枯木立     175句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
枯木立風まとう影靴の音 吉岡世志子 船団 199903
日を浴ぶる大地の産毛枯木立 林翔 199903
枯木立風に色ぬる遊びする 小枝恵美子 ポケット 199911
枯木立にも命の芽色に出し 稲畑汀子 ホトトギス 200001
枯木立てつぺん好きな鳩が鳴く 志水千代子 俳句通信 200002
逆光の鳩の黒さや枯木立 石原照子 200002
みづからの影に凭れて枯木立 笠松浩子 200003
行く雲に取り残されし枯木立 中島真沙 円虹 200003
夕映ゆる玻璃の一棟枯木立 小山徳夫 遠嶺 200003
足もとに雨の音聞く枯木立 遠藤和彦 遠嶺 200102
山上は垂訓ばかり枯木立 大林淳男 銀化 200103
枯木立梢虚空を掴みをり 栢森定男 あを 200112
てっぺんに鳥の巣を見せ枯木立 鎌田俊雄 いろり 200202
枯木立どこまでゆくもひとりなる ほりもとちか 円虹 200203
枯木立花鶏の群を飛び立たす 内藤順子 酸漿 200204
明るさを取り戻したる枯木立 稲畑汀子 ホトトギス 200211
枯木立富士を近づけをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200212
奥までも幹に日当る枯木立 深見けん二 百鳥 200212
貝塚の太古は海ぞ枯木立 早崎泰江 あを 200302
枯木立雨にいよいよ茫として 高垣和恵 雨月 200302
もつれ合ひ空に戯る枯木立 辻由紀 雨月 200302
枯木立抜けて公会堂の灯に 田中子 円虹 200303
名刹の塔の礎枯木立 木村冨美子 遠嶺 200305
日を呑んで雲むらさきや枯木立 岡本眸 200305
枯木立エレベーターが下りてくる 堀内一郎 あを 200402
老人のみな似て通る枯木立 田中藤穂 あを 200402
毛細管めく枯木立蒼天に 隅田享子 200403
街にビルまた一つ増え枯木立 山荘慶子 あを 200403
砂丘馬車枯木立縫ひ戻り来る 藤田誉子 雨月 200403
枯木立風音かろく日の明かし 野口年江 酸漿 200404
枯木立光きざみて零しけり 前迫寛子 河鹿 200404
耐ゆることも生きる術かな枯木立 土生逸磨 河鹿 200406
枯木立見通しのよき帰路となる 稲畑汀子 ホトトギス 200412
風音の抜けて行くより枯木立 稲畑汀子 ホトトギス 200412
更くる夜の星と睦みて枯木立 小川匠太郎 200412
枯木立雀こぼしてしまひけり 菅原末野 風土 200501
白杖の前を犬行く枯木立 横森みゆき 雲の峰 200502
あるがまま立禅なせる枯木立 落合由季女 雨月 200502
高架より町を見下す枯木立 芝宮須磨子 あを 200502
また渡りきたるも此岸枯木立 豊田都峰 京鹿子 200503
枯木立パントマイムの総出演 長崎桂子 あを 200503
枯木立まつすぐに来て許さるる 豊田都峰 京鹿子 200503
枯木立白日ひとつ上げゐたり 豊田都峰 京鹿子 200503
枯木立抜け出てからの風の界 豊田都峰 京鹿子 200503
目にふれる枯木立みな春を待つ 早崎泰江 あを 200504
枯木立巣に草色の女郎蜘蛛 中條睦子 万象 200504
逡巡の夕日掛かれる枯木立 木内憲子 200505
陽の中に風透きとほる枯木立 宮川迫夫 遠嶺 200505
ぴしぴしと月光透る枯木立 岡本眸 200506
枯木立越しの富士山ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200512
枯木立運転免許更新中 貝森光大 六花 200601
枯木立しばし捧ぐる星赤し 豊田都峰 京鹿子 200602
枯木立ガンジス河で沐浴す 林日圓 京鹿子 200603
枯木立透くるは罠としてをかむ 豊田都峰 京鹿子 200603
蒼穹に網を展げし枯木立 三反田輝夫 河鹿 200605
地に影を正しく描き枯木立 吉村ひさ志 ホトトギス 200605
江の島や一山灰色枯木立 中島英子 八千草 200607
枯木立高々と月の切抜き 豊田都峰 京鹿子 200702
真つ青な空に影絵の枯木立 早崎泰江 あを 200702
己が影己がまとひて枯木立 吉原一暁 200702
枯木立の中の満月書割めく 新倉舒子 200702
ユトリロの白に引き立つ枯木立 岩月優美子 200703
枯木立どこへみちびくつもりなし 豊田都峰 京鹿子 200703
青空を煙らせるやう枯木立 斉藤裕子 あを 200704
枯木立かくなるうへは星咲かす 村田冨美子 京鹿子 200704
枯木立関節筋肉ゆるぎなし 長崎桂子 あを 200704
枯木立抜け来て版画美術館 鈴木庸子 風土 200704
日輪のまさに落ちゆく枯木立 斉藤裕子 あを 200705
枯木立豆電球の温からう 齊藤實 200802
雲にまだ夕茜あり枯木立 岡田和子 馬醉木 200803
たましひの風うなりたる枯木立 竹下昌子 200803
枯木立遠近法の日和かな 豊田都峰 京鹿子 200803
枯木立己がすべてを白日に 堀田こう 雨月 200803
藤蔓の行方を追へり枯木立 渡辺玄子 酸漿 200804
ジャコメッティ作「歩く男」枯木立 吉田空音 炎環 200902
枯木立その一本は烏の木 山田暢子 風土 200903
臍固め百日を耐ふ枯木立 石山雅之 遠嶺 200903
枯木立オブジェは街になじみけり 高木嘉久 200903
枯木立一本太く輝けり 滝沢伊代次 万象 200903
弦月の抜身懸れり枯木立 岡田貞峰 馬醉木 200904
冬木立湖が見え来て枯木立 嶋田一歩 ホトトギス 200905
余りにも空青きかな枯木立 早崎泰江 あを 201002
枯木立骨をさらして風に耐へ 池田光子 201002
ひとつの巣かかげ吹かるる枯木立 川崎良平 雨月 201003
白壁に影の交はる枯木立 笹井康夫 201003
放射状のひかり際立つ枯木立 稲垣佳子 末黒野 201003
聖樹まで神学校の枯木立 藤井美晴 やぶれ傘 201003
昼半月白しポプラの枯木立 岡崎春菜 万象 201004
湧水池の蘆青し枯木立つ 高木千鶴子 酸漿 201006
枯木立猟犬の声はね返す 川口崇子 万象 201006
生老病足りてそれから枯木立 竹貫示虹 京鹿子 201011
枯木立風の口笛撒き散らす 岸田爾子 201103
枯木立に枯の風格ありにけり 田中春子 雨月 201104
東京都目黒区色の枯木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
枯木立風に奏でるフーガかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
荒寥と風が梳きゆく枯木立 工藤義夫 馬醉木 201201
夕映や姿よろしき枯木立 早崎泰江 あを 201201
日光の音立てて折れ枯木立 小田司 馬醉木 201202
月蝕の始終を抱き枯木立 千田百里 201202
蕭条と鳴りて湖北の枯木立 浅井吉雄慈 夕端居 201203
いさぎよきまで枯れ枯れて枯木立 大久保弘子 雨月 201203
枯木立ふたつの星を透かしきる 豊田都峰 京鹿子 201203
枯木立地球は青き星なるぞ 金田和代 かさね 201203
やはらかな息をしてゐる枯木立 佐々木紗知 京鹿子 201204
枯木立瞼の裏も日の差して 石井秀一 風土 201204
友の持つ才を疎みて枯木立 吉井潤 ぐろっけ 201302
枯木立深き真青な空にあり 早崎泰江 あを 201302
わたくしも充電したき枯木立 細川洋子 201302
枯木立こだましづめて神囲む 豊田都峰 京鹿子 201303
枯木立綾なす梢に宿る月 今泉あさ子 末黒野 201303
枯木立微動もなくて晴れわたる 数長藤代 201303
青空へ拳突き上げ枯木立 長濱順子 201304
芦の湖の大きく見え来枯木立 嶋田一歩 ホトトギス 201305
箱根関所跡とし遺り枯木立 嶋田一歩 ホトトギス 201305
世界文化遺産の中の枯木立 竹下陶子 ホトトギス 201305
枯木立オレンジ色のスクールバス 水谷直子 京鹿子 201305
言霊のとぎすまさるる枯木立 阪倉孝子 201403
百態の骨格模型枯木立 森清堯 末黒野 201405
吊橋の繋ぐ枯野と枯木立 杉山瑞恵 雨月 201405
哀しみを語りつがるる枯木立 稲畑汀子 ホトトギス 201411
哀しみを語りつがるる枯木立 稲畑汀子 ホトトギス 201411
枯木立テニスコートヘ風の抜け 笹村政子 六花 201503
ひとすぢをよしとはずれの枯木立 豊田都峰 京鹿子 201503
赤い傘行く清清と枯木立 はしもと風里 201503
その中に芽生えを抱ふ枯木立 江島照美 201503
枯木立紺の夜空に目覚めをり 岡崎春菜 万象 201503
雨上り力を得たる枯木立 平井紀夫 201503
枯木立捨て身になりて天を指す 池田光子 201504
園児等の揃ひの帽子枯木立 神田惣介 京鹿子 201506
ユトリロの白に引き立つ枯木立 岩月優美子 グピドの瞳 201506
枯木立群れて移りて山鴉 仁平則子 201603
ひとりでに戛戛とゆく枯木立 石田きよし 201603
目覚めゆく園眠りゆく枯木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
空よりも蒼きモスクや枯木立 中田みなみ 201701
枯木立抜けてゴールヘ動きだす 鈴鹿呂仁 京鹿子 201702
沈みゆく日輪太し枯木立 藤岡紫水 京鹿子 201703
共存の一切無心枯木立 植村蘇星 京鹿子 201703
落日へ消えゆく鳥や枯木立 久貝芳次 末黒野 201703
道標に日差しありけり枯木立 大島英昭 やぶれ傘 201703
白雲のゆうるり過ぎる枯木立 数長藤代 201703
電飾をまとふ闇夜の枯木立 元橋孝之 京鹿子 201704
枯木立どこより何の風の音 丹羽武正 京鹿子 201704
峠より淡き昼月枯木立 森清信子 末黒野 201704
のしかかる雲支へをり枯木立 安斎久英 末黒野 201704
枯木立まだまだ寝むり深そうな 石森理和 あを 201704
臨終はかくの如きか枯木立 沼田巴字 京鹿子 201711
枯木立坂多き街俯瞰して 稲畑汀子 ホトトギス 201712
印かんの欠け字の翳や枯木立 鈴鹿呂仁 京鹿子 201712
枯木立透けて落暉の濃かりけり 岡田ちた子 雨月 201803
帆の失せしマストのやうな枯木立 片山煕子 京鹿子 201803
枯木立はけの水音潺せんと 岡田史女 末黒野 201803
枯木立鴇色纏ふ朝かな 紅露恵子 万象 201803
枯木立つ風景の先めくれるから 直江裕子 京鹿子 201804
遠山のいづれも嶮し枯木立 森一枝 末黒野 201805
黄昏の顔まだ見えて枯木立 兒玉充代 201907
枯木立命の鼓動秘めてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
神木を要としたる枯木立 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
悠然と距離を保てり枯木立 山田暢子 風土 202001
ロープウェー行く枯木立撫でながら 稲畑廣太郎 ホトトギス 202001
カレー食ぶ窓いつぱいの枯木立 谷口摩耶 202003
県境の尾嶺を透かして枯木立 大内幸子 六花 202004
稜線のあらはとなりぬ枯木立 津野桂子 末黒野 202103
夕星の見え隠れする枯木立 浅嶋肇 やぶれ傘 202103
一閃のヘッドライトや枯木立 森清信子 末黒野 202105
枯木立車のライト切れぎれに 吉田幸恵 やぶれ傘 202105
虚子句碑とあり武蔵野の枯木立 須藤常央 ホトトギス 202106
新しき切株ふたつ枯木立 藤井美晴 やぶれ傘 202201
断捨離は明日への一歩枯木立つ 小形博子 202202
プロペラの音の行方や枯木立 須賀敏子 あを 202202
悠々と風去なしけり枯木立 西川保子 春燈 202203
枯木立歴史に載らぬ民数多 元橋孝之 京鹿子 202204
枯木立風鳴り抜けて人里へ 谷安喜美子 末黒野 202205

 

2022年11月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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