三椏の花     165句

春されば 先づ三枝さきくさの さきくあらば
後にも逢はむ な恋ひそ吾妹わぎも    万葉集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三椏の咲くや古雪に又降りつむ 水原秋櫻子 馬醉木 194600
三椏の花に暈見て衰ふ眼 宮津昭彦 199905
三椏の花や日当る水の神 北吉裕子 俳句通信 199905
三椏の咲く山裏の馬の墓 羽田岳水 馬醉木 199906
三椏咲く病む者に多いまも長し 金子兜太 海程 199906
まはしつつたたむ雨傘三椏咲く 小島花枝 海程 199906
三椏の山家の門戸開かれをり 千明武 遠嶺 199907
三椏の花やときをり空に音 福井啓子 199907
三椏の花や魚板の音乾く 小田悦子 雲の峰 200003
三椏の花まだ蒼し土佐も奥 武政礼子 雨月 200004
三椏の花に寡黙を通しけり 杉浦典子 火星 200005
三椏の蕾大きく紙の里 梅田秀子 酸漿 200006
三椏の添うて灯点す破れ漉屋 狭間馨 遠嶺 200006
三椏の花や狭さは祖谷の天 大西一騎 200007
三椏の花咲き自己を主張せず 木村杏子 雨月 200008
三椏やひそかに期することのあり 能村研三 200104
月下なるものに三椏咲きにけり 山尾玉藻 火星 200105
三椏の花に差す日のすぐ翳る 斉藤美穂子 200105
三椏の花の眠たくなる黄色 大橋敦子 雨月 200105
三椏やむかひあはせに一里塚 春田淳子 俳句通信 200106
三椏の咲いて明るき行者道 春田淳子 俳句通信 200106
三椏咲き一樽の味噌食べ終わる 小池弘子 海程 200106
大歩危の花三椏の頃を旅 岡西恵美子 円虹 200107
花三椏思いつきあっと黄ばむなり 篠田悦子 海程 200112
しかるべき雨に三椏咲き急ぐ 辻のぶ子 雲の峰 200204
三椏の花や和紙の名いろいろと 伊藤重美 雲の峰 200204
三椏や峡に二軒の温泉郷 野口香葉 遠嶺 200205
山中の寺のあちこち花三椏 松崎鉄之介 200205
三椏の淡さ遠嶺にかざしみて 野口香葉 遠嶺 200206
雨けぶる寺三椏の花明かり 阿部悦子 酸漿 200206
三椏や少女うつむくうすまぶた 祐森彌香 遠嶺 200207
三椏の花の傍へに鳴る水音 岡淑子 雨月 200207
咲き終りても三椏の花なりし 稲畑汀子 ホトトギス 200304
三椏のうすみどり揺れ我もゆれ 須佐薫子 帆船 200304
紙漉きの村の入口三椏咲く 布施まさ子 風土 200305
御朱印を掲ぐ無住寺三椏咲く 佐々木孝子 200306
三椏や母のゆづりの結城着て 野口香葉 遠嶺 200307
三椏やちぎり絵の和紙とりどりに 野村智恵子 八千草 200309
三椏の花じやんけんを繰り返す 大串章 百鳥 200404
三椏の咲く池の辺のうすあかり 山田天 雨月 200405
三椏や人間国宝認定書 飯塚ゑ子 火星 200405
三椏の花石臼の乾きゐる 杉浦典子 火星 200405
三椏にホース伸びゆく山の晴 小林成子 火星 200405
三椏の銀座の雨に濡れてをり 金川眞里子 百鳥 200406
三椏の雨降りながら花ざかり 山尾玉藻 火星 200503
三椏は師縁の花の盛りかな 橋爪隆 春燈 200503
一年で伸びて三椏花持てり 松崎鉄之介 200504
三椏の花暮れ残る墓域かな 工藤ミネ子 風土 200504
三椏の開きそめたるあをさかな 浅田光代 風土 200505
三椏の花ふんはりと夢違へ 関根義行 対岸 200506
花三椏庭にあひるの飼はれをり 河合大拙 百鳥 200506
三椏の律儀な花の咲きはじむ 阿部ひろし 酸漿 200506
三椏や廃れしものに藁半紙 太田寛郎 200507
にこにこと保険勧誘花三椏 桑原泰子 八千草 200509
三椏の万の花房雨滴こらふ 神蔵器 風土 200605
西国第十五番霊場三椏咲く 林いづみ 風土 200605
三椏や宿に機転の利く娘 赤座典子 あを 200605
冬陽浴び三椏の蕾夢心地 飯田泰子 八千草 200606
住持より享くる三椏たわわなる 加藤廣子 火星 200606
三椏の花や手抜きの掃除して 斉藤小夜 風土 200606
三椏の咲きて静かな和紙の里 渡辺玄子 酸漿 200606
三椏の花のほとりでお手玉す 山口庸子 ぐろっけ 200607
三椏に定型のあり三行詩 物江晴子 八千草 200609
三椏の咲きて丹沢遥かにす 井上幸子 酸漿 200704
切られても花三椏の賑へり 松崎鉄之介 200705
金堂や花三椏に雨こぼる 大西裕 酸漿 200705
歩の先に三椏の花うすみどり 伊藤早苗 200706
九十九折の坂道飾る花三椏 小林草人 200706
馬方の三椏の花背に挿し来 浜口高子 火星 200706
三椏と言へる公約数の咲く 後藤立夫 ホトトギス 200708
花三椏沈思黙考の羅漢像 牧悦子 200804
嘗て川の流れ居し路地花三椏 松崎鉄之介 200805
三椏の花や晴のち曇の日 芝尚子 あを 200805
花三椏ダム放流の水飛沫 宇和川喬子 200806
三椏の鳥居の奥の花明り 阿部悦子 酸漿 200806
三椏咲き牛首紬の織屋かな 新井徳子 万象 200807
三椏の花に眠たき水車音 三輪温子 雨月 200807
三椏のぽんぽんぽんと咲きにけり 杉村礼子 200808
三椏の花へ筧のし吹きけり 大城戸みさ子 火星 200905
三椏の花たづさへて夫の友 井関祥子 酸漿 200906
三椏の花愛らしく自己主張 富田ヒナ江 200907
三椏や花と花との佳き間合ひ 戸辺信重 春燈 200907
三椏の花芽ふくらむ山路かな 難波篤直 201005
三椏や五重塔の暮るる色 渡邉孝彦 やぶれ傘 201005
三椏の咲きしあたりの明るさよ 渡辺暁 酸漿 201005
三椏の満開に傘さしかけぬ 山本耀子 火星 201006
三椏の花紅の雫せり 檀原さち子 酸漿 201006
庭陰に咲く三椏の花明り 西尾京子 酸漿 201006
三椏や荒れぐせの風海へ去り 松本三千夫 末黒野 201007
三椏の花や眼下に鳶の笛 清海信子 末黒野 201007
三椏の花の眠たき午前なり 坂口夫佐子 火星 201007
爪ほどに蕾む三椏沖日射 田中貞雄 ろんど 201103
三椏の蕾に血の気鬱とは老い 鳥居おさむ ろんど 201103
身の丈の三椏の花日照雨 松本三千夫 末黒野 201105
三椏の花影散らす鞍馬石 清海信子 末黒野 201106
ぬた場にも三椏明り降るほどに 有本南陵 ろんど 201106
すぐ止みにけり三椏の花の雨 杉浦典子 火星 201107
三椏の花咲き満ちて人集む 田島昭久 かさね 201205
三椏の花の法悦増上寺 松本周二 かさね 201206
三椏の花や夕づく湖畔亭 安立公彦 春燈 201206
三椏や石橋くぐる水の音 渡邉孝彦 やぶれ傘 201206
花三椏寺苑に甘き香を放ち 安斎久英 末黒野 201207
三椏の花房赤し古刹門 園田惠子 末黒野 201207
枝分れして三椏の花の位置 稲畑汀子 ホトトギス 201304
三椏の黄色は遠く見ゆる花 稲畑汀子 ホトトギス 201304
三椏の花を曲れば紙の町 稲畑汀子 ホトトギス 201304
三椏の花咲く道や風柔し 田島昭久 かさね 201305
にぎり福のやう三椏の花蕾 中島讃良 ろんど 201305
三椏を咲かせ哲学の道閑か 田嶋洋子 七線譜 201306
三椏の花びら莟しづかなり 吉弘恭子 あを 201306
三椏や滝へと続く石畳 石川かおり 福袋 201404
三椏の花の多さや奥の院 須賀敏子 あを 201406
三椏の花に趣変はる庭 佐藤健伍 201405
三椏や往時を見せる民家園 鈴木セツ 201504
三椏やおしやべり尽きぬ女どち 矢口笑子 春燈 201505
方丈の庭に三椏咲きにけり 有賀昌子 やぶれ傘 201506
三椏咲く囲み記事には汀子の句 有賀昌子 やぶれ傘 201506
三椏の花とおぼしき白かげり 上野進 春燈 201506
三椏や一人息子に孫二人 松本三千夫 末黒野 201506
三椏の花や炉煙舎解かるると 岡田史女 末黒野 201506
三椏に花の遅速のありにけり 中根美保 風土 201507
色褪すも三椏の花溢れけり 廣畑育子 六花 201507
ジャンケンの三椏どれもチョキを出し 八木健 八木健俳句集 201509
幾何学が好きで三椏やつてます 八木健 八木健俳句集 201509
三椏の花の仔細は問はずとも 稲畑汀子 ホトトギス 201604
三椏の花を信じて曲がりをり 能村研三 201604
咲き揃ひても三椏の影増やす 安居正浩 201605
晴れ間見えゐて三椏の花に雨 大崎紀夫 やぶれ傘 201605
黄色とも白きとも三椏の花 藤井美晴 やぶれ傘 201605
三椏や梲連ぬる和紙の町 佐藤貞子 雨月 201605
三椏や睡たき色の花盛り 吉田順子 201606
三椏の三つの定めを守り咲く 大橋晄 雨月 201606
三椏や大人にもある人見知り 小林陽子 201607
三椏やケーブルカーか五千歩か 小野弘正 末黒野 201607
花三椏地にまん丸の影揺らし 安斎久英 末黒野 201608
三椏の花淑やかな三姉妹 及川照子 末黒野 201706
三椏の律儀やまろき影を地に 安斎久英 末黒野 201708
三椏の花にそれぞれ午後の雨 和田華凛 ホトトギス 201710
三椏の花岩陰を明るうす 福岡芳子 雨月 201806
三椏の花や眼下の町ひらけ 堺昌子 末黒野 201806
三椏の花日を三方に弾かせて 宮田豊子 春燈 201807
三椏の花を標に帰りけり 住田千代子 野に遊ぶ 201811
三椏の花じゃんけんの真つ盛り 小沢えみ子 201902
三椏や抜け道の先任せをり 能村研三 201904
三椏の花ふくらんでくる本音 鈴鹿呂仁 京鹿子 201905
三椏のほころび初むる宮居かな 岡田史女 末黒野 201905
三椏の花三つ三つと点すかに 安部和子 雨月 201905
故山はるか三椏の花雨に咲き 川村欽子 雨月 201905
杉山や千筋の日矢の花三椏 升田ヤス子 六花 201906
三椏の花の灯れる日暮かな 藤生不二男 六花 201906
庫裡うらに三椏の花開き初む 加藤静江 末黒野 201906
廃屋や三椏の花色さして 秋山文子 末黒野 201906
三椏の花の香に風迷走す 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
俯きて揺る三椏の蕾かな 赤座典子 あを 202004
三椏や首垂れてゐて花盛り 吉田順子 202007
三椏の花に十字架壺に十字架 高貴美子 202007
芳潤に咲ける三椏雨に濡れ 栗林圭魚 ホトトギス 202007
三椏の泡立つやうに咲きにけり 小坂尚子 202101
三椏の花の遅速は風が知る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
三椏の花のねむたき寺の昼 柴ア英子 202105
三椏の花咲く明かり夕暮れて 江口九星 202105
五重の塔三椏ちらりはらり咲き 篠崎志津子 やぶれ傘 202105

 

2022年2月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。