菊 膾     164句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
菊膾見えぬこの身の透く思ひ 村越化石 199901
漆黒の箸は輪島や菊膾 林翔 199911
みちのくの宿の夕餉の菊膾 河合朋子 春耕 199912
人逝くも生るるも寄りて菊膾 乃美隆子 200001
戦火の日よりの交り菊膾 田中藤穂 「水瓶座」 200002
幕の内弁当に付く菊膾 山梨幸子 200003
七十も半ばとなりぬ菊膾 山本潤子 いろり 200011
遠洋へあす出る漁夫と菊膾 浅沼久男 200101
てのひらにうけて冷たき菊膾 立石萌木 雨月 200102
再び生きる凍りて届く菊膾 金子皆子 海程 200102
婚約者連れ来し孫や菊膾 安陪青人 雨月 200102
菊膾ふるさと人の手の熱く 岡本まち子 馬醉木 200201
菊膾無駄にても年取るはよし 守屋井蛙 酸漿 200201
家苞に越後の酒や菊膾 岩永節子 春耕 200201
薬膳やべにばな膾菊膾 立石萌木 雨月 200201
食前酒土の器の菊膾 岡田芳子 ぐろっけ 200202
山荘の灯のもてなしと菊膾 水野あき子 遠嶺 200202
菊膾女の客の無口かな 坂本俊子 200211
月山にもつてのほかの菊膾 中島陽華 200212
十一桁の己世にあり菊膾 安陪青人 雨月 200212
菊膾下戸の侘しさちらとあり 池田倶子 雨月 200301
春慶の膳に小鉢の菊膾 山本喜朗 雨月 200301
しばらくを白寿の母と菊膾 竹内悦子 200301
すべて満開望郷の菊膾 今瀬剛一 対岸 200310
反論の矛先を変へ菊膾 能村研三 200311
招かれて見合ひ話や菊膾 滝本香世 百鳥 200312
母の忌の膳に供へし菊膾 古田考鵬 雨月 200401
菊膾きのふの人に間に合はず 風間史子 200401
手のくぼにうけて越後の菊膾 中島瑞枝 百鳥 200401
彼の人のやつれ加減に菊膾 杉戸由紀子 草の花 200401
菊膾好きで下戸とは変り者 細川コマヱ 雨月 200401
菊膾これより貴の黄をしらず 窪田佳津子 雨月 200402
むらさきにいろどる夕餉菊膾 片野光子 ぐろっけ 200404
霧隠り薬膳にのる菊膾 高松由利子 火星 200411
我が歳の母若かりし菊膾 田中のりえ 200501
長雨や膳を彩る菊膾 佐川あけみ 対岸 200501
根性を入れ替へてをり菊膾 高田令子 200502
今生に遊びつかれて菊膾 宮澤さくら 「今生」 200510
生国は越後高田の菊膾 菅原末野 風土 200511
菊よりも鮮やかであり菊膾 今瀬剛一 対岸 200511
庭石の乾いてゐたる菊膾 犬塚芳子 200511
臥すわれのけふの奢りや菊膾 森澄雄 200512
往生に小もよからむ菊膾 佐藤喜孝 あを 200512
句を嗜みし父に供へむ菊膾 稲次登美子 雨月 200601
母の忌の裏が父の忌菊膾 鎌田政利 京鹿子 200601
一滴の酢の色どりや菊膾 畠田律子 対岸 200601
菊膾座敷いつぱい陽の差して 秋千晴 200604
笙の音の一きは高し菊膾 滝沢伊代次 万象 200610
親不知抜かれてしまひ菊膾 森理和 あを 200611
菊膾淵明の飢救ひけり 松崎鉄之介 200611
立身は叶はざりけり菊膾 荒川清司 遠嶺 200612
仏前に自づと供ふ菊膾 大橋晄 雨月 200612
美しき箸使ひ菊膾かな 大橋麻沙子 雨月 200612
二人して食ぶべきものや菊膾 大橋晄 雨月 200612
一合の米炊くほかの菊膾 小林和子 風土 200612
心をも身をも浄めり菊膾 大橋晄 雨月 200701
こんもりと九谷小鉢に菊膾 福澤乙 酸漿 200701
青々と阿蘇の暮れたり菊膾 秋千晴 200702
蒲焼に添ふ菊膾一つまみ 赤座典子 あを 200711
胡弓の音幽かにありぬ菊膾 高畑信子 遠嶺 200712
菊膾涙もろきは家系にて 林昭太郎 200712
あの友もこの友も逝き菊膾 村越化石 200712
菜箸を巧みに使ひ菊膾 芝宮須磨子 あを 200712
雨音の渓へ降り込む菊膾 杉浦典子 火星 200801
四君子の盃より選りて菊膾 村田菊子 遠嶺 200801
菊膾食べさせたくて逢ひたくて 田原陽子 200802
菊膾大往生の母なりし 棗怜子 春燈 200811
京言葉そへお通しの菊膾 片野光子 ぐろっけ 200812
色めでて味はふ母の菊膾 有賀昌子 やぶれ傘 200901
おたがひに畑のことなど菊膾 伊藤一枝 酸漿 200901
夢淡き齢朝の菊膾 川口襄 遠嶺 200902
くに訛生涯抜けず菊膾 立石萌木 雨月 200908
一族のつむり相似る菊膾 井上信子 200911
菊膾秋田の酒と並べたり 須賀敏子 あを 200912
吾が家系酔漢おほし菊膾 櫻木道代 ぐろっけ 201001
菊膾はたと孤独に咽せにけり 土居通子 ろんど 201001
弁当の隅に郷土の菊膾 鈴木昌子 やぶれ傘 201001
八寸に白磁の器菊膾 片岡良子 雨月 201001
廿口の酒をふくみて菊膾 野口光江 遠嶺 201001
みちのくやもつてのほかの菊膾 中道愛子 201001
菊膾郷里の旬を友が盛る 川原典子 酸漿 201002
頷いてこと足るよはひ菊膾 安武晨子 201002
手に残る香あり夕餉の菊膾 工藤美和子 酸漿 201002
羽黒山詣でし夜の菊膾 石田かしこ ろんど 201002
みちのくや昼餉の卓に菊膾 川島澄子 酸漿 201004
よしと言ふ医師のひとこと菊膾 大沼遊魚 倭彩 201009
目分量と言ふ味付けや菊膾 森下康子 201012
「もってのほか」うすくれなゐの菊膾 赤座典子 あを 201012
訪へば漢ひとりの菊膾 阪本哲弘 201101
口すぼめつつ味はへり菊膾 柳田和子 酸漿 201102
昼定食今日の一品菊膾 いそべみつ ろんど 201102
みちのくの届き香るは菊膾 東秋茄子 京鹿子 201102
心づもり失せてしまひし菊膾 垣岡暎子 火星 201102
黄の色の香りは高く菊膾 東秋茄子 京鹿子 201102
みちのくは雪と聞く夜の菊膾 廣瀬雅男 やぶれ傘 201102
羽黒山宿坊の夜の菊膾 根岸善雄 馬醉木 201111
回想に耽る浅酌菊膾 阪本哲弘 201112
あと十年存へたしや菊膾 水原春郎 馬醉木 201112
菊膾二輪小鉢へ浮かせ置く 森理和 あを 201112
はらからの似て非なる味菊膾 堀田順子 馬醉木 201201
青丹よし奈良の宴の菊膾 山田春生 万象 201201
くすぐりの飛び交ふ仲や菊膾 中島陽華 201201
菊膾酢の香の満ちて夕厨 河合とき 末黒野 201201
菊膾箸の先より香りたる 村上美智子 雨月 201202
給食膳ちよつとおしやれに菊膾 古林田鶴子 ぐろっけ 201202
菊膾すいも甘いも知つてをる 高橋将夫 201211
人肌の酒のかなひぬ菊膾 酒井秀郎 返り花 201211
一言の挨拶ながし菊膾 師岡洋子 ぐろっけ 201212
菊膾僧の話にむせにけり 田中文治 火星 201301
秘仏見て宿かる坊の菊膾 山田春生 万象 201301
ほろ酔ひの句談議に花菊膾 菅野日出子 末黒野 201301
ましろなる瀬戸の小鉢に菊膾 廣瀬雅男 やぶれ傘 201301
菊膾たちまち酒の夜となりぬ 紅谷芙美江 万象 201302
菊膾ことば惜しみて食うぶなり 中島芳郎 201302
膝打つてもつてのほかの菊膾 吉田カイ 万象 201302
損切りや頭痛薬なる菊膾 松本文一郎 六花 201303
生きるだけ生きる勇気や菊膾 河内桜人 京鹿子 201304
菊膾齢の口を拭ひたる 山本耀子 火星 201312
菊膾母九十の箸さばき 古川夏子 201312
女みな神と呼ばるる菊膾 竹内悦子 201312
籬より摘みしと云へり菊膾 瀧春一 花石榴 201312
名の酒の五勺によろし菊膾 中島芳郎 201312
父の忌に越後の酒と菊膾 杉本薬王子 風土 201312
ぐい飲みやもつてのほかの菊膾 廣瀬雅男 やぶれ傘 201401
宿坊の膳を彩る菊膾 渡部節郎 201401
夫の酒少し貰ひて菊膾 川村清子 馬醉木 201401
華やぎをひと皿加へ菊膾 和田森早苗 201402
母の味数かず増ゆる菊膾 岡山敦子 京鹿子 201403
分骨を了へし夜の菊膾かな 荒井千佐代 201411
桂郎に晩年の無し菊膾 神蔵器 風土 201411
下戸なれど一献美し菊膾 粟倉昌子 201501
奈良に来て杉の割箸菊膾 宮崎左智子 201501
名刹を二つ訪ねて菊膾 安居正浩 201501
許されよ一合の酒菊膾 田中臥石 末黒野 201501
音立てて雨の過ぎゆく菊膾 岡田史女 末黒野 201501
菊膾しづかに齢かさねけり 土井ゆう子 風土 201501
喜寿祝ふ夕餉の膳や菊膾 河口仁志 201512
来世まで秘すことひとつ菊膾 渕上千津 201512
色香にもまさる歯ざはり菊膾 黒滝志麻子 末黒野 201512
膳につく宿のアロハに菊膾 高橋泰子 201601
菊膾親しき友と酌み交し 牧田澄子 雨月 201602
菊膾毀誉褒貶もなく老いて埼 滝澤千枝 春燈 201611
「お父ちやん」と呼び六十年菊膾 竹内悦子 201701
読み返す『風狂列伝』菊膾 森屋慶基 風土 201701
東京に夢ありし日や菊膾 安居正浩 201701
己が傷はおのれで癒す菊膾 渕上千津 201711
盃交す知らぬ同志や菊膾 竹中一花 201712
唇に箸をはこべり菊膾 藤生不二男 六花 201801
菊膾月のしづくを啜るかに 栗坪和子 201801
岳暮れて家々に灯や菊膾 土井三乙 風土 201801
菊膾卒寿の箸の美しく 浅木ノエ 春燈 201802
菊膾月のしづくを啜るかに 栗坪和子 201901
前山のはたと暮れたる菊膾 根橋宏次 やぶれ傘 201901
菊膾食みて母ゐし頃のこと 志方章子 六花 201902
失うて分かる幸せ菊膾 江島照美 発火点 201909
ちぎりては集めては湯へ菊膾 中里昌江 末黒野 202001
菊膾味覚のみまだ衰へず 中村嵐楓子 春燈 202001
しばらくは百寿の母と菊膾 竹内悦子 喜悦 202002
風の音聞こゆる夜の菊膾 廣瀬雅男 やぶれ傘 202002
菊膾御所人形のまろき顔 野村昌代 202101
小気味良き食感残る菊膾 江口恵子 やぶれ傘 202101
菊膾消息一つ明らかに 戸栗末廣 202104
料亭を守る女将や菊膾 豊谷青峰 春燈 202112
青々と阿蘇の暮れゆく菊膾 秋千晴 202112
かな文字の和歌のごとしや菊膾 三好康子 風土 202202
手作りの梅酢に開き菊膾 中野千代子 末黒野 202212
上座下座心して座す菊膾 佐藤千恵 京鹿子 202301

 

2023年9月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。