寒の雨     138句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
甦る記憶今更寒の雨 山田弘子 「春節」 199503
面影の座る文机寒の雨 山田弘子 円虹 199903

 阪神淡路大震災記念日

一人づつ抱く歳月寒の雨

山田弘子 円虹 199903
春寒の雨は止むかに見へしとて 桑垣信子 いろり 199904
石段のかすかな吐息寒の雨 小枝恵美子 ポケット 199911
寒の雨上りゆく雲割れて来し 稲畑汀子 ホトトギス 200001
紅葉濃し三渓園の寒の雨 阿部ひろし 酸漿 200002
やはらかき色着て見舞ふ寒の雨 田中藤穂 水瓶座 200002
寒の雨寂たり宮の歌仙図も 大橋晄 雨月 200003
山の巣へ一鳥急ぐ寒の雨 鈴鹿仁 京鹿子 200003
静なり心に染みて寒の雨 清水かつ 酸漿 200003
寒の雨負けるがよしと静かなる 久保田一豊 いろり 200004
寒の雨老ランナーの足確か 福田かよ子 ぐろっけ 200005
春寒の雨に寄り添ふ親子象 小石秀子 酸漿 200006
寒の雨だまつて見つむ渡し舟 稲辺美津 夏椿 200007
葬列の踏切り渡る寒の雨 竹内美智代 酸漿 200104
寒の雨渡る世間の橋いくつ 鈴鹿仁 京鹿子 200202
「羽衣」を観んとて出づる寒の雨 鎌倉喜久恵 あを 200202
午後よりは荒れ模様なり寒の雨 鉄田俊雄 いろり 200203
寒の雨なにする欲もなかりけり 鉄田俊雄 いろり 200203
ヒューズ飛びし貧しき世あり寒の雨 神原操 雨月 200204
青鷺の杭に黙せり寒の雨 浅野恵美子 酸漿 200204
寒の雨上がり釦の博物館 中村洋子 風土 200204
寒の雨粛々と降る震災碑 黒川悦子 円虹 200204
寒の雨鍋の食材手に重る 常坂幸次郎 帆船 200210
地震の日を近づけてをり寒の雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 200301
今日までと思へば寒の雨も又 稲畑汀子 ホトトギス 200302
玻璃(はり)越しの本降りとなる寒の雨 山口マサエ 雲の峰 200303
投句なき友へ電話や寒の雨 松崎鉄之介 200303
病床の窓辺を濡らす寒の雨 鈴木佐和子 築港 200304
一人居の夜更し癖よ寒の雨 川上美穂子 酸漿 200304
家事なべて独り芝居や寒の雨 石岡祐子 200305
口論ののちの静けさ寒の雨 苑実耶 200312
寒の雨蕾の先で玉となる 橋本順子 200312
漆黒の欄干太し寒の雨 小橋末吉 対岸 200404
寒の雨鯉のまぶたを白くする 大山里 200404
行く当のありていとはず寒の雨 田所洋子 雨月 200405
イベリアの赫土潤す寒の雨 塩路隆子 200412
寒の雨ずんとホルター心電図 土肥屯蕪里 雲の峰 200503
寒の雨影より細き女佇つ 小澤克己 遠嶺 200504
ぽつねんと添竹斜め寒の雨 濱田萬里子 河鹿 200504
やや低く母に傘さす寒の雨 渡辺素子 帆船 200504
寒の雨動かずにゐる神の鹿 浜和佳子 百鳥 200505
寒の雨一句捨てねば一句得ず 岩岡中正 ホトトギス 200507
思ひ出は万華鏡めく寒の雨 田中藤穂 あを 200603
やはらかな空気となれり寒の雨 松崎鉄之介 200603
寒の雨めぐみの雨となりにけり 先崎きくよ 酸漿 200604
独り酌むきびなごの酒寒の雨 沼口蓬風 河鹿 200604
背な越しに寒の雨音聴いてをり ことり 六花 200606
予定組む予報は寒の雨と聞き 稲畑汀子 ホトトギス 200701
やや寒の雨垂れ美しき藁庇 坪井洋子 200702
寒の雨夫は赤子の乳買ひに KOKIA 六甲 200703
柵を打つ志功の菩薩寒の雨 雨村敏子 200704
眼鏡のつる直す用あり寒の雨 竹内弘子 あを 200704
震災を悼む未明の寒の雨 安原葉 ホトトギス 200705
かの日まだ昨日の事よ寒の雨 涌羅由美 ホトトギス 200705
寒の雨心を濡らすほどでなく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
寒の雨句碑の歳月明かしゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200801
大寒の雨が消すなり雪景色 小山ナオ子 酸漿 200804
干菓子には程良き湿り寒の雨 森山のりこ あを 200804
寒の雨ばつてん坂の明るしや 築城百々平 馬醉木 200804
吠え声が誘ふ吠え声寒の雨 大島英昭 やぶれ傘 200804
銭湯の富士はくつきり寒の雨 山田正子 200805
島一つ洗ひ上げたる寒の雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 200901
寒の雨まだ生きているこの一樹 中島玉五郎 200902
丹念に新聞読むや寒の雨 早崎泰江 あを 200903
雪となる予報の外れ寒の雨 吉沢陽子 200903
生けるものへいのちを繋ぐ寒の雨 柿本麗子 200903
寒の雨苦言を呈す町がらす 鈴鹿仁 京鹿子 200903
出無精に追ひうちかける寒の雨 吉沢陽子 200903
寒の雨昼に点れるシャンデリア 赤座典子 あを 200903
寒の雨きのふの白きままの日記 豊田都峰 京鹿子 200904
通し矢の矢場を濡して寒の雨 坂口三保子 ぐろっけ 200904
側溝を流るる音や寒の雨 國保八江 やぶれ傘 200905
寒の雨家並の雨戸閉ぢしまま 渡邊孝彦 やぶれ傘 200905
寒の雨止めば季節の動きけり 稲畑汀子 ホトトギス 201001
寒の雨打つサッカーのロスタイム 田村すゝむ 風土 201004
病名を告げられてゐし寒の雨 静寿美子 ぐろっけ 201004
寒の雨しづかに雨滴連なりて 鈴木隆子 201005

 年尾忌

露寒の雨の忌日をみそなはせ

稲畑汀子 ホトトギス 201010
高架下にソースの匂ふ寒の雨 藤田素子 火星 201104
露寒の雨の一日いとはずに 稲畑汀子 ホトトギス 201110
鶏のまぶた下より閉づる寒の雨 山本耀子 火星 201203
寒の雨吾に足らぬはコラーゲン 竹内悦子 201203
寒の雨岩屋に在す弥勒仏 川崎利子 201204
寒の雨くわっと目を張る淡路木偶 石谷淳子 雨月 201204
勉亡き一滴文庫寒の雨 尾崎みつ子 雨月 201204
聞かぬふり出来ぬ不器用寒の雨 新江たか ろんど 201204
大寒の雨や輪になり旅寝論 三枝正子 万象選集 201205
結界の御幣を濡らす寒の雨 尾木原トシ子 万象選集 201205
寒の雨弾きて鷺の動かざり 小梁洋子 万象選集 201205
春寒の雨が肩うつ致命祭 中島久子 馬醉木 201205
半生を一夜で語る寒の雨 伊吹之博 京鹿子 201205
体感は三度も低し寒の雨 橋本修平 かさね 201207
寒の雨止みて苔路の緑映え 森岡陽子 かさね 201207
木を巻いて縄よく締まる寒の雨 近藤喜子 ミネルヴァの梟 201303
寒の雨しづかに雪を溶かしをり 戸田澄子 末黒野 201304
飾り焚やがてたつぷり寒の雨 奥田順子 火星 201304
寒の雨真実語るとき泪 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
公園の錆びし鉄棒寒の雨 渡辺若菜 春燈 201403
髪染めて傘傾ける寒の雨 西躰いとの ぐろっけ 201403
弔ひは葬儀に変はり寒の雨 高橋龍 201410
本音てふ隠したきもの寒の雨 宮田豊子 春燈 201503
寒の雨自我迷執の闇深し 四條進 201503
地下道に靴音響く寒の雨 豊谷ゆき江 春燈 201503
折れ竹の簓に沁むや寒の雨 森和子 万象 201504
濡れしもの皆美しき寒の雨 川崎良平 雨月 201504
亡き友の跡地は四角寒の雨 波多野孝枝 末黒野 201505
妻倦まぬ力ード占ひ寒の雨 佐渡谷秀一 対座 201505
臥して聞く余寒の雨のほんぶりに 山内洋光 201506
春寒の雨乾坤の潤へり 河野美奇 ホトトギス 201507
寒の雨長靴欲しと謂う子あり 七郎衛門吉保 あを 201601
山里や薄々煙る寒の雨 東正則 末黒野 201604
靄かかる蕪村句碑の辺寒の雨 大橋晄 雨月 201604
夫の椅子に寒の雨音きく夕べ 森幸 雨月 201605
寒の雨芝生のなかにたまりけり 久保田万太郎 春燈 201702
寒の雨ガラスの曇るワインバー 高田令子 201704
コンビニに庇がなくて寒の雨 奥田筆子 京鹿子 201704
年老いて何と淋しき寒の雨 佐々木良玄 春燈 201704
大山は今頃雪に寒の雨 佐藤和子 万象 201704
何となく一息つきぬ寒の雨 三村純也 ホトトギス 201806
文字未だ彫らぬ墓石寒の雨 瀬戸薫 風土 201902
袖濡らすほどは降らずや寒の雨 小林文良 春燈 201904
寒の雨水晶体に朝来たり 奥田筆子 京鹿子 201904
約束を忘れさせしや寒の雨 永田万年青 六花 201905
春寒の雨の家居となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 202002
御稲荷ののぼり滴る寒の雨 森なほ子 あを 202003
きび餅のほのかな苦味寒の雨 三代川玲子 春燈 202004
残されし者に但馬の寒の雨 石川憲二 六花 202004
頬笑みて見送る妻の寒の雨 石川憲二 六花 202004
寒の雨鴉は木から木へ移り 渡邉孝彦 やぶれ傘 202005
寒の雨上がりて鳩の地に群るる 廣瀬雅男 やぶれ傘 202005
火の山の威を鎮めゆく寒の雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
火の山の威を鎮めゆく寒の雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
寒の雨止めば句心躍り出す 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
近江路へ色を足しゆく寒の雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 202101
一灯の照らす灰吹寒の雨 間島あきら 風土 202102
継続は苦楽に似たり寒の雨 西住三惠子 202107

 

2022年1月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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