草いきれ 1    211句

草いきれ人死居ると札の立    蕪村

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
鬼獄の鳥居の奥の草いきれ 岩木茂 風土 199808  
草いきれ鳥の骸の濡れてあり 浜口高子 火星 199810  
草いきれとは匂ひまで青かりき 福井鳳水 円虹 199810  
ここよりは獣道なる草いきれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 199907  
草いきれほんの近くの露天風呂 山田六甲 六花 199909  
草いきれこんな所に忘れ鎌 中村祭生 ぐろっけ 199910  
草いきれ近くて遠き無人駅 迫谷富子 いろり 199911  
草いきれ教師に丸太の一本橋 阿辺一葉 海程 199912  
うつぶせの君はオカリナ草いきれ 塩見恵介 虹の種 200005  
サヨナラのライトフライが草いきれ 塩見恵介 虹の種 200005  
渡し舟待てば近江の草いきれ 品川鈴子 ぐろっけ 200007  
炭焼の廃窯すわる草いきれ 持田e子 風土 200008  
土讃線扉開けば草いきれ 年森恭子 ぐろっけ 200009  
草いきれ斜面一気に駆けくだり 柳生千枝子 火星 200010  
草いきれさ中に遠き汽笛音 柳生千枝子 火星 200010  
戦跡のうつゝの放つ草いきれ 岩田沙悟浄 円虹 200010  
近道と来たりし土手の草いきれ 高垣和惠 雨月 200010  
弟が来て刈りゆきぬ草いきれ 中原幸子 遠くの山 200010  
草いきれ湖への径塞がりて 木内美保子 六花 200010  
恋愛にすべっていくよ草いきれ 児玉硝子 船団 200103  
枕木は男の歩幅草いきれ 品川鈴子 ぐろっけ 200106  
雨上り来てたちまちに草いきれ 稲畑汀子 ホトトギス 200107  
坂下りて行けば行くほど草いきれ 稲畑汀子 ホトトギス 200107  
草いきれ抜け水音と合ふところ 稲畑汀子 ホトトギス 200107  
降り出してしづもることも草いきれ 稲畑汀子 ホトトギス 200107  
たぽたぽと水腹鳴つて草いきれ 工藤義夫 馬酔木 200109  
本能のぢつとしてゐる草いきれ 石山正子 銀化 200109  
測量の四人一組草いきれ 菅龍一 百鳥 200110  
つひに誰もゐなくなりたる草いきれ 杉浦典子 火星 200110  
草いきれなかに少女の熟るる音 竹村悦子 銀化 200111  
草いきれ魂いきれして古戦場 奥田筆子 京鹿子 200201  
六角は長の堅穴草いきれ 品川鈴子 ぐろっけ 200206  
草いきれ少し離してゐるリフト 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207  
草いきれ川幅いつぱい水流れ 加藤みき 200208  
崩落の跡あきらけき草いきれ 佐藤紀子 200208  
草いきれ通り抜けゆく夜の居間 村上留美子 火星 200209  
草いきれ長き土塀を残すのみ 大西晶子 百鳥 200209  
草いきれ追ひつけないと思ふ距離 谷上佳那 百鳥 200209  
草いきれ地球に深く分け入りぬ にいざ蚯蚓 銀化 200209  
草いきれジェラシーすこし混ぜてゐし 堀川夏子 銀化 200209  
ばらばらと子が降り丘の草いきれ 丸井巴水 京鹿子 200210  
草いきれ道一杯にダンプ来る 杉沢とみを 百鳥 200210  
毒の草薬の草の草いきれ 佐藤節子 銀化 200210  
わが生きる限りは戦後草いきれ 羽根嘉津 200301  
少年の秘密の場所の草いきれ 丁野弘 200307  
一塁を守り切つたり草いきれ 篠田純子 あを 200308  
踏み入るるを拒みし古墳草いきれ 柴崎加代子 200309  
草いきれ男を強くする匂ひ 吉川隆史 200309  
人いきれ抜けたる後の草いきれ 高橋将夫 200309  
川照のかむさりいよよ草いきれ 岡本眸 200309  
言葉なきいのちに満ちて草いきれ 山田景司 遠嶺 200310  
草いきれ負けまいと踏み倒しゆく 山田景司 遠嶺 200310  
犬尿り草いきれまた臭ひたつ 細川コマヱ 雨月 200310  
草いきれ山の小途のなくなりぬ 松下幸恵 六花 200310  
静もれる直訴街道草いきれ 飯塚久美子 対岸 200310  
草いきれずらりと並ぶ石仏 鈴木佐和子 築港 200310  
草いきれして新駅のがらんどう 秋山ユキ子 200310  
遠くなる先達のこゑ草いきれ 谷和子 200311  
踏切に及びてゐたり草いきれ 島谷征良 風土 200311  
先達の白き姿や草いきれ 小山百合子 遠嶺 200311  
土手おりる踵に力草いきれ 山田美保 200311  
草いきれ影も落さず小虫飛び 内山けい子 200311  
行き行きて小径小曲り草いきれ 武司琴子 ぐろっけ 200311  
予科練の霞ヶ浦の草いきれ 鷹羽狩行 200312  
草いきれ笛吹く子らは家路へと 西浜晴美 200312  
児の丈に屈めば高し草いきれ 山元志津香 八千草 200312  
草いきれ疎開在所の匂ひかな 橘沙希 月の雫 200404  
草いきれ火の見櫓の脚見えず 大串章 百鳥 200407  
草いきれ身ぶり手ぶりの南蛮船 有島夛美 河鹿 200408  
腹擦つて馬越えたらむ草いきれ 平賀扶人 馬醉木 200409  
潮騒に草いきれして流人墓 木場田秀俊 200410  
足腰に兆す衰へ草いきれ 安食守 200410  
草いきれ刻を仰臥の空流し 松本鷹根 京鹿子 200410  
半鐘のぬつとありけり草いきれ 細井紫幸 草の花 200410  
草いきれ残れる小径畑へ行く 関戸国子 酸漿 200411  
人間を加へていよよ草いきれ 宮崎すみ 対岸 200411  
草いきれごと掘り返し家が建つ 今井千鶴子 ホトトギス 200412  
通り雨払ひ切れざる草いきれ 稲畑汀子 ホトトギス 200507  
小石川養生所井戸草いきれ 篠田純子 あを 200507  
草いきれ竹ののたうつ竹細工 尾辻のり子 河鹿 200508  
佇める身を草いきれ包みけり 鈴木壷山 200508  
谷中墓地に明治わらわら草いきれ 篠田純子 あを 200508  
ふり向けど彼の人あらず草いきれ 林翔 200509  
草いきれ子の抜け道の後を追ふ 金川眞里子 百鳥 200509  
なぎ倒す草よりどつと草いきれ 谷口外穂 200510  
草いきれごと鋤き込んでしまひけり 高尾豊子 火星 200510  
立札に熊の絵ありぬ草いきれ 金川眞里子 百鳥 200510  
草いきれ下流うすれの土手に出る 松本鷹根 京鹿子 200510  
海へ出る道なき道の草いきれ 上出曙美 築港 200510  
草いきれ胸の中まで幼き日 坊城俊樹 ホトトギス 200512  
若者に未完の気負ひ草いきれ 近藤喜子 200610  
草いきれいつしか墓群いきれかな 田辺博充 200610  
草いきれ煙るアルペン日和とは 風間史子 200611  
新築の隣に空き地草いきれ 鈴木伊都子 200612  
当麻路や行くほどに濃き草いきれ 松本俊介 春燈 200706  
草いきれ山の怒りのごとくあり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707  
草いきれ風が攫つてゆきにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707  
草いきれ鞄の中にまで入れり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707  
鳶の笛まで草いきれ届きさう 稲畑廣太郎 ホトトギス 200707  
あをあをと馬の出でくる草いきれ 橋本榮治 馬醉木 200708  
弘法の水は此処にも草いきれ 中田みなみ 200709  
ひと巡りして草いきれ五稜郭 吉成美代子 あを 200709  
磴百余のぼり切つたる草いきれ 小泉万里子 200710  
山城の弾薬庫跡草いきれ 長洲元子 200711  
草いきれ河原昏れたる後をなほ 糸井芳子 200711  
雨あとのひときは強き草いきれ 奥野初枝 万象 200712  
野仏の顔の失せたる草いきれ 堤湖舟 万象 200712  
草いきれ若者の声弾け飛び 笠井清佑 200807  
子等遊ぶ廃線跡や草いきれ 三川美代子 200808  
白球を拾ひ一気に草いきれ 齊藤實 200809  
一の関二の関跡や草いきれ 内藤静 風土 200809 見沼
鴉居て片足上げる草いきれ 遠藤実 あを 200809  
忽ちに意識のもどる草いきれ 佐藤喜孝 あを 200809  
栗鼠の尻尾走る走る草いきれ 石原みどり 炎環 200810  
草いきれ互に無言つづけ行く 鈴木良子 酸漿 200810  
草いきれ磧はしろく暮るるのみ 大崎紀夫 やぶれ傘 200810  
軍靴を知らぬスパイク草いきれ 池田光子 200811  
墓地即ち母の膝下や草いきれ 上林孝子 200811  
一歩づつ人遠くなる草いきれ 坪井洋子 200811  
草いきれ払ひハーレーダビットソン 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907  
日の暮に残されてゐる草いきれ 助口弘子 火星 200908  
それなりに心に残る草いきれ 柴田靖子 200909  
園丁に出口ききをり草いきれ 田中藤穂 あを 200909  
草いきれ太宰に勁き女添ひ 中田みなみ 200909  
バスに乗る少女等の靴草いきれ 古川忠利 ろんど 200909  
臨海都市予定地といふ草いきれ 林昭太郎 200909  
草いきれ急先鋒は折れやすし 豊田都峰 京鹿子 200909  
斜に見る太陽の塔草いきれ 大山文子 火星 200910  
魚跳ねて川の黙ます草いきれ 三代川玲子 春燈 200910  
草いきれその藪払ふ老出でし 松元末則 酸漿 200910  
縞馬の革大の字に草いきれ 縄文人 炎環 200910  
薬草の香の混りたる草いきれ 水谷洋子 十進法 200911  
分け入れば兵の墓草いきれ 中村勝行 200911  
櫓組む団地広場の草いきれ 柿沼盟子 風土 200911  
草いきれなほ蘇るグラマン機 山下青坡 200911  
水筒の残りを捨てぬ草いきれ 黒滝志麻子 末黒野 200911  
人形を抱きしジプシー草いきれ 林哲夫 ぐろっけ 200911  
ゴム毬に臍といふもの草いきれ 大島英昭 やぶれ傘 200911  
前方後円墳といふ草いきれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006  
体当たり飛行習ひし草いきれ 品川鈴子 ぐろっけ 201007 桶川飛行学校
偶さかに熱き思ひや草いきれ 加藤利勝 酸奬 201008  
草いきれ少女にはかに獣めき 鴨下昭 201009  
石を積む棚田の跡や草いきれ 北尾章郎 201010  
細りゆく修験者の道草いきれ 笠井清佑 201010  
墳山へ気負ふ足腰草いきれ 安達実生子 201010  
生と死の狭間に生きむ草いきれ 高根照子 201010  
草いきれむんむん満つる露の世に 谷岡尚美 201010  
草いきれリフトは空で降りて来る 安藤久美子 やぶれ傘 201010  
草いきれ河原にチェーンソーの音 渡邉孝彦 やぶれ傘 201010  
逝く時が農の定年草いきれ 林和子 201011  
水音の遠くなりけり草いきれ 浅嶋肇 やぶれ傘 201011  
故里に捨畑多し草いきれ 海上俊臣 酸奬 201011  
古城址といふ草いきれだけの山 木村享史 ホトトギス 201103  
檻罠の方二間なる草いきれ 岩木茂 風土 201108  
草いきれ通り過ぎゆく詩の言葉 松嶋一洋 201109  
延べ竿の擁ひてゐたる草いきれ 根橋宏次 やぶれ傘 201109  
遠き日の奉安殿址草いきれ 藤田かもめ ぐろっけ 201110  
野外劇役者をつつむ草いきれ 山崎青史 ろんど 201202  
青年の腕となりしか草いきれ 鶴濱節子 始祖鳥 201206  
草いきれ少し緩んでゆく湖畔 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207  
草いきれ穴に関東ローム層 篠田純子 あを 201208  
悉く土に還りぬ草いきれ 篠田純子 あを 201208  
草いきれ尽きたる闇が在五の墓 南うみを 風土 201209  
草いきれ音なき音の満ちてをり 近藤喜子 201209  
残党はちりぢりとなり草いきれ 柴田佐知子 201209  
墓石の文字読み取れぬ草いきれ 江見巌 六花 201209  
頭より被る川水草いきれ 大日向幸江 あを 201209  
草いきれ巨木をあふぐ園の中 菊地崇之 かさね 201210  
四阿の革座布団や草いきれ 浜口高子 火星 201210  
友のこゑ残る空地や草いきれ 佐橋敏子 春燈 201210  
伝え聞く子別れ峠草いきれ 藤岡紫水 京鹿子 201210  
奥須磨の四阿しあに遠巻きに草いきれ 赤松赤彦 六花 201211  
向かうより母さんの声草いきれ 吉清和代 万象 201211  
草いきれありて径なき河原かな 山下美典 ホトトギス 201212  
坑口にのこる鑿あと草いきれ 近昌夫 春燈 201212  
草いきれだんだん潮の香となりぬに 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303  
靴紐のほどけかけたる草いきれ 大島英昭 やぶれ傘 201309  
草いきれ積み上げられし廃車かな 久世孝雄 やぶれ傘 201310  
草いきれ激しき午下の野辺送ゆ 尾崎みつ子 雨月 201310  
引き返すとき失ひて草いきれ 生田恵美子 風土 201310  
石ひとつひとつ踏みゆく草いきれ 成田美代 201310  
開墾のあの日日よぎる草いきれ 西田敏之 ぐろっけ 201310  
らちもなきうはさ何時まで草いきれ 西山浅彦 春燈 201310  
放牧の黒牛はるか草いきれ 伊藤純子 201310  
「哲学の径」に矢印草いきれ 鈴木石花 風土 201310  
旧道に入りたるより草いきれ 藤生不二男 六花 201311  
余部の橋梁仰ぐ草いきれ 竹内喜代子 雨月 201311  
虫どもの皆つるみゐて草いきれ 瀧春一 花石榴 201312  
現在地我はいづこに草いきれ 織田高暢 201312  
草いきれ野心の芯にある青さ 峰崎成規 201401  
飛火野の草いきれとは古代めく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407  
電柱に標す海抜草いきれ 丑久保勲 やぶれ傘 201408  
草いきれ羽もつものを翔たしめて 金井裕子 風土 201409  
座りにくい石の形や草いきれ 辻水音 201409  
青春の蹉跌はあまた草いきれ 神戸やすを 201410  
街中の一軒分の草いきれ 飛高隆夫 万象 201410  
草いきれ平均寿命世界一 村田岳洋 ろんど 201411  
天と地のひと色となる草いきれ 岩下芳子 201411  
ずり落ちし眼鏡を直す草いきれ 丑久保勲 やぶれ傘 201411  
乗り継ぎのバスに間のあり草いきれ 福島照子 京鹿子 201411  
草いきれ翁の道を辿りけり 近昌夫 春燈 201412  
雨上がりたるばかりなり草いきれ 稲畑汀子 ホトトギス 201507  
跳ねるもの翔ぶもの見えず草いきれ 布川直幸 201508  
草いきれ匍匐訓練今もある 加藤みき 201508  
放牧の牛の反芻草いきれ 八代洋子 万象 201511  
草いきれ北前船の寄りし浜 今村千年 末黒野 201511  
山間の分校跡や草いきれ 今村千年 末黒野 201511  
絶えさうで絶えぬこの径草いきれ 林昭太郎 201511  
草いきれまとひて立てり道祖神 森山暁湖 万象 201512  
草いきれ亀の飛び込む水の音 栗原京子 201512  
地下の人いきれ地上の草いきれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607

草いきれ

→2

 

2020年7月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。