紙風船    186句



作品
作者
掲載誌
掲載年月
角張つてをりぬ富山の紙風船 杉浦典子 火星 199806
紙風船音の量感ありにけり 大橋敦子 雨月 199807
紙風船えにし四角に置きぐすり 佐野美恵子 199905
塗盆と紙風船が下げらるる 奥田節子 火星 199905
能面や月より大き紙風船 佐藤康子 遠嶺 199906
脳老ゆるごとくしぼみし紙風船 荒木治代 ぐろっけ 199908
紙風船つき上げ冬を暮らしけり 星野早苗 空のさえずる 200002
紙風船つくまん中に炬燵あり 岡本高明 200002
紙風船つく重心をくぼませて 下村志津子 銀化 200004
男より女が元気紙風船 三宅やよい 玩具帳 200004
紙風船充たされぬ意のたたみある 中原道夫 銀化 200006
いくつまで紙風船の音渡し 日野公子 ぐろっけ 200011
高くへと紙風船にせがまるる 華明日香 銀化 200103
あうあうの宇宙語赤子の紙風船 市川伊團次 六花 200104
赤道を越す荷に足せる紙風船 赤座典子 あを 200105
紙風船こづかれにまた堕ちて来る 田口傅右ヱ門 銀化 200105
突かで置く紙風船の夜の影 行方克巳 知音 200105
紙風船ついて地球を軽くせり 小澤克己 遠嶺 200106
紙風船つくほどに音濁りくる 丸尾和子 雨月 200201
紙風船一人遊びの上手な子 水谷ひさ江 六花句集 200205
息を吹き込めば音たて紙風船 鷹羽狩行 200205
還暦や紙風船に祝ぎ託す 吉村春風子 遠嶺 200206
紙風船吾が吹き込みし息の嵩 小林希世子 200206
紙風船つくうちむきになりにけり 福島松子 ぐろっけ 200206
碧落に戸惑つてゐる紙風船 川野喜代子 雲の峰 200206
紙風船ずつとはるかを突いてをり 坂本敏子 京鹿子 200207
良寛の里より届き紙風船 竹内喜代子 雨月 200207
出雲崎宿の土産に紙風船 上原瑞子 200208
子の届く高さに返し紙風船 毛利慶子 200211
息入れて顔より大き紙風船 西宮舞 200212
空泣を覚えたる手に紙風船 西山美枝子 酸漿 200304
少年の嘘がまことに紙風船 堀内一郎 あを 200304
紙風船折り目とがりて七色に 秋千晴 200305
八枚の律儀に接がれ紙風船 高橋道子 200305
児に突かれ児に飽きられし紙風船 雲所誠子 帆船 200307
青あをと紙風船のなかの息 丸井巴水 京鹿子 200308
着ぶくれて紙風船をつくことも 小堀裕子 草の花 200403
夜長し吐息吹込む紙風船 橘沙希 月の雫 200404
戯(ざ)れごともあはれひとりの紙風船 岡本眸 200404
七七忌くすり箱より紙風船 淵脇護 河鹿 200405
回廊を転がり弾む紙風船 保田英太郎 風土 200405
リハビリの紙風船を突いてをり 村上喜代子 百鳥 200405
犬も尾を振つてゐるなり紙風船 梅原悠紀子 百鳥 200407
紙風船突いて詩ごころ揺さぶりぬ 竹内喜代子 雨月 200407
手に添うて紙風船のまろさはも 大橋敦子 雨月 200408
トルコへの旅の誘ひや紙風船 小池津や子 帆船 200501
母の息あたたかなりし紙風船 鷹羽狩行 200504
うなさかを紙風船でこえてゆく 吉弘恭子 あを 200506
紙風船小指からめてのりこんで 吉弘恭子 あを 200506
夜の深さ紙風船に息を入れ 田中藤穂 あを 200506
紙風船突くも三十までゆかず 川越勢津子 200506
紙風船息やはらかく吹き込んで 小林榮子 築港 200506
魂を紙風船に吹き込みて 高橋将夫 星の渦 200507
紙風船神戸まで来て手紙出す 小田元 六花 200507
枇杷の実の色づく頃の紙風船 森理和 あを 200507
紙風船たためる不思議たたみけり 吉田陽代 200601
書家たちが好むわが句の紙風船 小澤克己 遠嶺 200605
吹き足して紙風船をたたみけり 山田三江子 200605
紙風船幼き息を入れにけり 小坂アイ子 四葩 200605
紙風船くるりと廻り虹立つか 大橋麻沙子 雨月 200607
一突き二突きよかりける紙風船 大橋麻沙子 雨月 200607
紙風船吐息交りに膨らめり 鈴木榮子 春燈 200703
幼子の歓声入りの紙風船 黒澤登美枝 200704
紙風船おもたき音となりにけり 出来由子 200705
紙風船突いて空気のかたちかな 富川明子 200705
ほと打ちし手窪の形に紙風船 加古みちよ 火星 200706
乗りてすぐ雲と気づきぬ紙風船 小澤克己 遠嶺 200706
縁起よき町名巡り紙風船 津田礼乃 遠嶺 200706
ふくらます息の湿りや紙風船 村本真由美 遠嶺 200706
七十路の夢を吹き込む紙風船 曽根京子 春燈 200707
紙風船ぐしやりとつぶす赤子の掌 KOKIA 六花 200708
記憶以前の幼な日ふっと紙風船 平野きぬ子 八千草 200710
盆過ぎの机の下の紙風船 浜口高子 火星 200711
根性を入れられてをり紙風船 相良牧人 200801
皺伸ばしてはふくらませ紙風船 足立幸信 200805
紙風船突かれ丸みを正しをり 竹島勝代 200805
紙風船若き畏友のこつと逝く 伊勢きみこ 火星 200805
突くほどに膨らむ母の紙風船 米澤光子 火星 200805
銀紙の紙風船の口なりき 大島翠木 200806
二つ三つつけばつぶれし紙風船 竹下陶子 ホトトギス 200810
口づけのくちびるまるし紙風船 前田貴美子 万象 200812
鈴の音をこぼし撞かるる紙風船 鷹羽狩行 200904
紙風船黒猫の瞳に見つめらる 東良子 遠嶺 200905
つきながら凹みを戻す紙風船 田村園子 200906
母の息入れ母のぬくみの紙風船 井田実代子 雨月 200906
紙風船つくに理屈は不用なり 井田実代子 雨月 200906
遺品より折り目のままの紙風船 荒木甫 200906
紙風船突きつつ丸み戻しけり 久染康子 201004
紙風船銀の口より細き息 能村研三 201004
身二ツとなるを待ちをり紙風船 篠田純子 あを 201005
紙風船に頬ふくらます七回忌 浜口高子 火星 201005
息入れし紙風船の空にあり 石脇みはる 201006
緩やかに畳みてありし紙風船 緒方佳子 火星 201006
紙風船折る折り方の絵図見つつ 瀬島洒望 やぶれ傘 201006
紙風船七つの彩をふくらませ 和田一 雨月 201006
些事詰めて紙風船の弾みかな 山中志津子 京鹿子 201007
紙風船息吹き込めば事足れり 泉田秋硯 201007
紙風船空気こぼさぬやうに突く 上谷昌憲 201007
扱ひの難しき齢紙風船 横内かよこ ぐろっけ 201007
母と子の紙風船や夏帽子 藤本秀機 201008
紙風船打つ掌をひらきけり 山尾玉藻 火星 201105
凹んでは直す球形紙風船 福島茂 201106
打ち返す紙風船の無抵抗 山口ひろよ 201107
遠き日の母とつきたる紙風船 吉澤恵美子 春燈 201107
来ずなりし置き薬屋の紙風船 根橋宏次 やぶれ傘 201107
紙風船大きく息を避難所へ 林美智 ぐろっけ 201107
紙風船つきて十まで数へけり 國保八江 やぶれ傘 201107
紙風船大気を孕む音ぞ佳き 大橋敦子 雨月 201108
紙風船突きて少女となりつべし 大橋敦子 雨月 201108
紙風船ぽんぽん突きて若返ろ 大橋敦子 雨月 201108
紙風船つぶやきひとつづつ零し 阿部綾子 ろんど 201108
怺ふればどこか破れて紙風船 コ田千鶴子 花の翼 201111
紙風船大中小と三つ賜ばり 大橋敦子 雨月 201204
紙風船夢をたたみて児のねむり 藤原照子 201205
丸薬のにがき思ひ出紙風船 福島茂 201205
紙風船三代続く置き薬 大木清美子 201205
突くにつれ本気になりて紙風船 大橋晄 雨月 201205
突き放つ紙風船の紙の音 佐藤弘香 ろんど 201206
引き寄する児の手は知らず紙風船 大草由美子 春燈 201206
唇に触れたときから紙風船 柳川晋 201207
紙風船広ぐる色を返しけれ 小幡喜世子 ろんど 201207
意をゆるすひとなく独り紙風船 中野英伴 春燈 201207
つきあげて音あたたかや紙風船 海村禮子 春燈 201305
紙風船薬とともに届きたる きくちきみえ やぶれ傘 201305
紙風船突くや平坂越えてゆく 雨村敏子 201306
寝床より母が手を出す紙風船 田邊豊子 201406
子の折りし紙風船の突けば飛ぶ 柴田久子 風土 201406
セロフアンと薬と母と紙風船 直江裕子 京鹿子 201406
紙風船句座忽ちに遊戯場 大橋晄 雨月 201407
厄除けの歳の数打つ紙風船 佐藤いづみ ろんど 201407
打つたびに音のへこみし紙風船 北村梢 京鹿子 201501
紙風船しぼむことなく忘れらる 秋千晴 201504
紙風船ほどの手応へ見逃さず 柳川晋 201504
空叩く紙風船に空の音 吉田香津代 201505
病む母と息をつなぎて紙風船 川村清子 馬醉木 201505
独りつく猫の形見の紙風船 中島芳郎 201505
子の息に吹き口濡れて紙風船 佐津のぼる 六花 201506
日当りへ出て行きたがる紙風船 湯橋喜美 201506
紙風船膨らむ音のありにけり きくちえみこ 港の鴉 201510
紙風船落ちんとすれば叩かるる きくちえみこ 港の鴉 201510
子の息に母が吹きたす紙風船 仲井タミ江 京鹿子 201601
紙風船子を抱くやうに吹き上げる 高野春子 京鹿子 201705
紙風船たためば舟の形して 吉田政江 201705
薬効の六面にあり紙風船 藤代康明 201705
突きやれど子に届かざる紙風船 笹村政子 六花 201706
紙風船夢ほどけてはまた紡ぐ 下村たつゑ 201706
紙風船きのふの息をたたみけり 加藤季代 万象 201707
紙風船濁世を払ひ高み指す 河崎國代 春燈 201707
紙風船少女のきれいな息をたす 大西逸子 京鹿子 201709
吹き口の傷んできたる紙風船 柴田佐知子 201709
紙風船折り目正して畳みけり 木多芙美子 春燈 201805
紙風船明日嫁入りの姉の息 有松洋子 201805
とりあへず打たねば落つる紙風船 藤生不二男 六花 201807
紙風船たためば舟の形かな 内藤静 風土 201807
置き薬紙風船のおまけつき 佐々木あつ子 やぶれ傘 201808
母と子の手のひら問答紙風船 亀卦川菊枝 末黒野 201808
腹式に息を吹き込む紙風船 鈴木石花 風土 201808
紙風船くるりくるりと母の留守 横尾かんな 201905
紙風船飛ばすリハビリ友の会 東木洋子 春燈 201905
行き暮れて海へ吹かるる紙風船 山森みちよ 風土 201907
海鳴りを蔵して弾む紙風船 楠本和弘 201909
紙風船紛失事件報告す たかはしすなお 202006
畳まれて反るしかなかり紙風船 橋添やよひ 風土 202007
息足して子へ返しやる紙風船 武藤節子 やぶれ傘 202007
リズミカルに触れては離し紙風船 与田幸江 末黒野 202007
冬空へ紙風船の火影かな 石井美智子 風土 202011
ひいふうみい紙風船のたなごころ 広瀬弘 202104
紙風船子が飽きるまで突き返す 柴田佐知子 202107
紙風船子の息に足す母の息 藤井啓子 ホトトギス 202108
紙風船ひとりが打てばひとりの音 小野寿子 202201
置薬の紙風船を母とつく 高橋詩 202206
紙風船ついて時間のゆるびたる 浜田はるみ 202207
紙風船つくやおまけの人生を 住田千代子 六花 202207
息足して紙風船をたたみけり 住田千代子 六花 202207
洩れやすき内輪の話紙風船 久保久子 春燈 202207
紙風船突く明日のことを思ひつつ 足立枝里 202210
包丁を使はぬ一日紙風船 曽根富久恵 202211
ぱんぱんの紙風船に畳み皺 野中みのり 202302
 

 

2023年4月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。