子 鹿    100句

野の雄鹿牝鹿子鹿のはてまでも

おのが野原を追はれしぞ憂き   バチェラー八重子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ころげ来し毬にも子鹿おどろきて 長谷川翠 馬醉木 199902
鹿の子皆好奇心てふ眼のありぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 199906
対岸に子鹿たたずむ梓川 西正子 酸漿 199909
ひとかどの人を離れて仔鹿かな 中原道夫 銀化 199911
親仔鹿雪消の沢の水鏡 中川濱子 ぐろっけ 200006
耳聡き子鹿に杜の風やさし 伊東みのり 遠嶺 200009
鹿の子はや涼しき斑を放ちたる 中原道夫 銀化 200009
ぶつかって空気を含み仔鹿群る しらいししずみ 海程 200101
戒壇院案内の僧に鹿の子蹤き 神谷文子 馬酔木 200109
洗ひたるやうに鮮やか子鹿の斑 川田さちえ 200109
人力車通りすぎゆく鹿の子の前 木村真魚奈 京鹿子 200111
子鹿の瞳天地の距離に慣れ初む 小谷ますみ 京鹿子 200209
稚い鹿の子の瞳にふか緑 小谷ますみ 京鹿子 200209
鹿の子の森に向かうて夕汽笛 田中聡子 遠嶺 200209
母恋ひの子鹿よろよろ乳さぐる 関まさを 酸漿 200309
草を食む瞳つぶらよ親子鹿 小滝奈津江 酸漿 200310
草市をのぞいてゐたる鹿の子かな 城孝子 火星 200311
鹿の子の踏んばつてをる眼かな 北嶋美都里 西の峰 200401
鹿の子にひと日波音高きかな 久保知音 対岸 200402
日の中に鹿の子もゐたる水の際 雨村敏子 200405
舐めらるるのみによろめく鹿の子かな 片山喜久子 雨月 200408
古びたる鹿垣に透ける鹿の子かな 吉田島江 火星 200409
子鹿の声背ナに秩父も奥なりき 竹内喜代子 雨月 200409
飛火野や子の跳ぶあとを鹿の子追ふ 岡和絵 火星 200410
溶岩原の朝霧の揺れ鹿の子現る 岡村葉子 栴檀 200410
鹿の子立つ若草山の明るさに 小林峰子 栴檀 200410
裏山や子鹿の革の干してある 須佐薫子 帆船 200412
水際をあるく仔鹿の白毛かな 大坪景章 万象 200507
人嫌ひカメラぎらひや仔鹿の瞳 小林成子 200508
仔鹿の眼新樹の闇にまぎれけり 村田美穂子 百鳥 200508
ぬた場にて鹿の子尿する音やさし 大坪景章 万象 200510
鹿の子には会はずじまひや日の斑 高橋澄子 200510
鹿の子駆けて大地をおのがものとせり 沼田巴字 京鹿子 200510
島に入り鹿の子の固き鼻に会ふ 中西みどり 火星 200511
母鹿の見据ゑる先は子鹿なり 川浪広子 築港 200511
レストランの眼下で母子鹿尾菜取る 横川あい 200605
鹿の子のたたみて坐る細き脚 村上みきお 万象 200606
登山道まばたきもせぬ仔鹿の目 吉田晋 万象 200609
土橋一本仔鹿を森へ帰すみち 浜福恵 風土 200610
子鹿来て鳴く声真似て鳴き返す わかやぎすずめ 六花 200610
山下る鹿の子にじつと見詰められ 須賀敏子 あを 200610
夜長かな子鹿の声を思ひ出す わかやぎすずめ 六花 200701
ひょろと立ちあなやとへたる鹿の子かな 大橋敦子 雨月 200704
牧広し子鹿は母の乳を追ふ 阿部ひろし 二の杉 200710
「ささやきの道」仔鹿牝鹿の胸に寝る 奥村鷹尾 京鹿子 200710
奥山は鹿の子に斑つきたがり 奥田順子 火星 200711
今朝の富士鹿の子斑や更衣 神田美穂子 万象 200807
鹿の子のまはりはすでに潮の色 小澤克己 遠嶺 200807
生れて直ぐ乳探りゐる仔鹿かな 笠井清佑 あい 200808
鹿の子の斑の美しき歩みかな 鷹羽狩行 200808
鹿の子鳴く師の玉章を繙けば 野口香葉 遠嶺 200809
浮見堂闇よりのぞく子鹿の瞳 稲見寛子 炎環 200809
鹿の子の耳真つ先に動き出す 市村健夫 馬醉木 200812

 岡井節子先生「新鹿の子」

花びらを鞠となしてや新鹿の子

中島陽華 200906
片蔭をゆるりと戻る母子鹿 小林成子 あい 200909
草萌の若草山や親子鹿 中里カヨ 酸漿 200910
鹿に会ひ仔鹿に会うて日の昏れし 笠置早苗 火星 201001
鹿の子の耳の水平五月くる 城孝子 火星 201007
鹿の子の斑の腹の波打てり 岩下芳子 201008
木洩れ日に揺れて鹿の子斑をふやす 北川キヨ子 201009
鹿の子生れ飛火野青き小宇宙 古賀しぐれ ホトトギス 201011
鹿の子の生飯の包みを咬みにけり 山本耀子 火星 201106
流れ雲追ふ鹿の子のまなこざし 鈴鹿仁 京鹿子 201107
鹿の子に見詰められゐるツアー客 児玉有希 京鹿子 201110
前足をたたんで座る鹿の子かな 雨宮桂子 風土 201111
誌齢祝ぐ古都に鹿の子の育ちをり 磯野しをり 雨月 201201
よろけつつ春日の鹿の子生まれけり 北崎展江 くりから 201209
鹿の子や蕾大好き夜こつそり 水谷直子 京鹿子 201211
社家町の塀の陰より親子鹿 蒲田豊彦 雨月 201301
横たはる子鹿の眼濡れてゐし 江見悦子 万象 201310
鹿の子の眼篝火映しをり 石井秀一 風土 201311
片足を上げ鹿の子の物見かな 柿沼盟子 風土 201311
花消しの雪にびつくり子鹿の瞳 竹貰示虹 京鹿子 201403
水天をひと舐めしたる鹿の子かな 山尾玉藻 火星 201405
神の島宿の戸口に親子鹿 神田惣介 京鹿子 201407
天地のやさしく鹿の子歩み初む 寺田すず江 201408
鹿の子や奇麗な蕾大好物 水谷直子 京鹿子 201411
鹿の子の水呑む脚の置きどころ 杉浦典子 火星 201412
どちらからともなく歩み寄る鹿の子 高橋将夫 201609

 祝槐二十五周年

大日や鹿の子大きく立ち上る

竹中一花 201609
鹿の子群れ渡る大路や赤信号 柳橋繁子 201609
鹿の子の丸き瞳に見つめられ 小林紫乃 春燈 201812
目の合うて子鹿の耳の動きけり 市村明代 馬醉木 201908
鹿の子の白斑に致る暮色かな 岡澤田鶴 201910
神鹿の子として生れ出づるかな 山田夏子 雨月 201910
逢瀬めく奈良や阿修羅に鹿の子に 山田夏子 雨月 201910
子を連れし鹿が遠くで振り返る 柴田志津子 201912
東大寺鹿の子の声に暮れてゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
鹿の子にも古都の血統てふ矜持 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
山の辺の道のはじめの鹿の子かな 善野行 六花 202011
青芝の子鹿にものを言ふ童 善野行 六花 202011
大群の内より出でし鹿の子かな 前田美恵子 202107
洗脳の子鹿カメラに瞳のうるむ 鈴鹿呂仁 京鹿子 202108
鹿の子の目若草山を宿らせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202206
降臨の杜降誕の鹿の子守る 古賀しぐれ ホトトギス 202210
子鹿起ち怒りの消えし川渡る 奥田筆子 京鹿子 202211

 

2023年6月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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