三 日 1     200句

炉がたりも気のおとろふる三日かな    飯田蛇笏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三日かな鯛のかたちに岬の雲
村上光子
馬醉木
199903
菜飯屋の三日の昼を賑へり
松崎鉄之介
199903

難病の妻の介護を二十年せしに

介護の苦のがれし死なり三日の夜

松崎鉄之介
199903
三日の蓮根すうすう風通る
大倉郁子
ヒッポ千番地
199906
三日半日しやがんだままに少女たち
佐々木峻
船団
199908
昆布巻の帯のほどけし三日かな
辻享子
ヒッポ千番地
199908
金婚の身のうち三日のしつけ糸
宇都宮滴水
京鹿子
200001
水の音火の音かはりなき三日
鈴鹿百合子
京鹿子
200001
かたかたと三日の庭に尉鶲
阿部ひろし
酸漿
200002
残り物寄せ鍋となる三日かな
椎名ミサヲ
飛行船
200002
白湯ばかり所望してゐる三日かな
山田六甲
六花
200002
少しづつ家ほどけゆく三日かな
橋本弘子
200003
廐わたりてゐたり三日過ぐ
宮津昭彦
200003
日の丸の裏側もまだ三日かな
華明日香
銀化
200003
三日はや達磨荒焚く秩父人
唐沢静男
春耕
200003
三日はやブランチとなる松藻汁
佐々木孝子
200003
三日はやワープロは文字生みつづけ
和田敏子
雨月
200004
二千年迎へて三日何もなし
久保田一豊
いろり
200004
今年あと三日あの足音は何
富田美和
200005
魚市場かわくにほひも三日かな
竹内弘子
あを
200101
夜明雲三日の峡を燃え渡る
阿部ひろし
酸漿
200102
心地よき三日や嶺の吹き晴れて
小澤克己
遠嶺
200105
鉄輪(かんなわ)へ三日の湯あみ京女
黒田貴勢
京鹿子
200111
一人酌む三日の夜の風の音
古川利子
200202
抜きさしのならぬ三日の隠しごと
宇都宮滴水
京鹿子
200202
三日晴れ庭木かがやく風すこし
阿部ひろし
酸漿
200202
杉玉に湖の風ある三日かな
山尾玉藻
火星
200202
はや三日ブランデーグラス両の掌に
芝尚子
あを
200202
三日まだ獏に食はせるものもなし
豊田都峰
京鹿子
200202
三日はやダンプ左にまがります
山田三江子
200203
花足して戻る墓参や三日富士
石山正子
銀化
200203
一団の客を送りて三日果つ
梶井和呼
酸漿
200203
家猫の三日の貌も見あきたり
嵯峨根鈴子
火星
200204
三日早や釣糸垂れる浜の子ら
三宅昌子
ぐろっけ
200204
ラーメンをねだる三日の子どもかな
島本知子
ぐろっけ
200204
三日とも船場仕立の雑煮かな
宮崎正
ホトトギス
200205
師の句碑へ水の韻きも三日なる
辻口八重子
ホトトギス
200206
城うちの松見て歩く三日かな
戸栗末廣
火星
200207
三日はや電気カミソリ充電す
宮原みさを
花月亭
200208
三日はや産衣干されてゐたりけり
宮原みさを
花月亭
200208
焼豚の糸を解きたる三日かな
今村文江
帆船
200303
電波もて届く三日のシュトラウス
林翔
200303
静かなる雪の三日となりにけり
東芳子
酸漿
200303
ワイングラス並ぶ順ある三日かな
米澤光子
火星
200304
猫とゐて雪の三日となりにけり
橋本良子
遠嶺
200304
ゆつくりと老の鍬振る三日かな
清水和子
酸漿
200304
三日はや諍ふ声の襖ごし
平居澪子
六花
200304
三日はや火葬の島の煙立つ
片山喜久子
雨月
200304
修道院森閑として三日かな
中島知恵子
雨月
200305
松島の鳶を遠見の三日かな
今野福子
200307
朝刊の瘠せて届きし三日かな
塩田博久
風土
200403
組み上げし護摩壇匂ふ三日かな
渡辺周子
雲の峰
200403
トンネル抜け三日の猿とすれちがふ
丸山佳子
京鹿子
200403
日の丸を畳む三日の夕茜
河村岳葉
築港
200403
雲生れて三日の富士となりにけり
岩渕彰
遠嶺
200404
三日はや落暉に夢を膨らます
大久保恵美子
遠嶺
200404
わたつみの虹礼讃の三日かな
岡淑子
雨月
200404
駅伝の白熱見むと三日かな
堀田こう
雨月
200404
江の島の海見せにゆく三日かな
鈴木とおる
風土
200404
和賀江港三日の潮目濃かりけり
陣野今日子
風土
200404
顧みる薩峠の三日富士
田中きよ子
酸漿
200404
広重の富士や三日の駿河湾
田中きよ子
酸漿
200404
三日はや花子に逢ひに橋渡る
中島瑞枝
百鳥
200404
抱負まだ巌のごとき三日かな
丸山敏幸
200404
上方の漫才くどき三日かな
内藤三男
ぐろっけ
200404
故郷の向かいに葬儀ある三日
佐方敏明
ぐろっけ
200404
三日はや囲碁道場に子連れ客
石橋萬里
ぐろっけ
200404
浅草の三日古着屋ひやかせる
鈴木智
200406
峡三日晴れてあやめのしどけなし
朝妻力
雲の峰
200407
三日はや集ふ心のありしこと
稲畑汀子
ホトトギス
200501
眄目に佛花を選ぶ三日はや
伊藤白潮
200502
磐梯山一日浴びる三日の陽
松崎鉄之介
200503
喪の家も魚焼く匂ひ三日はや
土肥屯蕪里
雲の峰
200503
筒井筒覗き三日の水鏡
鶴田武子
雲の峰
200503
はや三日干し物越に富士の山
須賀敏子
あを
200503
デパートに江戸木遣聞く三日かな
荻野嘉代子
春燈
200503
関東煮三日をかけて食べつくす
瀬下るか
200503
三日早や大風呂敷の婚の使者
山内なつみ
万象
200504
三日はや追伸に事たのみをり
斎藤宣子
帆船
200504
トランプの独り占ひして三日
寺島順子
雨月
200504
黒猫の眼と会ふ三日ポストまで
中上照代
火星
200504
おや三日何だそうかと落着きぬ
加藤君子
火星
200504
舞ひおりし三日の紅葉しをりとす
田村みどり
京鹿子
200504
連山に雪の残れる三日かな
高倉恵美子
200504
濯ぎたるふた竿三竿三日はや
小野田和世
200504
百号の画布担ぎ出す三日かな
間島あきら
風土
200505
息少し抜いて三日の銀の匙
坂本敏子
京鹿子
200505
三日暮る群れ鴨の声町こゆる
渡邉友七
あを
200505
鯛の鯛残る三日の皿の上
中村房枝
六花
200601
三日はや裏ごゑ使ふ鴉ゐて
淵脇護
河鹿
200603
頂見せぬ三日の富士と訣れけり
林翔
200603
米二合磨ぐや三日の音たてて
千田百里
200603
明日の靴磨いておきぬ三日かな
吉田かずや
春燈
200603

悼 吉川啓示画伯昭和十六年七月応召なれば

関特演に応召の友三日に逝く

松崎鉄之介
200603
三日はや白めし味噌汁なじみをり
淵脇護
河鹿
200604
枕から頭外れて三日かな
大島翠木
200604
生真面日に廻る三日の洗濯機
村上和子
ぐろっけ
200604
手品師の問ひに応ぜず三日早や
瀬下るか
200604
大仏の微笑に眼福得し三日
寺島順子
雨月
200604
あるはずの本探しゐる三日かな
石川英利
百鳥
200604
手袋に歯型の残りゐる三日
迫田白庭子
百鳥
200604
塗盆の指紋拭きたる三日かな
細川房代
百鳥
200604
三日はや二人となりて餅を焼く
高倉恵美子
200605
ランナーの一人が転びはや三日
松田都青
京鹿子
200605
手のとどく辺りを拭きて三日かな
本橋墨子
200605
三日はや絣解きゐし膝の上
渡真利真澄
万象
200703
波音のゆつくり返る三日かな
久保久子
春燈
200703
子ら去にて独り身かこつ三日かな
大橋晄
雨月
200703
三日はや背戸に声上ぐ焼芋屋
松崎鉄之介
200703
亥の年の三日の町に猪来る
松崎鉄之介
200703
木の門より栗鼠の尾を振る三日かな
馬場秀
万象合同句集
200703
料亭の味もはや倦む三日かな
和田恭子
200704
箸割つて大黒そばの三日かな
深澤鱶
火星
200704
にこにこと携帯電話三日かな
波田美智子
火星
200704
三日はや窓になじみの漁り舟
小島みつ代
200704
身ほとりの何となけれど三日かな
西口万佐子
200705
驢馬の絵の葉書の届く三日かな
ことり
六花
200801
見送りに出て満月の三日かな
内山けい子
200801
終ひ湯にぬぐふ蹠も三日かな
ほんだゆき
馬醉木
200802
檜葉垣の雨しづくする三日かな
山尾玉藻
火星
200802
三日はや行かねばならぬ葬なりし
西岡啓子
春燈
200803
三日はや庭に吹かるる洗濯物
松崎鉄之介
200803
子を孫をそろへ我家の三日かな
阿部ひろし
酸漿
200803
子午線を指ではじいてゐる三日
吉弘恭子
あを
200803
獅子舞をちらと見かける三日かな
赤座典子
あを
200803
うら畑に幼の尿る三日かな
城孝子
火星
200804
三日はや朝食パンに戻りけり
波田美智子
火星
200804
女出て竿拭きゐたる三日かな
大内佐奈枝
万象
200804
姐さんと行き違うたる三日かな
小形さとる
200804
信貴山の戒壇めぐる三日かな
谷村幸子
200804
産土様に焚火跡ある三日かな
國保八江
やぶれ傘
200805
灯す夜の三日の文の高さかな
小澤克己
遠嶺
200901
食ぶる夢ばかりみてゐし三日かな
石寒太
炎環
200903
三日はや手足を伸ばす常の宿
鈴木石花
風土
200903
子ら去にて津波引くかの三日かな
大橋晄
雨月
200903
時代劇見るにも飽きて三日暮る
中原敏雄
雨月
200903
連立ちて海を見に行く三日かな
府川昭子
春燈
200903
平穏に過ぐる三日の空青し
坂本幸子
酸漿
200903
今日よりは一人に戻る三日かな
久保田嘉郎
酸漿
200903
三日はや終日寡黙にハーブティー
芝宮須磨子
あを
200903
テノールに酔ひしオペラの三日かな
新実貞子
200904
大海を眺めてゐたる三日かな
松下八重美
200904
当人は謡のつもり三日の湯
栗田武三
ぐろっけ
200904
老妻と児らの合唱三日の湯
栗田武三
ぐろっけ
200904
空澄みてマイクに対ふ三日かな
杉浦典子
火星
200904
玉葱を切つて涙す三日かな
大山文子
火星
200904
歳時記の表紙繕ふ三日かな
三由規童
雨月
200905
三日はや江戸千代紙の店に寄り
佐田昭子
ぐろっけ
201001
三日早や思ひもよらぬ大封筒
丸山佳子
京鹿子
201002
雲裏に三日の夕日丘住ひ
伊藤敬子
201002
つくづくと手相眺むる三日かな
水原春郎
馬醉木
201003
お鷹場の池に三日の鴨睦む
成宮紀代子
201003
静まりて独酌となる三日かな
大橋晄
雨月
201003
 一日二日とお降りなれば

三日の陽拝しこころのなごみたり

伊藤敬子
201003
信仰に似し俳縁の三日かな
岸田爾子
201004
伊吹嶺の白輝ける三日かな
福田漣
201004
針糸を通してもらふ三日かな
高倉恵美子
201004
流れゆく雲の速さの三日かな
根岸善行
風土
201004
角座出て足はなんばに三日かな
中島陽華
201004
逝く母に語りかけゐる妻三日
四條進
201004
三日はや谷にどよめく救急車
海上俊臣
酸漿
201004
はや三日唐へ赴任の子の背仰ぐ
布川孝予
京鹿子
201005
坂戸淳夫天に召されし三日かな
高橋龍
201007
さりげなく過ぎたる干支の三日かな
田中貞雄
ろんど
201101
三日の日わがこの峡の天渡る
阿部ひろし
酸漿
201102
児等去りて部屋空ろなる三日かな
中本吉信
201103
三日かな鱶鰭のんどを通りける
中島陽華
201103
頰白の声の聞えし三日かな
長田秋男
酸漿
201103
三日かなぽろりと鯛の鯛とれて
中島陽華
201104
祝の酒吐息となりし三日かな
前田美恵子
201104
公園の遊具込み合ふ三日かな
西谷良樹
春燈
201104
折りたたむやうに日の過ぐ三日かな
門伝史会
風土
201104
たこ焼のソースたつぷり三日かな
高尾豊子
火星
201104
墨の香の写経に暮るる三日かな
皆川千佐恵
末黒野
201104
硯海の昼月擦りをろす三日
吉弘恭子
あを
201104
朝の日に三日の畑の青野菜
渡邉孝彦
やぶれ傘
201106
あんのんの三日中洲の照り返し 田中貞雄 ろんど 201201
階段に書のもどりたる三日かな 山田六甲 六花 201201
母の病む報せを聞きし三日かな 山田六甲 六花 201201
三日過ぎほっとひと息「アベマリア」 森下康子 201203
病院に戻りてゐたる三日かな 高倉恵美子 201203
病床の母に粥炊く三日かな 鈴木セツ 201203
三日はや枕にこぼす粉薬 小林清之介 風土 201203
三日はや小磯に残る焚火跡 松下八重美 夢見の鐘 201203
はんなりと半月の空三日かな 折橋綾子 201204
三日はやトーストパンを焦がしけり 松山三千江 春燈 201204
すこし土踏みて三日の暮れにけり 松田泰子 末黒野 201204
三日はも昼間さびしき炬燵かな 城孝子 火星 201204
大鍋の焦げ磨きをる三日かな 紅谷芙美江 万象 201204
ホレホレと赤子皆抱く三日なり 森田子月 ぐろっけ 201204
つつがなく日の沈み入る三日かな 川下明子 雨月 201204
鼻太き大黒天撫づ三日かな 谷口きよ子 万象選集 201205
独り居の正月三日人恋し 佐藤吉子 万象選集 201205
三日早や炭焼く仕度はじめけり 山形悦子 万象 201207
三日はや皆帰りけり新聞読む 岡野安雅 かさね 201207
もう三日絶交中の土佐文旦 火箱ひろ 船団 201212
三日はや地球三回転したり 高橋将夫 201301
酒きらし鰥夫干上がる三日かな 森谷達三 春燈 201303
三日はや体育館に声あふれ 杉本光祥 201303
重の内残塁めける三日かな 石田きよし 201304
三日はや台風一号生まれたる 岩下芳子 201304
静寂の雪により添ふ三日かな 浜福惠 風土 201304
ネクタイを師に誉められし三日かな 杉本薬王子 風土 201304
三日はや雪国へ発つ箱廻し 福島せいぎ 万象 201304
三日 →2      

 

2021年1月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。