性なりし 柴田いさを 船団 200202
撫子や十年前と違ふ君 稲畑廣太郎 ホトトギス 200209
野の色といふ撫子は風のもの 稲畑廣太郎 ホトトギス 200209
撫子や遊女の墓は草産して 稲畑廣太郎 ホトトギス 200209
河原撫子もうをはりだつたはず 田口傳右ヱ門 銀化 200211
なでしこの花野の奥の水の音 陣野今日子 風土 200212
撫子は母校の記章庭に咲く 八木葉子 酸漿 200309
紅の濃き河原撫子摘み帰る 小笠原扶美女 築港 200311
撫子や暮色さしくる阿蘇五岳 岡山裕美 雲の峰 200311
伏して咲く撫子北の風岬 舩越美喜 京鹿子 200401
撫子やそのまま飛んで行きさうな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200408
撫子の花を撮さん四つん這ひ 辻恵美子 栴檀 200510
撫子の思ひつめたる目が真つ赤 浦玲良子 六花 200510
絶海の島撫子の一とむらを 江崎成則 栴檀 200511
揺れ通しの大和撫子アニョハセヨ 野村智恵子 八千草 200602

 病中

一莖の撫子またもよそ向ける

瀧春一 常念 200606
撫子や日本の未来どこへ行く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200609
撫子に六草の従うてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200609
なでしこや可愛かつたと過去形に あさなが捷 200702

 『益子』序句

萩すすき桔梗なでしこ益子焼

鷹羽狩行 200702
撫子を道々摘みて壺に溢れ 稲畑汀子 ホトトギス 200709
撫子を摘みて治めし車酔ひ 稲畑汀子 ホトトギス 200709
撫子の早早咲きて終りけり 松崎鉄之介 200711
撫子の咲いてそこより日本海 稲畑汀子 ホトトギス 200808
撫子を添へて返却文庫本 藤見佳楠子 200810
撫子とその名呼ばれし乙女かな 丑山霞外 炎環 200812
撫子と道にまよいて遇いにけり 宮嵜亀 船団 200903
撫子にまた躓いてをりにけり 小形さとる 200911
撫子や少年が跳ぶ水溜り 柳生千枝子 火星 201001
父に摘む撫子母に摘む野菊 大山文子 火星 201001
撫子や海風匂ふ山の陰 荒木甫 201001
撫子の風の無人がよかりけり 村上すみ 201001
撫子のゆれて摩耶山天上寺 谷村幸子 201010
もてあます程に撫子摘みにけり 山田六甲 六花 201010
不動寺に咲きて撫子浄土かな 井上幸子 酸奬 201012
河原撫子うたげのあとの燠にほふ 倉橋あつ子 京鹿子 201101
岳麓の撫子摘みし日の回顧 稲畑汀子 ホトトギス 201109
撫子の咲くや災禍の浄土浜 矢田有年 春燈 201110
なでしこへ径またまがることもして 豊田都峰 京鹿子 201111
撫子を加え別れのブーケとす 土屋青夢 ぐろっけ 201112
乙女らは強くしなやか小撫子 松本アイ ぐろっけ 201112
「かさね」とは八重撫子や翁の日 白神 かさね 201201
返り咲く撫子薄き日を集め 紅露恵子 万象 201203
虫取撫子咲きさきて指までも 窪田佳津子 雨月 201208
撫子や集まつてゐて淋しくて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
撫子の満開といふ句会かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
なでしこの詩を綴るごと咲きゐたり 佐藤喜仙 かさね 201209
なでしこが走るよ蹴るよ熱帯夜 千出百里 201210
河原撫子未明の雨を知らぬごと 松井洋子 ぐろっけ 201211
咲き満ちて河原撫子翳の花 江澤弘子 201212
なでしこに集へる三十四の瞳 山田六甲 六花 201306
撫子や夢二の描く乙女の瞳 佐藤淑子 201310
紅色のひとすぢ白きなでしこに ことり 六花 201311
風揺れの撫子も寄る誓子句碑 岡田満喜子 ぐろっけ 201401
なでしこといへば青春瞬けり 本多俊子 201411
一面に川原撫子忘れ花 森理和 あを 201501
撫子に日の本といふ褥かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201509
撫子や君の怪力見てしまふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201509
撫子も庭の一劃なせりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201509
撫子や手折りたをりてまた咲きぬ 今井充子 201511
撫子や母になるてふ娘の手紙 藤井啓子 ホトトギス 201601
撫子や思ひ出の帯捨てがたく 武生喜玖乃 雨月 201512
かはらなでしこ家にはいつも母がゐて 浜福恵 風土 201608
撫子やタカラジェンヌのやうに揺れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
撫子の書(ふみ)の余白にあるこころ 本多俊子 201611
異界への道撫子が道しるべ 久保夢女 201611
撫子咲く単身赴任の身の軽さ 杉本薬王子 風土 201611
撫子を父母の遺影の前に活く 荒井千佐代 201611
撫子を土瓶に風神雷神図 竹内悦子 201701
卒寿刀自育てたまひし撫子と 山田夏子 雨月 201710
朝の散歩唐撫子のかさね色 割田容工 春燈 201710
撫子が井戸端会議聞いている 林田麻裕 201712
撫子の切紙細工めく花弁 密門令子 雨月 201801
撫子や真水のやうな言葉受く 本多俊子 201812
撫子の広ごる裾野八ケ岳 沼崎千枝 末黒野 201812
前評判に大和撫子まぎれなし 鷺山珀眉 京鹿子 201910
河原撫子座りごこちのよきベンチ 増成栗人 202001
今日も又川原撫子畦に訪ふ 長崎桂子 あを 202009
川原撫子育てて母の年忌かな 浜福惠 風土 202011
撫子のうすくれなゐの睫毛かな 中杉隆世 ホトトギス 202012

 

2021年8月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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