門 火    147句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
門火焚く利尻の海霧に一家族 柴田良二 雨月 199901
雨上る娘と門火いそいそと 大平保子 いろり 199909
五十年同じ坂立て門火焚く 神蔵器 風土 199910
あたま数七つ揃ひて門火焚く 武内美津子 199911
雲に乗り来ませと二師に門火焚く 西山胡鬼 京鹿子 199911
門火焚きかの世への旅思ふべし 岡本まち子 馬醉木 199911
軒ぞひに門火の煙流れけり 松田裕子 六花 199911
門火焚くひとりの影の濃かりけり 代田青鳥 風土 199911
門火見ゆかすかに軋む舟溜 諏訪一郎 遠嶺 199912
門火燃ゆ泣けとごとくに赤々と 大橋淳一 雨月 199912
母のせし如くに妻や門火焚く 土永竜仙子 「朝月夜」 199912
商ひの裏口に焚く門火かな 大橋淳一 雨月 199912
門火焚くやあまたの父ら濡れて立つ 中村苑子 「水妖詞館」 200008
門火焚く一人に迎ふ多勢かな 神蔵器 風土 200009
父母迎ふ門火真砂を山盛りに 鈴木夢亭 春耕 200010
満月に坂立てかけて門火焚く 神蔵器 風土 200010
霧染めて門火増えゆく麓村 和田和子 馬醉木 200011
泣き虫の母の門火となりにけり 関根洋子 風土 200101
梢なる鳥のこころで門火見る 能村登四郎 200108
水音やよべに門火の燃えしあたり 豊田都峰 京鹿子 200110
稜線に残る明るさ門火焚く 岡本明美 俳句通信 200111
門火焚きいくさの記憶よみがへる 山本喜朗 雨月 200111
ひと束の藁の門火のすぐに尽き 鈴木ゆき子 風土 200111
母であり姑でありし門火焚く 田中武彦 六花 200112
濁世より少し離れて門火焚く 松本圭司 200112
ひとり焚く門火や灯蛾のまつはりて 塩谷はつ枝 馬醉木 200112
不意の客招じて門火ひとしきり 千田敬 200112
片頬はこの世の灯かげ門火たく 坂本俊子 200201
母逝くも泣けぬ男が焚く門火 朝日彩湖 船団 200201
門火焚くかかる夕ベも二人きり 辻口静夫 ホトトギス 200202
思はざる独りの門火焚きにけり 白岩三郎 馬醉木 200209
ちちははが畦連れ立つと門火焚く 廣畑忠明 火星 200211
二次会へ日の差す門火焚きてより 柴田久子 風土 200211
帰りくる人を恋ひをり門火焚く 大井昌 京鹿子 200212
山国の山より暮れて門火燃ゆ 飯塚久美子 対岸 200310
後れ毛の少し吹かれて門火焚く 香月公恵 200310
昨夜の雨門火の屑を流しけり 中和田洋美 万象 200409
雨上り門火のほのほ其所此所に 鎌倉喜久恵 あを 200410
門火焚くうしろの闇の風うごき 水谷芳子 雨月 200411
路地の風少しありけり門火焚 小山漂葉 酸漿 200411
児の背丈ほどに焚きたる門火かな 山形悦子 万象 200411
のりくらの白樺の皮門火とす 加地芳女 雨月 200412
今もなほ恋しと思ふ門火焚く 増田久子 酸漿 200509
夕映の空の残れる門火かな 坂本幸子 酸漿 200510
階住まひ門火焚くこと憚られ 石橋万寿 200511
もんぺはいて母まゐりませ焚く門火 近藤てるよ 酸漿 200511
団地族ビル屋上に門火焚く 三浦如水 ぐろっけ 200511
われは寡婦四半世紀門火焚く 汐青子 四葩 200512
白樺の皮燃す門火古里や 藤原りくを 八千草 200602
門火焚く新装なりし庭に焚く 谷榮子 雨月 200610
遠年忌小さき門火を焚きにけり 石原光徳 酸漿 200611
民宿の門火の端にゆくりなく 出来由子 200611
生涯の地として門火焚きにけり 鈴木政子 200611
心にも棲む人殖ゆる門火かな 中村恭子 200611
門火焚く父母よ筑紫に罷れかし 竹内喜代子 雨月 200611
現し世をひとり歩きの門火焚く 鈴木政子 200611
焙烙の素焼を染むる門火かな 秋場貞枝 春燈 200612
ことしから兄さんも来る門火焚く 千田百里 200612
竹垣をきれいに洗ひ門火かな 武井美代子 万象合同句集 200703
門火焚く夫の屈背のつぶやけり 隅田恵子 雨月 200703
誰がための門火や更けし路地の家 岡本眸 200708
ひとすぢの雲の紅らむ門火かな 鷹羽狩行 200709
風呂も飯も準備よろしく門火焚く 高根照子 200711
門火焚き紫煙に父祖を迎へけり 村上美智子 雨月 200711
去りがたく残火を見る門火かな 中村昭子 酸漿 200810
ねんごろに燃えさし重ね門火焚く 東芳子 酸漿 200810
呼びあひしことなき吾子に門火焚く 安立公彦 春燈 200811
門火焚くおうと声あり見えねども 天野みゆき 風土 200811
路地奥のほのと明るき門火かな 戸田稀字子 200811
門火焚く八重山垣の只中に 守屋井蛙 酸漿 200811
風立てり今し門火を焚きし跡 中西咲央 炎環 200812
今在りて門火の炭を拾ひけり 黒杭良雄 ホトトギス 200812
門火焚く息子の背に亡夫の影 森下康子 200909
最終の船の汽笛や門火焚く 藤本一城 200910
父母たちの記憶をきざみ門火焚く 渡辺安酔 200910
門火焚き軒灯つけて亡き子待つ 渡辺安酔 200910
あれそれで通じし妻へ門火焚く 久保田嘉郎 酸漿 200910
月淡きうちに門火を焚きにけり 池田忠山 200911
亡き妻の里に住み古り門火焚く 山本康夫 200911
かにかくに一門集ひ焚く門火 平賀扶人 馬醉木 200911
それぞれの思ひの門火でありにけり 布川直幸 200911
門火焚く父母よ夫よと声に出て 細川コマヱ 雨月 200911
子のひとり待たず門火を焚きにけり 坂場章子 200911
五十余年同じ石にて門火焚く 羽生きよみ はらから 200911
門火焚くはらからといふしがらみに 和田照海 京鹿子 200912
はらからの手の甲老いぬ門火焚く 金原登志子 馬醉木 200912
憂きことの多き余生や門火焚く 岩谷丁字 春燈 201007
門火焚く人の真顔を見逃さず 稲畑汀子 ホトトギス 201008
雷鳴の過ぐるを待ちて門火焚く 中村洋子 風土 201011
小さく燃ゆ平家の里の門火かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
東京に真の闇なし門火焚く 加茂達彌 201105
門火焚く会ひに来て下さいますか 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
門火焚く衆生を少し遠ざけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
あかあかと真黒き海へ門火焚く 神蔵器 風土 201109
門火焚くひとりの膝を深く折り 辻直美 201110
気の急いて亡父に早目の門火かな 中山静枝 201110
遺愛なる紙燐寸もて門火焚く 能村研三 201110
面影のいまだ新し門火焚く 西川春子 春燈 201111
三世代揃へば門火焚きにけり 平居澪子 六花 201112
美しく人を語りて門火焚く 雲所誠子 風土 201211
門火焚く仏の知らぬ異郷にて 片山喜久子 雨月 201211
半世紀経し花街の門火かな 古沢幸次 ろんど 201212
ちちははと夫に門火を煙らせて 今井千鶴子 ホトトギス 201212
その走り火をためらはず門火焚く 呉文宗 春燈 201301
漆黒の海へあかあか門火焚く 斉藤マキ子 末黒野 201304
独り焚く門火の煙に囚れて 平居澪子 六花 201311
歳とらぬ父祖一統へ門火焚く 阪本哲弘 201311
門火焚くどこかで生きてゐる魂に 山崎青史 ろんど 201311
門火焚く能登福浦の船溜 阿部眞佐朗 201311
桑根榾燃え尽くるまで門火焚く 小松敏郎 万象 201311
門火焚く母に告げたき事幾つ 吉永すみれ 風土 201411
あるか無き風もて門火焚きにけり 今澤淑子 火星 201411
在すごと語りかけつつ門火焚く 大橋伊佐子 末黒野 201411
一生を母は生家に門火焚く 吉武千束 太古のこゑ 201411
俤の闇に残れる門火かな 小田嶋野笛 末黒野 201412
門火高く方向音痴なる妻に 木村享史 ホトトギス 201501
暮れ残る秩父の山や門火焚く 鈴木静恵 花こぶし 201508
汚染土に滲み入る底の門火かな 鴨下昭 201510
舟揚げのその手で漁師門火焚く 松本三千夫 末黒野 201511
四方より風あり門火焚きにけり 笹村政子 六花 201511
門を出て一人に多勢門火焚く 神蔵器 風土 201511
生者老い亡者は若し門火焚く 杉田春雄 風土 201512
一歩前二歩前進門火焚く 神蔵器 風土 201512
母と言ふ一字の温み門火焚く 吉永すみれ 風土 201512
門火焚くひととき我も照らされて 望月晴美 201512
ささやかな門火なれども夫来ませ 田中珠生 馬酔木 201611
里山の変はらぬ姿門火焚く 上月智子 末黒野 201612
我在らん限り続けん門火焚き 小池みな 末黒野 201612
門火焚くふとむらさきとなることも 今橋眞理子 ホトトギス 201701
水軍の裔に嫁ぎて門火焚く 河野由美 馬醉木 201701
早く来よ遅く帰れと門火焚く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
門火焚く闇の走つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
門火焚く庭石に置く素焼皿 古川幸子 春燈 201710
江戸情緒のこる赤坂門火焚く 村上美智子 雨月 201711
門火ふと思ひ立つかに燃ゆるとき 今橋眞理子 ホトトギス 201712
門火焚く山国の日は山に没り 佐津のぼる 六花 201712
見通せるところへ門火焚きにけり 平野多聞 201811
門火いま被災の魂の道しるべ 山中志津子 京鹿子 201811
門火焚く黄泉を繋げてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
庭風に門火のあとの灰のとぶ 佐津のぼる 六花 201911
幼子の魂も門火もぎこちなく 三木亨 201911
残されて父と娘で焚く門火 三上程子 風聴くや 202003
門火焚く見覚えの杖そのままに 鈴木和江 202011
石垣の海水上がる門火かな 江見巌 六花 202011
門火焚く仮設に住まふお婆らと 赤川誓城 ホトトギス 202102
残りたる吾に燃えゐる門火かな 今井千鶴子 ホトトギス 202201
後ずさりしつつ門火を見る小犬 今井千鶴子 ホトトギス 202201

 

2022年8月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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