天牛(髪切虫)     91句

妻病みて髪切虫が鳴くと言ふ    加倉井秋を

作品
作者
掲載誌
掲載年月
楔形文字天牛が紙の上 岡井省二 199809
エナメルのごとくかがやく髪切虫 木田花耶 ぐろっけ 199812
穹々と天牛鳴けり星逢ふ夜 小林鱒一 天牛 199904
天牛の歩く音して日暮れけり 竹内悦子 199908
天牛のいま落ちし葉の裏なりし 竹内悦子 199908
天牛や耳のどこかにラツパの音 山本英津子 199911
天牛の朱雀門より入りにけり 竹内悦子 199911
児は眠り天牛鳴くよ籠の中 田中藤穂 水瓶座 200002
天牛のまだらの髭の謀りごと 深澤鱶 ヒッポ千番地 200004
髪切虫もらひ少年素直なる 河井富美子 ぐろっけ 200009
天牛一箇ただ萃点すゐてんとして存す 岡井省二 200010
髪切蟲十日月夜に蒼みさし 市場基巳 200010
天牛や高欄卍くづしかな 延広禎一 200012
逃れ得ぬ血縁天牛鳴いてをり 瀬戸悠 風土 200109
つままれて天牛顎を鳴らしをり 朝妻力 俳句通信 200109
天牛の貌おそろしく見舞ふかな 中原道夫 銀化 200109
灯を恋うてきし天牛が頭振る 木下節子 俳句通信 200110
天牛の髪切るのみに飽き足らず 窪田佳津子 雨月 200209
天牛の金剛力や乃木旧居 吉田久子 200210
髪切虫我に向ひて蹲踞せる 大山妙子 酸漿 200210
ごまだら天牛庭に現れたる一大事 江木紀子 雨月 200210
髪切虫に秋思の髪を切らせみる 西山美枝子 酸漿 200305
触覚の靡き髪切虫消ゆる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200307
天牛かみきりのひたすらわれに物言ふか 和田悟朗 円虹 200309
天牛の飛びたつて顔もどりけり 石脇みはる 200310
鳴きながら天牛髪を切りたるよ 黒田咲子 200310
荒れし庭より天牛の出てきたる あさなが捷 200310
放ちたる髪切虫の風に鳴く 下平しづ子 雨月 200311
天牛かみきりの掴めばぎぎっとよじり抜け 木原今女 ぐろっけ 200311
目笊伏せ髪切虫を飼ひにけり 木村コウ 酸漿 200312
しんと天牛近江八幡驛の柵 岡井省二 岡井省二全句集 200312
天牛のぎぎと声出し隠れけり 山本とみを 200408
天牛の音もて離るわたつうみ 水野恒彦 200409
天牛の身に散りばめし一徹さ 川端正紀 春燈 200409
髪切虫つまめばぎいと鳴きにけり 高倉恵美子 200410
天牛を飼ひ少年の髭伸ばす 長田等 200412
京の闇から天牛の飛びきたる 高橋将夫 星の渦 200507
何を噛む音や髪切虫の夜 浜明史 風土 200509
天牛のがさつく音をほとりにす 伊藤白潮 200609
天牛を抓む背後で夜叉の聲 丸井巴水 京鹿子 200610
いちぢくの生る木を枯らす髪切虫かみきり 浮田胤子 ぐろっけ 200612
思ふほど泣かぬ天牛飛ばしけり 百瀬七生子 海光 200705
今は昔の炎天牛窓本蓮寺 坪内稔典 稔典句集 200804
天牛の鳴くとき天地さかしまに 西村純太 200809
天牛の七つの星を開きけり 石脇みはる 200810
指咬まるかみきり髪にあきたらじ 窪田佳津子 雨月 200810
天牛の呪文はきかぬ子供の眼 遠藤実 あを 200906
天牛は髭まで伊達斑岩を攀づ 品川鈴子 ぐろっけ 200908
天牛の歯ぎしり巌ずり落ちて 品川鈴子 ぐろっけ 200908
墜ち墜つも天牛遂に巌攀ぢ 品川鈴子 ぐろっけ 200908
ごまだら天牛生る遠忌の塔婆から 品川鈴子 ぐろっけ 200908
天牛をはがしそこねし雲の峯 久津見風牛 200909
天牛のとんだる空のまだそこに 山尾玉藻 火星 200909
裏窓にへばる天牛の髭 吉弘恭子 あを 200909
指先に鳴く天牛の底力 小川玉泉 末黒野 200910
われがいちばんの泣き虫天牛も鳴く 太田寛郎 200910
天牛の触角地底探険す 西澤ひで子 遠嶺 200910
天牛鳴けり美しき斑をくもらせて 布川直幸 200910
天牛鳴く踏まれどほしの餓鬼の貌 浜口高子 火星 200910
天牛に頭韻踏んで鳴かれけり 上山永晃 春燈 200910
かみきりや放せ放せと与太の顔 安本恵子 200911
天牛を見つめ奥歯を噛みしめる 彦根伊波穂 200912
天牛に仮名をふるかと猫に問ふ 吉弘恭子 あを 201005
ネーブルの根より天牛髭を出す 吉村摂護 201009
天牛が御用伺ふ中山道 鈴木浩子 ぐろっけ 201011
天牛を捕らへて籠に飼ひ殺し 布川直幸 201107
天牛の髭が心をくすぐりぬ 高橋将夫 201108
五歳児に天牛ぎいと鳴かさるる 小西和子 201208
天牛の髭の長きをつまみけり 上原重一 201208
天牛のひげのそよりと森の午後 豊田都峰 京鹿子 201209
天牛や切り捨てるものあれやこれ 豊田都峰 京鹿子 201209
兒は眠り天牛なくよ籠の中 田中藤穂 雜詠集 199510
殯(もがり)終ふ天牛の翔つ閑けさに 水野恒彦 201310
先立つは赤き天牛明智越え ふけとしこ 船団 201401
天牛をこはごは掴み鳴かせけり 水原春郎 馬醉木 201407
髪切虫仮面傾け睨むなり 原田達夫 201408
ギイギイと天牛鳴かせ殺めけり 布川直幸 201408
天牛が啼いてもがいて網がらみ 遠藤真砂明 201409
天牛をきゆうきゆう鳴かせ歳忘る 小川玉泉 末黒野 201509
手に響く髪切虫を持ち歩く 生田恵美子 風土 201510
白斑を散らし天牛飛び立てり 高橋将夫 201510
子が呉れし天牛放つ太鼓橋 中島陽華 201510
天牛の目合まぐはひ見たり雨の中 犬塚李里子 201510
触覚を揺らす天牛塀の上 大山夏子 201602
天牛に男多弁となりにけり 永淵暫子 201607
天牛(かみきり)の鳴くこゑ遠き昼の闇 犬塚李里子 201609
縋る木に己を委せ天牛よ 犬塚李里子 201611
天牛や髭の大鋸屑振り歩む 中根美保 風土 201810
天牛の飛翔短き桑畠 中根美保 風土 201810
天牛に噛み付かれたる腓かな 岩下芳子 201911
枝をゆく髪切虫に月今宵 森なほ子 あを 202012
天牛の触角愛を感知せり 高橋将夫 202210

 

2023年8月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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