雪 崩    30句

青天に音を消したる雪崩かな   京極杞陽   くくたち

作品
作者
掲載誌
掲載年月
国道をよぎる雪崩に巻き込まる 長尾岬月 円虹 199807

 石原八束氏本葬

大いなる峯雪崩れたまふかな

中原道夫 銀化 199810
遠雪崩鎭まり無音世界かな 柳生千校千 火星 199905
深ねむる出湯の渓や遠雪崩 吉本昴 馬醉木 199906
真昼間のつまづきに似て遠雪崩 星野早苗 空のさえずる 200002
雪なだれ聞きまいらせる師弟句碑 山田耕子 京鹿子 200004
衣擦れのややありて遠雪崩かな 小川真理子 銀化 200004
遠目にも雪崩と分かる雪けむり 舘林志津子 俳句通信 200004
尾根を行く雪崩寸前かも知れず 世古幸久 200006
頂に神雪崩にて又も死す 阿部寒林 200010
耳向けて鹿身じろがず遠雪崩 岡田貞峰 馬醉木 200105
神山の胸乳擦りて雪崩あと 小林呼溪 200203
石鎚山の雪崩るる煙中天に 麻生當子 200205
往診の道を遮る雪崩跡 田中信夫 春耕 200205
あしたよりひびく雪崩や雛納 長沼冨久子 馬醉木 200206
あなどれぬ雪崩の予報聞いてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200302
生還の一人雪崩を語りをり 稲畑汀子 ホトトギス 200302
父のこゑ耳底にあり遠雪崩 清水節子 馬醉木 200305
曲屋にひひな飾れば遠雪崩 岸のふ 馬醉木 200305
修羅落ちの雪崩ひびきの闇おどろ 下平しづ子 雨月 200305
月山へ太鼓打たるる雪崩かな 延広禎一 200306
雪崩とて戻れぬ客にふと母を 北吉裕子 雲の峰 200404
春を待つ蔵王こけしよ遠雪崩 岸のふ 馬醉木 200405
雪崩予報水位回復鳰の湖 大堀鶴侶 雨月 200406
雪崩情報山麓駅の黒板に 池田加代子 風土 200406
こはごはと踏み入り表層雪崩かな 伊藤希眸 京鹿子 200406
遠雪崩地球の尾骨かゆらかむ 伊藤希眸 京鹿子 200406
鹿の影いまは雪崩の外にゐる 伊藤希眸 京鹿子 200406
誰も気付かず谷の雪崩は消える頃 伊藤希眸 京鹿子 200406
山の神覚ます雪崩に農仕度 伊藤希眸 京鹿子 200406
一山の壊れむばかり雪崩けり 若林杜紀子 百鳥 200407
また余震廃墟の村に雪崩来る 服部菰舟 雨月 200504
山小屋に光を飛ばす雪崩音 佐々木ミツヱ 200505
増の面の笑ひ冷ややか雪崩音 佐々木ミツヱ 200505
語尾弱くなりたる兄へ遠雪崩 森早和世 ぐろっけ 200506
海に時化山に雪崩とギター弾く 藤田かもめ 200604
大雪崩跡ヘリコプター旋回す 密門令子 雨月 200605
又今日も雪崩注意の布令走る 稲畑汀子 ホトトギス 200702
雪崩かも知れぬ音より夜明けたり 稲畑汀子 ホトトギス 200702
大雪崩一山景を失へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
神よりも雪崩畏るる国であり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
雪崩など知らぬ平野に卒寿たり 本藤みつ 200704
銅鐸と剣見つかりし崖雪崩 浜田南風 200705
裏山の雪崩に醒めし星ひとつ 佐藤国夫 馬醉木 200705
春雪の大崩おおなだれなりふり仰ぐ 阿部ひろし 酸漿 200705
なだめても止らぬ雪崩なりしかな 高橋将夫 200706
夜鳴き鶏一羽二羽三羽遠雪崩 中田みなみ 200706
湯火照りのぬれ髪ふいに雪崩音 内山花葉 200804
雪崩禍の多き山道また迂回 博多永楽 雨月 200805
武具蔵の閂さすや遠雪崩 小森泰子 馬醉木 200807
蕎麦殻の旅の枕や遠雪崩 片山博介 春燈 200812
岳神の癇癪雪崩どよもせり 泉田秋硯 200905
湯めぐりに雪崩の音のきこえけり 大西八洲雄 万象 200908
軒雪崩とほくに聴きし寝覚かな 三代川玲子 春燈 201004
いささかのズレにはじまる雪崩かな 高橋将夫 201005
身ほとりに湯の花匂ふ遠雪崩 北川英子 200605
大雪崩とは人間の心にも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
地走りの底を刳りて雪崩来る 葉山彰 ろんど 201105
犀根雪崩思はず腰の浮きにけり 西出俊子 酸漿 201105
雪崩去る一期は夢よ舞ひ給へ 松田都青 京鹿子 201106
遠雪崩木地師ひたすら轆轤ひき 塩見英子 雨月 201106
小雪崩を斜面にとどむ風倒木 工藤ミネ子 風土 201206
雪崩いまひつきりなしの泊りかな 前田恵美子 青鷹 201210
道塞ぐ小さき雪崩にある生活 稲畑汀子 ホトトギス 201302
轟音の遅れて届く底雪崩 杉本光祥 201305
俳号が雪崩のやうに決まる君 稲畑廣太郎 ホトトギス 201402
大雪崩一山消えてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201402
人小さく雪崩に呑まれゆく速さ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201402
雪崩音立てて届きし師の訃報 横山昭子 雨月 201406
切妻の雪崩刻々陽のつらら 上家弘子 ろんど 201406
音もなく風もなく大雪崩跡 成田美代 201407
日隠れて 竹生島 ちくぶ へ雪崩ひびきけり 山田六甲 六花 201503
軒に干す男の下着雪崩音 山田六甲 六花 201503
結露条為す雪崩予報の雨となり 柳本渓光 ろんど 201504
子守唄雪崩おこさぬやう唄ふ 有松洋子 201505
山小屋の耳をあつめて遠雪崩 土屋草子 ろんど 201505
鹿島槍北峰けがす雪崩あと 池田友之 夏雲 201603
掴みたる枝の弾めり遠雪崩 中田みなみ 201605
想ひ出のこもる山の湯遠雪崩 柴崎富子 春燈 201605
比良はきつと雪崩釦をみな掛ける 井上菜摘子 京鹿子 201606
遠雪崩いつたんお開きにしやう 井上菜摘子 京鹿子 201607
遭難を怖るる雪崩なりしかと 稲畑汀子 ホトトギス 201702
ただ聞くも人事ならず雪崩かな 稲畑汀子 ホトトギス 201702
雛飾る雪崩の音を聞きながら 千葉惠美子 末黒野 201706
人事と思へど雪崩怖ろしく 稲畑汀子 ホトトギス 201802
白といふ色にひそめてゐし雪崩 稲畑汀子 ホトトギス 201802
体験の話の中の雪崩とて 稲畑汀子 ホトトギス 201802
雪崩てふ雪の怖さを聞くばかり 稲畑汀子 ホトトギス 201802
九天の闇を揺るがす大雪崩 小張志げ 春燈 201805
谺みな山に籠りぬ遠雪崩 佐藤喬風 末黒野 201904
遠雪崩こけしは肩をすぼめけり 柴崎富子 白地 201909
完壁に発生したる雪崩かな 高橋将夫 202005
横積みの書が雪崩れけり昼の虫 山田六甲 六花 202011
疫病を一喝したしとて雪崩 稲畑汀子 ホトトギス 202102
雪崩くる太陽を消し空を消し 木暮陶句郎 ホトトギス 202109
寝付かれぬ闇夜の奥の遠雪崩 秋山蔦 春燈 202205
劇聖の睨みの誘ふ遠雪崩 阿部眞佐朗 202205
遠雪崩友逝きてより半世紀 蔵岡信彦 京鹿子 202206
ぽつかりと黒き山肌雪崩あと 谷貝美世 末黒野 202206

 

2023年2月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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