メロン     197句

骨壺とならびてメロン網かぶる    榎本冬一郎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
メロン一つ青き地球を掌にのする
南絹子
風土
199809
死を知らぬ幼な大切りメロン食む
竪岩百合子
199810
湯上りの爪柔かくメロン食ぶ
的場うめ子
ぐろっけ
199810
円満の秘訣メロンの網目密
村田冨美子
京鹿子
199901
筋ジスの友よりメロン贈らるる
高木伸一
六花
199909
夕張のメロン届いて日を待てり
金子八重子
酸漿
199910
夜行性の妻もメロンも大切に
中村安伸
海程
199910
賜はりしメロンが箱に匂ひけり
白鳥婦じゑ
酸漿
199911
温泉のメロンのように自動ピアノ
小枝恵美子
ポケット
199911
惑星になりそこねたな青いメロン
寺田良治
船団
199912
白痴美のごときメロンを切り並べ
北原志満子
海程
200001
母と食むメロンの種の夥し
星野早苗
空のさえずる
200002
メロンざくりとビーナスの脳切るように
塩見恵介
虹の種
200005
嫁ぐ娘と頒つメロンや遠汽笛
川端実
遠嶺
200008
寄り道をして大メロン貰ひけり
谷寿枝
酸漿
200008
メロンの香狭き仏間を満しけり
笠原フミ
酸漿
200010
メロンより優れし川の冷し瓜
長谷川登美
ぐろっけ
200011
メロン切る享年二十歳の誕生日
武藤嘉子
木椅子
200102
刃を研ごうメロンが届く午前中
蔵前幸子
船団
200102
拙宅へ畏れ多くもメロン様
ゆにえす
船団
200102
休日は素顔のままでメロン切る
宮倉浅子
遠嶺
200105
食べ頃を過ぎしとメロン香を放つ
物江昌子
六花
200107
お見舞の丹波より来るメロンかな
松崎鉄之介
200109
遠州森マスク・メロンの出荷時
渋谷照代
200109
いささかの奢り心にメロン切る
安陪青人
雨月
200110
メロンのみ召されしことも二三日
岩本桂子
ホトトギス
200111
一匙のメロン末期となりしこと
岩本桂子
ホトトギス
200111
豪快に切つて二人のメロンの夜
山田弘子
ホトトギス
200111
招待を仕上げるメロン銀の皿
山田弘子
ホトトギス
200111
お見舞に十幾つ目のメロン来し
林直入
ホトトギス
200111
メロンつくお子様ランチ注文す
神山直子
ホトトギス
200111
機内食甘さしたゝるメロン食ぶ
長谷川朝子
ホトトギス
200111
知事の前メロンの種子が歯間から
相原左義長
海程
200111
網などに閉ぢこもりゐるメロンかな
山田六甲
六花
200208
病院食メロンもありぬ日曜日
正木泰子
ぐろっけ
200208
食べ了へしメロンは小舟匙は櫂
林翔
200209
一日のやすらぎにありメロン切る
南孝
円虹
200209
弁当のおかず入れにも初メロン
庄中健吉
200209
ギヤマンの器に盛らるメロンかな
関本真一郎
帆船
200209
夕張の夕焼色のメロン食ぶ
苑田ひろまさ
200211
年取らぬ夫の遺影にメロン切る
三沢蘭
遠嶺
200211
最果てのみやげのメロン先に着く
松下通代
帆船
200211
正座してマスクメロンをくづしけり
中村洋子
風土
200308
切りしメロンと同じ形の月上がる
谷添睦子
200308
帰る子へ熟れきれざるもメロン切る
村井久美子
200309
衝動の事件多しやメロン切る
竹内悦子
200310
月光に砂丘メロンの網目濃し
木下ふみ子
馬醉木
200311
味噌っ歯をメロンに埋めにんまりす
石橋萬里
ぐろっけ
200311
客人を待ちかねひとりメロン切る
恒成久美子
ぐろっけ
200311
茨城へメロン刈りてふバスツアー
北村香朗
京鹿子
200409
メロン切るに刃先をにらむ十個の眼
宮川典夫
200409
メロン出し子の女客垣間見る
津田霧笛
ぐろっけ
200409
ありすぎるものを怖れつメロン切る
岩上とし子
200410
満ちたるをはづかしむかにメロン切る
荒木甫
200410
犬連れてマスクメロンの見張り番
青木勝子
200411
メロンより梅干好む酸っぱ党
品川鈴子
ぐろっけ
200412
メロンパフェ足下の海の荒れてをり
山元志津香
八千草
200501
極寒のメロンの贅を掬ひけり
植村よし子
雨月
200506
軽やかにマスクメロンの打診音
鈴木良戈
200509
メロンたうべ明るく巨き船をおもふ
瀧春一
菜園
200509
食べ頃をさぐられてゐる網メロン
栗原紘子
200510
巴里市街見下ろすネットメロンかな
栗栖恵通子
200510
よく冷えしメロン出陣式の朝
岡崎桂子
対岸
200510
食べ頃を待ついく日ぞメロンの香
東芳子
酸漿
200510
メロン包む故郷の新聞大切に
能村研三
能村研三句集
200512
子等の顔寄せてメロンの切られけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200607
野菜室といふメロンの玉座かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200607
生ハムの紅透けしメロンかな
金子輝
春燈
200607
銀の匙より雫してメロン食ぶ
石橋万寿
200607
メロンすくふ一語一語を噛むごとく
神蔵器
風土
200609
カットメロン初道東の風やさし
数長藤代
200610
君や亡しメロン切り分けくれたるに
西村しげ子
雨月
200610
網目より香るメロデイ青メロン
奥田弦鬼
風土
200610
食品階つまむ試食のメロン片
荒木治代
ぐろっけ
200610
仏前の夕張メロン匂ひけり
池崎るり子
六甲
200612
メロン食む詮なきことばふやしつつ
中尾杏子
200709
もてなしの締めはメロンの食べ頃を
加藤峰子
200710
新婚のすべて未知数メロン切る
品川鈴子
自選100句集
200805
結論は急がずメロン四等分
柴崎英子
絹の波
200806
夏負けてメロン正しく切り分くる
山尾玉藻
火星
200807
青年の旅程聞く夜のメロンかな
山岸治子
馬醉木
200808
結局は子が食ふ母の日のメロン
山本無蓋
200808
頑張つてゐますとメロン供へけり
安井寿美子
200809
メロン美しレースの衣装着こなして
布川直幸
200809
地の果てと思ひし町のメロン食ぶ
稲嶺法子
遠嶺
200810
メロンに刃たちまち甘露溢れくる
布川直幸
200811
メロンすくふ遠き日の恋すくふごと
上原重一
200811
嫁ぐ気も屈託もなくメロン食む
亀ヶ谷照子
遠嶺
200811
貴婦人のやうにメロンの網目服
布川直幸
200908
網の目の抱へるメロンの熟しかな
黒澤登美枝
200908
メロン食ぶ皮舟型に残りをり
黒澤登美枝
200908
母の日や自分のために買ふメロン
塩千恵子
200908
食べごろのわからぬメロン貰ひきし
森戸柚斎
炎環
200908
冷えごろのメロンにそへて銀の匙
田下宮子
200909
メロン切る七等分を見つめられ
阪上多恵子
雨月
200909
帰り来てメロン切る子や寮住ひ
青木陽子
酸漿
200909
不公平にメロンを切つてしまひけり
長谷川照子
春燈
200910
ささくれし心がメロン食べてをる
近藤紀子
200911
メロン西瓜と仏に供へ賑はしき
近藤豊子
雨月
200911
メロン切る「食べごろ栞」など信じ
布川直幸
201007
友を呼び友の友呼びメロン切る
中島玉五郎
201008
メロン提げ直ぐに帰ると次兄なり
森さち子
201008
毒舌の素は健啖メロン切る
千田敬
201009
メロン切るこの世の罪を消すごとく
鴨下昭
201010
離乳食メロンは大き口開けて
堤節子
ぐろっけ
201010
宅配の青年汗すメロン抱き
鎌田篤
雨月
201010
師の快気祝がむ心根メロン買ふ
東野鈴子
雨月
201010
メロン切る卓に正座の一家かな
藤井圀彦
201011
美しき嘘のあとさきメロン喰む
林いづみ
風土
201011
熟れ頃のメロン理系の夫が切る
谷泰子
ぐろっけ
201012
帰宅してメロン一個の空気かな 楠原幹子 201108
父の忌や仏間に籠るメロンの香 鈴木一三 末黒野 201110
夕張の夕日のごときメロン食む 北郷和顔 末黒野 201110
数学の不得手な少女メロン切る 栗原完爾 春燈 201110
御持たせの折紙付のメロンなり 安藤久美子 やぶれ傘 201110
おほいなる銀座の闇よ青メロン 小堀寛 京鹿子 201110
メロンの香種をとばして薄き下駄 鴨下昭 201111
神に酒仏にメロン供へけり  須藤常央 ホトトギス 201112
口唇に絹の余韻の青メロン 熊川暁子 201208
セシウムの検出なしとメロン着く 中山静枝 201208
昨日桃今日はメロンと贅沢な 大橋敦子 雨月 201208
シラ書読むメロンに微かなる死臭 荒井千佐代 201209
メロンの尻押すだけ押して売り場去る 中本吉信 201209
メロン抱き急いで戻る誕生日 堀田清江 雨月 201210
メロン冷えあなたが悪い訳でなく 中原幸子 船団 201301
メロン切る身ぬちの水位昂らせ 柿本麗子 千の祈り 201307
学生の夜のメロンに賑はへり 江見悦子 万象 201310
メロン切る祖母はいつでも笑顔佳き 宮田香 201310
無き袖をたまには振りてメロン買ふ 池田かよ ぐろっけ 201311
メロン食ぶ紋章入りのカトラリー 田丸千種 ホトトギス 201311
奇数てふ厄介な数メロン切る 田畑耕之介 京鹿子 201401
碇泊船はるかに卓のメロン切る 佐久間由子 201401
不細工にメロン切らるる野外草 河前隆三 馬醉木 201408
月光にメロンは網目紡ぎをり 大谷昌子 馬醉木 201409
メロン掬ひ飯島晴子を考へる はしもと風里 201409
マスクメロンやもめの義弟より届く 有賀昌子 やぶれ傘 201410
熟れ頃も冷え頃も誕生日のメロン 大橋敦子 雨月 201410
皿に置く小舟のやうなメロン揺れ 有賀昌子 やぶれ傘 201410
メロン切る妻に敬語を使ひけり 福島せいぎ 万象 201410
家路急く冷やしメロンを思ひ出し 岩上行雄 末黒野 201411
やうやくに職決まる子やメロン切る 菅野日出子 末黒野 201411
目のまえに君の目のあるメロンかな 中原幸子 船団 201502
平成のメロン西瓜は昭和かな 秋葉雅治 201507
ざつくりと赤道切りやメロン食ぶ 望月晴美 201507
糸口をメロンの網に見つからず 山田六甲 六花 201509
オムライス脇にメロンの取り合はせ 濱上こういち 201509
メロンの匙ふきて法事の果てにけり 宮川みね子 風土 201510
人類の地球は一つメロン切る 大矢恒彦 201510
メロン切る等分といふ不確かさ 熊川暁子 201511
二つあるうちの一つのメロン切る 根橋宏次 やぶれ傘 201511
東京の鴉のせせるメロン屑 大島英昭 やぶれ傘 201511
メロン切る聖痕の無き双手もて 荒井千佐代 201607
体力に叶ふメロンをひとつ買ふ 田原陽子 201608
臍の緒の付きしメロンが届けられ 熊川暁子 201608
うれメロンの皮の境目うすくきる 中堀倫子 201608
化粧箱に夫婦のごとくメロンかな 箕輪カオル 201609
メロン切り晴れの気分の湧いてくる 土井ゆう子 風土 201609
線香を供ヘメロンを下げにけり 奥田茶々 風土 201610
いただいて来しはメロンと蝿叩 山田健太 風土 201709
亡き妻の分のメロンも切つてしまふ 野沢しの武 風土 201710
資生堂パーラーの午後メロン食ぶ 藤井啓子 ホトトギス 201711
とは言へどやはりメロンに縁遠く 藤井啓子 ホトトギス 201711
食卓に地産のメロン匂ひけり 田中臥石 末黒野 201711
いただいて来しはメロンと蝿叩 山田健太 風土 201801
メロン切るいま満月の真つ平ら 齊藤實 201808
初夏の一日百句メロン切る 鈴木みのり 201809
香り立つメロンに終のクラス会 水田壽子 雨月 201810
半割のメロンの底の甘露かな 藤波松山 京鹿子 201811
朝は金と言はれしこともメロン食ふ 出牛進 201909
君が触れしメロンの迷路なぞりをる 近藤紀子 201909
妻と居てメロンひとつを持て余す 廣瀬雅男 やぶれ傘 201910
お見舞にもらひしメロン消えてをり 永田万年青 六花 201912
子も孫も無事と聞く日のメロンの香 川崎雅子 京鹿子 202002
広島のメロン京に住む子に届けたし 川崎雅子 京鹿子 202002
しみじみと娘の年数ふるメロンかな 川崎雅子 京鹿子 202002
メロン欲し娘に買ひし土産なれど 川崎雅子 京鹿子 202002
身ほとりに網目をひろげメロン切る 伊藤希眸 京鹿子 202008
食卓の窓の満月メロン切る 岡野里子 末黒野 202009
仏壇に熟れしメロンを下げにけり 山田六甲 六花 202009
手相見の言葉を信じメロン買ふ 江草礼 春燈 202009
メロン切る夜の静寂を切るように 波戸辺のばら 202011
マスクメロン当たり障りのない返事 鷺山珀眉 京鹿子 202011
網の目は地球の迷路メロン切る 岡野里子 末黒野 202011
仏壇のメロン香の満つ昨日今日 秋山文子 末黒野 202011
幸せは等分にしてメロン切る 山田佳乃 ホトトギス 202012
亡き妻と半分づつや夜のメロン 赤川誓城 ホトトギス 202101
快気祝のメロン従兄よ健やかに 坂本依誌子 春燈 202108
厨より娘の鼻歌やメロンの香 中山惠子 202109
待つといふひとときメロン切り分けて 小林和子 202110
メロンパン齧り炬燵を占領す 安藤久美子 やぶれ傘 202201
メロン切る熟れ頃冷え頃誕生日 落合絹代 風土 202209
一期一会ぞメロンのパフェに行列す 赤座典子 あを 202209
午後ひとり夫の嫌ひなメロン食ふ 日高みち子 やぶれ傘 202210
メロン出てティファニー色の病者食 山田六甲 六花 202210
メロン掬ふ銀のスプーンの透かし彫 本郷公子 京鹿子 202211
脳トレの問違ひ探しメロン食む 高橋詩 202211
子がメロン送りきてまた着払ひ 萩原久代 やぶれ傘 202212

 

2023年7月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。