溽 暑   82句

採血の腕逆撫でらるる溽暑かな    内田しんじ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
これやこの厚底靴に溽暑くる 林翔 200107
度の合はぬ眼鏡のずれし溽暑かな 當麻幸子 俳句通信 200109
錬金の術の衰ふ溽暑なり 中原道夫 銀化 200109
ICU溽暑となりし機械音 中田征二 ぐろっけ 200202
物売に執念く附かる溽暑かな 池田草曷 雨月 200208
思考力雲散霧消溽暑かな 大橋敦子 雨月 200308
身一つの置きどころなき溽暑かな 大西正栄 雨月 200309
迷路めく沈菜キムチ市場の溽暑かな 刈米育子 200409
溽暑来ることあげもせず拉致家族 角直指 京鹿子 200410
昼風呂の極楽となる溽暑かな 丸美砂子 ぐろっけ 200410
土器を投げて溽暑の宝厳寺 長村雄作 栴檀 200411
太く息つけばつく程溽暑かな 宮脇ちづる 200510
目つむりて歯科医の椅子の溽暑かな 川上恵子 雨月 200510
吠ゆる前犬が息吸ふ溽暑かな 中根美保 風土 200510
蝉声のふと途切れたる溽暑かな 波田美智子 火星 200511
外も内もゆらりともせぬ溽暑かな 西島みね子 八千草 200601
大太刀で悪霊払ふ溽暑かな 亀田やす子 万象 200606
聖堂を辞して溽暑の段葛 塩田博久 風土 200709
溽暑なほ筆の進まぬ千字文 松波とよ子 春燈 200709
備忘録見るを忘るる溽暑かな 山下青坡 200710
不快指数てふ語のありき溽暑かな 塩田博久 風土 200809
よく折れる鉛筆の芯溽暑かな 鎌倉喜久恵 あを 200809
溽暑なり傘寿の父へ告知秘す 安本恵子 200810
その昔子の生れし日の溽暑かな 竹内悦子 200810
奪衣婆に呉れてやりたき溽暑かな 峯沢洋一 200811
溽暑なり極彩色の中華街 荒井千佐代 200901
溽暑なり元気な牛の長尿り 白数康弘 火星 200907
土籠の岩崩の惨溽暑かな 田中貞雄 ろんど 200909
遠吼えの犬にも溽暑厳しくて 城下明美 ぐろっけ 200911
カレンダーめくつて溽暑はらひけり 平野加代子 春燈 201010
溽暑かな鈍感力を道連れに 松木ひろ ろんど 201010
まとひつく溽暑に思考失へる 金森教子 雨月 201010
かぎろひて電車近付く溽暑かな 吉田克美 ろんど 201011
溽暑なり死に転合の動物園 佐藤喜孝 あを 201101
月餅の餡重くして溽暑かな 中島玉五郎 201107
口明しままや溽暑の休み木偶 塩路隆子 201109
卑弥呼世の銅鏡くもる溽暑かな 中村ふく子 201109
センサーの外灯縫うてゆく溽暑 千田百里 201109
夜烏の一声太し溽暑かな 鎌倉喜久恵 あを 201109
出納簿何度も遣り直す溽暑 長崎桂子 あを 201109
散歩とて徘徊まがひ溽暑かな 坂上香菜 201110
吊り橋の影ゆらぎいる溽暑なり 福田かよ子 ぐろっけ 201110
溽暑なり亀の甲羅の重からむ 東良子 201209
格好など構ってをれぬ溽暑かな 坂上香菜 201210
嵯峨竹林溽暑の風の揺れ重し 齋藤晴夫 春燈 201210
ひとの句のみな佳く見ゆる溽暑かな 塩田博久 風土 201210
襖絵の達磨眼を剥く溽暑かな 岡野里子 末黒野 201211
僧の声途切れがちなる溽暑かな 中山とし子 201211
溽暑かな弁慶岩に塩噴きて 森屋慶基 風土 201310
犬の耳持ち上げてやる溽暑かな 中田みなみ 201311
溽暑かな想ひ至れぬ夜の稿 吉田克美 ろんど 201311
何処をどう為すも溽暑を変へられず 布川直幸 201408
暗がりの戦争動く溽暑かな 中林晴雄 201411
温泉に母を連れ行く溽暑かな 森屋慶基 風土 201510
アウライン失ふ街や溽暑なる 成宮紀代子 201510
力こめ毒草を刈る溽暑かな 有松洋子 201510
胃もたれを抱へて歩く溽暑かな 小山陽子 やぶれ傘 201512
歩を止めゐ動く歩道や溽暑なほ 能村研三 201609
自販機に呼びとめらるる溽暑かな 杉本光祥 201609
天守への手すり溽暑の湿りかな 馬屋野純子 馬醉木 201610
パンの耳四角く残す溽暑かな 松本三千夫 末黒野 201610
地の揺らぎ命ゆらげる溽暑かな 戸田澄子 末黒野 201610
町溽暑笑顔絶やさぬ配達夫 戸田澄子 末黒野 201610
シャツのタグちくちくとする溽暑かな 小山陽子 やぶれ傘 201610
靴下の跡が溽暑の足首に 小山陽子 やぶれ傘 201708
もりそばがメニューの端で呼ぶ溽暑 高木嘉久 201709
靴下の跡が溽暑の足首に 小山陽子 やぶれ傘 201709
毛布にて覆ひし如き溽暑かな 森なほ子 あを 201709
監視さる日の始まりし溽暑かな 七郎衛門吉保 あを 201709
印度孔雀尾を引き歩く溽暑かな 宇都宮敦子 201710
洛中はどこを切つても溽暑かな 和田照海 京鹿子 201711
靴紐のすぐに解ける溽暑かな 小山陽子 やぶれ傘 201710
飯粒を指よりはがす溽暑かな 内藤静 風土 201810
九十年の脂抜けゆく溽暑かな 池田葉子 春燈 201810
空港を出づる一歩の溽暑かな 岡野里子 末黒野 201810
訃報つづきし溽暑の夜や風の音 綱徳女 春燈 201811
考ふる力うするる溽暑かな 児玉充代 201812
「紫」をごまかして書く溽暑かな 小山よる やぶれ傘 201910
溽暑なる肌着剥がしてもらひけり 永田万年青 六花 201910
推敲の一字決まりぬ溽暑の夜 大川暉美 末黒野 201911
気が付かば俯きゐたる溽暑かな 永田万年青 六花 202009
バンダナの赤をきりりと溽暑かな 平野加代子 春燈 202009
にはとりの目をつむりゐる溽暑かな 深川淑枝 202112

 

2022年8月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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