穀 雨   96句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
淺瀬より洲の立ちあがる穀雨かな 中原道夫 銀化 199905
あんま屋の看板ぬるる穀雨かな 小形さとる 199908
山形へ花の移りし穀雨かな 中川二毫子 遠嶺 199908
芽吹かざる一樹をつつむ穀雨かな 田中藤穂 水瓶座 200002
穀雨なる赤飯蒸す湯気雁木みち 伊藤京子 200007
雲すぐに明るくなりし穀雨かな 岬雪夫 200008
幼虫の鉢よりまろぶ穀雨かな 村上留美子 火星 200107
蛸杉の根の張つてゐる穀雨かな 高木良多 春耕 200108
画眉鳥の機嫌に明けし穀雨かな 阿部ひろし 酸漿 200205
農小屋に人の声する穀雨かな 杉江茂義 雲の峰 200206
欠席の投句預かる穀雨かな 立脇操 雲の峰 200206
青年の黒き腕に穀雨降る 後藤志づ あを 200206
減反の田も起こしおく穀雨かな 舘林志津子 雲の峯 200207
娘等の茶髪輝く穀雨かな 堀義志郎 火星 200307
片隅にわが名穀雨の新刊書 大谷茂 遠嶺 200308
走り根が大樹支へて穀雨かな 鷹羽狩行 200405
農園に穀雨の雨の惜しむなし 染川享子 雨月 200406
ひもすがらうつらうつらと穀雨とや 赤座典子 あを 200506
わが庭に穀雨てふ雨降る日なり 阿部ひろし 酸漿 200605
芽の見ゆる畝に穀雨の雨降れり 阿部文子 酸漿 200607
揃へおく小筆の先の穀雨冷え 小澤克己 遠嶺 200607
鎌二丁刃を重ね持つ穀雨かな 百瀬七生子 海光 200705
穀雨後の家並に日差しありにけり 大村真佐子 遠嶺 200708
仮名の名の町を穀雨の包みけり 布川直幸 200807
指それぞれ仏に見ゆる穀雨かな 篠田純子 あを 200906
天地の弾んでゐたる穀雨かな 近藤きくえ 200907
田をめぐる水路の競ふ穀雨かな 吉村さよ子 春燈 200907
穀雨かな心に決めしは口にせず 久津見風牛 200907
波なせる茶畑望む穀雨かな 東芳子 酸漿 200907
貝殻の畑に浮立つ穀雨かな 西岡啓子 春燈 200907
昼すぎの市場の闇や穀雨来る 栗原完爾 春燈 200908
瀬を早み落ちゆく水の穀雨かな 彦根伊波穂 200912
本読むは微酔のごとく穀雨かな 鳥居おさむ ろんど 201004
穀雨の日母の唱歌の脳よぎる 篠田純子 あを 201005
種籾も心して待つ穀雨かな 鈴木むつ子 201006
土塊の雨に崩るる穀雨かな 森脇貞子 雨月 201007
畑物に穀雨の雨の静かなり 鈴木幾子 酸漿 201007
指先のすこし冷たき穀雨かな 関根洋子 風土 201007
霧はらふ阿夫利嶺穀雨ひたと止む 大西八洲雄 万象 201007
里山は穀雨に煙る朝日かな 青山正英 201007
雉子鳩の頻りに恋す穀雨かな 鈴木一三 末黒野 201007
にはとりの一声高き穀雨かな 宮内とし子 201007
速達で投句かけこむ穀雨かな 布川直幸 201007
孫と居て言葉あそびの穀雨かな 井関祥子 酸漿 201007
銀色の鍋使ひそむ穀雨かな 岩崎眉乃 万象 201008
けふ穀雨あまねく享くる大八州 谷岡尚美 201008
熱の子に片手つながれ穀雨の夜 布川直幸 201105
穀雨とて日暮間際に雨となる 山嵜ヤス子 酸漿 201106
被災地の土を撫でゆく穀雨かな 米山喜久子 201106
三合の米研ぐ日々や穀雨かな 鎌倉喜久恵 あを 201106
つれあひは俄百姓穀雨かな 浅野吉弘 201205
海も陸も穀雨のまつ最中 瀬川公馨 201206
うっすらと眼鏡のくもる穀雨かな 大日向幸江 あを 201206
大根の白首伸びる穀雨かな 川井素山 かさね 201206
乙女らに穀雨の鳥の声あまた 松井倫子 火星 201207
寧日や穀雨びかりの少女像 小山繁子 春燈 201207
校庭に隣る菜畑の穀雨かな 斉藤マキ子 末黒野 201208
穀雨てふ鄙の細径杖のみち 古林田鶴子 ぐろっけ 201208
父の手の土にまみれし穀雨かな 礒貝尚孝 201208
穀雨止み田畑の実りを祈るのみ 東秋茄子 京鹿子 201208
幾筋の山襞消えし穀雨かな 能村研三 201405
穀雨かな微動だにせぬ真田石 中村洋子 風土 201407
大黒天拭きて拝せり穀雨の日 奥山テル子 万象 201407
古民家の燻し香をきく今日穀雨 高橋あさの 201407
新しい木の杭匂う穀雨かな 種田果歩 201506
子鷺立つ穀雨の川の水蹴つて 川越昭子 万象 201508
象狩りの穀雨の午後の暴風雨 わたなべじゅんこ 船団 201602
雑草の育ち過ぎたる穀雨かな 佐藤まさ子 春燈 201607
六本脚のおおかみもいて穀雨かな 津波古江津 船団 201701
蛍光灯渋り点きして穀雨なる 能村研三 201706
やつてみせ言つて聞かせて今日穀雨 稗田寿明 201707
走り根の張りの強さよ今日穀雨 古居芳恵 201707
図書館へ急坂下る穀雨かな 高田令子 201707
対となる括弧がないぞ穀雨かな 成田美代 201707
降り出して音の高まる穀雨かな 坂入妙香 春燈 201707
蘇る庭の草々穀雨止む 坂入妙香 春燈 201707
穀雨かな仕立て直しの紺絣 永井惠子 春燈 201707
父の手の土に塗れし穀雨かな 磯貝尚孝 清閑 201804
穀雨かな作物日誌の筆の跡 伊吹之博 京鹿子 201806
水田に小さな笑窪穀雨かな 大日向幸江 あを 201805
索引は別巻にあり穀雨の夜 能村研三 201806
しづやしづ穀雨にひろぐ能衣裳 熊川暁子 201906
穀雨なり蹼歩きしてみたし 能村研三 201906
地を掴みにはとり歩く穀雨かな 鈴木直充 春燈 201907
磯畑の水甕侘に罅穀雨かな 木村あさ子 201907
リハビリの友と廊下を穀雨かな 沼崎千枝 末黒野 201908
遠景の野山彩増す穀雨かな 長尾良子 末黒野 202007
手に乗せて仏師のねずみ穀雨かな 奥田茶々 風土 202007
傷みたる絵本の匂ふ穀雨かな 平沢恵子 京鹿子 202008
前向きに生くる証の穀雨かな 鈴木石花 風土 202106
鍬の先丸くし老いる穀雨かな 秋山蔦 春燈 202206
女性スナイパー瞳濡れゐる穀雨の夜 篠田純子 あを 202206
エンジンのまだふるへある穀雨かな 篠田大佳 あを 202206
老農の畑鋤き終ふる穀雨かな 高木邦雄 やぶれ傘 202207
土ゆるぶ心もゆるぶ穀雨かな 道端齊 202207

 

2023年4月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。