寒 柝       77句

応へあふ寒柝距離をちぢめくる    高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寒柝や真直ぐになほす掛時計 白岩三郎 馬醉木 200003
寒柝や真夜を灯して漁支度 塙三千男 馬醉木 200004
仕舞風呂寒柝強く打ち込まる 永野秀峰 ぐろっけ 200103
寒柝の一打一音にも気性 大西昭子 200104
寒柝が合掌村の夜気破る 塩路隆子 200112
寒柝や念入りに打つ村はづれ 西川よし子 春耕 200202
寒柝の舟屋をめぐる影法師 藤原照子 200204
寒柝の音を栞りてけふを閉づ 関根洋子 風土 200204
寒柝に星のいくらかずれてをり 村上瑪論 銀化 200204
気に食はぬことあり強く寒柝打つ 塩川雄三 潮路 200210
寒柝や路地を曲りてゆく余韻 小西明彦 200302
寒柝のひびき故郷の闇にあり 大串章 百鳥 200302
座禅会一寒柝に引締まる 吉田裕志 200303
寒柝の貧乏銭を引きにけり 土井田晩聖 銀化 200303
寒柝のすぎゆく葛を溶きゐたり 高島鷄子 馬醉木 200304
寒柝の道順少し変へてをり 代田青鳥 風土 200304
寒柝やしんがりの音は湖へ向け 鈴木順子 京鹿子 200304
寒柝や月光の尾のまぎれなく 岡本まち子 馬醉木 200401
寒柝の別れて行くや右左 松岡映子 帆船 200402
寒柝や鍵盤上の白き指 林友次郎 遠嶺 200404
寒柝や甲斐なき嘘を母へ言ふ 風間史子 200404
寒柝の呼び戻したる幼き日 山野洋子 百鳥 200404
寒柝の路地曲りしか音消ゆる 橘澄男 山景 200408
寒柝やけふとあしたを分かつ闇 飛鳥由紀 200503
寒柝を打てば戸を閉づ飛騨の里 大西八洲雄 万象 200504
攫はれしやうに寒柝途切れけり 酒井忠正 百鳥 200603
寒柝やいまも鍛冶町桶屋町 山県章宏 200604
寒柝の遠のく芝居心地にて 鈴木榮子 春燈 200712
寒柝の火伏せ観音像めぐる 田中みのる 火星 200803
寒柝のひびく茶房にホットティー 森永洋子 200903
気合い入れ寒柝闇夜を揺がしむ 金井香ル 200804
寒柝の余韻いのちの温みかな 西村純太 200804
知る声も混じり寒柝通り過ぐ 成宮紀代子 200803
間遠なる寒柝やがて行き過ぎる 伊庭玲子 201002
寒柝の響き三尸の虫射止む 田中貞雄 ろんど 201003
寒柝の音の乱れる午後十時 黒澤登美枝 201003
寒柝の八丁堀を行きにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201003
寒柝を打つ父の背を見送れり 坂本知子 酸漿 201003
寒柝や終の一打は漁火へ 薮脇晴美 馬醉木 201005
寒柝の闇の真中へ遠ざかる 松田明子 201006
マンションの窓に寒柝弾かるる 田中敬 201103
寒柝の間合に少し風の音 市村健夫 馬醉木 201104
寒柝のすぐる眼鏡をはづす間に 河隅惠子 201104
寒柝やルンバのリズム打ってみる 高谷栄一 嵯峨野 201107
寒柝や隣家を折れて柝遠音 鈴木榮子 春燈 201203
寒柝の遠ざかるほど闇の濃し 神戸やすを 201204
寒柝の再び戻り仕舞風呂 山崎稔子 末黒野 201204
寒柝や星の明るき三丁目 田中富雄 万象選集 201205
寒柝の間合ひを綴る話かな 辻井ミナミ 末黒野 201303
寒柝のなかのかけ声かの人か 小山繁子 春燈 201304
寒柝や坂の入りくむ屋敷町 田中文治 火星 201304
師の一言寒柝の一打かな 高橋将夫 201304
寒柝の通り過ぎたる電子辞書 梶浦玲良子 六花 201304
寒柝の律儀なる音頼みとし 宮平静子 雨月 201305
寒柝の過ぎて深まる独り酒 永峰久比古 馬醉木 201504
寒柝のこの星火種絶えざるや 中島芳郎 201505
寒柝や繕ふ針に母の息 伊藤希眸 京鹿子 201505
寒柝や今あの角であの人で 林昭太郎 201603
寒柝の青年団に孫達も 須藤美智子 風土 201603
寒柝の遠慮がちなり日曜日 辻井ミナミ 末黒野 201603
月に向け終の寒柝打ちにけり 重田修 末黒野 201604
寒柝が火宅の門を過りたる 中島芳郎 201704
ぬくぬくと聞く寒柝の響きかな 高橋将夫 201704
夜回りの寒柝かすか雨上り 五十嵐富士子 末黒野 201704
寒柝を遠くに星のまたたけり 栗山恵子 雨月 201704
塀の中にも寒柝を打ち通る 内海良太 万象 201705
時に私語混じる寒柝過ぎゆきぬ 曽根富久恵 201706

 皆既月蝕

あかがねの月や寒柝うち来る

近藤真啓 春燈 201804
寒柝のうつ後のしじまに足音も 江口九星 201902
風に乗る遠寒柝や闇を切る 今井弘雄 春燈 201903
寒柝や声揃ひたるボランティア 大内由紀 末黒野 201904
闇深く遠寒柝の掠れゆく 福井ひでとし 雨月 202001
寒柝の遠のきゆけば本を閉づ 鈴木愛子 202003
寒柝の闇の幅まで伝へけり 江島照美 202004

 

2021年1月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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