烏の子     150句

とんとんと歩く子鴉名はヤコブ    高野素十

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鴉にも子がゐて青葉くらむ頃
坪井洋子
199809
大きさはもう子烏といへざりし
稲畑汀子
ホトトギス
199906
子烏の巣をはみ出して疎まるる
稲畑汀子
ホトトギス
199906
子鴉に噴水玻璃の器なす
岡本眸
199908
子別れの鴉か朝を声重ね
井口初江
酸漿
199909
子育ての鴉のこゑの透きとほる
庄中健吉
199910
子鴉の軍手銜へて遊びをり
村瀬初実
春耕
199910
子別れの鴉木の枝散らばしぬ
皆川盤水
春耕
199912
子別れの鴉木の枝流れきし
皆川盤水
春耕
200003
喰べこぼし拾ってゆきぬ鴉の子
熊谷みどり
いろり
200007
鴉の子鳩の真似して餌ねだる
桑垣信子
いろり
200008
大通りヨチヨチ歩く烏の子
中野辰子
いろり
200008
苔厚き屋根の石跳ぶ鴉の子椎
升本行洋
春耕
200008
殺気ふと枝に子育て鴉ゐて
村松紅花
ホトトギス
200009
鴉の子雨空つづく五合庵
皆川盤水
春耕
200107
記紀よりの宮に烏の子沢山
中川濱子
ぐろっけ
200107
陵の森に烏の子六つ七つ
中川濱子
ぐろっけ
200107
五月雨やはや子鴉の羽づくろひ
山下功
春耕
200108
足早めてもついて来る烏の子
浮田胤子
ぐろっけ
200110
子烏の威を張る声を風が消す
皆川盤水
春耕
200207
遠雷へ目を瞠りゐる烏の子
皆川盤水
春耕
200207
一枝を時折揺らす鴉の子
間瀬淑子
春耕
200208
啼いて啼いてそれでも啼いて烏の子
森理和
あを
200208
鴉の子啼けば醜き声発す
下平しづ子
雨月
200209
子鴉に含みて飲ます池の水
村瀬初実
春耕
200209
童歌きき入る庭の鴉の子
村瀬初実
春耕
200209
封閉づるとき子烏の甘え鳴き
田村みどり
京鹿子
200211
干魚におよび腰なる烏の子
関口ゆき
あを
200303
子鴉に父母ならぶさくらの実
吉弘恭子
あを
200304
子烏の縋るフェンスに近づけず
稲畑汀子
ホトトギス
200306
すひかづら鴉子連れとなりしかな
斉藤夏風
ぐろっけ
200307
新装の金閣屋根より鴉の子
平松かをる
六花
200308
鮒一尾銜へて戻る子烏に
萩谷幸子
雨月
200308
はぐれ子鴉ひと声もなく夜をすごす
吉弘恭子
あを
200309
子鴉の八艘とびや島港
木村仁美
馬醉木
200311
子育ての烏の殺気裏参道
青山悠
200311
烏鳴き山の七つの子を諭す
物江晴子
八千草
200312
子鴉の啼き声幼なアアママと
中島英子
八千草
200312
母呼ぶか仰ぐ大樹に烏の子
中島英子
八千草
200312
大きさで見分けのつかぬ烏の子
稲畑汀子
ホトトギス
200406
子烏に梁組み重き仁王門
石田野武男
万象
200408
はぐれゐて滅多に鳴けぬ鴉の子
吉弘恭子
あを
200408
落ちて地をべえべえと哭く鴉の子
篠田純子
あを
200408
子鴉のとんとん歩き声もまた
舩越美喜
京鹿子
200410
少子化の日本賑わし烏の子
藤原りくを
八千草
200502
烏の子己のくろさ知らずゐる
須田紅三郎
200506
黒板に下町マツプ烏の子
須佐薫子
帆船
200507
鴉の子雲の迷ひに鳴きださむ
吉弘恭子
あを
200507
子鴉も雲の返しにたかだかし
吉弘恭子
あを
200507
ごみ捨場初見参の烏の子
鎌倉喜久恵
あを
200508
子烏とぶ二度三度枝掴み替へ
淺場芳子
万象
200509
キャプテンのバッヂを着けし烏の子
片岡静子
200509
烏の子賽の河原に鳴き不気味
近藤豊子
雨月
200509
子別れの鴉は羽を落としけり
市場基巳
200510
網掛けしゴミ場眺める鴉の子
稲木款冬子
築港
200510
朱の鳥居重ねてくらし鴉の子
青山悠
200510
子烏の水浴び晴るる日の暑さ
市場基巳
200511
茶髪にもなりたくもあり鴉の子
石堂絹子
河鹿
200608
烏の子早くもきびし目の配り
鎌倉喜久恵
あを
200608
ごみ袋破る術知る烏の子
友田直文
200610
烏の子同士喧嘩を売り買ひす
友田直文
200610
子烏の阿と母烏吽とかな
村松紅花
ホトトギス
200610
かはかはとかはたれ時を鴉の子
西村しげ子
雨月
200610
落ちる時飛ぶ真似したり鴉の子
百瀬七生子
海光
200705
子鴉と判る高鳴きありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200706
鴉の子風に煽られゐたりけり
山田六甲
六花
200706
子鴉のあらはに見ゆる嘴二つ
橋本榮治
馬醉木
200708
いたづらがしたさうな目の烏の子
森下賢一
春燈
200709
鴉語で交す子鴉朝まだき
芝宮須磨子
あを
200709
朝まだき騒ぐ子鴉だみ声に
岩崎靖子
200711
尻ふつて親につきゆく鴉の子
山口耕堂
万象
200808
甘へ合ふ親子鴉や青田道
渡辺安酔
200810
子烏と思へぬこゑで鳴きにけり
大崎紀夫
やぶれ傘
200810
烏の子ガードレールに行き昏れて
久保田由布
ぐろっけ
200811
烏の子親の言ふこと聞かぬなり
久保田由布
ぐろっけ
200812
雨滴れや小石を突つき鴉の子
中山純子
万象
200908
ただ歩くだけで楽しや鴉の子
武田巨子
春燈
200908
鴉の子守るため親の鳴き続け
島内美佳
ぐろっけ
200909
ハンガーの褥より顔烏の子
西澤茂子
200910
鴉の子鵯鳩雀に圍まるる 佐藤喜孝 あを 201007
遠雷のまま遠のきし鴉の子 笠置早苗 火星 201008
子鴉の真赤な口に親の嘴 工藤ミネ子 風土 201009
風呂敷の中を見たがる鴉の子 高嶋文清 春燈 201010
烏の子ピタリ啼き止む杉木立 森理和 あを 201011
石塔の影は十三烏の子 山田六甲 六花 201105
芦屋市に生れて烏の子の運命 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
烏の子三百年の松の上 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
その中の君はヨハネか烏の子 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
猫の前石ころくはへ鴉の子 中山純子 万象 201108
よちよちと畦道ほじる烏の子 長崎桂子 あを 201109
おなで石のくぼみに水や烏の子 三澤治子 万象 201110
親よりも瞳の黒き鴉の子 島野ひさ 万象 201110
童謡記念日子鴉の良く鳴く日 小張志げ 春燈 201210
草むらや落ちて母待つ鴉の子 岡本ヨシエ 末黒野 201210
動くより子烏視線浴びてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
空堀は風の遊び場からすの子 コ田千鶴子 馬醉木 201307
鴉の子菓子屋横丁脾睨す 鈴木靜恵 春燈 201307
中之島をオアシスとして鴉の子 竹内悦子 201311
梢から何か落せり鴉の子 井上信子 201408
子鴉の胸こんもりと静かなり 井上信子 201408
電線は鴉に雀燕の子 大坪景章 万象 201409
寺の木のてつぺんに巣鴉の子 福島せいぎ 万象 201410
山よりも都会に育ち烏の子 湖東紀子 ホトトギス 201511
高圧線落ちし巣立の鴉の子 大坪景章 万象 201511
辻占せんべいぱらりからっと鴉の子 長沼佐智 船団 201512
羽搏きをつけて跳ねをり鴉の子 中根美保 風土 201605
烏の子松の高さにありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201606
育つまで所在明かさぬ烏の子 稲畑汀子 ホトトギス 201606
鴉の子緑地の芝に文庫棚 門伝史会 風土 201608
ベンチ近く来る子烏に声かくる 今越みち子 万象 201609
子鴉の甘え尽して日暮れどき 山荘慶子 あを 201609
黒雲に声のくぐもる鴉の子 遠山のり子 201610
早春の烏の親子鳴き交はす 井上静子 201705
鴉の子ないものねだりして鳴きぬ 中川句寿夫 ここのもん 201705
烏の子餌を欲る午後の喫茶店 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
庭松を塒としたる烏の子 稲畑汀子 ホトトギス 201706
地に落ちて子鴉キョトリ首まはす 篠田純子 あを 201708
屋根に出で天下を聞かむ烏の子 大坪景章 万象 201709
屋上の稲荷神社や鴉の子 深川敏子 春燈 201709
はからずも烏の子育て見る事に 佐藤玲子 春燈 201709
烏の子人怖れぬがゆゑの咎 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
人閧フ夢を見てゐる烏の子 佐藤喜孝 あを 201807
子供の日過ぎて母の日鴉鳴く 田中藤穂 あを 201807
鴉の子青空めがけ飛ぶ素振り 赤羽陽子 春燈 201808
烏の子「路肩注意」をスレスレに 篠崎志津子 やぶれ傘 201808
俯いて濡るる子鴉丸の内 篠田純子 あを 201808
口中のくれなゐ強し鴉の子 山本則男 201811
鴉の子とんとんとんと路地歩く 遠山のり子 201812
吹かれ翔つ鴉の子らの臆病に 伊藤昌枝 201902
鴉の子カーブミラーに体当り 大塚たきよ 201908
今朝も又カアカアカアと鴉の子 長崎桂子 あを 201910
松の幹上り下りして烏の子 塩見治郎 雨月 201912
烏の子なぐさめられて鳴きにけり 三上程子 風聴くや 202003
子鴉の尾を振り歩む鉄路かな 喜田君江 末黒野 202008
鴉の子雨情の森に育ちけり 鈴木静恵 春燈 202009
子烏に鳴いてみせたりいくたびも 加藤みき 202009
白き物嘴より垂らし烏の子 岩藤礼子 やぶれ傘 202009
ハンガーに育まれたる烏の子 稲畑廣太郎 ホトトギス 202106
死にさうな叫び子鴉巣より落ち 篠田純子 あを 202107
子烏の静かなりけり自粛中 加藤みき 202107
鯉に撒くパンを欲しがる烏の子 森高武 風土 202110
やはらかき羽落としゆく鴉の子 山浦紀子 春燈 202110
高き幹より子烏の甘え声 森なほ子 あを 202207
朝まだき子雀襲ふ烏かな 杉山善信 やぶれ傘 202207
手短に済ます言ひ訳鴉の子 鈴鹿呂仁 京鹿子 202209

 

2023年6月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。