稲 雀     199句

追ふ聲のあはれに暮るれ稻雀  日野草城   俳句大観

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
頃合をみて戻りくる稲雀
長田等
199902
木曽川を美濃へと越えし稲雀
青山丈
199902
稲雀わが肩のほとりより暮るる
川口襄
遠嶺
199905
稲雀ひと形無視し憂さはらす
鈴鹿仁
京鹿子
199911
稲雀翔て庄内果てもなし
藤原たかを
馬醉木
199912
稲雀飛んで夕日を散らしけり
小澤克己
遠嶺
199912
峡の田や賑はふ声の稲雀
中島徳子
酸漿
199912
稲雀日向ばかりを仕切りたる
森義久
銀化
199912
稲雀にも縄張りのあるらしき
合川月林子
ぐろっけ
200001
風倒田網潜り来る稲雀
武智恭子
ぐろっけ
200002
稲雀追へば飛び翔つ風小僧
西山胡鬼
京鹿子
200010
稲雀とぶジャンボ機の滑走路
磯野たか
風土
200012
みちのくの空を広げて稲雀
倉堀たま子
風土
200012
稲雀守りの堅き実習田
舘泰生
風土
200012
甘樫の丘より来たる稲雀
夏秋明子
火星
200101
稲雀大きく迂回して元に
松田裕子
六花
200101
天網の破れ易きを稲雀
柴田奈美
銀化
200101
稲雀神の田とても容赦なし
永野秀峰
ぐろっけ
200101
かしましや木立の中稲雀
茂木とみ
いろり
200102
逃げるたび数を増やして稲雀
新開一哉
円虹
200103
真っ白になってはしゃいで稲雀
河原珠美
海程
200107
柏手を打つて追はれし稲雀
高木伸一
六花
200110
稲雀なにを合図に翔つならむ
竹内弘子
あを
200111
固つてゐて稲雀それぞれに
宮津昭彦
200111
川岸を逃げ場ときめて稲雀
永井房代
200112
稲雀空を覆ひて飛び立てり
小野タマ枝
酸漿
200201
庭先にひとり遊びの稲雀
小松サチコ
ぐろっけ
200204
川越えて来しが一気に稲雀
朝妻力
雲の峰
200210
小さく来て大きく翔ちぬ稲雀
白根純子
円虹
200211
この里を知り尽しゐる稲雀
白根純子
円虹
200211
明日を追ひけふに追はるる稲雀
大嶋康弘
銀化
200211
飛び散つて穂波残しぬ稲雀
石本百合子
馬醉木
200212
音ありて群の消えゆく稲雀
家塚洋子
酸漿
200212
代官に申しあげるぞ稻雀
中原道夫
銀化
200212

 

とむらひの列に飛びたつ稲雀
遠藤若狭男
200301
棚田より里に移りし稲雀
河野友子
六花
200301
稲かり機止まり寄り来る稲雀
福島松子
ぐろっけ
200301
わが視野の大きく歪む稲雀
小山徳夫
遠嶺
200302
松島や海へ吹かるる稲雀
角川照子
200307
一斉に湧きて稲雀でありぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200310
一角より攻め来るごとく稲雀
二宮桃代
雨月
200311
倒伏の田にとまどへる稲雀
塩川雄三
築港
200312
田に降りる一陣二陣稲雀
上原一郎
築港
200312
追はれても執着強き稲雀
永川絢子
築港
200312
稲雀電線にゐてうかがへる
岩林勇雄
築港
200312
旋回に群を糺して稲雀
松本鷹根
京鹿子
200312
出来悪き米を食べゐる稲雀
榎本孤星
築港
200401
草むらに伏兵のごと稲雀
松山正江
河鹿
200401
影となり光となりて稲雀
守屋井蛙
酸漿
200401
祠あり水辺に下りし稲雀
中村廣子
酸漿
200401
稲雀網打てばごん兵衛となる
河井富美子
ぐろっけ
200402
不作の田とても来てゐる稲雀
稲畑汀子
ホトトギス
200410
山の田をこぼれきしとも稲雀
稲畑汀子
ホトトギス
200410
威されて空を覆へり稲雀
鷹羽狩行
200411
大寺の空いちまいや稲雀
吉田康子
火星
200411
飛びたちし命それぞれ稲雀
今瀬剛一
対岸
200411
来る時も帰りも一緒稲雀
岡崎桂子
対岸
200411
人とよき間合ひを保ち稲雀
岡田滋夫
雲の峰
200411
稻雀稔りの中の修羅のあり
鈴鹿仁
京鹿子
200411
稲雀風のかたちに群れ飛べり
田辺博充
200412
稲雀空は逃げ道にはあらず
豊田都峰
京鹿子
200412
稲雀揺藍はいまよき熟寝
高木智
京鹿子
200412
稲雀しりへに鎌を研いでゐる
高木智
京鹿子
200412
逃げ腰はいつも崩さず稲雀
宮城白路
風土
200412
ラジコンで操作さるごと稲雀
荒木民子
200412
稲雀腹の凹みし荒砥石
吉田明子
200501
鳥よけの網を掠めて稲雀
佐藤哲
万象
200501
稲雀轟音立てて田を襲ふ
三浦如水
ぐろっけ
200501
稲雀むかし巷にええぢやないか
岩井泉樹
春燈
200501
地境などなし平成の稲雀
佐脇葭紅
築港
200501
稲雀比叡の空を眩しめり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200510
空崩(からくづ)れしたるごとくに稲雀
鷹羽狩行
200511
稲雀能因島を汚すかな
今瀬剛一
対岸
200511
飛び立ちてどこへ降りても稲雀
今瀬剛一
対岸
200511
地より湧く靄にまぎれて稲雀
平子公一
馬醉木
200512
稲雀悪知恵生くる力とし
塩川雄三
築港
200512
稲雀ここに集合平群郷
塩川雄三
築港
200512
逃ぐるにも統制とれて稲雀
塩川雄三
築港
200512
稲雀拍手のごとく飛び立てり
ことり
六花
200605
稲雀泣く子笑ふ子元気な子
小林朱夏
200610
稲雀茶の木ばたけやにげどころ
松尾芭蕉
ぐろっけ
200610
メニューの名なべて太宰に稲雀
中村恭子
200611
稲雀となれぬ一羽が縁側に
安居正浩
200612
来てはまたぱらぱらと立つ稲雀
青木陽子
酸漿
200612
稲雀とびたたせゐる海の青
長沼紫紅
200710
人通るたびに架線へ稲雀
世古幸久
200712
強風にまろびまろびて稲雀
中山静枝
200712
稲雀団地に残る田一枚
竹内龍
200712
稲雀空濁すことくりかへす
笠井敦子
200712
わらわらと来てわらわらと稲雀
高橋照子
雨月
200712
農学部の並木を塒稲雀
久保田雪枝
雨月
200712
集団てふ怖さ知らずの稻雀
鈴鹿仁
京鹿子
200712
稲雀追はれてどつとトランスヘ
浮田胤子
ぐろっけ
200802
生活とは稲雀にも農家にも
稲畑廣太郎
ホトトギス
200810
威しには乗らず丹波の稲雀
神谷文子
馬醉木
200812
手を打てばいつせいに飛ぶ稲雀
滝沢伊代次
万象
200812
声あげし稲雀ありわが箱田
伊藤一枝
酸漿
200812
饅頭に寿とあり稲雀
近恵
炎環
200901
稲雀の海より返し能登棚田
森川彩火
炎環
200901
稲雀放ちて杜の明け急ぐ
松野睦子
遠嶺
200902
稲雀どつと飛び出す田圃かな
渡辺安酔
200910
稲雀一個中隊ほど潜む
森岡正作
200911
一斉に夕陽に散りし稲雀
山本誠子
200911
婚礼の荷に追ひつけず稲雀
酒井秀穂
炎環
200912
追はるるをたのしむさまに稲雀
前原早智子
春燈
200912
稲雀一羽が飛べばこぞり飛び
近藤豊子
雨月
200912
総立ちに飛ぶ稲雀見てをりし
近藤豊子
雨月
201001
本当の銃音知らぬ稲雀
樋口みのぶ
201004
一散も一驚も一気稲雀
布川直幸
201009
羽音千残し群れ発つ稲雀
宮田香
201012
庄内の夕日はやして稲雀
徳田千鶴子
馬醉木
201012
大胆にして細心の稲雀
池田崇
201012
稲雀投網のごとくうねりけり
藤原照子
201012
追はるる数加へて追はる稲雀
和田満水
201012
いつせいに立ち退くあはれ稲雀
渡部志津子
201012
稲雀忙中閑のなかりけり
小倉陶女
春燈
201012
はしやぐだけはしやいで散りし稲雀
小林朱夏
201012
スカイ・ツリー上へ上へと稲雀
神蔵器
風土
201012
餅米の田に集まりて稲雀
鈴木とおる
風土
201101
稲雀つねにこぼるる二羽三羽
田中春子
雨月
201101
飛び立ちてひかりとなれり稲雀
大橋伊佐子
末黒野
201102
神の田を追はれて来たり稲雀 宮崎左智子 201112  
稲雀甘えごころは声出して 鴨下昭 201112  
稲雀避難訓練怠らず 北尾章郎 201201  
まづ一羽偵察の来し稲雀 山本無蓋 201201  
稲雀無敵の数となりにけり 柴田佐知子 201201  
稲扱き機飛び立ち群れる稲雀 東秋茄子 京鹿子 201202  
稲雀口鉄砲に驚かず 立石萌木 雨月 201208  
豊穣のうねりに沈む稲雀 米山のり子 馬醉木 201212  
はらはらとめつきり減りし稲雀 齋藤晴夫 春燈 201212  
稲雀けむり小出しに茶臼岳 大西八洲雄 万象 201212  
補助線の引けぬかたちに稲雀 田中涼平 201301  
一枚の棚田にばかり稲雀 橋場美篶 末黒野 201301  
暮れぎはのもう一騒ぎ稲雀 三村純也 ホトトギス 201302  
リーダーといふがゐるはず稲雀 安原葉 ホトトギス 201304  
草に消え伊賀忍者めく稲雀 稲畑廣太郎 ホトトギス 201309  
稲雀より外れたる一羽ゐて 稲畑汀子 ホトトギス 201310  
稲雀一羽紛るる芝の上 稲畑汀子 ホトトギス 201310  
鳴き声に勝る羽音や稲雀 柴田佐知子 201311  
明史碑の雀加へて稲雀 岩木茂 風土 201311  
田から田へ群をほぐさず稲雀 中山静枝 201312  
舌鼓の頻りなりけり稲雀 山本久江 201312  
銘柄米の田と知つて稲雀 佐藤喜仙 かさね 201401  
稲雀きて稲雀連れ立ちぬ 中村恭子 201401  
夕まぐれすとんと消えし稲雀 岩村惠子 ホトトギス 201403  
斥候が来て中隊が来る稲雀 森岡正作 201410  
稲雀こぼれし二三芝歩く 稲畑汀子 ホトトギス 201410  
畦を行く軽トラックや稲雀 瀬島洒望 やぶれ傘 201411  
豊葦原瑞穂の国の稲雀 熊谷ふみを ろんど 201412  
稲雀来る前栽や遍き日 鎌田篤 雨月 201501  
駄句にせよ浮かんだ一句稲雀 小野寺節子 風土 201501  
稲雀群れの落着く鬼瓦 久保東海司 201503  
君達も行くとこ行けば稲雀 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510  
城跡の空より来たる稲雀 大崎紀夫 やぶれ傘 201511  
降りさうな午後に来てゐる稲雀 大島英昭 やぶれ傘 201511  
追ひ出して数に驚く稲雀 池田崇 201512  
自適とも散りすぐ戻る稲雀 成田美代 201512  
稲雀散つて二手に空分かつ 生田恵美子 風土 201512  
かつぽれかつぽれ稲雀囃しけり 近藤紀子 201601  
一窒テつ見れば憎めぬ稲雀 柴田佐知子 201601  
稲雀翔ちて波打つ田となりぬ 高倉和子 201601  
住吉の御田にやはり稲雀 後藤立夫 ホトトギス 201602  
稲雀甲斐より攻めて来たりけり 森岡正作 201611  
稲雀平年並みといふ安堵 鈴鹿呂仁 京鹿子 201611  
稲雀にさても人智の及ばざる 大橋晄 雨月 201612  
糸鋸の丸みやはらか稲雀 中田禎子 201612  
稲雀散るとき空のかたぶきぬ 成田美代 201612  
稲雀街の灯とほく点り初む 安立公彦 春燈 201612  
堰落つる水やや濁り稲雀 黒滝志麻子 末黒野 201612  
わっと来てわっと去りたる稲雀 栗山恵子 雨月 201701  
団欒めくひとかたまりの稲雀 江澤弘子 201701  
稲雀波のごとくに来て去りぬ 鍋島武彦 末黒野 201702  
鉄塔の影長々と稲雀 久世孝雄 やぶれ傘 201702  
稲雀五重塔が見ゆるかな 中川句寿夫 ここのもん 201705  
稲雀地図の折り目に現在地 中川句寿夫 ここのもん 201705  
そこからは隣の田ぞよ稲雀 荒井ハルエ 春燈 201712  
稲雀埃のやうに立ちにけり 兵藤惠 201712  
空へ逃げすぐ群なせる稲雀 佐津のぼる 六花 201801  
雨音か百の鼓翼の稲雀 岡真紗子 201801  
突風に着地煽られ稲雀 櫛橋直子 雨月 201801  
それなりの覚悟あるのか稲雀 大石喜美子 雨月 201901  
一斉にふはつと沈む稲雀 小島翠波 201902  
稲雀ひと先づ逃げて電線に 大霜朔朗 末黒野 201904  
山峡の空押し拡げ稲雀 佐川三枝子 201911  
五六羽の群とはならず稲雀 大内幸子 六花 201912  
したたかといふも小癩や稲雀 仲里貞義 201912  
稲雀何処へ消ゆるや里景色 葦原葭切 春燈 201912  
一斉に下校の子らや稲雀 溝越教子 春燈 201912  
先頭の一羽なりけり稲雀 前田美恵子 201912  
産土の大樹を基地に稲雀 高橋まき子 風土 201912  
鯖道に比良の伏水稲雀 岡本尚子 風土 202001  
稲雀三日天下の城の跡 岡本尚子 風土 202001  
先陣を切つて飛び込む稲雀 前田美恵子 202001  
逃げてまた同じ稲穂へ稲雀 有松洋子 202001  
大屋根を越えて旋回稲雀 磯野青之里 六花 202002  
稲雀遅れ飛び立つ五羽六羽 小林朱夏 202003  
招かれしごとく田に寄る稲雀 松田明子 202006  

 

2020年9月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。