栗 飯   195句

栗飯を子が食ひ散らす散らさせよ    石川桂郎

作品
作者
掲載誌
掲載年月
幕間栗の強飯箸を折る 中原道夫 銀化 199811
栗御飯ケンカは一先ず休戦に 甲田夏湖 船団 199903
幸か栗飯炊ける湯気に触れ 能村登四郎 199911
栗飯の大きな栗に当たりけり 山田六甲 六花 199911
結願の顎なりける栗ごはん 岡井省二 199912
栗飯や成り行くままに順ひて 和田祥子 馬醉木 199912
栗飯や甲斐がひしくて左きき 橋場千舟 船団 199912
思ひ出すことも供養や栗ごはん 井上比呂夫 200001
子を抱いて窯見舞とや栗ご飯 岩瀬良子 円虹 200001
わがままは気づかないふり栗ごはん 尾上有紀子 わがまま 200002
長旅に発つ日の朝の栗の飯 松本つよし ホトトギス 200003
栗ごはん飛行機とんで雲とんで 中原幸子 遠くの山 200010
ようおこし栗ご飯いま炊けたとこ 中原幸子 遠くの山 200010
仏飯の栗飯栗のはみ出せり 岡和絵 火星 200012
健啖を自負して長子栗の飯 岡淑子 雨月 200102
本日の家族は二人栗ごはん 坪内稔典 船団 200105
栗ご飯旅客機がビル破壊せり 森理和 あを 200110
幸ひか栗飯炊ける湯気に触れ 能村登四郎 羽化 200110
栗飯食ふ波郷桂郎月の座に 神蔵器 風土 200111
渋皮の残りし母の栗ご飯 鎌倉喜久恵 あを 200111
栗飯や夫が子供に帰る時 桑原敏枝 いろり 200112
帰る客とどめ栗飯持たせけり 小泉豊流 酸漿 200112
裏山のかげりきたりし栗御飯 蓮尾あきら 風土 200112
栗飯や父母より長き生を享け 大西正栄 雨月 200112
栗飯に一人身の友とんで来る 笠原ひろむ 200201
栗飯の炊き上る香の厨かな 東芳子 酸漿 200212
栗飯に金とかがやく山の栗 北原東洋男 200212
離れ住む子の誕生日栗ごはん 谷口みちる 200301
亡き妻の得手の一つや栗の飯 小泉豊流 酸漿 200301
有り難き信濃の国や栗御飯 宮入河童 200301
仮の世の母で祖母です栗の飯 西村葉子 京鹿子 200302
栗飯のうましうれしきことありて 鎌倉喜久恵 あを 200311
栗飯や今年の出来を語りつつ 中西美保 雨月 200312
舟便で栗飯とどく真珠小屋 木下玉葉子 酸漿 200312
栗飯の香り満ちたる厨かな 大塚洋子 酸漿 200312
栗飯やわが家にふたり食べ盛り 伊藤トキノ 200401
赤飯の豆も栗もと里祭 菊地惠子 酸漿 200402
豊満な栗ご飯炊く風の夜 橘沙希 月の雫 200404
栗飯の湯気にならびし子の笑顔 栢森定男 風よ 200407
なごやかな句座でありけり栗の飯 芝尚子 あを 200410
栗飯や母の遺影の髪短か 武子都史郎 200411
はらからの居て古里の栗の飯 橋本光子 酸漿 200412
栗飯やどこぞに母のゐるやうな 諸岡孝子 春燈 200412
栗飯の栗たつぷりや佗び住居 山本浪子 風土 200412
栗飯に呼んでもらひし月夜かな 兼子栄子 酸漿 200412
箸二本ゆば味噌合えも栗飯も 加藤富美子 200412
海鳴りや湯気ぬいてゐる栗の飯 戸村よねこ 遠嶺 200412
釜飯の栗一粒や雁渡し 水原春郎 馬醉木 200412
テロ止まぬ世に倖の栗の飯 中塚照枝 200412
母招き栗入れすぎし栗ごはん 飛鳥由紀 200501
真つ当に生きて今宵の栗の飯 米須あや子 遠嶺 200501
故郷をもたざる夫へ栗の飯 杉山晴美 200502
栗むきに飽きて栗飯頓挫せり 有山紫於 雨月 200503
ふるさとや食べろ食べろと栗御飯 八木蝉息 200504
仏飯にするだけの栗拾ひけり 疋田華子 万象 200511
したたかに打ちし酒の香栗御強飯 木村茂登子 あを 200511
何といふ日にはあらねど栗ご飯 鷹羽狩行 200511
老残や腹六分目の栗御飯 川口盛道 四葩 200512
幾粒か足して夕餉の栗の飯 青木陽子 酸漿 200512
しあはせは事無き日々や栗の飯 大房帝子 酸漿 200512
栗ごはん父愛用の曲げわつぱ 大海いつ子 百鳥 200601
一泊の五人もてなす栗御飯 塩沢とき子 対岸 200601
栗の飯スローライフを愉しみて 春田光世 四葩 200601
栗ご飯小さく盛らるる茶懐石 三橋早苗 ぐろっけ 200601
出掛ける娘気軽に夜は栗飯と 松田邦子 200601
会話などいらぬ二人や栗の飯 三浦澄江 ぐろっけ 200601
栗御飯食べ度しされど剥く難儀 斉藤陽子 雨月 200601
ふるさとの四方山話栗ご飯 江口雅子 百鳥 200601
栗山の隣に住んで栗ごはん 杉浦典子 火星 200612
家のことどちらがしても栗ごはん 安部里子 あを 200612
孫の顔思ひつつ炊く栗の飯 籾山和子 酸漿 200612
写真の父笑うてみえし栗ご飯 斉藤裕子 あを 200612
三姉妹栗飯の栗朝より剥く 松崎鉄之介 200612
さみしさから抜け出られるか栗の飯 鈴木多枝子 あを 200612
安土みち来て弁当の栗強飯 伊藤白潮 200612
握り箸正す箸あり栗の飯 宮沢治子 春燈 200612
絵手紙や母に届きし栗御飯 永田歌子 遠嶺 200701
栗飯に喜色の子らも還暦に 村上光子 馬醉木 200701
栗飯や忘れしひとのあまたなる 生方義紹 春燈 200702
栗飯や征きしままなる兄若く 野沢しの武 風土 200703
一人子が優勝したる栗強飯 酒本八重 200711
ひたひたと生きてきました栗ごはん 中野京子 200712
渋皮に母の指見ゆ栗御飯 鈴木阿久 200712
今年三度筑波の栗を栗飯に 松崎鉄之介 200712
栗ごはん自負は吾が家の料理長 隅田享子 200801
団欒の言葉しみじみ栗の飯 上原恒子 雨月 200801
栗ご飯これぞ至福と妻にいふ 手島南天 万象 200801
いつの間にか似た者夫婦栗の飯 石田玲子 200801
スイス 航空 エア の粋な歓迎栗御飯 遠藤逍遙子 風土 200801
本日の家族は二人栗ごはん 坪内稔典 稔典句集 200804
栗飯にめがねの曇る朝餉かな 阿久津勝利 万象 200808
一合飯十粒に足らぬ栗を剥く 宮崎左智子 200812
ひとり身の茶碗一つや栗の飯 能勢栄子 200901
一人暮しのやうやく慣れし栗ご飯 細川和子 炎環 200901
栗ごはんおいしくて泣く妻あらば 竹貫示虹 京鹿子 200909
栗ごはんくよくよしてもはじまらず 石寒太 炎環 200910
一緒にと嫁が持参の栗の飯 小澤菜美 200911
昼ひとり差入れ届く栗の飯 男澤栄男 末黒野 200912
故里の栗届きたる栗の飯 大里快子 酸漿 200912
団欒とならぬ三人の栗の飯 中原吟子 雨月 200912
栗飯の特に味良き夕餉膳 伊藤セキ 酸漿 200912
遠き日の母の栗飯偲び炊く 松村富子 200912
次の間に赤子の眠る栗ごはん 岡村尚子 火星 201001
栗飯の栗剥いて指ふやけをり 椋本一子 雨月 201001
栗飯のほこほこ嫁の志 細川コマヱ 雨月 201001
栗強飯炊きて知命を二十過ぐ 田中臥石 末黒野 201001
家苞は経木のにほふ栗強飯 根橋宏次 やぶれ傘 201001
栗飯に寡黙の夫の笑顔見し 丸田安子 酸漿 201002
栗ごはん販ぐビジネス街の昼 竹内悦子 201012
郷愁の「ゲゲゲの女房」栗の飯 新実貞子 201012
栗飯の栗はるかなる母の 故郷 くに 十川たかし 201012
戦中の男丸刈り栗ごはん 足立良雄 201101
留守の間の仏壇にある栗ごはん 小野口正江 末黒野 201101
箸置は魚のかたち栗ごはん 箕輪カオル 201101
栗飯の湯気の向うに笑顔かな 永田勇 六花 201101
鼻唄の厨に香り栗の飯 小西和子 201101
適温の人と並びて栗の飯 荒川美邦 京鹿子 201101
栗飯や句縁といふは有難し 中島知恵子 雨月 201102
栗ご飯去年はいっしょに食べたのに 鎌倉喜久恵 あを 201111
金婚も疾うに過ぎけり栗の飯 塩路五郎 201111
栗飯や屋号で通す母の郷 甕秀麿 201112
ひさびさに来たる子に炊く栗の飯 大川暉美 末黒野 201201
栗飯を炊いて吾子待つ夕べかな 加藤千春 春燈 201201
栗飯や食めば丹波の味ひしと 博多永楽 雨月 201201
栗飯の丹波の味はいかにやと 博多永楽 雨月 201201
連れ添ひて似て来た夫婦栗ご飯 永塚尚代 ぐろっけ 201201
アイフォンを自在にこなし栗の飯 北尾章郎 201201
木曽路より恵那に来てをり栗の飯 北崎展江 くりから 201209
栗ごはん仏の母に味を問ひ 石井一石 京鹿子 201301
栗飯の栗数へ合ふ兄妹 川崎真樹子 春燈 201301
色染めし枝大瓶に栗御飯 福田かよ子 ぐろっけ 201302
栗飯のケースの前に戻りけり 松本アイ ぐろっけ 201304
栗の飯炊きて母郷を遠くせり 壺井久子 馬醉木 201311
役場用済みたる杣や栗飯入 桂樟蹊子 201311
栗御飯炊く幸せを沁みじみと 白澤よし子 馬醉木 201312
栗御飯同じ戦時を生きし人 田中藤穂 あを 201312
故郷の香りを添へて栗ごはん 田中信行 201401
古稀の夫を諭す母ゐて栗ご飯 川村清子 馬醉木 201401
栗飯の二合に季節あふれける 国包澄子 201401
栗ご飯届きし友の塩加減 池田久恵 ぐろっけ 201401
先づ栗を避けて栗飯食べ始む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
皮むきて手間も味なり栗御飯 稲畑汀子 ホトトギス 201410
あの顔もこの顔もゐて栗の飯 佐橋敏子 春燈 201411
栗飯や栗だけ食べる孫二人 溝渕弘志 六花 201411
栗飯を炊けば厨に福満ちて 長崎桂子 あを 201501
たつぷりと眼鏡曇りぬ栗ごはん 飯塚ゑ子 火星 201502
栗飯は栗の話をして食べる 高橋将夫 201502
栗ごはん炊ける彼だし「了解」 梨地ことこ 船団 201505
北向観音お布施で食す栗ご飯 大日向幸江 あを 201510
幸せの一つに数へ栗の飯 中田みなみ 201511
栗飯の栗が顔出す炊飯器 安居正浩 201512
山巓に金星栗飯のにほひ 高野春子 京鹿子 201512
栗剥いて黄金色添ふ栗の飯 井島郷雲 万象 201512
ごろごろと栗沢山の男飯 田原陽子 201601
栗の飯死者は生者とともに生き 永淵暫子 201607
栗飯や杉の箸置き杉の箸 山田六甲 六花 201610
よそふてふ言葉美し栗御飯 成宮紀代子 201611
栗飯に茸の汁や地味ほのか 山田六甲 六花 201611
大杉を背にいただきぬ栗ご飯 山田六甲 六花 201611
飯椀の栗のみ食べて子の眠る 樋口みのぶ 201611
大杉を目の前にして栗ご飯 溝渕弘志 六花 201612
母の忌のはひふへほほ張る栗ご飯 荒木甫 201612
父と来しこの尾根の径栗の飯 森和子 万象 201612
眼の端に自在鉤ある栗ご飯 升田ヤス子 六花 201701
ふるさとの思ひ出も食ぶ栗の飯 根山内洋光 201701
神仏に艶よく炊けし栗強飯 大村かし子 万象 201701
幸せの松竹梅や栗ご飯 黒川俊郎 201707
初物は長生きのもと栗御飯 赤塚篤子 末黒野 201711
栗飯をねだる夫が栗をむき 秋川泉 あを 201711
セピア色の家族写真や栗御飯 赤堀美恵子 風土 201712
余命など忘れてをりぬ栗の飯 一民江 馬醉木 201802
凸凹に剥きし十粒の栗御飯 長尾タイ 末黒野 201804
おいおいね舌足らずだよ栗ご飯 大日向幸江 あを 201810
栗御飯のほのかな甘味病む人へ 秋川泉 あを 201811
栗飯や程良き妻の塩加減 柚木澄 末黒野 201902
栗飯の匂ふ夕餉や恙無き 松橋輝子 末黒野 201902
栗飯や丹波の味のほろほろと 山口登 末黒野 202001
栗ご飯お国詑りの旅情かな 田中信行 202001
ほつこりと故郷の味栗御飯 箕田健生 やぶれ傘 202002
落ち栗を拾ひ集めて栗ご飯 志方章子 六花 202002
栗飯の栗を表に出して盛り きくちきみえ やぶれ傘 202010
栗飯を子が食ひ散らす散らさせよ 石川桂郎 風土 202011
初栗の飯炊く朝ぞ張り切りて 秋川泉 あを 202011
初栗飯母に供へる雨の朝 秋川泉 あを 202011
温かき栗飯勤労感謝の日 赤座典子 あを 202101
仏壇にほのかな香り栗御飯 箕田健夫 やぶれ傘 202101
栗ご飯丹波田舎の代名詞 田丸千種 ホトトギス 202102
屋根職人ふるまふ為の栗ご飯 大日向幸江 あを 202102
少年の弾む口元栗の飯 梅田武 末黒野 202112
天高き日はともかくも栗ご飯 小池一司 やぶれ傘 202112
栗飯や老人会のバスツアー 豊谷ゆき江 春燈 202201
栗の飯淋しき鬼と喰らおうか 村上葉子 202202
同意なき転職なれど栗ご飯 高畑太朗 202202
小さめの釜で焚き上げ栗ご飯 小池一司 やぶれ傘 202212
夫を許さう栗飯が炊けたから 千田百里 202301

 

2023年10月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。