地虫鳴く     98句

 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
貝塚の堀り尽されて地蟲鳴く 阿部寒林 「夢」 200010
わけもなく眠れぬ夜や地虫鳴く 林和子 俳句通信 200011
石庭のどの石からか地虫鳴く 林和子 俳句通信 200011
鳴く地虫麻酔がきれてきたやうに 飯塚ゑ子 火星 200012
地虫鳴く庭に小陰のしめりかな 河合笑子 あを 200109
聞きゐしも聞かざる如く地虫鳴く 稲畑汀子 ホトトギス 200109
ふり返るとき月にあり地虫鳴く 稲畑汀子 ホトトギス 200109
地虫鳴き海のかなたは金色に 加藤みき 200111
地虫鳴く郷土史秘話を書き始む 小田道知 円虹 200212
再建の寺の工事場地虫鳴く 古田考鵬 雨月 200212
地虫鳴く灯台守に句碑残り 谷村祐治 雨月 200312
慣れといふことも罪なり地虫鳴く 舩越美喜 京鹿子 200402
地虫鳴くいつか見たよな夢に入り 針谷律子 八千草 200404
地虫鳴く老母は食後の浅眠り 針谷律子 八千草 200404
正座して気づく浮腫や地虫鳴く 岡本眸 200409
球場にストの貼り紙地虫鳴く 高野清風 春耕 200412
地虫鳴く海を遠見の山路かな 小菅防風 百鳥 200501
地虫鳴く等身大に壁鏡 木内憲子 200503
地虫鳴く真つ暗がりの道の神 滝沢伊代次 万象 200509
地虫鳴くもう主なき診療所 山本きょうこ 百鳥 200511
夜は夜の地虫の鳴くに耳を貸す 村越化石 200609
老い猫の目つむるばかり地虫鳴く 岩崎眉乃 万象 200612
玄室へ潜る四五歩に地虫鳴く 吉年虹二 ホトトギス 200703
地虫出づ一本指のピアノ鳴り 吉田島江 火星 200705
地虫鳴く断脚の猫ただ眠る 横山迪子 六花 200706
地虫鳴く被爆跡地の池乾き 大久保白村 ホトトギス 200707
地虫鳴く土の減りたる都心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
地虫鳴く地球怒つてゐるやうに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
地虫鳴く東京駅は改装中 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
ひとり居や思ひあれこれ地虫鳴く 芝宮須磨子 あを 200712
ひったくり多き坂道地虫鳴く 篠田純子 あを 200712
地蟲鳴く終着驛のひとつ前 佐藤喜孝 あを 200712
地虫鳴く眠れぬしじま広がりぬ 早崎泰江 あを 200712
地虫鳴く復興おそき災害地 田中藤穂 あを 200712
地虫鳴く背曲げ何に怯ゆるや 渡邉友七 あを 200712
地虫鳴く振り子時計は右ひだり 堀内一郎 あを 200712
地虫鳴く御礼詣りはまだゆかず 東亜未 あを 200712
地虫鳴く下水地下鉄地下高速道 森理和 あを 200712
地虫鳴くサービスタイムのラブホテル 篠田純子 あを 200712
地虫鳴くまだ抜け切らぬ夏の風邪 田中藤穂 あを 200712
大雨にぬかるむ小道地虫鳴く 長崎桂子 あを 200712
寺町のしづもり早し地虫鳴く 田中藤穂 あを 200712
寝ねがてをなぐさむるかに地虫鳴く 芝尚子 あを 200712
小心は父親譲り地虫鳴く 東亜未 あを 200712
木と紙の家を好むや地虫鳴く 鎌倉喜久恵 あを 200712
小夜更けし川越街道地虫鳴く 赤座典子 あを 200712
墓幾つ岩に還れり地虫鳴く 渡邉友七 あを 200712
雑草を引けば何処かで地虫鳴く 森山のりこ あを 200712
透間なくアスファルト敷き地虫鳴く 長崎桂子 あを 200712
店先に摘まるる句集地虫鳴く 竹内弘子 あを 200712
隠蔽す人種問題地虫鳴く 遠藤実 あを 200712
地虫鳴く茶室に続く広廊下 森山のりこ あを 200712
ブルドーザー終日動きに地虫鳴く 長崎桂子 あを 200712
ステレオの止まりて地虫鳴き初む 鎌倉喜久恵 あを 200712
片言で通ずる屋台地虫鳴く 田中敬 200802
地虫鳴くより旅心里心 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
添削のペンのつまづき地虫鳴く 布川直幸 200811
終日を籠りし夜よ地虫鳴く 鎌倉喜久恵 あを 200812
耳鳴りか地虫が鳴くか闇の中 鎌倉喜久恵 あを 200812
窓開けて地虫鳴く庭つながりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200909
過去のこと忘れましたと地虫鳴く 佐々木紗知 京鹿子 200909
無蓋車のテールランプや地虫鳴く 島田麻衣 炎環 200912
聞くほどに聡くなる耳地虫鳴く 井田実代子 雨月 200912
山河の寝息と思ふ地虫鳴く 高橋将夫 201102
ルビ多き賢治の童話地虫鳴く 大山文子 火星 201111
親鸞の声はいづこぞ地虫鳴く 小野寺節子 風土 201201
有馬の湯渾々と湧き地虫鳴く 三橋早苗 ぐろっけ 201202
地虫鳴き終へしよべより雨催 稲畑汀子 ホトトギス 201209
地虫鳴く宵もあらなむ禅の寺 大竹淑子 風土 201211
小坪にも地虫鳴きをり都会の夜 佐藤喜仙 かさね 201211
地虫鳴く八十路の坂の道険し 金森涼 春燈 201301
座してひとり地虫鳴く夜の深みたり 水野恒彦 201301
地虫鳴くここはブラジルサンパウロ 安原葉 ホトトギス 201302
旅いくつ果てたる家居地虫鳴く 水田むつみ ホトトギス 201302
地虫鳴く故山の麓闇深し 稲岡長 ホトトギス 201302
地虫鳴く野に開発の予告札 瀬島洒望 やぶれ傘 201401
地虫鳴く跡形も無き出城跡 中野久雄 末黒野 201501
地虫鳴くつまらなさうな女の子 村田岳浄 ろんど 201502
古城址や赤土深く地虫鳴く 伊藤とほ歩 ホトトギス 201504
地虫宙づ小屋の時計が畑に鳴り 岩木茂 風土 201505
階段の段差は低し地虫鳴く たかはしすなお 201512
命日の読経のひととき地虫鳴く 野中圭子 京鹿子 201601
地虫鳴く大川端は工事中 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
地虫鳴く首位を守りし阪神に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
糸電話廊下の向かう地虫鳴く 井上静子 201611
血圧のくすり一生地虫鳴く 一民江 馬酔木 201611
この辺り私の居場所地虫鳴く 岩月優半 201612
闇の夜や耳そばだてて地虫鳴く 秋川泉 あを 201612
王陵の殯の跡や地虫鳴く 金森教子 雨月 201701
篁の井戸の通ひ路地虫鳴く 宇都宮敦子 201707
地虫鳴く鼻をかむにも力要り 中田みなみ 201709
境内の末社の数や地虫鳴く 大久保進 万象 201712
階のもろき塔頭地虫鳴く 菅野日出子 末黒野 201712
いち日の無為の楽しさ地虫鳴く 雨村敏子 201712
銀座裏迷路のすみに地虫鳴く 秋川泉 あを 201810
我こそは雑で一番地虫鳴く たかはしすなお 202001
つながらぬ出土の欠片地虫鳴く 鈴木まゆ 馬醉木 202001
仏像とはなれぬ部材や地虫鳴く 岩木茂 風土 202202

 

2023年9月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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