百足虫     92句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
百足虫打つ女は眉に力見せ 山田弘子 「春節」 199503
鶏のひと突き百足虫逆上す 廣渡絹代 船団 199811
祖は何と百足虫にきけばむげんむげん 丸山佳子 京鹿子 199812
地下鉄や方向音痴の大百足 山内崇弘 海程 199911
絶命の百足虫の足を数えたり 荻野美佐子 船団 199912
長足の進歩蜈蚣となりてより 中原道夫 銀化 200008
襟を匐ふ百足虫を素手で払ひけり 合川月林子 ぐろっけ 200009
使はれぬ農家の井戸に大百足虫 合川月林子 ぐろっけ 200009
百の足使へど百足虫速からず 田中嘉代子 ぐろっけ 200010
恋猫の傷に百足の油塗る 遠藤アサ子 赤井 200103
蛇・蜈蚣除け者とせず涅槃図は 梅沢春子 200105
足で身を鎧ひ百足虫の出でにけり 鷹羽狩行 200108
山城の麓百足虫のもも色に 加藤廣子 火星 200109
葬の日のためらひ一瞬百足虫打つ 大森ムツ子 ぐろっけ 200109
はじめより蜈蚣血の色たぢろぎぬ 藤田誉子 雨月 200110
どこまでも幻世百足虫の急きもせず 鳥羽夕摩 京鹿子 200110
三宝に百足蟲載りたる山祠 大森ムツ子 ぐろっけ 200201
螺子ひとつ落してゆきし百足かな 木本准南子 銀化 200208
ありあはすものに蜈蚣の打たれたり 桑田眞佐子 火星 200209
日の下に百足虫とわれと狼狽す 竹内弘子 あを 200306
一歩出る前に踏まれし百足かな 後藤志づ あを 200308
殺生をせぬと和尚は百足虫追ふ 田中嘉代子 ぐろっけ 200309
名の知らぬ花あり実あり百足虫這ふ 松下幸恵 六花 200309
百足虫にも殺生不問通りませ 泉田秋硯 200309
恐ろしき顔して百足虫踏んでをり 高倉恵美子 200310
ながながし百足虫さわぎの手話続く 片山タケ子 200310
百足虫叩きて乙御前に寝息かな 中島陽華 200310
一本の足はなまけて蜈蚣かな 中村房枝 六花 200310
立ち向かう箒に百足虫隠れ出ず 岐部陽子 八千草 200311
風穴に出入り自由の百足かな 高橋将夫 200311
黒百足虫ひつくり返へり生きてゐし 大山里 200408
フアスナーを閉ぢて百足虫の早歩き 丸井巴水 京鹿子 200410
亀甲の寺紋を這へる大百足 藤田かもめ ぐろっけ 200412
百足虫には熱湯浴びせ寺句会 品川鈴子 ぐろっけ 200507
急ぎをり百足虫の足のいつせいに 田中英子 火星 200510
癪や癪百足虫の毒にやられけり 佐藤淑子 雨月 200510
百足出て無茶苦茶ですわ利鎌薙ぐ 丸山冬鳳 京鹿子 200608
締切りのペンも握れず百足虫腫れ 品川鈴子 ぐろっけ 200608
六識のあとさき百足虫押さへける 南一雄 200609
渾身の棒に打たるる大百足虫 小林朱夏 200708
百足虫の死それだけのことと思い切る 岐部陽子 八千草 200712
初春の金のむかでと毘沙門天 谷村幸子 200804
百足這ふ守谷城址の大手門 澤辺たけし 万象 200809
鳥肌を立てて百足虫を百叩き 布川直幸 200810
死してなほ艶ある百足虫直哉の居 金森教子 雨月 200810
涅槃図の百足虫の足の百嘆く 竹貫示虹 京鹿子 200903
刺されたる記憶の隅にある百足虫 稲畑汀子 ホトトギス 200907
山宿の百足虫の這へる音に覚め 稲畑汀子 ホトトギス 200907
曇り日の車庫の壁這ふ百足かな 渡邊孝彦 やぶれ傘 200912
大百足殺しそこねし鼓動なり 布川直幸 201008
夜の百足虫殺虫剤を怖がらず 中川すみ子 201009
仏門と俗世を行き来する百足 高橋将夫 201009
掃除機に百足虫吸はせて死を宣す 泉田秋硯 201109
山門は虫喰ひだらけ百足の死 竹内悦子 201109
村雨橋渡り切つたる百足かな 前田美恵子 201110
大百足猛者三人で連れ出せり 福島松子 ぐろっけ 201112
大梁の大百足落つ朝刊紙 江見巌 六花 201208
百足虫這ふどこか足枷あるやうな 河口仁志 201208
大百足三百六十五歩歩く 大日向幸江 あを 201211
煩悩の数ほど百足虫脚揃ふ 丸井巴水 京鹿子 201211
百足標縄古りて涼しき山社 中田のぶ子 ろんど 201309
百足注連花栗の香のまつはり来 田中貞雄 ろんど 201309
大百足虫に素飛び脚のもつれたり 丸尾和子 雨月 201310
逃げ惑ふ百足虫に吾も狼狽ふる 宮平静子 雨月 201310
百足くん茣蓙の真ん中突っ走る 辻村拓夫 船団 201401
心地よき寝込みを襲ふ大百足 能勢栄子 201409
大蜈蚣命がけにて掴まふる 小島と志 春燈 201409
大百足虫哲学の道逃げ惑ふ 柳澤宗正 万象 201509
大百足訳の解らぬまま討たる 金子正道 京鹿子 201511
農小屋が恐し百足虫を見たるあと 原友子 201512
急ぐことあるらし百足虫波打てる 小林愛子 万象 201608
遁走は失意の果ての大百足 鈴鹿呂仁 京鹿子 201609
不条理を噛んで含める百足虫かな 柳川晋 201609
をることが罪とばかりに百足虫打つ 近藤紀子 201610
大百足虫見しより坐骨神経痛 小林愛子 万象 201610
道端に百足礫かれてをりにけり 志方章子 六花 201610
大百足虫鳩寿二の母立ち向かう 浅海好美 船団 201702
噛むといふ言葉痛かり赤蜈蚣(むかで) 山田六甲 六花 201706
一本も休む足なき百足虫かな 杉本光祥 201707
どの足が最初の一歩大百足 高橋将夫 201710
犬と猫見てゐるだけの大百足虫 岩崎武士 万象 201710
足に意思ある如百足虫畳這ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
百足虫這ふ壁戦いてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
靴履かぬ自由不自由百足虫這ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
百の足きちんとそろへ蜈蚣死す 佐津のぼる 六花 201809
情報の渦の中から百足虫出づ 高橋将夫 201908
改築の二階の書斎百足虫出づ 塩見治郎 雨月 201909
狛虎の毘沙門天堂百足虫這う つじあきこ 201910
走る走るちよつと細身の百足虫かな 瀬川公馨 202011
百足虫出る親の敵のごと打てり 永井惠子 春燈 202110
百足出づ二条陣屋の隠し部屋 山田和 京鹿子 202201
蚊でもなし百足でもなし腕に疵 山田六甲 六花 202206

 

2023年5月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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