麦こがし 麨 麦落雁   47句

麨を練りてまだまだ世は楽し   後藤比奈男

作品
作者
掲載誌
掲載年月
日と影と吹いたらとぶよ麦こがし 奥田甲子男 海程 199810
ふる里と呼ぶ地を持たず麦こがし 長山あや 円虹 199911
転居して手狭となりぬ麦こがし 鳴海清美 遊び蔓 200105
やさしさは愚かなばかり麦こがし 梶浦玲良子 六花 200108
祖母の掌の大きかりけり麦こがし 村山道子 円虹 200211
万屋の志野の茶碗と麦こがし 福島鶴代 ぐろっけ 200312
香菫のむぎこがしの香のやはらかし 宇田紀代 200407
麦こがしこぼれ浮名を流しけり 八田木枯 晩紅 200409
麨にすはといふとき声の出ず 泉田秋硯 200410
とけるまで舌の上なり麦落雁 二瓶洋子 六花 200411
星空のもと麨をねつてをり 高橋将夫 星の渦 200507
地震用意母のリュックの麦こがし 飛鳥由紀 200510
久闊や舌にざらつく麦こがし 横山淑子 200609
麦こがし故里遠くなるばかり 石原光徳 酸漿 200609
空気ともなれぬ歳月麦こがし 山中宏子 200610
麨を鼻から吹いて咳込みぬ 原稲岡長 ホトトギス 200611
麦こがしはらから集ひ国訛 滝沢伊代次 万象 200706
体内に弾の余生や麦こがし 松崎豊 200706
麨にむせぶ男に留守たのみ 高橋澄子 200709
横丁ヘタイムトンネル麦こがし 浜田はるみ 遠嶺 200709
静けさの古刹に思ふ麦こがし 田崎玲子 遠嶺 200709
三世みな五欲ひきつれ麦こがし 南一雄 200712
同窓歌にタイムスリップ麦こがし 真木早苗 八千草 200712
人生は他力本願麦こがし 玉置かよ子 雨月 200811
祖母の手のやつれし記憶麦こがし 藤本一城 200909
抽斗の母の手紙や麦こがし 石原光徳 酸漿 200909
五年十年忽ちのこと麦こがし 冨山俊雄 春燈 200910
昭和とふほどよき遠さ麦こがし 川崎真樹子 春燈 201207
朝粥のはったい挽く香鄙の宿 北尾章郎 201208
父の夢母の願ひや麦こがし 高倉和子 201209
ふるさとの話へ跳びて麦こがし 平田恵美子 ぐろっけ 201212
はつたいや楽譜のいらぬ子供唄 松田都青 京鹿子 201310
按ずるに父は入りむこ麦こがし 定梶じょう あを 201408
さうださうだこんなもんだと麦こがし 谷田部栄 万象 201408
麨に噎せふるさとを遠くせり 谷田部栄 万象 201408
年寄りのとしよりぎらひ麦こがし 林昭太郎 201509
麨に噎び昭和の生まれなり 阪上多恵子 雨月 201510
笑はすな麨舐めてゐるところ 生田高子 春燈 201608
麨に噎せて上方より知らず 窪田佳津子 雨月 201608
麨に噎せて唯今五里霧中 久保夢女 201610
麦こがし朝餉の母の粥匂ふ 上辻蒼人 風土 201611
麦こがし見合写真を返しけり 中川句寿夫 ここのもん 201705
麦こがし用なきものに本籍地 辻美奈子 201808
線香の匂ふ祖母の間麦こがし 中山惠子 201910
まなうらの母はエプロン麦こがし 山田佳子 201911
未熟が好き不器用が好き麦こがし 三上程子 風聴くや 202003
もうすこし生きる気力を麦こがし 赤峰ひろし 202211

 

2023年5月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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