枯 蔦    85句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ヒマラヤ杉に登り切れざる蔦枯れぬ 藤田宏 199803
銀行の窓を覆ひし蔦も枯れ 檜紀代 199901
石を抱く力ゆるみて蔦枯れぬ 吉田登子 風土 199902
蔦枯れても力ゆるめずしめつけをり 麻生當子 199905
枯蔦をのれんに石の貴族館 品川鈴子 ぐろっけ 199911
神垣に縋りし蔦の枯れにけり 辻井桂子 俳句通信 200001
枯菊と枯蔦燃ゆる音ちがふ 田中藤穂 水瓶座 200002
蔦枯れのしげく煙突廃れけり 能村研三 200012
塗り替へに先づ枯蔦を取る仕事 笹家栄子 200101
気位をすっぱり壁に枯れし蔦 丸山佳子 京鹿子 200202
絡み合ふ強さを見せて蔦枯るる 天岡宇津彦 200204
八方に枯蔦の張る蔵の壁 鰍澤真佐子 春耕 200204
枯蔦を曳くな板塀倒れさう 宮原みさを 花月亭 200208
蔦枯れて壁に黒ずみ雨意の雲 奥村鷹尾 京鹿子 200303
教会に想ひ出のこし蔦枯るる 矢嶋みつ江 遠嶺 200303
葉脈を壁に残して蔦枯るる 青木暁子 築港 200303
枯蔦のネオンサインに浮く酒場 小山徳夫 遠嶺 200304
枯蔦に小さき実からむ春時雨 芝宮須磨子 あを 200305
枯蔦の塀デフオルメし道路鏡 原田喜久子 八千草 200306
大木が枯る青蔦を巻きしまま 筧節子 築港 200307
枯がれの大樹のまとふ蔦紅葉 芝尚子 あを 200312
枯蔦の呪縛をうけて神父館 山口速 200401
さう言へば人間模様蔦枯れて 坂本京子 200403
上池の杭をのぼりて蔦枯るる 鈴木沙万沙 草の花 200403
枯蔦の間に海の凪ぎゐたり 浜口高子 火星 200501
固まりて垣根にすがる蔦枯し 山荘慶子 あを 200502
蔦枯れて西洋館をあらはとす 松原ふみ子 200503
枯蔦に風鳴るばかり甲子園 鈴木美江 雲の峰 200503
蔦紅葉枯木に蔓をくひ込ませ 大坪景章 万象 200503
老木に瓔珞のごと蔦枯れる 鈴木多枝子 あを 200504
塀の蔦日々見るある日枯れゐたり 定梶じょう あを 200601
よくわかる絡み具合や蔦枯るる 高橋将夫 200603
欲深き静脈のごと蔦枯るる 漢隆司 八千草 200607
枯蔦の茎の交通網図めく 松崎鉄之介 200702
蔦枯れて蔵に明治の技の皓 千田敬 200703
廃屋を雁字搦めに蔦枯るる 山本漾子 雨月 200703
枯蔦の壁這う移住収容所 四葉允子 ぐろっけ 200705
仮名の如白壁に蔦枯れてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200712
甲子園球場凛と蔦枯るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200712
蔦枯るる喧嘩ごしなる音(おと)風に ことり 六花 200712
枯蔦に日裏日表ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200712
枯蔦をひつぱがしたる壁のあり 島谷征良 風土 200804
枯蔦に貸ビル呪縛なほ解けず 北尾章郎 200903
ビル壁に線画となりて蔦枯るる 佐々木よし子 200903
枯蔦や正俊さんと来しホテル 稲畑廣太郎 ホトトギス 200911
枯蔦や来年ここで胴上げを 稲畑廣太郎 ホトトギス 200911
蔦枯れて自縛の蔓の行方かな 稲畑汀子 ホトトギス 200911
枯蔦の川端龍子めく曲り 稲畑廣太郎 ホトトギス 200912
枯蔦の太きも走る海鼠壁 川井秀夫 ろんど 201003
枯蔦に触れてみるなり指に春 四條進 201004
枯蔦や懸案に目処ついてきし 小山徳夫 遠嶺 201004
蔦枯るるモーツアルトの巻毛かな 有本恵美子 ろんど 201102
蔦枯れてより束縛のはじまりぬ 熊川暁子 201102
枯蔦の中に灯ともす喫茶店 能美昌二郎 201104
蔓を巻く枯蔦の秀のそれつきり 西田美ち ろんど 201202
枯蔦が窓をふさぎぬ廃墟かな 松本信子 かさね 201202
枯蔦の連綿として師を識らず 柳生千枝子 火星 201202
蔦枯れて蔓は乱脈きはめをり 細川知子 ぐろっけ 201203
枯蔦や這ふその先に艶の出て 西田美ち ろんど 201204
絡みつく力のままに蔦枯るる 本多寿美子 雨月 201204
枯老梅蔦の新芽が掩ひけり ふじの茜 201208
全て断つ修道院や蔦枯れて 荒井千佐代 201212
すべて断つ修道院や蔦枯れて 荒井千佐代 201303
蔦枯れて深く走れる崖の罅 新堀満寿美 末黒野 201303
枯れてなほ岩をはなさず蔦一縷 和田絢子 春燈 201304
立枯の梅を丸めて蔦青し ふじの茜 201310
城壁に精根尽きて蔦枯れる 平居澪子 六花 201403
倉といふ栄枯盛衰蔦枯るる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
建前と本音をからめ蔦枯るる 寺田すず江 201503
壁を這ふ枯蔦の脈人体図 大畑善昭 201504
枯蔦や絡めとられし砲座跡 河野由美 馬醉木 201701
枯蔦を這はせ民家といふ歴史 稲畑廣太郎 ホトトギス 201701
蔦枯れて蔵に屋号の現れし 三木千代 201703
枯蔦やへばり附きたる古土蔵 藤波松山 京鹿子 201703
枯蔦が目当ての茶房先に着く 大畑善昭 201802
枯蔦に空の深さのありにけり 笹村政子 六花 201803
枯蔦の綾なす壁や鳥の影 長尾タイ 末黒野 201904
電柱に絡まる蔦の枯れにけり 濱野新 やぶれ傘 201904
枯蔦に首撫でらるる明智薮 松本鷹根 京鹿子 202002
送電塔囲む金網蔦枯れて 渡邉孝彦 やぶれ傘 202003
縋るものあれば縋りて蔦枯るる 亀田虎童子 202102
懇ろの写真店閉づ蔦枯るる 片井久子 春燈 202102
手になれた国語辞典や蔦枯れる 大日向幸江 あを 202112
訣別の文なき別れ枯蔦這ふ 伊藤希眸 京鹿子 202201
深窓の人の影なく蔦枯るる 大西由美子 春燈 202202

 

2022年11月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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