郭 公 2     196句

郭公鳴く朝靄ふかき興安嶺   高島茂   草の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
カッコウと呼びつつ山を行く子あり 鎌倉喜久恵 あを 200607
カッコーが棲む交差点夏は来ぬ 佐藤喜孝 あを 200607
かつこうや十字架の影石壁に 河崎尚子 火星 200610
郭公やあをき匂ひの風の湧く 篠田純子 あを 200607
得得と郭公の啼くことを告ぐ 早崎泰江 あを 200607
隠し田のみみず曲りに郭公鳴く 渡邉友七 あを 200607
雨づらよ夕郭公のそれつきり 伊藤白潮 200607
朝靄に烟らふ砂丘郭公鳴く 室伏みどり 雨月 200608
郭公の啼く山荘のティータイム 指尾直子 雨月 200608
郭公の声を間近に朝鏡 石田邦子 遠嶺 200608
発車まで郭公が占む山の駅 渡邉友七 あを 200608
郭公やどこを掘つても湖畔は温泉 澤田緑生 馬醉木 200608
郭公やオルガン鳴らす分校址 澤田緑生 馬醉木 200608
遠郭公小径はすぐに森に入る 豊田都峰 京鹿子 200608
高原の夜明は早し遠郭公 松元末則 酸漿 200608
郭公や腓におよぶ草湿り 田村園子 200609
郭公や山高帽の婚の使者 若月栄枝 万象 200609
郭公や一つ出てゆく貸ボート 蓮尾あきら 風土 200609
郭公の声と谺のあらがへる 泉田秋硯 200609
郭公に搾乳終へし牛放つ 禰寝瓶史 京鹿子 200609
郭公の声で始まる森の刻 緑川啓子 馬醉木 200609
奥出雲郭公が啼き牛が鳴き 清水明子 遠嶺 200609
右向けば左に聞こゆ遠郭公 本田義成 四葩 200609
郭公や土間に照りある大藁家 鈴木石花 風土 200610
郭公や森がとてつもなく青し 西口鶴子 遠嶺 200610
郭公や耳の穴なき土偶たち 松澤秀昭 200610
郭公に曾孫の歩み吾を抜く 上野みつ子 200610
父母の笑みを包みし遠郭公 いしだゆか 遠嶺 200610
郭公や炊ぎの水の桶あふれ 山本多津子 200611
郭公や今宵の宿の岩魚小屋 瀧春一 200706
郭公やつひに晴れざる朝曇 瀧春一 200706
郭公の聲ある方もつゝじ燃ゆ 瀧春一 200706
郭公や林檎は小さき実を結ぶ 渡邉友七 あを 200707
郭公や里山守る村に入る 今谷脩 ぐろっけ 200708
郭公のよく鳴く宿の朝餉どき 藤井昌治 200708
遠郭公おそれは徐々に形なす 清水幸治 200708
郭公やバリアフリーに躓けば 泉田秋硯 200709
郭公の森にパン焼く匂ひかな 加藤久子 遠嶺 200709
郭公の呼ぶ声いつも後ろから 鎌倉喜久恵 あを 200709
木道に交す会釈や遠郭公 永田歌子 遠嶺 200709
郭公の朝の一声届きしよ 伊藤百江 春燈 200709
サラダボールの水滴はじく初郭公 山元志津香 八千草 200710
遠郭公樟の香散らし欄間彫る 井村和子 万象 200710
郭公や野はなかなかに昏れきらず 金井充 百日紅 200711
郭公の一聲をもて野も山も 佐藤喜孝 あを 200805
郭公や山を溢るる雨後の水 佐藤喜孝 あを 200805
郭公や霧は樹閧ノ吸ひこまれ 佐藤喜孝 あを 200805
遠郭公深山は神知ろしめす 中嶋昌子 春燈 200807
郭公や一本高き岳樺 中嶋昌子 春燈 200807
郭公や朱線書き足す山の地図 山田春生 万象 200808
郭公の声の切れ味尾瀬ヶ原 黒坂紫陽子 馬醉木 200808
郭公のくぐもる霧に溺れをり 倉科紫光 馬醉木 200808
郭公を呼ぶ一本の立ち枯木 村越化石 200808
採光のかかるソーサー遠郭公 内藤紀子 遠嶺 200808
遠郭公夫の植ゑたるえびね咲く 井関祥子 酸漿 200808
落葉松の芽吹うながす遠郭公 阿部悦子 酸漿 200809
郭公や足軽長屋の窓一つ 宮崎見昭 遠嶺 200809
郭公となりて母校を眼下にす 小山徳夫 遠嶺 200809
郭公の輪唱ほがらほがらなり 大橋敦子 雨月 200809
郭公や切株に置く泥団子 田中久仁子 万象 200809
二日ほど鳴きて郭公移りけり 鈴木とおる 風土 200809
新館ホールに隣る図書館郭公啼く 土井ゆう子 風土 200810
郭公を聞き逃したり口惜しき 上田明子 雨月 200810
郭公やちびりちびりと水を飲む 田村園子 200810
郭公の来て新しきぺージ繰る 安田久太朗 遠嶺 200810
郭公のいのちかがやく朝ぼらけ 佐藤圀夫 馬醉木 200810
郭公や富士は一日雲の中 吉川隆 春燈 200810
郭公や手に父よりの唐詩選 塩田京子 遠嶺 200811
郭公の森へ迷子となりに行く 岩垣子鹿 ホトトギス 200811
郭公や旅の朝餉は浴衣着て 樋口みのぶ 200901
木曽殿に郭公谺くり返し 村上美智子 雨月 200901
郭公の合いの手入るヨサレ節 貝森光洋 六花 200907
郭公に近付いてゆくリフトかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200907
郭公が鳴いてますよとすれ違ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200907
焼岳の噴煙幽か遠郭公 八木喜世子 200907
郭公や牛の大きなやさしき眼 白数康弘 火星 200907
郭公の谺のわたる山路かな 東芳子 酸漿 200908
郭公の子を呼ぶ声や乱れゐし 近藤一石 炎環 200908
偲ぶとき郭公果てもなく孤独 渡邉友七 あを 200908
風に噎せ吃音となる郭公も 笠井敦子 200908
どもり鳴く郭公夏の果てなるぞ 渡邉友七 あを 200909
清流に魚の影透く遠郭公 大谷茂 遠嶺 200909
初郭公鍬使ふ手のつと止みぬ 守屋井蛙 酸漿 200909
郭公や城跡へゆく道標 中谷葉留 風土 200909
郭公やときに沈黙ありにける 前田美恵子 200909
郭公の遠ざかりゆく二度寝かな 根岸善行 風土 200909
かつこうと鳴き郭公の妻を呼ぶ 泉田秋硯 200909
郭公や子等一列に学習田 中谷葉留 風土 200909
郭公や霊水永久の獅子の口 小野喬樹 馬醉木 200910
郭公の谺返しに啼き交す 山路紀子 風土 200910
しづかさは郭公にあり人にあり 西村純太 200910
山の地図此処から徒歩や遠郭公 園部蕗郷 春燈 200910
硯彫る翁のたつき遠郭公 今井松子 遠嶺 200911
郭公や教会の扉の重きこと 館容子 200911
郭公やもの影さはに山中湖 館容子 200911
郭公の次の声待つ朝湯かな 川上成弥 遠嶺 200911
郭公や宿の部屋着に男女なく 館容子 200911
郭公やテラスに運ぶヨーグルト 今井春生 200911
遠郭公入り日の沼の水の襞 吉田きみえ 末黒野 200911
郭公を聞く飲泉の茹で玉子 安藤久美子 やぶれ傘 200912
郭公の鳴きつぐ村の田植どき 滝沢伊代次 万象 201006
郭公の絶対音感遠瀬音 網野月を 201007
木道の下に水音遠郭公 鈴木浩子 201007
郭公や山荘息を吹き返す 東亜未 あを 201008
郭公の声遠のきし畦の鍬 田中文治 火星 201008
郭公のこゑが棚田を渡りけり 石原光徳 酸漿 201008
日あたりに土のかをりや遠郭公 大島英昭 やぶれ傘 201009
競ひ合ひけり郭公と青空と 根上善行 風土 201009
とろとろと浅き眠りに遠郭公 早崎泰江 あを 201009
買つて済むことして忙し夕郭公 小菅礼子 春燈 201009
郭公や余呉のまばらの時刻表 浜口高子 火星 201009
郭公や北岳へ向く蛇笏句碑 橋添やよひ 風土 201009
郭公の誘う迷宮へどうぞ 山本孝子 ろんど 201009
郭公の寸分違はぬ間合かな 笠井敦子 201009
郭公の暁の谺の家郷なる 水谷靖 雨月 201009
郭公に耳傾ける一人の餉 秋葉貞子 やぶれ傘 201009
郭公の棲む森からの小糠雨 和賀俊子 ぐろっけ 201009
北アルプス一望したり遠郭公 鈴木千恵子 万象 201009
遠郭公百万石の朝湯かな 高木典子 雨月 201009
郭公の朝の挨拶太極拳 神田惣介 京鹿子 201010
郭公の全身こめて啼きゐたる 野畑小百合 201010
頓狂な天下無敵の郭公 瀬川公馨 201010
郭公や豆腐庖丁槽に置く 間島あきら 風土 201011
風土記の丘郭公の遠こだま 穐好樹菟男 馬醉木 201107
郭公の二の聲遠し畑仕事 竹貫示虹 京鹿子 201107
禅僧の一汁二菜遠郭公 山路紀子 風土 201108
郭公鳴き木々に円舞の曲ひびく 小西和子 201108
郭公の途方に暮るるこゑなりし 戸栗末廣 火星 201108
郭公の声を消し去り雨俄か 大橋伊佐子 末黒野 201108
郭公の呼ぶや浅間は晴れつづき 豊田都峰 京鹿子 201108
郭公のこだま返しや一の倉 山田春生 万象 201108
郭公のさそふ林をふもととす 豊田都峰 京鹿子 201108
渓川の激つ白さや遠郭公 大橋伊佐子 末黒野 201109
喪心へ重なる訃報遠郭公 松下信子 万象 201109
郭公鳴く祭の前もその後も 近藤幸三郎 風土 201109
郭公を頂点として尾瀬ヶ原 佐藤喜孝 あを 201109
郭公や墓を一つに落城址 柴田志津子 201109
郭公の谺返しの高野谿 玉置かよ子 雨月 201109
郭公の鳴きまねしつつ袋掛く 博多永楽 雨月 201109
郭公の日暮あしたは母訪はな 井尻妙子 京鹿子 201109
郭公の声二つ三つ寸志めく 石田きよし 201109
郭公や山路を登るしるべ古り 秋葉貞子 やぶれ傘 201109
ほとばしる搾乳の乳遠郭公 瀬戸悠 風土 201109
遊牧の馬に郭公の声揃ふ 佐々木紗知 京鹿子 201110
遠郭公遠々郭公那須に来し 岡崎伸 遠眼鏡 201203
郭公の閊へ鳴きして山の駅 長谷川翠 馬醉木 201207
朝もやの中の搾乳遠郭公 河口仁志 201208
「結ひ」ありし頃の広縁遠郭公 甕秀麿 201208
郭公の聞こゆる谷に宿をとる 大西八洲雄 万象 201208
夫と立つ朝の菜園遠郭公 熊谷清子 春燈 201208
奉納の柄杓底なし遠郭公 澁江阿喜子 万象 201209
郭公のよく啼く日なり休館日 野畑さゆり 201209
遠郭公鎮守の森に一会あり 安田一郎 京鹿子 201209
郭公や朝の大気をほしいまま 内田梢 末黒野 201210
郭公や橋のアーチに楔石 根橋宏次 やぶれ傘 201210
山白む遠郭公の声のして 白石正躬 やぶれ傘 201211
野帰りの郭公の風ふところに 大内幸子 六花 201212
郭公の間遠に合はす深呼吸 河村啓花 ろんど 201309
向き変へて郭公のまた鳴きにけり 野畑さゆり 201310
郭公のこゑのしみこむ尾瀬の水 佐藤喜仙 かさね 201310
八ヶ岳郭公の声響きをり 宮澤勇夫 末黒野 201310
郭公の声に目覚めて嬉しかり 大日向幸江 あを 201405
争ひの後の無言や夕郭公 佐藤三男 万象 201408
郭公の畑日和また釣り日和 半田稜 ろんど 201408
郭公の飛びてさびしき森となる 杉浦典子 火星 201408
郭公は隣りの寺へ移りけり 丑久保勲 やぶれ傘 201408
天地を均す神あり遠郭公 岡澤田鶴 201408
雨郭公溶けてゆくのみ声の色 鎌田悟朗 ろんど 201409
郭公鳴き朝空の紺ぬれてゐる 室伏みどり 雨月 201409
郭公や手水にめがね濡らしたる 坂口夫佐子 火星 201409
郭公や開く朝刊読書欄 田中信行 201409
郭公の輪唱に覚む里居かな 鈴木静恵 春燈 201409
郭公の声に暁紅殖えゆけり 高橋たか子 馬醉木 201409
郭公に近づく橋を渡りけり 野上杳 201409
遠郭公部屋を食み出すガラス窓 古川忠利 ろんど 201409
古き世の血染めのいくさ郭公鳴く 大畑善昭 201409
はるかより郭公山の夜が明くる 島田万紀子 馬醉木 201410
郭公や晴れわたりたる湖の朝 白石正躬 やぶれ傘 201410
郭公や一山越えてまた峠 野畑さゆり 201410
晩節をほろほろと生き遠郭公 北川孝子 京鹿子 201410
濡れながら郭公は行く濡れて聴く 古川忠利 ろんど 201410
昏れ惜む郭公最後まで谺 堀内一郎 堀内一郎集 201412
郭公に道が山から降りてくる 堀内一郎 堀内一郎集 201412
郭公やむかし仕へしひとの墓 佐渡谷秀一 対座 201505
郭公の声近づきて応ふなり 水原秋櫻子 馬醉木 201506
間合よく郭公五たび筆を擱く 小川玉泉 末黒野 201508
郭公や柱と古りし一家族 木下夕爾 春燈 201508
郭公を聞く幸先の佳き娶り 酒本八重 201508
郭公や絵筆を洗ふ富士の水 山田春生 万象 201508
雨上がり郭公の音の寝覚めかな 田中信行 201509
遠郭公施設の夫を想ふ日や 長谷仁子 春燈 201509
郭公や土の匂ひの野菜買ふ 今井春生 201510
郭公や竈を塞ぐ古瓦 中根美保 風土 201510
郭公や樹の瘤にある手擦れ艶 田村園子 201510
郭公の声鮮しくなりにけり 大坪景章 万象 201511
郭公の峯青々と雨いたる 高橋明 末黒野 201511
郭公→3      

 

2021年5月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。