桐の実       91句

ぴつたりと桐の実嵌る雪の空   高島茂  冬日

作品
作者
掲載誌
掲載年月
桐の実の鳴つて遠野は雪ちかし 大西八洲雄 春耕 199901
桐の実の倦怠感をはじき出す 小枝恵美子 船団 199903
高尾谷南天桐の実を飾り 阿部ひろし 酸漿 199912
桐の実の一斉に鳴る落城址 中村祭生 ぐろっけ 199912
待つほどの小一時間だよ桐は実に 水澤竜星 200001
からからと桐の実夕べ鳴りさうな 藤田宏 200001
桐の実や山へ一歩の信とせり 沼田巴字 京鹿子 200001
桐の実を零さぬやうに活けにけり 城尾たか子 火星 200002
真つ黒な桐の実にして日永かな 竹内悦子 200007
桐は實に開け閉てならぬ母の閨 中原道夫 銀化 200007
桐の実や脚立坦ぐに肩張つて 晏梛みや子 200012
桐の実の側室ばかりつらなりぬ 峯尾文世 銀化 200012
ふるさと遠し青桐の実と童心と 金子皆子 海程 200102
苦し苦しと青桐の実の小舟流す 金子皆子 海程 200102
桐は實に不悉と結ぶまでのこと 中原道夫 銀化 200108
けふあたり桐の実の鳴りはじめるか 山仲英子 200110
桐は実にはや閉門の裏寺町 木戸渥子 京鹿子 200201
桐の実の鳴るにまかせて寝まりける 桑田眞佐子 火星 200201
桐の実や森に数多の雨しづく 祐森彌香 遠嶺 200201
桐の実や一指が失せし琴の爪 柴田朱美 京鹿子 200202
荒壁に日ざしが折れて桐は実に 山田美保 200204
桐の実や今日ポケットに何もなし 山田美保 200204
校倉や桐の実鳴つてをりにける 竹内悦子 200212
桐の実や折鶴千羽出来あがる 谷村幸子 200301
桐の実の危うさに母焦がしけり 柴田朱美 京鹿子 200302
終章をまた書き直す桐は実に 柴田朱美 京鹿子 200302
実が鳴りて月明の桐ありにけり 浦川聡子 水の宅急便 200305
桐の実を鳴らして風の子の遊び 山仲英子 200310
桐の実の鳴る空のありふり仰ぐ 小石秀子 酸漿 200312
桐の実の高く爆ぜたる長屋門 神宮きよい 馬醉木 200501
踏み固められし土間なり桐は実に 竹嶋知子 対岸 200501
雪祭会津桐の実もう鳴らず 橋本榮治 馬醉木 200502
青空の昨日より今日桐は実に 岡本眸 200509
青桐は実となり朱子を思ひけり 松崎鉄之介 200511
山からの風抜けやすし桐は実に 武藤嘉子 200512
桐の実の天鵞絨色に手触れみる 菊池由惠 酸漿 200512
桐の実の口を開けたる日曜日 荏原徹 対岸 200601
桐は実に浪音きこゆ能舞台 岡崎真子 百鳥 200601
学ぶことまだあり桐の実を仰ぐ 丸山佳子 京鹿子 200602
桐の実の鳴って夕星さそひ出す 山元志津香 八千草 200603
桐は実に音沙汰ないを良しとせむ 丸山佳子 京鹿子 200611
かくれんぼの鬼へ桐の実ざわと鳴る 菅谷たけし 200611
桐の実の暮れて高きに鳴りどほし 藤井圀彦 200703
桐の実の高鳴る空の大いらか 市場基巳 200704
桐の実の降るほど黄金色なりし 竹内悦子 200712
桐の実の鳴りさうな夜を寝ねずをり 岡和絵 火星 200712
風の路地曲るに桐の実の鳴れり 松崎鉄之介 200802
仰ぎみて空の他なし桐は実に 野路斉子 200802
桐の実の鳴つて水音細るなり 木内憲子 200802
函館の奉行所跡や桐は実に 坂上香菜 200811
桐の実や聞きながすこと大事なり 三角千栄子 炎環 200812
弘法の風につつまれ桐は実に 近藤きくえ 200901
桐の実は喰へぬといへり坂の婆 村戸弥生 万象 200902
桐の実の母の日課の独り言 森理和 あを 200911
桐の実のからから鳴るや明日は晴 豊谷ゆき江 春燈 200912
桐の実鳴る丘の小さな美術館 大村峰子 万象 200912
桐の実や幾世支へし蔵格子 大橋伊佐子 末黒野 201001
嫁に来る村の床屋や桐は実に 中村風信子 馬醉木 201012
桐の実の風売つてをり蚤の市 梶浦玲良子 六花 201012
桐の実や蒼天わたる風乾き 楠原幹子 201101
桐の実の朝に尖り始めたる 山田六甲 六花 201108
来し方に誇り持ちたし桐は実に 上原重一 201112
湯島へと抜ける東大桐は実に 柿沼盟子 風土 201112
青空に桐の実乾ぶ旅愁かな 安立公彦 春燈 201201
桐の実や風出で来たる昼下り 藤原若菜 春燈 201201
唯立つてゐるだけの桐実の揺るる 竹中一花 201211
赤い靴履いて誰待つ桐は実に 小山繁子 春燈 201212
桐の実の音立ちさうな気配かな 椿和枝 201212
桐の実を眺めなどしてをれば昼 大崎紀夫 やぶれ傘 201401
鳴らさねば生きられぬもの桐は実に 貝森光洋 六花 201401
赤い靴履いて誰待つ桐は実に 小山繁子 春燈 201403
薄ら日に枯実掲げし桐一樹 松原智津子 万象 201403
ブローチにしたき桐の実秋澄みぬ 森清信子 末黒野 201404
良き知らせありし封書や桐は実に 野澤あき 火星 201412
桐の実や坂道多き我が町 波田美智子 火星 201412
桐の実やひとり欠けたる姉妹 笹村政子 六花 201412
桐の実や飾り鎧の乾き切る 小山和男 京鹿子 201501
桐の実を拾へば背より父の声 笹村政子 六花 201502
桐は実に日輪寂びてかかりけり 木下夕爾 春燈 201508
たわわなる桐の実風を寄せつけず 笹村政子 六花 201511
桐の実が鳴る青空の深きより 菅谷たけし. 201512
桐の実の鳴るは真白き夢の中 吉田順子 201602
和太鼓のおとに桐の実弾けたる 瀬川公馨 201612
青空に鳴る桐の実を仰ぎけり 佐津のぼる 六花 201801
桐の実の鳴りやまざるよ父母遠く 布施政子 馬醉木 201801
桐の実を鳴らし風ん子ちりぢりに 佐藤千恵 京鹿子 202001
桐の実のからんと落ちて年明くる 岩木茂 風土 202004
桐の実の落つるしじまに長居せり 橋添やよひ 風土 202012
古文書に献上とある油桐の実 橋添やよひ 風土 202012
飯桐の実のぶらぶらと寺の庭 小池一司 やぶれ傘 202101
桐の実の音となる風一葉忌 中村洋子 風土 202202

 

2022年8月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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