室の花〈室咲〉       189句

室咲や何も教へぬ師のありき    亀田虎童子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
母真似の幼の仕草室の花 高木篤子 ぐろっけ 199903
空想に遊ぶひととき室の花 石山惠子 遠嶺 199904
室咲の花を戻して客間閉づ 稲畑汀子 ホトトギス 200001
客あれば客間に運ぶ室の花 稲畑汀子 ホトトギス 200001
室の花訃報にさして驚かず 山口淳子 銀化 200002
選句業なまけたき日の室の花 鷹羽狩行 200002
室の花返事はいまだ胸の内 いしだゆか 遠嶺 200003
労はりの留守番電話室の花 岡本眸 200003
室咲きの長女うづくまつてをり 田中亜美 海程 200004
室の花飾りて画廊開きかな 居川成実 200005
室咲きの花びら渇く楽屋かな 居川成実 200005
管弦楽室咲長き葉を揺らし 藤田宏 200101
室咲やテープより出づ妻の声 藤田宏 200101
室咲や姪来て何かして呉れる 岡本眸 200101
抱へ来るまなざし深し室の花 林裕子 風土 200102
地下にある放射線科や室の花 代田青鳥 風土 200103
昏れてより雪舞ふホテル室の花 阿久津都子 春耕 200103
父の忌の畳を歩く室の花 盛良孝 200103
しんしんと夜を書き継ぐ室の花 岩田育左右 遠嶺 200104
永別の人形かとも室の花 大橋敦子 雨月 200104
室咲の蘭を残して父逝きぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200106
室咲の百万本の薔薇君に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200106
室の花待合室の手話母子 赤座典子 あを 200112
温室の花満たし祝がるる米寿かな 林翔 馬醉木 200201
見舞はれし人を見舞へる室の花 長沼三津夫 200202
室の花ふやして母の老い上手 楠原幹子 200203
むつかしき頁に栞室の花 清水晃子 遠嶺 200204
室の花ひかりの色をよりてをり 佐藤ナオ子 遠嶺 200205
病室に戻る明るさ室の花 二村蘭秋 雨月 200205
忽と散る室の花弁や会たけなは 染谷晴子 200206
不機嫌を放られてゐし室の花 戸栗末廣 火星 200207
潮騒の聞こえる温室の花苺 岡村美恵子 春耕 200207
深き夜の窓打つ風や室の花 岩田育左右 遠嶺 200302
児の写真入れ換へてをり室の花 府川房江 遠嶺 200303
雲迅し波しづまりて室の花 山本田津子 200303
肉色の花びら垂れて室の花 鷹羽狩行 200303
古文書を学ぶ若人室の花 今井松子 遠嶺 200304
芸術派科学派とゐて室の花 花島陽子 遠嶺 200305
玄関に大きな鏡室の花 山田閏子 ホトトギス 200306
室の花夫より介護受くる日々 高畠陽子 河鹿 200402
辛きこと少なく生きて室の花 柴田靖子 200402
手鏡を食み出せる顔室の花 鹿志村正子 対岸 200402
室の花睡たき日射机上にも 岡本眸 200402
室咲きの薔薇つややかに造花めく 下川智子 200403
室咲きにややも疲れの中日かな 柿沼盟子 風土 200403

江國香織さんの直木賞受賞を祝して

色よりも香りを艶に室の花

鷹羽狩行 200403
室咲を柩の君の顔に 神田一瓢 雨月 200404
入札の是非を口論室の花 高田令子 200404
魔がさすは便利な言葉室の花 あさなが捷 200405
室咲の機嫌よき鉢悪しき鉢 山田弘子 ホトトギス 200407
大切にして飽きてゐる室の花 山元志津香 八千草 200409
口癖のどうにかなるさ室の花 松橋利雄 春燈 200501
室咲に囲まれしより家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 200502
室咲といふ現実と夢の中 稲畑汀子 ホトトギス 200502
産土へ帰る家なし室の花 北圃愛子 帆船 200503
人を祝ぐゆゑの盛装室の花 小澤克己 遠嶺 200503
飾り窓姫君めきし室の花 村田菊子 遠嶺 200503
待たさるる検診結果室の花 芳賀雅子 遠嶺 200504
睡たくて子の手やはらか室の花 田中昌子 200504
船室の花籠ゆるる麦の秋 飯塚ゑ子 火星 200508
音立てて時は流れつ室の花 林翔 200602
陽の当る廊下へみたす室の花 寺田文子 200602
室咲きや負け組娘(こ)らの強きこと 西田久子 四葩 200603
室の花柩の姉の顔に 神田一瓢 雨月 200603
室の花老母が肩を揉み呉れぬ 高千夏子 200603
贋作の絵に囲まれて室の花 八木章帆 200606
しばらくは笑ひのるつぼ室の花 環順子 夢帽子 200608
室咲やたちまち客間出来上がる 稲畑汀子 ホトトギス 200701
室咲や白衣なじみて研修医 水原春郎 馬醉木 200702
室の花心待ちする最終回 赤座典子 あを 200702
月光に眠れずにゐる室の花 鈴木勢津子 200704
室の花エスカレーター上り海 瀬下るか 200704
室咲の梅に受診の胸はだく 池田かよ ぐろっけ 200705
余生なほ迷ひ消えざる室の花 峯桜子 遠嶺 200705
室咲や子のやさしさに甘えをり 岡本眸 200705
室の花贈り君とは今日限り 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
室咲のカトレア飾り客を待つ 稲畑汀子 ホトトギス 200802
室咲きの夜来香の香に溺る 丹生をだまき 京鹿子 200802
鉢より葉こぼれんばかり室の花 矢島久栄 200803
室の花医者が患者に突かれをり 三浦ゑおり 風土 200803
祇園町の入口の花舗室の花 久保田雪枝 雨月 200803
祝宴の身仕度せかす室の花 西澤ひで子 遠嶺 200803
室咲をわが子の如く育てをり 綿谷美那 雨月 200804
いつときは海に日のさす室の花 服部早苗 200804
楽日とて子に差入れむ室の花 本多正子 雨月 200804
室の花市民カードの音百景 府川房江 遠嶺 200806
室咲きの繚乱縛す荒筵 瀧春一 深林 200901
室咲きや妖し浅草東洋館 岸ゆうこ 炎環 200902
巡り来る夫の忌日や室の花 谷寿枝 酸漿 200902
振り袖の群れゐるロビー室の花 吉田空音 炎環 200903
夢を見る真白き部屋に室の花 田中みのる 火星 200903
室の花謝辞しみじみと沁沁と 数長藤代 200904
辞書散らかして室の花散らかして 宮本佳世乃 炎環 200904
室咲がきて空つぽの家満たす 辻直美 200904
年寄におやつの時間室の花 大山文子 火星 200904
変はりなき日々の幸せ室の花 村田文一 遠嶺 200905
海見ゆる茶房の椅子に室の花 土井三乙 風土 200905
室咲や内緒話をまたも聞き 坂本節子 200908
そののちを咲き継ぎゆきし室の花 稲畑汀子 ホトトギス 201002
嚥下やや衰ふ母や室の花 成宮紀代子 201002
一言も喋らぬ夜あり室の花 上田幸夫 ぐろっけ 201002
同病の人達優し室の花 波田美智子 火星 201003
厨より妻の歌声室の花 河瀬俊彦 遠嶺 201004
室の花喪中の電話黙しがち 鳳蛮華 201004
室の花かざりし面のうす埃 今井松子 遠嶺 201005
癒ゆる夢捨て室の花求めけり 米山やすえ 末黒野 201005
翻訳は創作に似て室の花 細川洋子 201102
服薬のための三食室の花 藤原照子 201102
室の花投薬ひとつ減りにけり 芝尚子 あを 201102
室の花艶なる色を眩める 谷岡尚美 201105
百年を生きし母の忌室の花 深澤鱶 火星 201105
室の花明日を約してをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
室咲や背中合せにゐる時間 コ田千鶴子 花の翼 201111
天井をカルテの巡る室の花 成宮紀代子 201202
蝶の羽ゆるりと開く室の花 河崎尚子 火星 201203
オフィス昼コップの水を室咲に 塩田博久 風土 201203
室の花隠れて会ひし喫茶店 上田雪夫 ぐろっけ 201203
一人居の地震は怖し室の花 赤座典子 あを 201203
一隅の明るくなりし室の花 中田禎子 201204
紅の盛りすぎたり室の花 鎌田慶子 ろんど 201205
室咲や色の彫刻「羽衣舞」 鈴木石花 風土 201302
室咲の木瓜の莟の落易く 赤座典子 あを 201302
残響のピアノに揺れて室の花 植田桂子 馬醉木 201303
労りは言葉にならず室の花 土井ゆう子 風土 201305
眼光につくづく倦みし室の花 細川洋子 201305
美しく老ゆる講座や室の花 田嶋洋子 七線譜 201306
美容師は男性ばかり室の花 宮田千優 京鹿子 201306
末の子のリップサービス室の花 生田恵美子 風土 201402
幕間の楽屋見舞ひや室の花 菅野日出子 末黒野 201403
室の花嬰抱くやうに届きけり 堀田順子 馬醉木 201404
優しさもすぎれば怠惰室の花 鈴木セツ 201404
咲き揃ふ父丹精の室の花 落合裕子 万象 201405
美容院窓辺に室の花咲かせ 伊東和子 201405
室咲きの花に眼鏡のくもりけり 柴田志津子 201501
室咲きやただのピンクのかたまりで はしもと風里 201503
出ぬ声に手話めく会話室の花 橋場美篶 末黒野 201503
室咲のコイン一つで足りる鉢 生田恵美子 風土 201504
旅子にも持たせてやりぬ室の花 瀬川公馨 201504
ヒマラヤの芥子淡淡と室に咲く 田伏博子 ろんど 201505
室の花夫が家居のピアノ鳴り 中原吟子 雨月 201505
解かれしリボン残れり室の花 野中亮介 馬醉木 201601
雨音に包まれてゐる室の花 高橋将夫 201602
用箋を選りて書く文室の花 坂場章子 201603
何くれと調度増やして室の花 箕輪カオル 201603
子ら遠し廊下に増やす室の花 田中藤穂 あを 201604
逃げやすき冬の日差しや室の花 笠井敦子 201604
名の札は片仮名多し室の花 宮西修一 万象 201605
室咲きや包みこんだる四方の闇 久保東海司 201702
室咲の残り香に酔ひ昇降機 江島照美 201702
会ふたびに小さくなる母室の花 能勢俊子 馬醉木 201702
室咲きや波止場に小さきティールーム 下山田美江 風土 201702
浅炒りの珈琲の香や室の花 中嶋陽子 風土 201702
農協に室咲きを買ひ卵買ひ 大島英昭 やぶれ傘 201703
室咲きや包み込んだる四方の闇 久保東海司 201704
見送りて俄かに寂し室の花 はしもと風里 201803
早すぎるあひづち咲きすぎる室の花 はしもと風里 201803
発熱の夕べの電話室の花 はしもと風里 201803
室咲きの白百合の香と薪の香 火箱ひろ 201803
リボンにも似て室咲の赤き花 黒滝志麻子 末黒野 201803
室咲の大菊束ね能登土産 大坪景章 万象 201803
靴脱ぎて入る異人館室の花 三輪温子 雨月 201804
少しづつ窓辺を移し室の花 笹村政子 六花 201805
室咲きや床の高さに高瀬川 柿沼盟子 風土 201902
室咲きの蘭を愛で来てドライカレー 塩貝朱千 京鹿子 201903
マクロンのフランス遠し室の花 須賀敏子 あを 201903
室咲は夢見る花と思ひけり 細川洋子 201904
室咲きの溢れ病院内の花舗 長谷川翠 馬醉木 202001
ひとり碁の背を繕はず室の花 小倉征子 202002
室咲やロビーで開く独唱会 千葉禮子 202002
バイオリズムの狂ひはじめる室の花 はしもと風里 202003
室の花封書を秤る針の揺れ 成宮紀代子 202003
昼食はうな重と決め室の花 中村洋子 風土 202004
老い心和みて清ら室の花 種田利子 春燈 202004
室の花さして明るき山家かな 石井美智子 風土 202011
室の花封書を秤る針の揺れ 成宮紀代子 202101
モノトーンに床の木洩れ日室の花 塚原紀代子 風土 202102
羽生の舞辻井の「月光」室の花 赤座典子 あを 202102
室の花愛でナチュラリストを自称 本多遊方 春燈 202103
独り居の小窓飾るや室の花 柿原よし子 春燈 202103
古傷の疾く夕べや室の花 玉川利江 末黒野 202103
トラックに彩のあふれぬ室の花 秋山文子 末黒野 202103
六歳の洋舞の色や室の花 七郎衛門吉保 あを 202201
室咲や出窓の猫ののびをして 天野美登里 やぶれ傘 202201
酔ひ醒めの水少しやる室の花 関根瑶華 202202
幽閉に解放感あり室の花 奥田筆子 京鹿子 202203
人の名を思ひ出せずに室の花 山田ゆきこ 202204
室咲きの今し気高し胡蝶蘭 林いづみ 風土 202204
室咲きの並ぶ花屋に丁度客 大島英昭 やぶれ傘 202205
ビバルディ蕾ふつくら室の花 佐藤千恵 京鹿子 202205
頼らるることは幸せ室の花 森清信子 末黒野 202205
温室の花の呼吸のうづにをり えとう樹里 202210

 

2022年12月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。