2023年10月9日

椋 鳥     186句

椋鳥渡るいまさら軍歴證明書    高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
椋鳥がきて風琴(オルガン)となる一樹
小澤克己
遠嶺
199901
シャツ買ってみて椋鳥の騒々し
別府優
199901
椋鳥の並びてゐたる昼寝覚
山尾玉藻
火星
199907
椋鳥の群に優しい森である
小倉喜郎
船団
199912
椋鳥に半端な色の棗の実
櫻井多恵
200002
椋鳥につひに取られし巣箱かな
大塚洋子
酸漿
200007
椋鳥育つ我と一枚の板距て
村松紅花
ホトトギス
200009
親椋鳥の這入り戸袋騒然と
村松紅花
ホトトギス
200009
椋鳥の井戸端会議今佳境
稲畑廣太郎
ホトトギス
200010
さういへば地震より椋鳥の来ぬ庭木
山田弘子
円虹
200012
椋鳥よすこし鳴きすぎでないですか
斎藤白砂
海程
200101
椋鳥の巣を組む雨戸立てしまま
笠原フミ
酸漿
200107
夕暮や椋鳥の声満つ大欅
児島千枝
春耕
200110
椋鳥の塒の牧へ羽音たて
福田町子
春耕
200111
枯芝の木椅子椋鳥来てあたたまる
渡邉友七
あを
200112
椋鳥の息合ふ群よ秋の空
小浦遊月
酸漿
200201
椋鳥を一樹に集め日没前
有山八洲彦
200204
椋鳥の巣立ちに群れし鴉かな
赤座典子
あを
200207
椋鳥の一瞬といふ静寂かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200210
椋鳥に都心夕暮迎へけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200210
たちまちに椋鳥の群横ならび
早崎泰江
あを
200211
椋鳥の数恐ろしき被爆の地
瀬戸悠
風土
200212
竜巻のごと椋鳥の群上がる
安藤誠子
築港
200301
椋鳥に揺るる黷笂を揺する
斉藤静枝
あを
200301
椋鳥や群れて若さを補へり
松本鷹根
京鹿子
200303
山晴れて椋鳥は死の脚くぐむ
山田六甲
六花
200303
清明の雨に椋鳥軒にをり
永見博子
酸漿
200306
椋鳥の羽音もろとも合流す
及川茂登子
対岸
200310
椋鳥の陣太田の渡しよぎりけり
田中英子
200311
脇本陣卯建をかすめ椋鳥渡る
田中英子
200311
椋鳥の来る風濤のやうに来る
小澤克己
遠嶺
200311
椋鳥の騒然と翔つ明けの空
佐藤なか
遠嶺
200312
戸袋の椋鳥出入り明け易し
山本敦子
万象
200409
椋鳥の占め神木でありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200410
椋鳥の大樹に群れて夢をみる
安部里子
あを
200410
椋鳥の群を分けたる大樹かな
小林朱夏
200411
椋鳥の群智恵子の空の広さかな
田嶋洋子
春燈
200411
無勢なる椋鳥へ強気の声がくる
伊藤早苗
200501
椋鳥飛べりひろがりちぢみ縦に伸び
宮津昭彦
200502
椋鳥の歩は母に似て吾も似る
卯木堯子
春燈
200502
椋鳥のこゑどよもして城の天
淵脇護
河鹿
200503
椋鳥の森動かしてをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200510
被災地に椋鳥の塒の失せしこと
稲畑汀子
ホトトギス
200510
鳩や椋鳥庭に来てゐる涅槃の日
田所節子
涼しき嵩
200511
楡一樹椋鳥の大群収めけり
菅野末野
風土
200511
椋鳥湧けり水位ひとしき湖三つ
村上一葉子
200512
河川敷夕日に膨るる椋鳥の群
村上一葉子
200512
椋鳥の消えたる空の坩堝かな
近藤喜子
200512
椋鳥の塒騒ぎはひたと止む
泉田秋硯
200601
柿の実を争ふ椋鳥見つめをり
佐野つたえ
風土
200601
街路樹に椋鳥さわぐ去年今年
大串章
百鳥
200602
椋鳥の群が群呼ぶ日短か
菊地惠子
酸漿
200602
椋鳥の数に等しき柿のあり
大山妙子
酸漿
200603
おびただし塒の椋鳥のシルエット
芦川まり
八千草
200604
いち早く椋鳥の従ふ神渡し
本城布沙女
雨月
200604
ドン山の花アカシアを椋鳥啄む
松崎鉄之介
200608
椋鳥に見守られつつ田掻かな
小野タマ枝
酸漿
200608
椋鳥を集め一樹が森となる
小林朱夏
200610
椋鳥の群を吸ひ込む欅かな
吉田明子
200612
児童居ぬ校庭椋鳥の群の来し
山田夏子
雨月
200612
鉄塔に椋鳥の大群夕茜
野中啓子
200702
椋鳥の群来て一樹ふくれけり
山下佳子
馬醉木
200702
怒濤寄すごとく一樹へ椋鳥の群
安原葉
ホトトギス
200706
渦巻きて椋鳥の大群海へ出づ
田中久仁子
万象
200708
快晴の広き空あり椋鳥来る
稲畑汀子
ホトトギス
200710
からだぢゆう震はせ椋鳥の子の鳴けり
金居欽一
万象
200710
椋鳥や旧家の護る屋敷林
塩出博久
風土
200712
椋鳥わたる雲のさざ波押しひらき
森ひろ
馬醉木
200801
椋鳥の子の綿のかろさの鼓動かな
加藤和子
万象
200801
椋鳥の降りて一樹の膨らめり
中山三渓
200801
椋鳥の羽音一斉甲子園
井上あき子
ぐろっけ
200802
椋鳥をすべて収めて大樹なる
鎌倉喜久恵
あを
200811
指揮者をるごとく椋鳥反転す
佐藤山人
200902
杉竝区大字竹林字椋鳥
佐藤喜孝
あを
200908
椋鳥の群大樹一つに納まりぬ
石原光徳
酸漿
200911
天帝の操る椋鳥の群舞かな
塩路五郎
200912
椋鳥のどつと越えたる千曲川
彦根伊波穂
201001
椋鳥の塒に街の灯りかな
佐藤和子
万象
201001
椋鳥が三羽病む窓よぎりゆく
大橋敦子
雨月
201001
椋鳥の錯綜し街暮るるなり
原田達夫
201001
人間はただ見上ぐのみ椋鳥の群
原田達夫
201001
椋鳥のむれ湯畑に近寄らず
小林玲子
ぐろっけ
201001
城跡に影落しゆく椋鳥の群
山本典子
201002
椋鳥の先頭群れを引きつれて
奈佐幸子
201002
椋鳥のげに騒がしく村昏るる
相沢有理子
風土
201002
裸木に和むや椋鳥と寒鴉
大坪貞子
万象
201004
椋鳥の尿かけらるる石切場
福田雅子
万象
201010
騒がしき椋鳥抱く夜の大樹
大木清美子
201011
椋鳥の群操るは天の神
塩路五郎
201012
夕づくや椋鳥群れ騒ぐ町の空
鍋島武彦
末黒野
201012
駅前の鳥駆逐劇消防車
泉田秋硯
201101
椋鳥の寝ねよき枝を奪ひ合ふ
岩下芳子
201101
回遊魚めき椋鳥の乱高下
坂場章子
201101
椋鳥を一飲みにして昏るる一樹
園部早智子
ろんど
201101
椋鳥のねぐらの脇を急ぎ過ぐ
佐野つたえ
風土
201102
ひとしきり椋鳥騒ぐとんどかな
奥田順子
火星
201104
大群の椋鳥山を越えてくる 滝沢伊代次 万象 201110
不夜城の街に昂ぶる椋鳥の声 中島玉五郎 201112
椋鳥と風入りふくらむいぐねかな 小林輝子 風土 201112
虚ろなる刻覚ましたる椋鳥の声 岩月優美子 201201
田の神の一樹とり巻く椋鳥のこゑ 原田しずえ 万象 201201
翻へるたび色変ふる椋鳥の群 小林輝子 風土 201201
駅前の夕空椋鳥の波状攻め 藤原照子 201201
椋鳥の黒き塊急旋回 山口キミコ 201202
ユニゾンの椋鳥の一樹となりぬべし 瀬川公馨 201202
椋鳥の群れ組み易し散り易し 鈴木一三 末黒野 201203
椋鳥の群れ寒夕焼に真向ひぬ 山口千代子 万象選集 201205
椋鳥の黒き塊旋回す 九十九島 山口キミコ 201209
塒出て椋鳥の行先ある如く 稲畑汀子 ホトトギス 201210
椋鳥と気づきたるより二羽三羽 稲畑汀子 ホトトギス 201210
椋鳥の来てゐる庭と気づきたる 稲畑汀子 ホトトギス 201210
狼籍の椋鳥でありしもなつかしく 稲畑汀子 ホトトギス 201210
災害に椋鳥の塒の失せし藪 稲畑汀子 ホトトギス 201210
紛れ来し椋鳥に気づかれをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201210
大群の椋鳥山を越えてくる 滝沢伊代次 万象 201110
不夜城の街に昂ぶる椋鳥の声 中島玉五郎 201112
椋鳥と風入りふくらむいぐねかな 小林輝子 風土 201112
虚ろなる刻覚ましたる椋鳥の声 岩月優美子 201201
田の神の一樹とり巻く椋鳥のこゑ 原田しずえ 万象 201201
翻へるたび色変ふる椋鳥の群 小林輝子 風土 201201
駅前の夕空椋鳥の波状攻め 藤原照子 201201
椋鳥の黒き塊急旋回 山口キミコ 201202
ユニゾンの椋鳥の一樹となりぬべし 瀬川公馨 201202
椋鳥の群れ組み易し散り易し 鈴木一三 末黒野 201203
初椿待ちかね椋鳥の通ひ来る 赤座典子 あを 201204
椋鳥の群れ寒夕焼に真向ひぬ 山口千代子 万象選集 201205
椋鳥の黒き塊旋回す 山口キミコ 九十九島 201209
塒出て椋鳥の行先ある如く 稲畑汀子 ホトトギス 201210
椋鳥と気づきたるより二羽三羽 稲畑汀子 ホトトギス 201210
椋鳥の来てゐる庭と気づきたる 稲畑汀子 ホトトギス 201210
狼籍の椋鳥でありしもなつかしく 稲畑汀子 ホトトギス 201210
災害に椋鳥の塒の失せし藪 稲畑汀子 ホトトギス 201210
紛れ来し椋鳥に気づかれをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201210
たそがれの光を載せて椋鳥の群 塩路隆子 201211
椋鳥の群なす一樹二樹その他 妹尾貞雪 春燈 201301
看板は昔の女優椋鳥渡る 柴田志津子 201301
海峡を片寄せて椋鳥渡りけり 柴田佐知子 201303
椋鳥の塒より立つ空広し 稲畑汀子 ホトトギス 201310
海峡のしぶきを浴びて椋鳥渡る 柴田佐知子 201311
敗走の空に道あり椋鳥の群れ 丸井巴水 京鹿子 201311
椋鳥の群の乱舞や夕くるる 山口登 末黒野 201401
百二百椋鳥入れて樹の昏れてゆく 佐藤淑子 雨月 201401
夕影や急旋回の椋鳥の群 布施由岐子 末黒野 201402
濃きコーヒー淹るる夕暮椋鳥渡る 鈴木一恵 末黒野 201402
椋鳥の中心にある裁判所 田彰子 船団 201403
裸木に椋鳥の群なす夕茜 菅野日出子 末黒野 201404
一羽とて椋鳥こぼれざる夜闇 山尾玉藻 火星 201410
椋鳥の群の渦巻き渦を解き 廣瀬雅男 やぶれ傘 201411
さざめきて椋鳥の塒の大欅 大内由紀 末黒野 201501
あゆむ時椋鳥肩をそびやかし 塩田博久 風土 201501
大寺に椋鳥の寄る大樹あり 内藤静 風土 201501
椋鳥の棲みつく一樹家古りて 小池一司 やぶれ傘 201502
椋鳥の群はいづこ羽休む 鈴木眞貴 京鹿子 201503
椋鳥の餌を奪ひ合ふ寝正月 平川陽三 船団 201508
気をつけよ椋鳥の樹下とはすさまじき 加藤峰子 201512
夕空や千の椋鳥右往左往 岩下芳子 201601
唐津街道さらにせばめて椋鳥渡る 柴田志津子 201601
小さき群容れて膨らむ椋鳥の群 水野加代 万象 201602
椋鳥の群れ遠心力に大うねり 立村霜衣 ホトトギス 201603
椋鳥や旅の日暮はすぐに来て 菊地光子 201612
かはたれの空椋鳥の影ふくらみぬ 水野加代 万象 201612
風に乗る椋鳥の群夏空に 工藤はる子 201612
青空をたつぷり使ひ椋鳥渡る 森真二 201612
椋鳥の発ちし大樹の日暮かな 笹村政子 六花 201702
椋鳥の群れ降りむれ発ちむれ降りぬ 荒木甫 201703
鵯鶫椋鳥争奪の木守柿 沼澤石次 馬醉木 201704
一瞬の一枚となる椋鳥の空 稲畑汀子 ホトトギス 201710
椋鳥の来てゐし庭と気づくまで 稲畑汀子 ホトトギス 201710
我が家にも椋鳥の群れ来し昔あり 稲畑汀子 ホトトギス 201710
木枯の来るぞと椋鳥の群れ騒ぐ 内山花葉 201712
雑居ビル椋鳥の大群降らしけり 田辺博充 201801
長雨に椋鳥の瞬く樹上かな 瀬川公馨 201801
捨舟に椋鳥のゐる河口かな 笹村政子 六花 201712
竹林に椋鳥の塒や冬満月 須賀敏子 あを 201804
椋鳥の空の南北擁むなり 東英幸 船団 201806
椋鳥の飛来ひたすら待つレンズ 日置游魚 201811
江東のかさ上げ護岸椋鳥来 小林文良 春燈 201812
椋鳥の群反転神の島の上に 谷陽右 馬醉木 201901
椋鳥の巣穴となりし椎の幹 箕田健生 やぶれ傘 201912
肉声は御法度木上椋鳥のこゑ 瀬川公馨 201912
椋鳥鳴いて街忙しなく暮れゆけり 山岸明子 202002
草刈り機四五羽の椋鳥従へて 田尻勝子 六花 202009
椋鳥渡る学園都市の夕映えに 成宮紀代子 202010
夕暮れの椋鳥めまぐるしき布陣 由良則子 202011
椋鳥は益鳥なれど荒すかな 長崎桂子 あを 202011
冬凪の干竿に椋鳥きてとまる 藤井美晴 やぶれ傘 202103
椋鳥の来てゐる声と聞き分けて 稲畑汀子 ホトトギス 202110
投網でもあらばと思ふ椋鳥の群れ 森岡正作 202112
椋鳥の一羽の去らぬ日暮れかな 田中藤穂 あを 202204
椋鳥の空袈裟懸けにして消ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202210
椋鳥の空の揺らぎや武道館 鈴鹿呂仁 京鹿子 202212
椋鳥の徒党夕日の空半分 鷺山珀眉 京鹿子 202301
椋鳥の百ゐて空の傾けり 西村白杼 京鹿子 202301
椋鳥の落暉巻き込むうねりかな 石原孝人 京鹿子 202301
椋鳥の群れて大空重くなる 松山潤子 京鹿子 202301
椋鳥の下を通って夕支度 佐藤竹僊 あを 202302

 

2023年10月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。