水 餅     63句

水餅の壷消炭の壷竝び    高浜虚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
姑の顔で水餅覗きこむ
吉原一暁
199904
忘られてゐる水餅に似たるかな
能村登四郎
芒種
199911
水餅を幾つ沈めし安堵かな
能村登四郎
芒種
199911
水餅の漆の桶の夜なりけり
今木偉郎
200003
水餅のおのれ浮かめる三和土かな
坊城俊樹
円虹
200003
掴むもの水餅のほか水に無し
仲村菜花
200004
水餅の甕の居据る水屋かな
大堀鶴侶
雨月
200004
水餅の甕へ二の腕まで入るる
松崎鉄之介
200004
水餅の二つ三つは忘れられ
能村登四郎
200108
水餅のつるりと母情とり逃す
高島鷄子
馬醉木
200203
水餅の水とは疲れてはならず
山田弘子
円虹
200204
水餅の水衰へて来し日数
井口光雄
200205
水餅の黴の文様水に浮く
宮原みさを
花月亭
200208
水餅の餅の減らずに水の減る
伊藤白潮
200302
水餅の水流す音厨かな
徳丸峻二
風土
200303
水餅の水替へる度割れにけり
藤山道子
円虹
200305
水餅の水に情けをかけ通す
山田弘子
草の蝉
200305
水餅やすきまだらけの反抗期
疋田巴麻
京鹿子
200307
水餅や昭和一桁涙もろ
小川匠太郎
200401
水餅のひそと元号うつりけり
藤原照子
余韻
200403
思ひ出し夜半水餅の水を替ふ
小黒加支
酸漿
200405
水餅のなかなか減らず独居めく
伊藤白潮
200502
水餅のごとくに眠る夜もありぬ
村越化石
200504
水餅のつながり眠る夜の底
村越化石
200504
水餅の予定外なる数を焼く
山田六甲
六花
200602
水餅や日々変ふ水のたひらかに
森理和
あを
200603
水餅にくるんでしまふ妬心かな
高橋将夫
200703
水餅や無沙汰十月は死の噂
野中亮介
馬醉木
200704
落胆もせず水餅の水を替ふ
伊藤白潮
200704
人の住む静けさ春の水餅に
中山純子
万象
200805
水餅の桶に新たな喫水線
富沢敏子
200806
模糊と沈みて水餅の数知れず
小川匠太郎
200901
大甕の中に水餅さぐりけり
笹村政子
六花
200904
水餅を取り落したる水の中
湯川雅
ホトトギス
200905
水餅の海へ逃ぐごと沈みけり
酒本八重
201004
水餅の水汲み替へて濁りなし
久保東海司
201004
水餅の真白き肌を焦がしけり
小川玉泉
末黒野
201005
ぜんざいや水餅かりつと焼き上げて
山田六甲
六花
201103
水餅のゆるりと沈む小甕かな
大松一枝
201104
氷張り水餠しづむ母の国
中山純子
万象
201104
水餅のボウルがいつも此処を占む
定梶じょう
あを
201104
底なしの深さに真夜の水餅は 柴田佐知子 201212
水餅やむかしの家は暗かりし 高倉和子 201302
水餅をまづまつ白の布巾にて 近藤紀子 201405
病床に水餅のことふと思ふ 山本無蓋 210405
水餅のしづかや日日の刻流れ 伊東和子 201504
ひとつづつカビを削りて水餅に 松村光典 やぶれ傘 201604
水替へて水餅太き生命線 菊池和子 京鹿子 201604
水餅の妻の座に似て忘らるる 升田ヤス子 玫瑰 201604
水餅の水の重さや朝日差す コ田千鶴子 馬醉木 201703
水餅の水替へ機嫌良き白さ 丸井巴水 京鹿子 201703
水餅や息合はぬまま偕老に 江島照美 201704
水餅やわれにもありし食べ盛り 廣瀬克子 春燈 201704
刃を当つる水餅硬し朝厨 秋川泉 あを 201703
育てゐるごと水餅の水替ふる 望月晴美 201804
水餅となりしばらくは忘らるる 石橋幾代 201806
水餅の罐にも味を秘めてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
水餅を掬ふ手先の赤さかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
水餅に家訓の生きてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
水餅の水に濁りのなかりけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
水餅に水囁いてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
水餅を沈めて家郷遥かにす 浜福惠 風土 202104
水餅の蓋をあくれば母の顔 小張志げ 春燈 202204

 

2022年1月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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