蓴 菜       58句

我が心ゆたにたゆたに浮蓴辺にも沖にも寄りかつましじ    万葉集

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蓴菜を育てたゆたふ雄物川 松崎鉄之介 199808
蓴舟午後は曰照雨の二度三度 皆川盤水 高幡 199905
蓴舟沼底擦つて戻りけり 皆川盤水 高幡 199905
廃村の沼に二艘の蓴舟 小野誠一 春耕 200011
蓴菜を啜りたぶらかされしごと 坂本京子 200107
蓴田の上を往き来の蜻蛉かな 高木良多 春耕 200201
蓴菜に喉かかはり寒明くる 山尾玉藻 火星 200204
歌謡曲流す蓴菜取りの舟 陶山泰子 ぐろっけ 200210
肩触れて窮屈な水ぬなは生ふ 小田司 馬醉木 200307
蓴菜の涼味風味や斎の膳 水原春郎 馬醉木 200307
水色の空を池面に蓴採る 岡本明美 雲の峰 200309
水尾を生むほどに進まず蓴舟 館容子 200312
蓴生ふ三瓶の沼の消息も 稲畑汀子 ホトトギス 200403
さかさまに潜る鰭みる蓴の芽 字都宮滴水 京鹿子 200404
蓴生ひそむか宙なる日のありど 豊田都峰 京鹿子 200405
沼尻にスワン猛りて蓴舟 淵脇護 河鹿 200406
太陽のぐらりと揺れて蓴舟 長谷川春 200409
留め椀に蓴菜浮いてをりしかな 竹中一花 200409
隠沼の風蓴菜の花あかり 川口襄 遠嶺 200410
蓴菜と問答してをり竹の箸 水谷ひさ江 六花 200507
蓴菜のぬめりも馳走切子鉢 松波とよ子 春燈 200508
蓴菜のあらず蓴菜沼の風 浜口高子 火星 200508
蓴菜の真只中に遺されし 泉田秋硯 200509
白球の蓴菜池に填りけり 吉田明子 200510
泡して何かゐさうな蓴池 雨村敏子 200609
箱舟の一人の世界蓴採る 堀井英子 雨月 200709
湖を前蓴菜を売る店一軒 竹内蒼礁 200710
蓴菜のするりと喉を意志固む 芳賀雅子 遠嶺 200711
岬風に片寄る余地もなく蓴 館容子 200711
蓴すする父と無言の酒なりし 金子輝 春燈 200808
身を屈め四角四面の蓴舟 秋葉雅治 200809
山寺の蓴の池に舟浮ぶ 文田多加 200909
ぬぬ・ぬぬぬ沼の呟き蓴かな 直江裕子 京鹿子 201001
蓴菜の根のからまりを秋の雨 坂口夫佐子 火星 201001
白神の雲を引きよせぬ花蓴舟 林光興 201006
蓴菜のすべりこんだる喉(のみど)かな 片山由美子 201007
蓴舟ひとつは木洩れ日の底に 大崎紀夫 やぶれ傘 201009
蓴汁湖は静かに雨を受く 加藤静江 末黒野 201009
練達の魔女三人の蓴舟 柳川晋 201110
朽ち椀に汲む蓴菜や青山河 コ田千鶴子 花の翼 201111
隠沼は雲を映さず蓴生む コ田千鶴子 花の翼 201111
迷ひ来て明るき池の蓴舟 丸井巴水 京鹿子 201208
蓴池より道濡れて続きけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201210
児の笑顔地面に映えて蓴生ふ 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
蓴菜を掴む吉野の杉の箸 塩見英子 雨月 201310
水澄むや蓴菜池の先師句碑 河口仁志 201311
残る鴨蓴菜池が好きらしき 望月晴美 201405
蓴採る媼に暮の泥みけり 石井耿太 火星 201409
浮島の冥き息吹や蓴池 和田郁子 201409
吹き抜くる古代の風や蓴池 和田郁子 201409
蓴菜を摘む桶舟の夕日影 高屋喜美子 201410
蓴採るすこし昔を手繰り寄せ 辻美奈子 201508
従く人も草踏んでゆく蓴池 大崎紀夫 やぶれ傘 201509
蓴池より道濡れて続きけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
濡れ衣を拭ふでもなし蓴採る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607
舟傾げ水の冥さに蓴採 鈴木漱玉 馬醉木 201609
大甕に蓴菜育つ百花園 横川良子 万象 201710
蓴菜を育て男のしづかなる 持田信子 春燈 201810

 

2021年5月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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