北開く     179句

北窓を開け父の顔母の顔    阿波野青畝

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ひとりにてこの北窓を開け放つ
わたなべじゅんこ
船団
199811
まづ己が胸の北窓開くべし
藤井圀彦
199812
北窓を開き一樹の風のこゑ
花島陽子
遠嶺
199905
喩ふれば北開かるる窓の気分
野路斉子
199905
北窓を開けて川面に何もなし
加瀬美代子
199906
ふるさとの空に声かけ北開く
小宮山勇
遠嶺
199906
北窓を開けて覚えし餓ゑかな
田中みちよ
199907
北窓を開け六甲といふ出会ひ
稲畑廣太郎
ホトトギス
199909
北窓を開く季節も過ぎにけり
林田加杜子
いろり
200004
北窓を開くや束の光受く
工藤ミネ子
風土
200006
北窓をまだ開かぬは喪に籠る
田中としを
雨月
200010
北窓を開け海鳴りに貫かる
小澤克己
遠嶺
200103
北開きここは銀河ののぞき穴
華明日香
銀化
200103
北窓を開けて遠山引き寄せぬ
森脇恵香
俳句通信
200104
北窓ひらき通帳を驚かす
山野みどり
銀化
200104
北開く忌明けと言へど安からず
岩村節子
200104
彼が開ける北窓仏壇現れる
ティン アウン モー
あを
200105
北窓開く憤怒の虫を眠らせる
吉弘恭子
あを
200105
北開き途方に暮るる綿埃
渡辺知美
銀化
200106
北窓を開けば「富士の間」となりぬ
白鳥彰子
200107
北窓を開けば光るピアノかな
桑原敏枝
いろり
200107
北窓の春立つらしき明るさよ
加藤みき
200204
朝よりの烏語に応へ北開く
羽根嘉津
200204
北開くささら波立つ諏訪の湖
高橋あゆみ
200204
北窓をあけて何やらはたきをる
小林かいう
200205
北窓を開き明治の桐箪笥
山田禮子
遠嶺
200205
北窓を開けて時計の螺子を捲く
望月友子
雲の峰
200205
北窓を開きて「羽化」の頁繰る
川端和子
遠嶺
200206
北開き残り少なをやる気出す
廣島泰三
200206
北窓を開き名家の絵画展
藤井豊子
築港
200207
北窓を開けに子がゆく父の家
土田栄
200207
胸に棲むものもうなくて北窓開く
小澤克己
克己句集
200209
北窓を開き故郷につづく宙
林友次郎
遠嶺
200210
かくすこと何もなき身や北開く
毛利慶子
200211
北窓を開くも目は痛々し
篠田大佳
あを
200304
部屋の絵を替へ北窓を開けにけり
渡辺智佳
遠嶺
200305
北窓を開きぬ音に会ひたくて
村越化石
200305
北窓を開き隣家と声交はす
内藤三男
ぐろっけ
200305
み仏に北窓開くこと告げむ
葛馬房夫
雨月
200306
北窓を開き自分を好きになる
平田倫子
百鳥
200306
字宙へのパスワードは何北開く
延広禎一
200306
北窓を開き逃げも隠れもせぬ
竹内弘子
あを
200307
病室は北窓ながら冬青空
大橋敦子
雨月
200402
ひらくよりふさぐが気安北窓は
後藤志づ
あを
200402
北開けてなほ現し世の見えて来ず
小林呼溪
200403
北窓に影絵となりぬ冬薔薇
木村幸子
帆船
200404
風の筋ひかる北窓ひらきけり
櫻井幹郎
百鳥
200405
北窓をひらけとばかり雀たち
佐々木いく子
200405
北開く病舎の中の理容室
田村園子
200405
北窓を開く日近し外科病棟
有島夛美
河鹿
200406
弟を待つ北窓を開きけり
斧田綾子
対岸
200406
北開き人の話に乗りやすし
清水ミツコ
200406
北開き黄金の雲のわたりかな
中野京子
200406
北窓を開けば猫の振り向きぬ
川端和子
遠嶺
200407
北窓を開くイギリス商館も
品川鈴子
六香
200501
北ひらく一秒二秒また閉づる
林翔
200504
鳥影のよぎる北窓開きけり
梅原幸子
遠嶺
200505
北窓を開くや一帆沖に生れ
西村梛子
馬醉木
200505
退院後百日を経たり北ひらく
吉田陽代
200505
北開く日にかがやける町役場
伊藤以玖子
対岸
200505
北窓を開けて手を振る声を張る
森早和世
ぐろっけ
200506
とけのこる空のあるらし北開く
中野京子
200506
北窓を開き山居の園巡る
浅井青陽子
ホトトギス
200508
命日の妻の遺影へ北開く
伊藤白潮
200605
北窓を開く四角の朝開く
坊城俊樹
ホトトギス
200606
北窓を開く佳き人待つやうに
戸村よねこ
遠嶺
200606
才色もなくて北窓開きけり
片山タケ子
200701
訪はれゐて北窓開くおもひかな
岡本眸
200702
北窓を開き峠の見ゆるかな
滝沢伊代次
万象句集
200703
北窓開け夢二の机インク染み
品川鈴子
ぐろっけ
200703
北窓を開く北側本の山
富沢敏子
200705
北窓を開き小舟と碧き海
林友次郎
遠嶺
200705
北窓を開ければほのと佐渡島
林友次郎
遠嶺
200705
北窓を開きたる日の夕日影
小島三恵
酸漿
200705
首枷の解るる思ひ北開く
鎌田重光
200706
北窓開き世の中広くなりにけり
茅貴美子
春燈
200706
北窓を開くマニュキア二度塗りに
倉持梨恵
200706
忌を修すけふ北窓を開くなり
粕谷澄
馬醉木
200710
川側の北窓開く船庄屋
能村研三
200803
北窓を開かむか此の真青空
林翔
200803
開くには早き北窓訃報くる
中山賠雪
200805
北窓ひらく魚眼レンズの眼もて
服部早苗
200805
里ことばとびかひ北窓開きけり
中山純子
万象
200805
北窓を開け来客の準備かな
達山丁字
200806
北窓を開け新風を打ち立てむ
曷川克
遠嶺
200806
みどり児の眠る北窓開きたり
中田禎子
白猪
200901
北窓を開き六甲山と逢ふ
稲畑汀子
ホトトギス
200903
風通しよき北窓を開けにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200903
北開くもとより肚は決めてをり
千田百里
200904
北開き笙献奏の神楽殿
能村研三
200905
北開くる誰も住まざるちちの家
荒井千佐代
200905
北窓を開くいいことありさうな
舩越美喜
春燈
200905
北開く眼帯そつとはづすごと
佐藤山人
200907
北窓を開くと躍り出すカーテン
岩本里美
200907
練炭を仕舞ひ北窓開きけり
ことり
六花
201003
細腕を使ひ北窓開きけり
宮崎高根
201005
北窓を開け龍太忌と思ひけり
田口紅子
201006
高階の北窓一つ開きあり
古屋元
201006
高階の北窓一つ開きあり 古屋元 201006
北窓を開け隣家より嬰の声 川崎利子 201104
北窓を開けても齢ついてくる 大村美知子 京鹿子 201105
いち早く北窓開く北志向 秋葉雅治 201105
北窓を開く宿場の生薬屋 塩見英子 雨月 201106
北窓を開けて古着の整理かな 小林和世 末黒野句集 201203
北開き遊戯の器の轆轤挽く 延広禎一 201205
色光匂空間北開く 中野京子 201206
北窓を開け次の世の明るさに 岩月優美子 201206
蛸薬師寺横丁の北窓開いてをり 竹中一花 201206
居留地の北窓ひらく礼拝堂 永田圭子 ろんど 201206
弓弦の音ありにけり北開く 延広禎一 201207
北窓開け居らぬ人らに呼びかくる 近藤紀子 201207
街見下ろす北窓ひらき深吸吸 児玉有希 京鹿子 201207
北窓を開く机上の原稿紙 山下健治 春燈 201304
どん底を抜けたし北窓を開く 山本孝子 ろんど 201305
北窓開く円空仏の笑み静か 鈴木直枝 ろんど 201305
風の便り待つ北窓を開きけり 佐藤信子 春燈 201305
北窓を開けば青い空がある だいじみどり 201405
北窓を開けて船板塀の蔵 根橋宏次 やぶれ傘 201405
さざめける樟に北窓開きけり 戸栗末廣 201405
草や木のサインに北を開きけり 中野京子 201406
せせらぎに北窓開く余呉の里 塩見英子 雨月 201406
北窓全開真上に富士仰ぐ 鈴木良戈 201406
北窓を開くれば栗鼠の枝移り 安永圭子 風土 201406
北窓を開ければ家中アロマ風 鎌田慶子 ろんど 201407
浮雲を呼ばむ北窓開きけり 福永みち子 馬醉木 201407
ひとり言放ち北窓開きけり 齋藤厚子 201405
草や木のサインに北を開きけり 中野京子 201406
せせらぎに北窓開く余呉の里 塩見英子 雨月 201406
北窓全開真上に富士仰ぐ 鈴木良戈 201406
北窓を開くれば栗鼠の枝移り 安永圭子 風土 201406
南北を開け放ちたる薄暑かな 野上杳 201407
北窓を開ければ家中アロマ風 鎌田慶子 ろんど 201407
浮雲を呼ばむ北窓開きけり 福永みち子 馬醉木 201407
北窓ひらく詩ごころ開かむと 千田敬 201504
北窓を開くや沖へ心の帆 齊藤いさを 馬醉木 201504
富士全容入るる北窓開きけり 間島あきら 風土 201605
北窓を開く挨拶こゑ澄みて 山口ひろよ 201605
北開くハミングの人通りゆく 中島昌子 201605
北窓を半分開けてもういいかい 近藤紀子 201606
北窓を開くや神の笑ひ声 中谷富子 201606
北窓を開け青き畳の美しく 安野眞澄 201606
北窓を開き鳥海山を観る 藤波松山 京鹿子 201606
北窓を開き善隣近こうせる 岡野里子 末黒野 201606
ふるさとの見ゆる北窓開きけり 福島せいぎ 万象 201606
志立てて北窓開きたる 下平しづ子 雨月 201606
遠富士を招き北窓開きけり 間宮あや子 馬醉木 201606
浅間山真向ふ北窓開きけり 鈴木庸子 風土 201607
日本海見たく北窓開きけり 松田明子 201607
夫癒えてゆく北窓を開きけり 白水良子 201607
北窓開く弘道館の叢書蔵 内海保子 万象 201610
北窓を開け吾が工房の二畳かな 井上正子 童女 201701
北開く一と日動かぬ浚渫船 荒井千佐代 201704
北窓を開きイーゼル立てにけり 根橋宏次 やぶれ傘 201705
北窓を開き身近に鳥語聴く 持田信子 春燈 201705
北窓を開き校塔まなかひに 石黒興平 末黒野 201706
北窓開くオール電化の初仕事 鈴鹿呂仁 京鹿子 201804
北窓を開けふれよ新しき風 藤田美耶子 201805
北窓を開ければ通る児らの声 大山夏子 201902
アトリエの窓より先に北開く 能村研三 201904
山のほか見えぬ北窓開きけり 鈴木まゆ 馬醉木 201905
北窓を開きて聞こゆ父の声 中嶋陽子 風土 201905
北窓を開き心を開きけり 岡村彩里 雨月 201905
こころ貧ならず北窓開きけり 松橋利雄 春燈 201906
北窓を開き光を浴びてをり 赤松赤彦 六花 201906
北窓開く空へ伸びたる馬の鼻 岡本尚子 風土 201907
眼薬をさし北窓を開きけり 岸洋子 201909
好きな絵を掛けて北窓開きけり 三上程子 風聴くや 202003
逸る眼をもて北窓を開きけり 能村研三 202004
北窓を開きしときの頬に風 安齋正蔵 やぶれ傘 202006
北窓を開けば明日の待つてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
北窓を開けば富士の余所余所し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
北窓を開きローストビーフ焼く 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
北窓開け黴の匂ひを放ちけり 安齋正蔵 やぶれ傘 202105
紀の川を眩しみ北窓を開く 井上和子 202108
北窓を開けば降り来詩の欠片 森岡正作 202204
空谷の跫音北窓を開く 鷺山珀眉 京鹿子 202205
北窓を開ける児の顔母の声 小島正士 京鹿子 202205
北窓を開けるも答かへりこず 松本峰春 春燈 202206
北窓を開けば募る祝ぎ心 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302
北窓を開きて君を送りけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202303
 

 

2023年3月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。