竈 馬 (いとど)   81句

海士の屋は小海老にまじるいとど哉    芭蕉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
野に迷ふいとども枯れを急ぐかな 山田弘子 春節 199503
いとど髭を燈台の灯のごと廻し 村松紅花 ホトトギス 199811
気力だけに生きるこの身や竈馬 三浦勲 199811
骨董品に同化寸前かまどうま 能城檀 船団 199812
道に跳ぶ竈馬も鳥獣保護区なる 大久保白村 ホトトギス 199902
山荘に着くやいとどに迎へられ 大久保白村 ホトトギス 199902
隠れても髭をかくせぬいとどかな 大久保白村 ホトトギス 199902
夢殿にちよっとすんでたかまどうま 南村健治 船団 199902
山荘のいとどに留守を預けたる 稲畑汀子 ホトトギス 199909
竈馬出合頭といふことも 稲畑汀子 ホトトギス 199909
山宿にいとど親しき泊りかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 199909
六甲のいとどに思ひ出は遠く 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
絹いっぴきの姉よ軽さよかまどうま 若森京子 船団 199912
いとど跳び炎の色の変りたる 高橋将夫 200001
草踏めば草の中よりいとど跳ぶ 安田登志子 ぐろっけ 200001
都府楼址昔もいとど跳びしかな 島田万紀子 馬醉木 200002
落柿舎の上り框にいとど跳ぶ 中村洋子 風土 200011
立派になって故郷のかまどうま 本田ひとみ 海程 200012
標本に觸角欠くいとどばかりなり 中原道夫 銀化 200012
沁み透るとはいとどにもブラームス 本橋仁 此岸 200106
後架より敢へていとどに出て貰ふ 宮脇ちづる 200111
霊廟に飛びそこねたるかまどうま 酒井多加子 俳句通信 200111
軒下の乾かぬままや飛ぶいとど 梅田秀子 酸漿 200112
子規の間の笠つき電球いとど飛ぶ 木田千女 200201
海は音鎮め夜に入るいとど虫 市場基巳 200209
灯の入りし渡り廊下にいとど跳ぶ 鎌倉喜久恵 あを 200210
竈馬火伏の札を貼り重ね 武田菜美 銀化 200212
労働の宵酒余すいとどかな 関口八郎 200302
耳澄ましをる憚りのかまどうま 丸山分水 200309
竈馬追ひつめられし部屋の角 青木政江 酸漿 200311
いとど出で夜なべの影を賑はせり 渡邉友七 あを 200402
大黒の闇の芯へと竈馬かな 近藤喜子 200412
鍛治の土間使はぬ鞴にいとど跳ぶ 石川慧 200412
いとどの死はらはら山の通り雨 市場基巳 200501
眼の病ひ神に委ねしいとどかな 卯木堯子 春燈 200502
かまどうま蕎麦雑炊をもてなされ 原田達夫 虫合せ 200506
蛼のいらだつこゑとしづかなると
瀧春一 菜園 200509
秋立ちて間なき蛼とわが知るのみ 瀧春一 菜園 200509
セレナーデ静かな夜の竈馬かな 谷村幸子 200512
降り立てば下男のやうに竈馬 吉田明子 200512
踏鞴の火消えて久しきかまどうま 前田忍 火星 200512
一跳びにいとど消えたり闇の中 木内美保子 六花 200512
踏台の小窓に消ゆる竈馬 吉田明子 200612
触角の先までかまどうまであり 川口襄 遠嶺 200612
母の代の箒を持てばかまどうま 八染藍子 200701
発掘せる縄文の土間いとど跳ぶ 甲田雅子 200701
枯芝に脚折り曲ぐる竈馬かな 大橋雅子 万象 200703
いとど跳ぶ灯下を跳んで闇の虫 布川直幸 200711
いとど出て脚の先まで気ままなる 戸田和子 200712
灯ともせば竈馬跳び来る手元かな 赤川誓城 ホトトギス 200803
をかしさが跳んで悲しき竈馬かな 赤川誓城 ホトトギス 200803
片足のいとど跳び付く火伏札 鈴木陽子 炎環 200812
目が話す無口なる人いとど跳ぶ 布川直幸 200812
台所薪より飛べりかまどうま 滝沢伊代次 万象 200909
いとど鳴く五衛門風呂を恋しとも 池村惇子 馬醉木 200912
風呂蓋の乾きて跳ぬるかまどうま 中山純子 万象 201003
竈馬風炉に躙る作法なし 冨山俊雄 山居抄 201008
鳴きたくて人恋しくていとどかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
石蕗の花音なく跳ぬるかまどうま 中山純子 万象 201102
山の湯の灯冥し竈馬跳ねもせず 浅岡麻實 末黒野 201202
母がりの闇に泛びし竈馬 加藤みき 201211
産小屋にせせらぎを聴くいとどかな 山本麓潮 万象 201212
あれこんな処にも跳び竈馬 和田森早苗 201301
暗がりを出て気後れの竈馬 荒井和昭 201301
いとど飛ぶ海抜ゼロに棲み古りて 佐藤雄二 万象 201312
いとど跳ぶ納骨堂の暗がりよ 瀬戸悠 風土 201402
いとど跳ぶ土間なき暮し半世紀 小張志げ 春燈 201411
隠遁の暮らしへいとど跳んで入る 佐藤山人 201611
墜落って案外つらい竈馬 あざみ 船団 201702
ラジオ深夜便いつか聴こうね竈馬 波戸辺のばら 201712
鳴けぬ身を跳ねて髭振る竈馬 浅田セツ子 春燈 201712
昼の道死んだふりする竈馬 秋川泉 あを 201712
竈馬古墳の中で見付けたり 竹村淳 201811
老眼の老いとどまりし薬の日 亀田虎童子 201907
新任の人事部長は竈馬 知念哲庵 船団 201912
古民家の土間のでこぼこ竈馬 渡辺富士子 末黒野 202004
一つ跳びあと身じろがぬ竈馬 石橋幾代 202006
竈馬部首たしかめて字を探す 能村研三 202010
積ん読の嵩を跳び越すいとどかな 小倉征子 202211
いとど鳴く置屋の跡の細格子 鈴木齊夫 202212
母の忌や真闇にはねて竈馬 和田照海 京鹿子 202212

 

2023年9月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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