寒 昴    152句

寒スバル裁かるがごと振り仰ぐ   楠本憲吉   隠花植物

作品
作者
掲載誌
掲載年月
灯の橋が灯の島に延び寒昴 長谷川翠 馬醉木 199903
寒昴るんるん鳰の泳ぎだす ほんだゆき 馬醉木 199905
山に對ひ山に問ふもの寒昴 川端実 寒昴 199907

 祝・川端実句集『寒昴』

星々を詩とかぞへて寒すばる

小澤克己 遠嶺 199910
解剖や眼窩の中の寒昴 岡井省二 200001
洗ひたる臼の眞上の寒昴 小山森生 200003
双子とて死ぬとき一人寒昴 渡辺俊子 京鹿子 200005
寒昴わたしの中のひとりが哭く 塩貝朱千 京鹿子 200006
臥すわれをおびやかす如寒昴 能村登四郎 200102
新世紀まず恋しよう寒昴 三池泉 船団 200103
美少年てふ酒酌めば寒昴 本河康子 200104
寒昴浦曲に真珠育ちつつ 武政礼子 雨月 200104
風に立つ僧のありけり寒昴 中島陽華 200105
算乱すわれ等戒む寒昴 山本喜朗 雨月 200105
影と佇つ詩の街の川寒すばる 伊藤鯰子 ぐろっけ 200109
臥すわれをおびやかすごと寒昴 能村登四郎 羽化 200110
全身で見詰めてをりぬ寒昴 小林あつ子 火星 200203
湯上りの耳朶白し寒昴 いしだゆか 遠嶺 200203
寒昴夢の軌跡の大きかり 若生まりあ 遠嶺 200203
良き師得て十嶺越えたり寒昴 小澤克己 遠嶺 200204
この街で降りれば逢へる寒昴 三沢蘭 遠嶺 200204
母に与太と呼ばれし兜太寒昴 尾崎山治 京鹿子 200204
真水には溶けざるものよ寒昴 篁李月 銀化 200204
干魚のいよいよ反り身寒昴 清水明子 遠嶺 200205
うたかたの一生なりけり寒昴 島すが子 200205
寒昴電光ニュースの仮名の文字 寺内佶 遠嶺 200302
寒昴昇らざる窓部屋にせる 宮津昭彦 200303
トランプはクイーンで決まる寒昴 折原烈子 帆船 200303
寒昴津軽ことばを聞き洩らさじ 小林輝子 風土 200303
寒昴ひとは名をもち願ひもつ 谷口みちる 200303
只管に生きて今日あり寒昴 水原春郎 馬醉木 200303
寒昴肋に隙間ありにけり 栗栖恵通子 200304
ダム功労の碑に父の名や寒昴 松崎早智子 帆船 200304
海に出て海の音きく寒昴 蓮尾あきら 風土 200304
生徒らの胸にかがやけ寒昴 宮坂恒子 雪底 200304
身を鎧ふもの内にあり寒昴 中島知恵子 雨月 200305
一つづつ確かむ荷物寒昴 大東由美子 火星 200305
土地人にすんなりなりし寒昴 中野英歩 八千草 200307
天空の秀をなしゐたり寒昴 北吉裕子 雲の峰 200402
老拒み逝きしか夫や寒昴 藤原照子 200403
寒昴身の節ぶしをはげましつ 坂本京子 200403
寒昴暮れてしまひし杜騒ぐ 里中章子 200403
新しき上嶺未来の寒昴 林友次郎 遠嶺 200404
急逝の嫁への追慕寒昴 磯野しをり 雨月 200404
寒昴瓔珞音を発せざる 宮津昭彦 200404
愛憎ははるけくなりぬ寒昴 橘沙希 月の雫 200404
木の精の囁く杜や寒昴 渡辺民親 遠嶺 200405
寒すばる風より先に音のくる 川村政枝 築港 200502
仰ぐ嶺は真実一路寒昴 上田繁 遠嶺 200503
師の笑顔重ねかさなる寒昴 阿部晴山 200503
寒昴結論の出ぬ会議果て 藤井良子 200504
寒昴青竹の中覗きをる 植木戴子 200504
天王山のちかぢかとあり寒昴 近藤くえ 200504
寒昴長き祈りの人とゐて 阿部正枝 遠嶺 200504
大利根の堤二重に寒昴 府中谷幸枝 馬醉木 200504
面外しシテの仰げり寒昴 中山砂光子 200505
湯舟へ入る天衣無縫や寒昴 中山砂光子 200505
石垣は石を斂めあふ寒昴 山元志津香 八千草 200506
夫逝きて竜駆け登る寒昴 谷寿枝 酸漿 200602
わたなかに戦艦大和寒昴 藤田かもめ 200603
晩鐘の尖塔掲ぐ寒昴 金山藤之助 200604
新しく踏み出す一歩寒昴 寺内佶 遠嶺 200604
寒昴出づ復讐は華やかに 宮津昭彦 200604
逝きし人との交信はいま寒昴 斉藤小夜 風土 200604
投函の音を後ろに寒昴 奥山明子 対岸 200604
寒昴母のやうなる窓ひとつ 有島夛美 河鹿 200605
目を凝らすネオンの空に寒昴 岡谷栄子 200605
一分二十三滴輸血寒昴 後藤一秋 ホトトギス 200608
保安官のバツジの飛びし寒昴 奥田茶々 風土 200701
寒昴大杉の弊湿りをる 谷村幸子 200703
削ぎ残るものの鋭角寒昴 坂ようこ 200703
荒事の芸の一途や寒昴 浜田はるみ 遠嶺 200703
寒スバル風呼ぶごとく馬頭琴 大川ゆかり 200703
寒昴仰ぎミューズの詩水受く 小澤克己 遠嶺 200704
指先に滾るものあり寒昴 関口幹雄 遠嶺 200705
こつちいやあつちその右寒昴 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
夫の介護時に重荷や寒昴 廣澤成美 春燈 200802
寒昴一角犀の動きあり 石脇みはる 200803
青春の日にも仰げり寒昴 泉田秋硯 200804
寒昴生きる意識の変りけり 篠田純子 あを 200804
寒すばる過ぎしむかしの夢のあと 荻野千枝 京鹿子 200805
寒昴さらなる旅の始まりぬ 津田礼乃 遠嶺 200806
悪声の牛のひと鳴き寒昴 原紀子 炎環 200903
あきらかに蝦夷銀嶺の寒すばる 沼澤石次 馬醉木 200904
寒すばる欅大樹に溺れゐる 原田達夫 200904
あの日より十四年目の寒昴 西川保子 春燈 200904
刑務所の壁の長さよ寒昴 藤井美晴 やぶれ傘 200905
燃やさずに父の断簡寒昴 赤羽正行 遠嶺 200908
くさめして酔ひ醒めにけり寒昴 川端俊雄 火星 201002
酒くさき人と行き合ふ寒昴 浜口高子 火星 201003
友の通夜一際輝りて寒昴 三川美代子 201004
ブローチにして贈りたし寒昴 小山徳夫 遠嶺 201004
鳴き砂の渚を行けば寒昴 川口襄 遠嶺 201005
寒昴生涯一句求めつつ 宮野百合子 201006
オーロラを独り占めして寒昴 中村恭子 201101
幾山河越え来し二人寒昴 山口順子 201103
寒昴太子を偲ぶ下つ道 土居通子 ろんど 201103
寒昴視界にワインのディナー席 村上昌子 201104
まばたきは命のしづく寒昴 大木清美子 201104
相槌のほしき夜もあり寒昴 コ田千鶴子 花の翼 201111
寒昴亡き誰彼のこゑ聞こゆ 安立公彦 春燈 201203
寒昴挑む眼ひそむ男の子かな 吉村さよ子 春燈 201203
寒昴ときどきうたの下りてくる 本多俊子 201203
流木にいのちのかたち寒すばる 梶浦玲良子 六花 201204
寒昴皓歯のままに子は逝きぬ 白水良子 201204
徹宵の竹のきしみや寒昴 大湾宗弘 万象 201208
寒昴大津皇子を眠らせて 橋添やよひ 風土 201302
可能性いち分に賭けて寒すばる 渕上千津 201303
名優のはた一人逝き寒昴 上家弘子 ろんど 201303
人の死に狎るるを懼る寒昴 上山永晃 鶴翼 201305
ジャズの音に遠き日の恋寒昴 和田政子 201402
父が子に遺せしナイフ寒昴 安居正浩 201402
一文字の川の静けさ寒昴 原田しずえ 万象 201403
火の山のてつぺんに見る寒昴 竹内慶子 春燈 201403
寒昴宇宙へ希望無限大 平松うさぎ 201403
父母亡くも故里近し寒昴 堀田順子 馬醉木 201404
いつの世も生生流転寒昴 寺田すず江 201404
寒すばる妻には妻の生きる道 貝森光洋 六花 201404
寒昴父は黙つてものを言ふ 田畑耕之介 京鹿子 201501
弟かひとつ親しき寒昴 奥井あき 201504
光年の刻の届きし寒昴 竹田ひろ子 ろんど 201505
ウミウシの眠りの中へ寒昴 武智由紀子 201603
寒昴二等兵には星一つ 高木嘉久 201604
つぶやきの声にはならず寒昴 小山繁子 春燈 201604
弟と想ふ瞬き寒昴 西川みほ 末黒野 201605
六つまで妻には見ゆる寒昴 森俊人 201606
寒昴黒豆の艶重箱に 中貞子 201703
寒昴自分扨置く妻であり 池田崇 201703
臍の緒を置いて逝きし子寒昴 白水良子 201704
光年の闇よりの使者寒昴 熊川暁子 201704
子にきいて孫におそはる寒昴 堺昌子 末黒野 201704
次いで逝く末弟義兄寒昴 森清堯 末黒野 201705
老人はふるさとを捨て寒昴 横田敬子 201706
月蝕の宇宙の暗さ寒昴 田中臥石 末黒野 201805
寒昴夢の中までもの書いて 岩岡中正 ホトトギス 201807
寒昴仰ぎあなたの句を憶ふ 下田奉枝 雨月 201903
寒昴長子病と闘へり 片山喜久子 雨月 201903
看護師のつぶらな瞳寒昴 府川昭子 春燈 201903
母からの下紙を読んだ寒昴 佐藤日和太 船団 201906
もしもてふうつろな言葉寒昴 佐藤千恵 京鹿子 202001
寒昴父の手大き湯屋の帰途 宮岡弘 202003
指差して神話を語る寒昴 大矢恒彦 202003
角打ちの漢寡黙や寒昴 板谷俊武 末黒野 202005
口止めをされし言の葉寒昴 亀井福恵 京鹿子 202005
ワインレツドも滅びゆく彩寒昴 塩貝朱千 京鹿子 202005
たちまちにすべてが遺品寒昴 田所節子 202101
しりとりの途中で寝る子寒昴 仲里奈央 202104
街川の水音硬し寒昴 池乗恵美子 末黒野 202105
山頂や鈴鳴るやうに寒昴 森岡正作 202201
終電の去り行く駅や寒昴 高木邦雄 末黒野 202204
寒昴あの夜へ戻すノクターン 塩貝朱千 京鹿子 202205
獣皆一文字漢字寒昴 待場陶火 202210

 

2023年1月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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