水 洟     99句

水洟や女歌舞伎の老二人   會津八一

作品
作者
掲載誌
掲載年月
日本の神は水洟し給へり 林朋子 船団 199903
水洟や思はずあたり見廻して 山西みち子 火星 199905
水洟を感じてよりの強気失せ 能村登四郎 芒種 199911
水洟をかむを憚り第九聴く 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
水洟や黒姫駅に蕎麦すする 塩田博久 風土 200002
水洟の工夫は霜の道路掘る 栢森定男 あを 200101
隠したる齢ひきだす水洟 かとうゆき 銀化 200102
紙鑢水水洟たらすすさびごと 中原道夫 銀化 200103
水洟を垂らせり父の猟帰り 渡辺美知子 200104
刺網の海老取る漁師の水つ洟 堀すみ恵 200105
朝凪や洟かむように宿を去り 山内節夫 海程 200112
雪解けの日射し水洟の神も 篠田悦子 海程 200112
さめざめと泣き水洟に加勢せる 中原道夫 銀化 200203
黒森歌舞伎水つ洟垂る桟敷の子 桜井菜緒 200205
象の鼻水ふき上げる炎暑かな 山崎ミチ子 帆船 200209
水洟や艀だまりに生活(たつき)の灯 鷹羽狩行 200303
水洟を麗人らしく拭ひけり 山中宏子 200303
水洟や机の隅の入門書 藤井基史 帆船 200303
聖堂を出づ一途なる水つ洟 宇垣みきえ 200303
未来都市親にはぐれし洟垂れ子 有賀元子 八千草 200305
洟水と涙気脈を通じをり 武井玲子 八千草 200305
水つ洟猿顔をしてまた拭う 中野英歩 八千草 200307
アルバムの洟垂れ坊主セピア色 芦川まり 八千草 200307
ふるさとに来ると水洟出る不思議 須田紅三郎 200312
水洟を啜るそろそろ君に倦き 木村みかん 200401
水洟の落ちそうで落ちぬ立ち話 藤井久仁子 ぐろっけ 200403
水洟やどこにゐようと日は西に 八田木枯 「夜さり」 200409
水洟や項を当たるに大辞典 小林呼溪 200502
水洟の齢互みに告げず居る 斎藤棹歌 200502
水洟や完ぺきなんてあり得ない 富沢敏子 200504
くさめして洟水ずるりあららのら 横山迪子 六花 200504
水洟を音高くかむ妻の留守 荒川清司 遠嶺 200505
露の畑手洟かむ父を愛しめり 瀧春一 菜園 200509
水洟一升子規には遠く及ばねど 林翔 200602
洟垂る児のそれなりに可愛くて 須賀敏子 あを 200602
水洟を手の甲で拭く悲しさよ 中上馥子 春潮 200602
ただならぬ水洟嘗(な)めてしまひけり 淵脇護 河鹿 200603
昔はよし佳しと爺さまの水つ洟 山元志津香 八千草 200605
水洟や老いのペン先つまづきぬ 沼口蓬風 河鹿 200605
水洟の朴念仁と呼ばれけり 糸川草一郎 百鳥 200605
水洟の塩味よしや春北風 林翔 200605
掃除洗濯煮炊き執筆水洟も 伊藤白潮 200701
水洟や馬鹿正直を通し老ゆ 伊藤白潮 200702
水洟と涙混じりて言い訳す 井上綾 ぐろっけ 200702
臨終とて弱音は吐かぬ水洟 篠田純子 あを 200702
水洟や宮番板の間に侍すも 定梶じょう あを 200703
水洟を拭きて板書の老講師 今井忍 ぐろっけ 200706
鼻先の結露のごとき水洟よ 四條進 200802
水洟を啜りて蹲踞守りたる 金田美恵子 ぐろっけ 200802
水洟や野球談義に熱こもる 河井富美子 ぐろっけ 200803
送葬の水洟とめどなかりけり 小俣紀子 ホトトギス 200804
水洟の干からびてゐる稚子かな KOKIA 六花 200805
草城逝く吾や不覚に水洟落す 瀧春一 深林 200901
水洟をすすりこの世に長居せる 柴田良二 雨月 200903
海苔掻きの鼻水腕で拭ひけり 山田六甲 六花 200903
水洟や吹けば膨らむ粥の膜 代田青鳥 風土 200903
水洟やこのごろ涙もろくなり 須藤トモ子 200904
天災を語り鼻水啜りつつ 峰村浅葱 炎環 200904
水洟の無気力感のはじめなり 木下もと子 200905
あかんたれ洟垂れへたれあたたかし 火箱游歩 船団 200909
訪ひに応へ水洟すする音 布川直幸 200912
クシュと拭き水洟ひかる園児服 布川直幸 200912
水洟や犬の嫉妬をしてをりぬ 早崎泰江 あを 201102
たそがれの道に道聞く水洟 篠田純子 あを 201102
水洟の溜まりをりぬ老会話 藤井久仁子 ぐろっけ 201105
水洟を啜りて一句仕上りぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201201
洟水はもう澤山と外出す 林美智 ぐろっけ 201202
水洟の男の子後生畏るべし 常田創 201303
水洟を拭くや猫の眼こちら向く 金森涼 春燈 201304
洟や駄文を一つ脱稿し 大畑善昭 201401
水洟をかまはず井戸を覗き込む 山田六甲 六花 201402
鼻水のぱりぱりしたる小さき頬 紅谷芙美江 万象 201403
水洟や大きな橋が横たはり 戸栗末廣 201404
手の甲で鼻水を拭くパンダ前 大日向幸江 あを 201503
水洟を見すかしてゐる貧乏神 藤岡紫水 京鹿子 201503
明日は雪ベンチにあれば洟水も 松村光典 やぶれ傘 201504
水洟の塩からき味古稀迎ふ 延川五十昭 六花 201504
落人の裔は細鼻水鶏啼く 山田六甲 六花 201507
鼻水をすすりすすりのケバブかな 松村光典 やぶれ傘 201602
百歳の母の水洟拭き申し 大崎ナツミ 雨月 201603
水洟を啜りて句誌を十時まで 野中圭子 京鹿子 201604
水洟や門下と言ふもをこがましい 中川句寿夫 あを 201604
洟垂れの頃の盟友蕗の薹 松崎雨休 風土 201605
消灯と決めて擤みたる水つ洟 野沢しの武 風土 201607
水洟やペンのインクも切れてをり 大畑善昭 201701
水洟やくどくど反芻してゐたり 瀬川公馨 201703
鼻水をすすり火を守る男の子 久保夢女 201705
風邪引きか鼻水啜る齢かな 黒澤佳子 あを 201704
正論を語り水洟しきりなる 山田佳 ホトトギス 201705
水洟や門下と言ふもをこがまし 中川句寿夫 ここのもん 201705
洟かんで那の津流れの朧月 中島陽華 201707
水洟漢やめんこのらくろズック靴 藤井啓子 ホトトギス 201804
水洟や哲学用語皆むずかし 工藤はる子 201811
起きがけの一番にかむ水つ洟 小山よる やぶれ傘 201903
水洟は嫌啜る顔もつと嫌 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
水洟をすすりて母の退院す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
水洟も憚る母の恙かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
水洟を袖で拭ひて急ぎけり 安齋正蔵 やぶれ傘 202103

 

2021年12月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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