寒 菊    98句

寒菊や母のやうなる見舞妻   石田波郷   酒中花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寒菊の目立たず生きる乾きかな 河野志保 海程 199904
寒菊を剪れば色なき庭となる 稲畑汀子 ホトトギス 200001
寒菊や島影近きサンルーム 武岡東西 俳句通信 200002
寒菊の倒れしはそのままに置く 塩田博久 風土 200003
英国風を見て寒菊の苗にする 三神あすか ヒッポ千番地 200005
寒菊の刻限片恋ふことあれば 田中亜美 海程 200102
寒菊の色とりどりに茶の間かな 石山民谷 遠嶺 200103
寒菊を抱へゐたりし畷かな 石脇みはる 200103
寒菊は小さく開き身を守る 鎌倉喜久恵 あを 200103
寒菊をもて幽明を劃したる 杉山瑞恵 雨月 200106
寒菊や我が家を建てし大工逝く 松沢久子 いろり 200202
寒菊や哀しい時も書肆守る 竹川美佐子 いろり 200202
寒菊でホームヘルパー迎へたり 正木光子 いろり 200202
寒菊を供へ心の定まりぬ 村戸裕子 円虹 200202
須臾の陽に映え寒菊の黄金色 石渡芳枝 200203
寒菊や合併すれど村役場 白鳥義岳 帆船 200301
寒菊に無償のひかり昏れのこる 青木直子 200302
寒菊の一かたまりに咲いてをり 志方章子 六花 200303
生まれては苦界寒菊すがれ咲 八田木枯 晩紅 200307
寒菊や仕事一途に生きし夫 堀恭子 ホトトギス 200308
秘仏の扉ひらく寒菊明りかな 水井千鶴子 風土 200403
寒菊の薫り束ねて麻の紐 柿沼盟子 風土 200403
一叢の寒菊しやんと鳩子の忌 高橋ちよ 200404
寒菊の仏花となりてよく匂ふ 三村武子 酸漿 200503
寒菊や手入れ届かぬ庭隅に 松尾緑富 ホトトギス 200506
寒菊や訪ふ人もなき里の家 徳田正樹 河鹿 200602
寒菊の運ばれてくる葬の家 村上和子 ぐろっけ 200605
寒菊の咲き誇るまま焼べらるる ことり 六花 200606
日のあたる寒菊匂ひはじめけり 小林朱夏 200702
寒菊の咲き満ちてなほ淋しかり 加藤梅窓 200702
喪の家の庭に寒菊咲き乱る 本間勇 酸漿 200702
寒菊や木地師の里の路地づたひ 松本勢津子 万象句集 200703
寒菊や篤き思ひを継ぎゆかん 水田むつみ ホトトギス 200704
寒菊の葉は紅に染まりをり 田中清子 遠嶺 200704
寒菊や頃ともなれば目を引きて 松尾緑富 ホトトギス 200706
職退きて一年経たる寒菊に 松尾緑富 ホトトギス 200706
床の間の寒菊硬く開きけり ことり 六花 200712
寒菊の輪郭ただし咲きゐたり ことり 六花 200712
寒菊の風に乱れて散らざりき ことり 六花 200712
寒菊の傾しぎて朱を見せにけり 太田實 ぐろっけ 200801
寒菊の向うを母の通りけり ほんだゆき 馬醉木 200802
寒菊の茎の黒さや雨を呼ぶ 森佳子 遠嶺 200803
括られし寒菊白を極めたり 塩路五郎 200903
寒菊や居住まひの良き人と座す 永本純子 200904
寒菊を供へ金婚記念の日 刈米育子 200904
寒菊や庭の一隅占めてをり 松尾緑富 ホトトギス 200905
寒菊に二人暮しの変りなく 松尾緑富 ホトトギス 200905
寒菊の光求める強さかな 宮田香 201002
寒菊や癌挑戦の十箇条 日山輝喜 201003
四十七士に寒菊の直立す 大地真理 201004
寒菊の矜恃を確と受け止める 田原陽子 201004
寒菊を放ち引導読み渡す 中島節子 ぐろっけ 201101
寒菊の垣より出づる日和かな 柿沼盟子 風土 201103
寒菊を忽と逝きたる友の前 岡野ひろ子 201103
寒菊やかたみにもらふ古写真 岡久枝 酸漿 201103
寒菊を活け震災の忌を修す 小田ひろ ホトトギス 201106
鉄塔の影いま寒菊の影つつむ 布川直幸 201201
寒菊の粗なるや壺の土色に 井田実代子 雨月 201203
寒菊の光芒永久の面影に 溝内健乃 雨月 201205
遅咲きの寒菊朝の日溜めにけり 中江月鈴子 201301
寒菊や永久に佇むほとけたち 山田暢子 風土 201302
寒菊のきびしき色の匂ひけり 藤生不二男 六花 201302
寒菊の根元にこぼす米研水 大日向幸江 あを 201303
寒菊や御句碑飾るものとして 山田夏子 雨月 201304
寒菊の一荷呉れたる妻の友 古田考鵬 雨月 201304
妻生きてをるが如くに寒菊を 古田考鵬 雨月 201304
寒菊を孤高の人の供華とせむ 久保田雪枝 雨月 201304
寒菊の日に抗うて咲きにけり 藤生不二男 六花 201304
寒菊の褪せることなき月日あり 今橋眞理子 ホトトギス 201306
寒菊や裏庭といふ華やぎに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201401
寒菊を剪りて仏の花となす 岡田香緒里 やぶれ傘 201404
わがいのち寒菊に触れしづかなる 本多俊子 201404
仏花にと庭の寒菊二三本 國保八江 やぶれ傘 201404
寒菊や小さき妣の立ち姿 山本丈夫 201502
寒菊の命だしきつたる緋色 近藤喜子 201504
菊主にたむく寒菊黄をきはめ 植村よし子 雨月 201504
寒菊の白に包まれ旅立てり 鈴木鳳来 故山 201505
妻逝きて棺に寒菊埋め満たす 久保東海司 風鈴 201512
寒菊やこの世かはらぬものはなき 狭川青史 馬醉木 201602
寒菊の供ふる丈に伸びてきし 樋口みのぶ 201702
寒菊の蕾卓上にて開く 落合裕子 万象 201703
なほざりにせし寒菊や淡き紅 黒滝志麻子 末黒野 201704
寒菊や泪納めの忌も近し 鶴岡紀代 春燈 201802
灯ともせば柱の影が寒菊に 藤井美晴 やぶれ傘 201803
寒菊を活けられ法話の本堂に 細川コマヱ 雨月 201803
寒菊の小花となりし二三輪 杉崎妙子 201905
寒菊や歳月重ね佳き顔に 池田葉子 春燈 201905
寒菊の紫苦しもってのほか 大日向幸江 あを 202002
寒菊は健気や黄色あざやかに 柿原よし子 春燈 202103
寒菊や手に梳きやすき柘植の櫛 川井真理子 春燈 202103
寒菊に近寄りすぎし吐息かな 亀田虎童子 202104
寒菊の身を細めゐる日暮かな 小菅澄重 春燈 202203
寒菊を活けて老いの身慈しむ 萩原登代子 春燈 202204
街道の名残寒菊咲く祠 酒井湧水 ホトトギス 202206
寒菊の唯ひと群の庭の隅 佐藤稲子 やぶれ傘 202302

2023年2月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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