147句

淋しさの底拔けて降る霙哉     丈草

作品
作者
掲載誌
掲載年月
霙とも雨とも着きし祇園かな
稲畑汀子
ホトトギス
199901
燃えきらぬ日の出の雲や霙くる
太田蓁樹
馬醉木
199902
刃物選る錦小路の春みぞれ
夏秋明子
火星
199905
霙るるや炬火持ち直す鳥帽子禰宜
広渡敬雄
[遠賀川]
199909
朝の間の雨は霙をいざなひし
稲畑汀子
ホトトギス
199912
黒雲の零せし霙かと思ふ
稲畑汀子
ホトトギス
199912
霙かと雨かと傘を広げけり
稲畑汀子
ホトトギス
199912
朝の間の零せし霙雨となる
稲畑汀子
ホトトギス
199912
出棺の折しも天地みぞれけり
田中藤穂
水瓶座
200002
鮟鱇の口に霙の降り込めり
松崎鉄之介
200004
霙とも雨とも雛南面す
加藤かな文
200005
薄氷の際や霙を浮べたる
大橋敦子
雨月
200005
全集を売りたし摂津は青みぞれ
若森京子
船団
200006
霙るるや越に住みたる年月を
松尾緑富
ホトトギス
200012
キツネ孕めばくちびる山も青みぞれ
山下真理子
海程
200012
霙降る土曜日の朝別れ行く
尾上有紀子
わがまま
200002
サヨウナラ河馬を刺して霙降る
尾上有紀子
わがまま
200002
尾根晴れて谷あひの村霙けり
高木良多
春耕
200103
遠く来て霙の里にイヴさがす
宇都宮滴水
京鹿子
200201
庭の灯に光りつどひて霙れけり
千代田葛彦
馬醉木
200201
北帰行霙が雪に変りけり
泉田秋硯
200203
黒豆を鍋に沈めて霙れけり
徳田千鶴子
馬醉木
200203
蹼がみづかきを踏む霙かな
中原道夫
銀化
200203
さらさらと霙のシャワー浴びにけり
佐野和代
200003
山脈の北は霙れて父の墓
土肥屯蕪里
雲の峰
200204
雨いつか霙にかはりどんど焼
小澤スミエ
200203
縦線を光となして霙降る
蔦三郎
ホトトギス
200206
黒真珠専門の店みぞれ雪
岩松八重
六花
200206
膝掛けをひきよせて汲む霙酒
磯野至子
あを
200212
乗越して戻るホームの霙かな
相川秀子
帆船
200301
初霙林檎捥ぐ手のはづみをり
渡辺睦夫
200302

父逝く

親不幸いまさら泣くなよと霙

中原道夫
銀化
200302
藪蕎麦の霙れてよりの昼の酒
川口襄
遠嶺
200303
岩鼻や霙るる中を柴の舟
小宮山勇
遠嶺
200303
霙るるや昼を点せる常夜燈
藤村遊子
200303
いつとなき夫の転た寝霙降る
二瓶洋子
六花
200303
みぞれ降るたか女の墓の前に佇つ
松下八重美
200304
断崖に獣ごゑあり夕霙
小澤克己
遠嶺
200304
かたほほに霙が中る雨があたる
吉弘恭子
あを
200303
余部や突と霙の横なぐり
佐藤淑子
雨月
200305
みぞれ雪背広の集ふ喫煙所
物江昌子
六花
200304
升売の豆粉をふく霙かな
大山文子
火星
200403
啄むはは霙の朝の雀かな
青木陽子
酸漿
200403
感銘の『無名』の一書はつみぞれ
小澤克己
遠嶺
200404
霙るるや濁声しきり里鴉
丸山冬鳳
京鹿子
200404
霙降る地震より九年過ぎにけり
池崎るり子
六花
200404
湯中りをしたる鈴鹿の霙かな
岩田半寒
草の花
200403
霙なか貝選る漁師無口にて
川瀬信子
築港
200403
霙きて一団がきて赤仁王
伊藤希眸
京鹿子
200406
白蟻の食跡全き霙酒
吉弘恭子
あを
200502
みぞれ辻いくつか曲り深川飯
品川鈴子
ぐろっけ
199902
鉤の手に芭蕉歩きし霙径
品川鈴子
ぐろっけ
199902
霙もて俳徒を迎ふ芭蕉庵
品川鈴子
ぐろっけ
199902
城崎の外湯めぐりて初霙
早川周三
ぐろっけ
200206
彼岸前先立つ妹にみぞれ雨
谷楓
ぐろっけ
200307
峠道の霙模様に帰路を急く
笹原紀世子
200501
粥占の粥鍋へ霙降り込めり
須原正三
200504
逸りつつ霙に変はる傘の音
佐々木国広
築港
200503
蝦夷鹿の峠に現れてみぞれけり
小儀洋子
百鳥
200502
終点は霙となりて路線バス
高木武人
百鳥
200503
被災地に母在すみぞれもう来るか
内山花葉
200502
煙草の火点けて霙の街に入る
宮川迪夫
遠嶺
200504
花入れの手持無沙汰や初みぞれ
村田菊子
遠嶺
200503
霙つき観音詣で母偲ぶ
根本随縁
200504
病む母の涙こぼれる霙なり
村井節子
200504
夜の霙白骨めいてゆく林
豊田都峰
京鹿子
200602
雪国のいよよ霙るる夕かな
安原葉
ホトトギス
200605
家たたむ友に寄りそひ霙道
中尾廣美
ぐろっけ
200605
一枚の玻璃をへだてて霙来る
稲畑汀子
ホトトギス
200612
六甲の風先立てて霙かな
稲畑汀子
ホトトギス
200612
紙砧武蔵嵐山みぞれけり
伊丹さち子
馬醉木
200702
霙るるに引導鐘の突拍子
品川鈴子
ぐろっけ
200702
霙るるや漬物石の傾ぎやう
岩井ひろこ
火星
200704
辻地蔵下北けふも霙なる
加藤克
200801
渡らねば霙降りくることたしか
木山杏理
京鹿子
200801
霧深き岩手山頂霙降る
石田嘉江
200801
霙降る人に本音で接しけり
宮田豊子
春燈
200803
レノンの忌雨がみぞれに変るころ
中山純子
万象
200803
頬を打つ霙の中の回旋橋
水船みどり
200901
霙降る青空市場早仕舞ひ
加藤克
200901
霙降る縁に来てをり雀どち
伊藤いな栄
酸漿
200904
鰤市の裸電球降るみぞれ
八田木枯
晩紅
200908
竹林の風のこゑ聴く初みぞれ
小澤克己
遠嶺
201002
焼却炉霙れペン書きカルテ焚く
品川鈴子
ぐろっけ
201002
傘に降る霙は雪になりにけり
廣瀬雅男
やぶれ傘
201005
みぞれ雪帰りの途をたがへたる
秋葉貞子
やぶれ傘
201006
霙かな行先変へて買ふ切符
松本文一郎
六花
201006
色させる牡丹の芽に霙あり
花岡豊香
酸漿
201007
スマトラ産コーヒー飲めば霙止む
松村光典
やぶれ傘
201008
霙降る加賀にしじまの大伽藍 高谷栄一 嵯峨野 201107
霙やがて雪にかはりぬ無言館 コ田千鶴子 花の翼 201111
霙るると電車は地下へ身を捻り 上谷昌憲 201202
霙るるや女子高生の膝小僧 松山三千江 春燈 201202
真つ向に霙を受けるハハキトク 吉田葎 201203
霙くるビルの底なる香林坊 大坪景章 万象 201203
みぞれ雪空芯菜の炒めもの 能村研三 201204
霙るるや蕉郷の山高からず 上谷昌憲 201204
夕霙友の家まだ見付からず 林折口夫 ぐろっけ 201205
繋がれし十石舟に霙かな 奥田茶々 風土 201303
霙れつつ影が翳追ふ迷宮都市 西村純太 201303
磔像のイエスは裸身霙降る 柿本麗子 千の祈り 201307
雨のち霙たそがれのたれかれに 池田澄子 船団 201401
霙して高床下の能舞台 山田六甲 六花 201402
霙降る土すれすれの切株に 山田六甲 六花 201403
眼鏡拭き霙の窓を拭きにけり 根岸善行 風土 201403
青き菜を束ね地べたに霙市 工藤ミネ子 風土 201403
霙るるや乗り降り急かし合ふ園児 吉田克美 ろんど 201405
ひれ酒の醍醐味すする霙の夜 福永尚子 ろんど 201502
霙降る破風に鳳凰シルエット 宮田香 201504
身をしづむ湯の熱きかな霙るる夜 菊谷潔 六花 201504
埋めたての歴青に湯気霙道 篠田純子 あを 201504
日輪に霙ななめや大試験 生田恵美子 風土 201505
霙るるや池に軽鴨滑るのみ 内藤惠子 万象 201505
霙るるやたわいなきことうつくしく 乾有杏 201506
「二十歳の原点」那須野に霙降る 高田令子 201604
淀君の眠れる塚や霙降る 堀田清江 雨月 201607
晴れののち午後は霙となりにけり 松村光典 やぶれ傘 201703
霰から霙に変はり法の山 赤松赤彦 六花 201705
霙るるや入り乱れたる靴の跡 住田千代子 六花 201705
その中に天使の涙霙降る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201712
丸ビルの天辺揺すり霙降る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201712
雨ひと日霙に変る音重し 林陽子 万象 201803
霙降る知る人もなき暮の街 秋川泉 あを 201902
灯が映る霙のあとの水たまり 藤井美晴 やぶれ傘 201903
亡き母が部屋のどこかに霙るる夜 田中藤穂 あを 201903
花の雨霙まじりとなる夕べ 斉木永久 馬醉木 201907
目覚めては霙ふる音冬ごもり 菊谷潔 六花 202004
義姉の訃や夜更けの霙降りつのる 田中藤穂 あを 202004
霙降る狸穴坂を早足で 湯本実 やぶれ傘 202006
いつの間に雨から霙帰路幽し 大山夏子 202006
早暁の霧笛の頻り霙降る 内山みち 末黒野 202105
豆腐買ふみぞれが雪に変はるとき 小林輝子 風土 202202
カツ丼の胃の腑に重し霙降る 谷田明日香 風土 202204
山峡の湯宿霙は雪になり 相川健 202210
咽び泣く八代亜紀なり霙降る 田邑利宏 202210

 

2022年12月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。