木 菟      119句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
萬象を呆と諾ひみみづくや 中原道夫 銀化 199901
みみずくを百匹連れてルミナリエ 尾上有紀子 船団 199903
風無くて轟立つてをる木菟の耳 延広禎一 199904
聲すでにあをば木菟なる鯛茶漬 岡井省二 199905
木菟鳴いて金星沼に宿りけり ほんだゆき 馬醉木 199905
村の灯はどこも木隠れ木菟啼けり 佐藤国夫 馬醉木 200001
木菟鳴くや八十路の母にこぼす愚痴 江頭信子 馬醉木 200002
そのこゑに灯せば黙す森の木菟 村上光子 馬醉木 200002
木菟鳴くや炎を宿す陶師の眼 大森井栖女 馬醉木 200004
その洞に木菟を眠らす母欅 島田尚子 馬醉木 200004
藍甕に映つてをりし木菟の耳 延広禎一 200004
木菟の匿名批評ゲレンデに 塩見恵介 虹の種 200005
新羅神社飢餓塚あたり木菟鳴けり 脇本千鶴子 200005
木菟鳴くや千年杉の羽黒山 荻原芳堂 春耕 200102
みみづくの己をあやしゐる声か うまきいつこ 200103
値札たしかめて梟と木菟と 彌榮浩樹 銀化 200103
小木菟あちこち追ひて一日暮れ 松本潔子 200104
首廻すどんぐり目なる小木菟 松本潔子 200104
輪になりて小木菟追ふ群れ烏 松本潔子 200104
喪の家のおそき灯しに木菟鳴けり 白鳥武子 酸漿 200106
木菟は昨日の空を折りたたむ 守谷茂泰 海程 200112
木菟を呼ぶ鬼女の目光りすぎ 田渕昌子 京鹿子 200201
葬列の木菟の森へと入りゆけり 伊藤多恵子 火星 200202
汝の生は流謫ならずや虎斑木菟 山本涼 銀化 200203
ぎちぎちのめくら縞から木菟の声 嵯峨根鈴子 火星 200204
内弁慶しゆんとしたりし木菟の声 守屋井蛙 酸漿 200205
木菟の目のレンズさながらかがやけり 市場基巳 200301
最澄の山の木菟闇に消ゆ 石脇みはる 200303
木菟の声を聞きたる化粧衿 中島陽華 200303
父祖の地の木兎しきり我を呼ぶ 長山あや 円虹 200303
木菟鳴いてしんと背山の闇迫る 岡淑子 雨月 200304
扁平なことばの盛る小木菟 井上信子 200305
木菟鳴くやかすかに笑みし子等の夢 清水晃子 遠嶺 200306
すすき木菟ひさぐ三畳夕涼し 村上光子 馬醉木 200309
木菟の闇貧女の一灯ゆらぎけり 池田光子 風土 200311
みみづくの耳のふたつが初あかり 岡井省二 省二全句集 200312
あれこれと思ふ枕に木菟の来し 木野本加寿江 火星 200402
山荘の窓の絵硝子木菟鳴けり 水野あき子 遠嶺 200403
川音に目覚めて木菟を聞いてをり 若林杜紀子 百鳥 200404
木菟鳴いてキラリと光るペンダント 金澤明子 火星 200410
耳朶を押しつつむ闇木菟啼けり 森屋慶基 風土 200411
木菟のこゑはシャネルの五番かな 中島陽華 200412
木菟鳴くや屋根裏にある古机 戸栗末廣 火星 200501
木菟工作木の実を目とす森の家 恩田甲 200501
木菟や姑そつくりの夫のかほ 城孝子 火星 200502
皇陵の木菟口笛にまた応ふ 泉田秋硯 200503
木菟鳴くや勘忍袋つぶれたり 中島陽華 200504
木菟時計汝も朝寝してをりしや 鷹羽狩行 200504
天網恢恢みみづくの耳動く 関根義行 対岸 200504
木菟の声からだの中に落しけり 本田俊子 200506
木菟鳴くや炉縁に杣の煙管疵 菅原末野 風土 200511
木兎鳴いて闇ふくらんで来たる森 稲畑汀子 ホトトギス 200512
木兎鳴いて岳麓の森街せり 稲畑汀子 ホトトギス 200512
みみづくの鳴けば深まる森の黙 稲畑汀子 ホトトギス 200512
木菟鳴くは西瓜泥棒来る夜かや 有働亨 馬醉木 200601
まつろはぬ熊襲の血すぢ木菟鳴けり 淵脇護 河鹿 200601
ベビーボーロ口にとけゆく木菟の夜 河崎尚子 火星 200602
巣籠りのみみづくと目の合ひにけり 藤原繁子 春燈 200607
生きることままならぬ世や木菟も哭く 杉本綾 200703
木菟鳴くや背戸には背戸の星明り 守屋井蛙 酸漿 200703
木菟の考え過ぎといふ罪に 瀬下るか 200703
木々に影あり吾が為に木菟が鳴く 湯浅夏以 遠嶺 200704
生涯のはじめ知らねど木菟の鳴く 井上信子 200705
円相の余白にあるよ木菟の耳 中野京子 翁草 200710
秋風に驚く木菟は目を見はり 定梶じょう あを 200711
赭き湯にひそめば木菟の声近き 小林碧郎 馬醉木 200803
木菟鳴くや腹かつ切つて男らは 小形さとる 200803
星宿る大樹や木菟の声しきり 大谷茂 遠嶺 200803
宿坊の闇緊りゆく木菟のこゑ 間宮あや子 馬醉木 200804
木菟啼いて山荘の灯のとびとびに 相沢有里子 風土 200805
木々に影あり吾がために木菟が鳴く 湯浅夏以 樹も鳥も 200806
木菟の夜の夫にたよられゐたりけり 城孝子 飛火野 200808
わがための金使ひけり木菟の夜 城孝子 火星 200902
木菟鳴いて岩が岩抱く行者径 柴田良二 雨月 200903
意の通ふ木菟住む森の周回路 泉田秋硯 200903
木兎鳴いて山寺らしくなりにけり 安原葉 ホトトギス 200906
鳴きゐるは昼見し木兎か山の寺 安原葉 ホトトギス 200906
月明へ声の出てゆく木菟時計 鷹羽狩行 200909
木兎の耳が風呼び嵐呼ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200912
木兎の視線に射られゐる歩幅 稲畑廣太郎 ホトトギス 200912
みみづくの森ここよりは立入らず 稲畑汀子 ホトトギス 200912
木菟鳴くや寸胴鍋に水張られ 蘭定かず子 火星 201001
木菟鳴けり吾が合の手に力得て 泉田秋硯 201003
虎斑木菟二重瞼の頸回す 秋場貞枝 春燈 201012
木兎の右目が捉へたる獲物 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
木の洞に木菟の眼のある聖夜祭 川端俊雄 火星 201103
床の上の正座の母に木菟啼けり 山尾玉藻 火星 201201
自分史が嫌になつたら木菟となる 鴨下昭 201201
木菟鳴きて村に捨墓増えゆける 柴田良二 雨月 201203
木菟の耳の尖りて売られをり 花田心作 201203
少年がいま木菟となる喉仏 鴨下昭 201204
元伊勢に式部歌塚木菟のこゑ 浜福惠 風土 201303
木菟鳴くや嘗て敵機の飛びし里 神田恵琳 春燈 201402
雲千貫あつめ木菟つくりだす 佐藤喜孝 あを 201402
井伊直弼深き眠りへ木菟啼けり 三枝正子 万象 201403
日の暮や姉を気遣ふ木菟の声 杉原ツタ子 201404
みみづくの淋しきときも目をひらく 本多俊子 光のうつは 201404
さなぎだに淋しきものを木菟の声 木村ふく 馬醉木 201501
木菟や父が前掛けはづすころ 山尾玉藻 火星 201501
木菟蹄いてみほとけの燭立上がる ほんだゆき 馬醉木 201502
絶筆のブルーブラック木菟啼けり 平野みち代 201503
小耳木菟見たさの大き輪に入る 佐用圭子 201503
木菟鳴くや月の佗しい櫻桃子忌 鈴木鳳来 故山 201505
推敲の二転三転木菟鳴けり 天野みゆき 風土 201506
閑林に独り坐すれば木葉木菟 山本無蓋 201509
木菟やつまんでみたき耳ふたつ 寺田すず江 201603
ひろさんのコート目で追うシロミミズクほう のざきまみこ 201603
土笛のわが息さびし木菟の声 深川淑枝 201605
薄紅葉潜むは木菟か梟か 内田郁代 万象 201609
月のぼる御廟の木菟のせちに鳴き 谷村祐治 雨月 201612
木菟鳴いて夜の静寂を深めけり 稲畑汀子 ホトトギス 201712
木菟の眼のひかる月夜の霧氷林 根岸善雄 馬醉木 201804
どん底にまだ底ありと木菟鳴けり 柴田佐知子 201803
深き夜のいのちをつなぐ木菟鳴くな 杉田智榮子 馬醉木 201805
木菟の啼かず迷子や街に死す 小笠原妙子 201907
木菟とにらめつこして横向かす 加倉井たけ子 201912
文一つ書かねば木菟の鳴く夜は 増成栗人 202002
昼は昼夜は夜の声で木菟鳴けり 増成栗人 202004
木菟啼いて別居してまで棲む山か 小林和子 202204

 

2022年12月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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