数の子     80句

数の子の歯応へ遠き世を継げり  久芳木陽子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
数の子や贋の歯もややまことめき
林翔
馬醉木
199901
数の子をぷりぷり噛んで子無き妻
嶋田麻紀
史前の花
199908
アメ横の言はずも値引き数の子買ふ
村井久美子
200002
数の子を噛むと駱駝が降ってくる
藤田守啓
船団
200008
数の子を肴に遺伝子論議かな
小山徳夫
遠嶺
200104
音の増しくる数の子を噛み惜しむ
鷹羽狩行
200202
数の子の無数のいのち噛み殺す
泉田秋硯
200204
数の子を噛むしづけさの時に在り
戸村よねこ
遠嶺
200204
数の子の福のはじける音しをり
田代史子
馬醉木
200204
逞しく数の子音を立てて噛む
青木光子
築港
200303
数の子のぷつぷつぷつをたのしみぬ
加藤君子
火星
200304
スイツチを押すな数の子目を覚ます
田村みどり
京鹿子
200305
数の子や奇行愚行はさて於いて
吉弘恭子
あを
200402
数の子や皹皸のことなども
吉弘恭子
あを
200402
数の子にいつも昔の音たどる
堀内一郎
あを
200403
数の子もごまめも雪のホテルにて
田中藤穂
あを
200403
数の子や夫と息子は同じ干支
篠田純子
あを
200403
戦ある中数の子の粒つぶを
芝尚子
あを
200403
数の子を食むや片恋ばかりして
東亜未
あを
200403
数の子を噛んで遠くの子を想ふ
塩川雄三
築港
200403
串カツは命数の子さへも揚げ
朝妻力
雲の峰
200501
数の子に歯ごたへのあり北の海
石川琢之
対岸
200503
数の子を噛んで米寿を迎へけり
沼口蓬風
河鹿
200503
数の子に奥歯弾んでをりにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200601
数の子に箸を伸ばす子ためらふ子
稲畑廣太郎
ホトトギス
200601
数の子のすぢ妻と取り除夜の鐘
三嶋隆英
馬醉木
200703
老いて食ぶ数の子寂し孫一人
松嶋一洋
200703
数の子の音に目覚めてゆきにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200801
数の子と餅の届きて歳暮終う
松崎鉄之介
200802
数の子を噛めばしみじみ福の味
布川直幸
200803
瀬戸もんの重に数の子手が笑ふ
中島陽華
200804
妻の母より数の子をいただきぬ
堤堅策
200805
数の子食む幸の弾ける音のして
布川直幸
200903
二の足を踏んで数の子買ひ足しぬ
佐藤満智子
ろんど
201004
賑はしき街に数の子買ひにけり
兼子栄子
酸漿
201005
孫とゐて数の子を噛む音くらべ
布川直幸
201101
数の子をシクシク噛みて未婚の子
布川直幸
201101
数の子をぷちぷち噛める人魚姫
伊藤憲子
201102
過不足もなし数の子の噛み心地
安斎久英
末黒野
201104
数の子の万の命をいただきぬ
堀田恵美子
雨月
201104
数の子の歯応へにある祝ぎの膳 稲畑汀子 ホトトギス 201201
酒呑童子来よ酒肴は数の子ぞ 布川直幸 201201
裾分けの慈姑数の子赤芽芋 竹内悦子 201203
数の子は病院食に加へられ 北村香朗 京鹿子 201204
数の子の羽音の夫は酔ひ話す 倉田松仙子 万象選集 201205
数の子の粘膜剥がす指訓練(リハビリ) 品川鈴子 ぐろっけ 201212
数の子を噛めばこめかみ遊ぶなり 細野恵久 ぐろっけ 201301
かばかりの幸数の子を噛みてをり 湯橋喜美 201303
数の子のぷつつんぷつぷついのちかな 鶴巻誉白 ろんど 201204
数の子や昔話に言ふ齢 川井秀夫 ろんど 201204
数の子に口中幸の弾けたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
数の子の塩抜き加滅祖母の味 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
数の子に長者の昔偲びもし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
数の子や我に子一人孫二人 石垣幸子 雨月 201403
数の子をぱりぱり噛んで子をもたず 佐藤山人 201404
向き合うて数の子を噛む音ばかり 青木朋子 201406
数の子のアラスカ産といふものを 根橋宏次 やぶれ傘 201503
生れることなき数の子やプチプチプチ 今井春生 201506
数の子を取りてはづむや豆皿に 長崎桂子 あを 201603
数の子もごまめも固し音を食ぶ 城草太 雨月 201604
数の子を食んで少子化てふ時代 山田佳乃 ホトトギス 201606
数の子にモンラッシェてふ漢かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
数の子を食めり日本の音をたて 中田みなみ 201703
朝食の残り数の子噛みゐたり 田中臥石 末黒野 201704
数の子やほんのり甘き加賀の酒 前川美智子 末黒野 201704
数の子に金箔振つてありにけり 山田六甲 六花 201801
数の子や艶の失せたる夫婦箸 久保東海司 201805
数の子の音を楽しみゐるしじま 安藤久美子 やぶれ傘 201903
数の子や喜怒哀楽をぷちぷちと 小山寿子 風土 201904
数の子を口にあれこれ思ふこと 本郷美代子 やぶれ傘 201904
母上の干数の子の夢を見し 山田六甲 六花 202001
咳払ひして数の子を守りたり 根來隆元 202003
数の子や命犇めく一欠片 池乗恵美子 末黒野 202004
飴色の数の子届く妻の留守 豊谷青峰 春燈 202004
数の子を肴にしたる福錦 山田六甲 六花 202101
数の子を銘銘皿の真ん中に 安藤久美子 やぶれ傘 202103
数の子も蛸も舶来一の重 光成敏子 202104
数の子を噛む幸せに歯も耳も 上辻蒼人 風土 202105
をさなごの数の子を噛む音や佳し 片山博介 春燈 202204
数の子や噛みゐる音に乗る調子 岩上行雄 末黒野 202204

 

2023年1月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。