かまくら     150句

かまくらに坐して灯して母を呼ぶ     両角平

作品
作者
掲載誌
掲載年月
かまくらの白のくらやみ城の浮く 神蔵器 199905
かまくらや星の宴の雪降らす 神蔵器 199905
かまくらに長居して仲疑はる 折原あきの 船団 199908
かまくらに灯一つの和みかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200002
かまくらもいざと参じて雪まつり 鷹羽狩行 200004
かまくらの一番客に教師かな 三浦てる 風土 200004
大鼾かまくら口を開けて寢て 中原道夫 銀化 200004
母屋隔てかまくらといふ子供部屋 亀丸公俊 銀化 200004
かまくらや戸は閉てられぬ人の口 利根川博 銀化 200005
かまくらの奥正面に招かるる 田村すゝむ 風土 200011
かまくらに蝋燭の火と電気の灯 官沢房良 200105
妊らず椿にもなれずかまくら 村山和子 海程 200105
かまくらの灯ともし頃を雪女 鷹羽狩行 十三星 200105
かまくらの火影揺らせる童女かな 坊城俊樹 ホトトギス 200106
かまくらの灯点りてより昏れ初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200202
かまくらといふ仄かなる華やぎに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200202
ひろやかやかまくらの部屋何もなき 阿部ひろし 酸漿 200202
みんなして馬の目をしてかまくらに 彌榮浩樹 銀化 200203
かまくらの灯りて子等のしづかなり 小田島成子 百鳥 200204
かまくらをドラマ仕立てに見てゐたり 池田崇 200204
入魂としてかまくらの灯さるる 池田崇 200204
満を持しかまくら仕切る子なりけり 池田崇 200204
かまくらのどの子の頬も桜いろ 池田崇 200204
天の美禄とかまくらに盛る地酒 池田崇 200204
かまくらや座敷童も来てをらむ 谷口みちる 200204
かまくらの口丸くして灯のまろし 井口光雄 200205
かまくらに九九を数ふる声揃ひ 井口光雄 200205
かまくらの口に女の顔六つ 堀田恵美子 雨月 200205
百のかまくらに童話が百ありて 村松紅花 ホトトギス 200206
幼声かまくら弾け飛ばんとす 北川一深 ホトトギス 200206
かまくらをふくらませたる子等の影 北川一深 ホトトギス 200206
かまくらの軒に息づく雫かな 北川一深 ホトトギス 200206
かまくらの中にまで海鳴ありぬ 三好雷風 ホトトギス 200206
女の子祖母へかまくらより電話 白幡千草 ホトトギス 200206
かまくらに野良犬眠りをりにけり 白幡千草 ホトトギス 200206
かまくらの灯の消え星のぺちやくちやと 白幡千草 ホトトギス 200206
かまくらやカーテンを吊る女の子 山口一 ホトトギス 200206
一灯で足るかまくらの灯なりけり 多田羅初美 ホトトギス 200206
かまくらに小さき膝の畏る 多田羅初美 ホトトギス 200206
かまくらをみてオリオンの位置質す 多田羅初美 ホトトギス 200206
かまくらの灯にかまくらの背が浮かび 中嶋陽太 ホトトギス 200206
かまくらの幼き恋を聞く夜かな 中嶋陽太 ホトトギス 200206
かまくらを出でて現に戻りけり 橋本くに彦 ホトトギス 200206
かまくらの内外浄土浮世かな 橋本くに彦 ホトトギス 200206
役終へてかまくら雪塊とされし 橋本くに彦 ホトトギス 200206
かまくらを造り予期せぬ遊び得て 豊田いし子 ホトトギス 200206
すぐ消えもしてかまくらに入りし夢 豊田いし子 ホトトギス 200206
かまくらの中のをさなき恋敵 後藤立夫 ホトトギス 200207
かまくらや主も客も塾帰り 佐々木悦子 帆船 200302
かまくらへ黒装束のこんばんは 泉田秋硯 200304
かまくらに宿題の子の集まるよ 館容子 200312
小かまくら羽授かれば星空へ 池田崇 200401
らふそくの尽きなんとする小かまくら 伊藤白潮 200404
かまくらに祖父めく膝を折りにけり 伊藤白潮 200404
かまくらに美しき火を頒けてゆく 長田等 200406
かまくらの沓見せかけもありぬべし 小林呼溪 200502
かまくらの籠り灯りの燭度かな 能村研三 200503
小かまくら千の祈りを灯しをり 能村研三 200503
釜伏せの願ひを灯す小かまくら 能村研三 200503
水道課のかまくらに来て「はいったんせ」 能村研三 200503
かまくらに賽銭はづむ濡れ紙幣 能村研三 200503
かまくらの中に水神様の屋根 能村研三 200503
枇杷色にかまくら灯るひとつづつ 小野千枝子 万象 200504
かまくらの小型の七基はらからめく 桜井菜緒 200504
かまくらが光源となる路地灯り 能村研三 200504
もてなしの庭かまくらの灯が揺れし 能村研三 200504
曲るたびかまくらの灯や大路小路 藤原照子 200504
雪こんこん昼かまくらの蒼深む 森屋慶基 風土 200505
かまくらに上弦の月母を呼ぶ 森屋慶基 風土 200505
千鳥縫ひしてかまくらを覗きゆく 森屋慶基 風土 200505
さいはての旅の昼餉をかまくらに 大石喜美子 雨月 200505
かまくらといふ一塊の子等の城 涌羅由美 ホトトギス 200506
かまくらやしんしんつつむしろきやみ 松岡三夫 200506
かまくらを出で太陽の目潰しに 堀田恵美子 雨月 200506
かまくらや影といふものうつくしき 戸栗末廣 火星 200603
かまくらに耐震補強したりけり 大塚美孝 200603
かまくらを作り終りて打たせ湯へ 大塚美孝 200603
水御霊入れてかまくら締まりけり 大塚美孝 200603
かまくらに村つ子犬つ子入り混じり 大塚美孝 200603
灯を入れて夕暮さそふ小かまくら 鈴木栄子 酸漿 200604
かまくらに包まれ空っぽの心 わかやぎすずめ 六花 200604
かまくらに水神様の降らす雪 浅利恵子 ホトトギス 200607
欠伸してなほかまくらの主の子 浅利恵子 ホトトギス 200607
かまくらに雪誇らしきものとなる 浅利恵子 ホトトギス 200607
雪の灯やかまくらに似し家に覚む 渡邉友七 あを 200701
かまくらの零れ灯滲む厚戸口 池田崇 200704
小かまくら灯守屈背の灯を縫へり 池田崇 200704
かまくらへ点す人影動き初む 鈴木栄子 酸漿 200704
笑声するかまくらに入りけり 鈴木栄子 酸漿 200704
かまくらの「はいつてたんせ」入りにけり 菅原末野 風土 200705
かまくらの一会の訛灯に拾ふ 藤本友治 遠嶺 200705
かまくらの中に幼き月の使者 佐々木ちてき ホトトギス 200706
小かまくら一つ一つに灯の吐息 佐々木ちてき ホトトギス 200706
綺羅星を連れかまくらの客となる 川口襄 遠嶺 200805
かまくらの燈が闇を呼び人を呼ぶ 安達実生子 200806
かまくらの童女の眉の雫かな 柴崎甲武信 月日 200811
千の灯の千の願ひやこかまくら 柴崎甲武信 月日 200811
温かりとかまくら明かり出て来たる 山田六甲 六花 200901
かまくらに幼き恋の芽生えかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
かまくらに余りし雪をならしけり 稲畑汀子 ホトトギス 200902
繭ごもりめくかまくらに膝折りて 諸岡和子 200903
かまくらに雪沓ちらし子は去れり 和田和子 馬醉木 200904
かまくらや水神様の灯の大き 井島郷雲 火星 200904
かまくらの秘密基地めく裏通り 村上沙央 200905
民話聞くかまくらの夜の更けにけり 阿部月山子 万象 201003
灯をつけてよりかまくらの息づける 園部蕗郷 春燈 201005
かまくらの虎の口へと吸はれゆく 南奉栄蓮 風土 201005
触れてみる昼のかまくらつるつると 森屋慶基 風土 201005
城の道ひと夜限りの小かまくら 森屋慶基 風土 201005
かまくらの上にあなたの星加へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
かまくらを作らむと雪かきあつめ 山本漾子 雨月 201104
かまくらや口もふさがる又も雪 藤波松山 京鹿子 201105
かまくらを作る楽しみ男の子 藤波松山 京鹿子 201204
かまくらの一つ一つに一つの灯 木村茂登子 あを 201204
かまくらに小さき手小さき餅を焼く 土井ゆう子 風土 201206
かまくらの灯に誘はれて決めし宿 山田六甲 六花 201302
かまくらやひよつとこ顔に餅ふくれ 大橋弘子 末黒野 201305
星が降り来てかまくらに灯をともす 藤井啓子 ホトトギス 201306
かまくらの中より出羽の訛かな 石井美智子 風土 201401
雪兎蔵して溶ける小かまくら 上谷昌憲 201405
かまくらにありたる隣近所かな 後藤立夫 ホトトギス 201406
屈みてはかまくらの中覗き見る 神山市実 やぶれ傘 201406
かまくらの灯りて星の夜となる 後藤立夫 ホトトギス 201407
まんまるの月のかまくら今晩は ほんだゆき 馬醉木 201502
川べりに並ぶかまくら雪達磨 坂根宏子 201503
かまくらの燭の曼陀羅を川の面に 小林輝子 風土 201505
仮の世の仮の一夜をかまくらに 小林輝子 風土 201505
かまくらに入りてより皆賢き子 高田菲路 ホトトギス 201506
素つ気なくありしかまくら誰も居らず 岩村惠子 ホトトギス 201507
灯されてかまくらふつと命得し 岩村惠子 ホトトギス 201507
かまくらやつと童心に帰るとき 岩村惠子 ホトトギス 201507
夜の更けてかまくらの灯も凍てにけり 永峰久比古 馬醉木 201604
灯を入れてかまくら童話の世界かな 中嶋昌子 春燈 201604
駐車場に小さきかまくら丸ポスト 赤座典子 あを 201604
かまくらを作る職人青ジャンパー 森屋慶基 風土 201605
千灯し子等の影なき小かまくら 森屋慶基 風土 201605
旅人に昼のかまくら灯しけり 森屋慶基 風土 201605
かまくらに横手訛りの子が誘ふ 小松敏郎 万象 201605
かまくらの客なり靴を揃へ入る 栗山恵子 雨月 201605
かまくらのこぼれ灯餅を焼く匂ひ 栗山恵子 雨月 201605
神ひとつ灯火ひとつかまくらに 田丸千種 ホトトギス 201606
かまくらに小さき膝を折り曲げて 田丸千種 ホトトギス 201606
かまくらとかまくらほどの無人駅 田丸千種 ホトトギス 201606
かまくらを灯して座りまなこ閉づ 小林輝子 風土 201705
小かまくら千の燭鞣す磧風 小林輝子 風土 201705
一と月もかまくら溶けぬ底の冷 七郎衛門吉保 あを 201804
千灯し銀漢のごと小かまくら 森屋慶基 風土 201805
外套のままかまくらの客となる 森屋慶基 風土 201805
昼かまくら一番乗りに異邦人 森屋慶基 風土 201805
かまくらの途切れて青き闇となる 今橋眞理子 ホトトギス 201807
灯ともりてかまくらふつと軽くなる 今橋眞理子 ホトトギス 201807
かまくらの中でまあるくなる時空 高橋将夫 202003
かまくらの小さき神棚灯りけり 石井美智子 風土 202011
童ら火振りかまくら振り合へり 石井美智子 風土 202011
かまくらに給ぶ甘酒あまゆつこ硬貨置き 石川桂郎 風土 202203
亡き父の火振りかまくらほつかぶり 小林友子 末黒野 202205
かまくらに座敷童の来てをりぬ 園部蕗郷 春燈 202206

 

2023年1月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。