80句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
しづけさや手に新繭のうすみどり 柳沢杏 酸漿 199908
あきらかに隣りは繭になつたやう 中原道夫 銀化 199908
繭籠り初めし微動を掌に 北吉裕子 俳句通信 199908
白繭やとろりとろりと一ト日ある 小形さとる 200006
うしろめたくも新繭に形ありぬ 青山茂根 銀化 200007
繭を掌にふればコトコト音がして 保坂加津夫 いろり 200007
ひたすらに食べては眠り繭の中 村山秀雄 200008
繭神が留守を預かる田刈どき 塩路隆子 精鋭選集 200008
野繭の貌を手の平に載す甲子男の忌 五十嵐研三 海程 200010
新繭担ぎ男やもめは町へ行く 小池弘子 海程 200010
街道は桑畑尽きて繭の町 清水公治 200101
繭の中大日さんとをるやうな 延広禎一 200107
繭を売る荷車引きし父偲ぶ 相沢健造 いろり 200108
いらむしの繭となりゆく枝の揺れ 桑田眞佐子 火星 200109
繭を煮るいのちの匂ひ生臭き 落合由季女 雨月 200208
玉繭や金剛峯寺にゐたるなり 中島陽華 200208
綿雲のほどかれゆくや白き繭 中野京子 200208
繭籠やパズルの言葉埋めてゆく 佐田昭子 ぐろっけ 200302
繭のころ里山ひとしほ在かこむ 豊田都峰 京鹿子 200307
かすむ日につつまれ枝の繭ゆれる 市場基巳 200307
糸取女他郷の繭と伏目され 西村しげ子 雨月 200309
人の世の濁りにとほく繭ごもる 安藤しおん 200409
糸取器十五の繭を躍らせつ 青木陽子 酸漿 200409
繭を煮るゆつくり円を描きながら 服部早苗 200510
白妙の繭小包の詰めものに 品川鈴子 ぐろっけ 200604
草木染其処に若草色の繭 宇田喜美栄 200608
父さんとゆつくり話す繭の中 市川英一 遠嶺 200609
チマチョゴリ無邪気と邪気の繭で織る 臼井昭子 200704
干繭や桑に入る日のうち映えて 瀧春一 200706
王昭君繭をかくして嫁ぎしと 松崎鉄之介 200707
ピラミッド型に四反分の繭積めり 望月洋子 200707
繭白し忘れし頃に傷痛み 野路斉子 200709
糸吐いて繭となりたる仏かな 中野京子 翁草 200710
九会曼陀羅煮え繭ついと寄せらるる 中島陽華 200711
冷まじや糸取りし繭に透く蛹 新倉舒子 200801
繭といふ閑かさにある虚空かな 西村純太 200809
少しづつ本音を吐いて繭に入る 松田都青 京鹿子 200901
繭ごもりめくかまくらに膝折りて 諸岡和子 200903
白繭や乙女は細き眉を描き 米田正弘 200908
便り絶ゆうらむらさきの繭こもり 福永尚子 ろんど 200908
忘れ物めく屑繭でありにけり 木暮陶句郎 ホトトギス 200909
ひと筋の糸に躍りし滾り繭 渡部節郎 転舵の渦 200911
生きてゐる繭こはごはと触れてみる 稲畑汀子 ホトトギス 201005
三変化ほどの四繭でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
祀るごと白繭ひとつづつに影 杉浦典子 火星 201008
満開に鉢を溢るる四繭かな 長谷川たか子 酸漿 201009
湯気立てて夜のひとり居は繭のごと 笠井敦子 201104
繭数多芥のごとく流れゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201105
薄明の熟睡に寧し繭の中 竹貫示虹 京鹿子 201105
狂ふごと踊り続けて繭煮らる 佐藤山人 201108
夢を見るために蚕は繭に入る 高橋将夫 201108
天蚕の繭美しや布を織り 紀川和子 うらら 201202
伝統の繭作りにも影さしぬ 安藤虎酔 かさね 201208
繭つくる前の一回きりの尿 佐藤山人 201212
山繭の抜け殻となり草の上 市川伊團次 六花 201212
玉繭にありし匂ひの唐突に 井上信子 201407
繭袋大きかりけり繭市場 井上信子 201407
上蔟の繭薄々と柱にも 鈴木漱玉 馬醉木 201408
ひたすらに繭紡ぎをり煌めける 山荘慶子 あを 201503
天蚕の糸吐き籠る繭みどり 室伏みどり 雨月 201510
繭箒糸のもつれをさはと解く 佐藤貞子 雨月 201510
天蚕の上簇繭のうすみどり 室伏みどり 雨月 201511
移りゆく命の姿繭の中 高橋将夫 蜷の道 201703
繭の中に入れば気になる外のこと 高橋将夫 蜷の道 201703
昼醒めて春蚕の繭の薄造り 辻美奈子 201704
静けさや胎盤の中繭の中 高橋将夫 201705
手のひらの山繭に魂うばはるる 吉田順子 201809
白繭の糸の始めの見つからぬ 金森教子 雨月 201810
山繭や織りかけの帯美しく 山田六甲 六花 201906
山繭が一つ木曽路の雨の中 増成栗人 201908
神秘なる五色の繭の命かな 伊藤昌枝 201909
遣り過ごすしかなき疫や繭籠る 橋添やよひ 風土 202007
包まれてみむ秋繭の淡さなら 辻美奈子 202011
うつくしくさびしく繭のかがやきぬ 今井肖子 ホトトギス 202106
繭ごもる浅き眠りや昼の月 本郷公子 京鹿子 202208
屑繭は羽化せり足の覚束無 宮澤靖子 末黒野 202209
山繭や根の国に来て俳句詠む 山田六甲 六花 202210
繭ほぐす生糸のやうな蓮の風 山中志津子 京鹿子 202211
くれなゐの繭の中なる朝寝かな 原友子 202211

 

2023年5月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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